2018年6月20日(水)
米国・ロサンゼルスにて開催された“Electronic Entertainment Expo 2018(E3 2018)”にて、PS4/Switch/PC用ソフト『無双OROCHI3』のインタビューが実施された。
『無双OROCHI3』は、『真・三國無双』シリーズと『戦国無双』シリーズのキャラクター、オリジナルのキャラクター5名を含めた総勢170名が登場するアクションゲーム。神々の住まう“神界”が融合した世界で、戦いが展開する。
プロデューサー・古澤正紀さんに、本作の特徴や新たなアクション・神術についてお聞きした。またキャラや開発時の苦労などにも迫っている。
――ユーザーから希望の多いタイトルだと思うのですが、改めて開発の経緯をお話ください。
お客様からの声は、前作発売後からずっとありました。つねづねその声にどう答えるべきなのかというのは、ω-Forceとしての課題でしたが、PS4やSwitchのユーザーが拡大したこのタイミングであれば、新しい『OROCHI』を多くのファンの方に届けられるだろうと判断し、開発をスタートしました。
――古澤さんにとってプロデューサーとして2作目のタイトルになりますが、いかがでしょうか?
プロデューサーはすごく大変ですね。ユーザーだけでなく、開発メンバーにもしっかりと意図を伝えなければ、いいものに仕上がりません。いろいろなところに思いを伝えていかなくてはいけないと感じています。
――以前にリリースされた『無双☆スターズ』から、開発チームは引き続きのタイトルですか?
双方を担当しているメンバーもいますが、丸ごとそのままということはありません。
――本作『無双OROCHI3』のコンセプトを教えてください。
“ファンタジーOROCHI”です。ストーリーでは西洋のキャラクターや神話のエッセンスを盛り込んでおり、そういう側面でのファンタジーもありますし、神術などのアクション的な部分で、今までの剣や弓などの武器だけでなく、“これだったらファンタジー”と言えるようなアクションを入れていき、アクション面もファンタジーにひもづけました。
――前作『2』や『無双☆スターズ』はコーエーテクモグループのオールスターというようなバラエティ感でした。本作での参戦キャラはどうなっているのでしょう。『無双☆スターズ』や『真・三國無双 英傑伝』のオリジナルキャラは出るのでしょうか?
原点に立ち返り、『真・三國無双』と『戦国無双』、それから『OROCHI』オリジナルキャラに絞りました。
――物語にオリュンポスの神が登場することになった理由は?
これまでのシリーズでは、主に日本と中国からの出典となっていたので、そことは違う新しい切り口で楽しんでいただけるよう、西欧の神話をモチーフとして取り入れました。
――このゼウスの横にいるシルエットの人物は?
先日の生放送で発表されました。正体は言えないのですが、ゼウスと並んでいるということから同じような立ち位置のキャラかも……くらいで!
――PVにオロチの姿が映っていましたが、今回の物語にはオロチも絡んでくるのでしょうか?
『無双OROCHI3』なので、オロチがちゃんとストーリーに絡んでいて、存在感を出してきます。シリーズファンの方は非常に気になる部分だと思いますが……まだ詳細はお話しできません。それくらい大きくストーリーに絡んでくるというふうに認識してもらえれば幸いです。
――ちなみにオロチも神術を使いますか?
はい、使います。最強のキャラがさらに強化されるのでお楽しみに。
――この“神格化”についてお話いただけますか。
これは“神格化”と呼んでいる要素のビジュアルです。趙雲と真田幸村を含め、全部で8人の『無双』キャラが変化します。神格化はストーリーにあわせての設定で、ストーリーを語るうえでの必然性から生まれました。そのため、趙雲も幸村もストーリー的には重要なポジションにいます。
そして神格化した時には専用のアクションが増えます。
――“神格化”はステージ中で任意に変えられるんでしょうか? それとも物語中で神格化した際にのみ変わるのでしょうか?
ストーリーで該当するタイミングでアンロックされます。その先のバトルから、戦闘中に何かしらのきっかけによって一時的にこの状態になれます。具体的には後述する神術ゲージが減らなくなったり、専用の神術があったりします。
――かなり強力な要素に思えるのですが……。
ただ8人しか使えないので、あまりにオーバーパワーになりすぎないようにしています。神格化でも気持ちよく戦える要素はもちろん用意していますが、その他のキャラにもパワーアップ期間を用意しようかなと思っています。
――ゼウスはどういうキャラクターになっているのですか?
神様なので、170人いる中でも振り切ってすごく強いキャラにしています。動きは重いのですが、雷を使う非常にパワフルなキャラクターです。
――アクション的にはどういう要素がありますか?
初心者の方でも迷いなく遊べるように作っています。敵を殴っていくと体に雷をまとい、攻撃を強化するギミックがあります。例えば、普通の状態のアッパーは出るまで時間がかかるのですが、帯電状態では非常に動きが速いうえに判定と威力が強化された性能になります。
さらに、帯電状態では普通の攻撃時も稲妻が落ちてきます。
――雷は何段階までためられるのでしょうか?
1段階のみで、通常状態か帯電しているかになります。深く考えないで攻撃していけばたまっていきます。
ただし1対1の戦いになってうまく攻撃を当てられないと帯電状態になるのが難しいこともあるので、雑兵をうまく絡めながら戦っていってください。
――ゼウスの操作については、『三國』と『戦国』のどちらになるのでしょう。
『三國』に近いと思います。ただ杖を振り回すようなチャージ攻撃の後にボタンを入力すると続く攻撃があるので、『戦国』的な操作もあります。あまりどちらかの操作に寄せようと意識しているわけではありません。
――背中の翼で空を自由に飛べたりしますか?
空を飛べることはしませんね。どちかというとマントのようなイメージです。
――ゼウスをデザインするうえでこだわったポイントは?
ゼウスと聞いた時に皆さんが思い浮かべるイメージがあると思うのですが、そこから乖離しすぎないように気を付けました。ある程度皆さんが想像できる範囲のゼウスにしつつ、少し若々しく、“ちょい悪”な感じのキャラクターにしてみました。
――武器を杖にした理由を教えてください。
モチーフにした神話の設定などから少しずつエッセンスをもらってきています。なお、他のキャラクターの神器も“アルテミスの弓”といったように、神話の設定を入れ込んでいます。
――神器とはどのようなものでしょうか? 装備アイテムの1つで、特殊なアクションを使えるような認識でしょうか?
通常の武器とは別に持つ、キーアイテムです。各神器には神の力が宿っており、これを触媒に個性的な攻撃である“神術”を使うことができます。
――神器はキャラによって異なるようですが、どのようにして決めているのでしょうか?
全部で神器が16種類あり、神器ごとに神術が変わってくるので、映えるものをあわせています。
神術には、神器に依存するものとキャラクター固有のものがあります。固有の神術は神器を出した状態で乱舞ボタンを押すと発動します。例えば陸遜であれば分身して、神器のレーヴァテインで斬るというものがあります。
――今まででいうと“EXアタック”に近いものになるのでしょうか。
イメージとしては近いかもしれません。
――どのように発動させるのでしょう?
R1ボタンを押すと現れる神器から力を得て発動しています。神術は通常攻撃、チャージ攻撃、無双攻撃に応じて3種類あります。
通常攻撃は少しだけゲージが減るのですが、敵を打ち上げたりとか、自分を移動させたりするアクションが出ます。神術独自のアクションと通常のアクションとをうまく組み合わせていくことを想定しています。
他にも神術には、これまでの『無双』シリーズのアクションにはあまりなかったような、自分で操作するものがあります。例えば、光線を放つ方向を変えられるといった具合です。
――そうなると、既存キャラの触り心地は変わっているということですか?
そうですね。神術が入って変わった部分はもちろんありますし、固有の技が確実に1個増えているため、組み合わせの部分含めて、変わったことを感じてもらえると思います。
――武将によるアタッカータイプは健在ですか? 追加や変更はあるのでしょうか?
アタッカータイプもあります。他のアクション要素とのすみわけや、種類が多いと特徴が感じにくくなるということもあり、3種類になる予定です。効果は前作までと変わる部分もあります。
――見させていただきましたが、『真・三國無双7』のようにシームレスにバトルが始まるわけではなく、陣地とマップがあり、ステージを攻略してから陣地に戻るサイクルになっているんですね。
そういう遊びとなっています。ステージを攻略することで仲間が増えたり、陣地ではキャラクターのカスタマイズができたり、準備を整えて進んでいくことになります。
――ステージ中のギミックについてお話いただけますか。
マップ中には大きな錨(イカリ)のオブジェクトがあります。アンカーと呼んでいるのですが、これは世界を融合させたゼウスが、打ち込んだ楔(くさび)になります。
アンカーの近くで神器を出すと、神術のゲージがたまりやすくなるので、この周辺で戦うのが重要です。アンカーはマップに点在しているので、どこにあるのか見定めて、進行ルートを考えたり、敵を引き寄せたりするなど、戦略要素のひとつになっています。
――物語についてですが、初代『無双OROCHI』の時は各軍勢ごとに分かれて物語が、『無双OROCHI2』は時をさかのぼりながら道を進んでいくような形でしたが、『無双OROCHI3』ではどうなるのでしょう?
『無双OROCHI2』に近い流れになっています。ストーリーを進めつつ、キャラを仲間にしていきます。しっかりとしたストーリーを楽しんでいただきたいと思っていまして、ステージの数は60~70くらいを用意しています。現状ではメインのストーリーが50くらいあり、さらにサブのストーリーが20くらいある予定です。
――『無双OROCHI』シリーズは、圧倒的な討伐数を楽しめるという印象がありますが、今回もそこは変わらないのでしょうか?
ステージにもよりますが、普通にプレイしていても2,000に届くことがあります。敵を倒す爽快感という根本の部分はもちろん本作でも健在です。
――『無双OROCHI2』の特徴であったスイッチコンボは本作にもあるのでしょうか?
はい、あります。攻撃中にキャラクターチェンジすることでスイッチコンボを出すことができます。さらに本作では、チャージ攻撃中にスイッチコンボをすると竜巻が発生し多段ヒットするようになったので、お手軽にコンボをつなげられるようになります。ドンドン使ってください。
――ゲージについては、どのような仕様になるのでしょうか?
一番上が体力、真ん中が乱舞ゲージ、一番下が神術を使うゲージです。さらに、合体神術を使うためのゲージを示したアイコンがあります。通常のアクションでコンボを稼ぎながら、神術で倒していくとゲージがたまっていき、合体神術が使えるようになるのです。
――合体神術についてもう少しお聞かせください。
合体神術は、前作であった“真・合体技”に代わって使える、強力な技です。操作するチームメンバー3人と、陣地で設定できるサポートメンバー4人が神術を使います。サポートメンバーはパラメータの底上げや、合体神術後にバフをしてくれます。
また、合体神術を発動する時には中心となるキャラクターのボイスが再生されますので、そこも楽しみにしてください。
――サポートメンバーの組み合わせによって発動するバフはありますか?
例えば猛将タイプを集めると攻撃力が上がりやすいなどの特徴があります。ただ、特定のキャラクターを組み合わせることで特別なバフが出るといったことはありません。この合体神術ですが、上達してくると5分に1回くらいは出せると思います。
――他に何か、細かい変更点は?
神術で馬に乗るようになりました。なお、ゲージは消費しません。
――分割マルチプレイについてお話いただけますか?
本作では、オフラインによる協力プレイが可能です。Nintendo Switch版ではJoy-Conを使った“おすそわけプレイ”に対応しています。ボタンの数が足りないのでカメラ移動はできませんし、あくまですべての要素を楽しめるものではないのですが、簡単に体験いただけます。
――分割マルチプレイでは、サポートメンバーの設定はどうなりますか?
1Pと2Pで共有の4キャラクターになります。こちらはメインとなるのは1Pで、2Pは助っ人で3キャラを操作しているようなイメージです。
――オンラインでのマルチプレイはありますか?
あります。ぜひいろいろな方と楽しんでください。
――『無双OROCHI2』からの課題や、ユーザーからの意見を吸い上げている部分はありますか?
キャラクターの数が多いために、すべてのキャラクターに焦点が当たらないというご意見をいただきまして、それを解決するのが非常に難しい問題でした。
これについては、固有の神術を全キャラクター分を用意して、それぞれのキャラクターを楽しんでいただければと思っています。ストーリーでメインになるキャラクターがいれば、アクション的に映えるキャラがいてもいいと思っていますので、それぞれのキャラに何かしらスポットが当たるようにしたいと考えています。
――『無双OROCHI』シリーズとして変えずに大事にしてきた部分はどこでしょう。
“すべて”を入れるところはブレないようにしました。ただ、何か1つを入れるにしても170倍になりますから大変ではありましたが、ファンが求めている“全部入り”を大前提にしたうえで、それを楽しめるように妥協しないで作っていきます。ボリュームについてはご期待いただければと思います。
――170人いると、何かを追加・変更するにしても大変ですね。
ボイス収録についても、同じ方に複数日お願いすることもあります。兼ね役の方もいるのですが、一般兵などをお願いしている方もいて、かなりの人にお願いしています。
――物量をこなすに際して、どのように工夫をされていますか?
すべてのことを幅広くやろうとすると、いくら時間があっても足りませんので、ただ変えればいいということではなく、もともとのキャラだったり設定だったりの魅力を伸ばすようにはどうすればいいか、というのはスタッフがつねに考えながら制作にあたっています。
――『OROCHI』シリーズはキャラ同士の掛け合いも話題です。本作でも健在ですか? 作っていてお気に入りのキャラ組み合わせは?
もちろん健在です。法正と松永久秀とか、癖のあるキャラ同士の組み合わせなどはおもしろいですね。軍略家同士だったり、好みが似ているだったりというのもありますが、例えば髪型のような外見つながりなども用意していますので、どんな組み合わせがあるか期待してほしいですね。
――『無双OROCHI2』の時はキャラクターが多いぶん、トロフィーを獲得するのに時間がかかりましたが、今回もやりごたえはあるのでしょうか?
もちろん大変なトロフィーはあると思います(笑)。ただ、時間をかければ獲得できるものだけではおもしろくないので、少し考えている部分ではあります。
――開発の進捗を教えてください。
7割くらいです。今後は粗削りな部分をしっかり調整する段階になります。
――今作においてアピールしたい部分はどこでしょうか?
マップのベースは『真・三國無双』と『戦国無双』なので似通った世界ではありますが、アンカーがあったり、遠景には神の世界が見えたりなど、空気感が違うところを感じてもらえると思います。もともとのキャラクターとステージをいろいろな形で楽しめるように設計しているので楽しみにしてください。
――両シリーズのキャラクターが集合しているこちらのビジュアルは壮観ですね。
これはCGディレクターが作ってくれたものです。関係性のあるキャラクター同士を近くに配置したり、武器のバランスを気にしたりと、こだわりながらしっかり考えて作ってくれました。これだけのキャラクターが登場するというのがわかりやすく、さらにインパクトもあって気に入っています。
――『真・三國無双』シリーズと『戦国無双』シリーズではハードだけでなく描画エンジンも違います。キャラクターやステージのベースを持ってきているとはいえ、大変だったのでは?
どちらのタイトルも、そのままは使えません。よく「同じデータを使っているから、すべての要素をいれてほしい」という意見があるのですが、実際にはすべて手を入れています。もちろん、0(ゼロ)から作るよりは楽ですが、それでも手間はかかるので……。
ベースの2タイトルのすべての要素に手を入れて、『無双OROCHI3』として違和感のないようにしつつ、今作なりの雰囲気が出るようなものを入れています。
「『真・三國無双』シリーズをやっているからもういいよね」とか、「『戦国無双』シリーズをやり込んでいるから同じでしょ」という人でも、手に取っていただければ違いがわかると思いますので、ぜひトライしてもらいたいです。よろしくお願いします。
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