2018年8月18日(土)
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、7月31日から配信されているPC用ソフト『LA-MULANA 2(ラ・ムラーナ2)』のプレイレポートをお届けします。
本作は、インディーゲーム製作集団NIGOROが手掛ける『ラ・ムラーナ』の続編で、考古学者が広大な古代遺跡を探索する2Dアクションアドベンチャーゲームです。
遺跡の中は凶悪なトラップや敵が待ち受け、謎解きも一筋縄ではいかないものばかりと、ハードな遊びごたえが特徴のタイトルになっています。しかし、単に難しいだけでなく独特のテイストを持つゲーム性が病みつきになる作品でもあります。
▲美しいドット絵はゲームの特徴。画面の左上にいるのが主人公で、彼女のアニメーションもかわいいです。 |
なお、筆者は残念ながら前作をプレイしておらず、今作がシリーズ初体験。ストーリーは続きものですが主人公は一新されていますし、ゲーム性は『2』からでも十二分に楽しめます。ぜひ、同じように前作が未プレイの人にも読んでもらえればと。
『ラ・ムラーナ2』では、前作の主人公の娘であるルミッサ・小杉を操作し、ラ・ムラーナ遺跡がある村を訪れるところからゲームが始まります。
ちなみにラ・ムラーナ遺跡は、全文明の起源であるという設定なのですが……今では遺跡が観光地化され、村を治めるゼルプド長老は、城のような大豪邸に住むというボロ儲けっぷりを見ることに(笑)。
▲ゼルプド長老は、1人だけ大豪邸に住み、両脇には美女をはべらせているという欲望に忠実すぎる性格(笑)。そのユニークなキャラクター性に、きっと笑いが漏れるはず。 |
▲ラ・ムラーナ遺跡には、観光地には付きもの(?)の顔を覗かせて写真を撮影するためのパネル看板も。 |
ゲンキンな長老から「遺跡の奥からモンスターが出たので、儲けがなくなると困るから原因を突き止めてくれ」という主旨の依頼を受け、いざラ・ムラーナ遺跡の調査へ出発!
その結果、裏ラ・ムラーナ遺跡とも言える“イグ・ラーナ遺跡”の存在が判明し、そこにモンスター発生の原因があるとわかるのです。
ここまで探索できる観光地として改修されたラ・ムラーナ遺跡はいわゆるチュートリアル的な場所で、プレイを通して基本操作を覚えられます。
しかし、1点だけ注意が必要なのは「2度見るべからず」と書かれた呪いの石碑。これは気軽に2度読んではいけません……通常でさえ難しい本作が、2度読むとハードモードに切り替わってしまいます。
▲「いましめを破りし者には死の苦しみを与える」。ホントに死の苦しみでしたよ……。 |
筆者は迂闊にも石碑を2度読みしてしまい、某タレントさんのごとく「ヤバイよヤバイよ」を連呼する羽目に。あまりに死にすぎて、死んだ回数をセーブ画面で表示してほしいなぁ……なんて思っていました。
イグ・ラーナには、数々の中ボスが待ち受ける他、ガーディアンと呼ばれる大ボスとのバトルも存在しますが、2体目のガーディアンを倒すのに数時間かかりましたからね。勝った時はうれしさのあまり、夜中なのに喜びの雄叫びを上げましたが(笑)。
▲正直もう見たくない。けれど、またハードモードで戦ってみたい気持ちもあるヴリトラさん。最初の2時間くらいは絶対倒せないと思っていました。 |
ちなみにハードモードを選んでも、あるNPCに話しかけると1度だけ解除するチャンスをもらえます。
まあ……あれです。ハードモードのご利用は計画的に!
▲結局、20時間くらいはハードモードでプレイしていました。つらいけど楽しくもあります。心のハイリスクハイリターン。 |
イグ・ラーナ遺跡は数多くのエリアに分かれ、どのように遺跡内を探索するかはプレイヤー次第。かなり自由度が高くなっています。エリア内は部屋と部屋のつながりで構成され、一部の大部屋を除けば、スクロール式ではなく画面切り替え式です。
▲遺跡内はエリアによってモチーフとなる神話が異なり、さまざまな特色を持ったマップを楽しめます。 |
1部屋1部屋のデザインはかなり巧妙で、目に見える敵やトラップの配置は絶妙にミスを誘い、かと思えば隠された罠であっさり死ぬことも……。
死ねば死ぬほどに、どの部屋も丁寧に作られていることに舌を巻き、制作者の思惑通りに動いて死んでいるであろう自分のプレイに、「してやられた」という悔しさが込み上げてきます。
▲何度も見ることになるゲームオーバーの画面。悔しいのでコンティニュー! |
もう、そうなると目の前のハードルを越えるまでプレイが止められません(笑)。
某ストラテジーのキャッチフレーズ“もう1ターンだけ”のように、“もう1回だけ”と思ってチャレンジを繰り返す……どんどん時間が奪われ、睡眠時間も削れていきます。嗚呼……こうして底なしのラ・ムラーナ沼にハマっていくのかと。
▲アイテムを取るのも、そこまでの道のりが大変……しかし、手にした瞬間、喜びで胸が満たされる! |
中ボスやガーディアンとの戦いも然り。特にガーディアンは、初見殺しのオンパレードな攻撃をしてくるので、何度もチャレンジすることになるはずです。
何せ、通常は特定の場所でしかセーブできないのに、ガーディアン戦だけは直前でクイックセーブされるくらいですからね! それだけ強敵ということですが、この仕様は本当にありがたい……。
▲このガーディアンは、足場に発生する炎エフェクトの発生時間がクセモノで苦戦しました。ガーディアンは攻撃が手強くて、反撃するタイミングをつかむのがつらいです。 |
けれど、“もう1回だけ”の先にある達成感と喜びは、それまでの苦労に見合った、むしろそれ以上のものが得られます。その至福の一瞬が忘れられず、死んでも死んでもリトライしてしまうんですよね。
▲苦労してガーディアンを撃破。この時だけはコントローラを置いて喜びに浸れる……。 |
余談ですが、筆者は2Dアクションがさほど得意ではありません。それでも本作が楽しいのは、ギミックやボスの攻略には“観察”がアクションの腕より大事だからなのかなと。
何度も観察してパターンを意識すれば、あとは回数をこなすことで乗り越えられるはず。そしてよく観察することは、謎解きの話にもつながっていきます。
▲おそらく序盤で戦うことになるであろう中ボスのニーズヘッグです。個人的には、ちゃんと観察しないと本作のボスは倒せないぞ、と教えてくれた敵だと思っています。 |
『ラ・ムラーナ2』を紹介するうえで欠かせない要素が、遺跡の探索と結びついたディープな謎解きです。
本作の謎解きは導線が控えめで、ヒントを得ることから謎を解くことまで、自力で行う必要があります。ある意味で当たり前の説明に見えますが、本作の場合、マップのボリュームが膨大なおかげで、ヒントや手がかりの数も尋常ではありません。
▲自由に探索できるぶん、遠い昔に見聞きしたヒントが後で意味を持つこともざら。自分の頭だけで情報を整理するのは、ちょっと無理なボリュームです。うれしい悲鳴なんですけどね! |
文章やNPCとの会話についてはゲーム内で記録する方法があるので、意味深なテキストはどんどん記録しましょう。また、訪れたマップはすべてスクリーンショットを撮ると、謎解きにだいぶ役立つはずです。筆者はそれを怠ったせいで、だいぶ苦労しています……。
ただ、手がかりが壁の中に隠されている場合なども往々にしてあるので、最終的にはマップをよく観察することが大事だと思います。
違和感を覚える場所はないか、怪しい場所に関するヒントはどこかに存在しないか。もし行き詰まったら、以前に訪れた場所を注意深く観察することで、新たな道が開けることもあるはずです。
▲ゲーム内には、ルミッサが持つタブレットに入れるアプリ(機能追加アイテム)が各種存在します。その中でも、グルグルストリートというアプリを入手すると探索がかなりラクに。 |
こうした自分から能動的に答えを導き出す謎解きは、考古学者の気分を味わえる要素だと感じました。また、丹念にマップを観察して新たな道が開けるというプレイ体験は、探索型2Dアクションの醍醐味を楽しめます。
説明書などに書かれた本作の正式なジャンル名は、“遺跡探検考古学アクションアドベンチャーゲーム”ですが、そうした名称であることが心からうなずけるゲーム性を堪能できますよ。
▲硬派な感想ばかり書いていますが、ところどころユーモアが挟まれるのも作品の味になっています。遺跡の中で出会えるムーブルクは、かなりいいキャラクター性。 |
本作は、隣の部屋にたどり着けない、ボスが倒せない、新たな道が見つからない……と行き詰まることも多いですが、1歩前進した時にこれほど喜びを感じるゲームも珍しいと思います。
謎解きによる探索の苦労とギミックやボスの高い難度が結びついた作品だからこそ、独特なテイストを放ち、バトルの難度だけで得られるものと違う、挑戦と達成感のゲームサイクルに中毒性を感じるのでしょう。
▲探索型2Dアクションにはお約束(?)な隠し部屋もいくつか存在します。その中には、こんな遊び心ある部屋も。 |
探索型2Dアクションとして同様のジャンルは多数存在しますが、『ラ・ムラーナ2』は1度そのゲーム体験を味わってほしいタイトルです。ゲームらしいゲームや、遊びごたえのあるゲームを探している人には、ぜひおすすめします。
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