2018年8月6日(月)
2018年8月4日(土)~5日(日)の2日間。岐阜県岐阜市の柳ケ瀬商店街を中心に開催された街を挙げての一大イベント“第2回 全国エンタメまつり(ぜんため)”。メインステージで行われたトークショーのなかから、インディーゲームに関連したステージの模様をお届けしていきます。
メインステージのなかでもインディーゲーム関連のステージが目立った2日目。そのなかでも、とくに注目度が高かったのが任天堂ステージでした。このステージでは、ゲーム芸人フジタ氏と一緒に、ぜんため応援大使として会場を訪れていた声優の三宅麻理恵さんと佳村はるかさんが登壇。3人で、任天堂がオススメするNintendo Switchのインディーゲームを遊ぶという流れになっていました。
ステージの最初は佳村はるかさんへのオススメとして“みんなでワイワイプレイできて、初めて遊ぶ人でもすぐにプレイできちゃうようなゲーム”『Overcooked2』をチョイス。3人でプレイしながら、ゲームの魅力を紹介していきました。
ゲーム開始時は3人の息が見事に合わず、会場内の笑いを誘う場面もありましたが遊べば遊ぶほど息が合うようになり、見事にステージクリア。3人とも楽しそうにプレイしているのが印象的でした。
『Overcooked2』は会場内でも人気が高いソフトで、ゲームストリートでの展示も親子連れの注目度が高かった作品。ステージのプレイを見ている人も、老若男女問わず盛り上がっていました。
3人が次に遊んだゲームは『minit』。これは“今の生活環境を捨てて、新たな人生をおくれるようなゲーム”という三宅さんへのアンケートから選ばれた作品です。
内容は60秒(1分)で力尽きてしまう主人公を操作しながら、何度も力尽きつつ謎を解いていくアドベンチャー。さっそく三宅さんがプレイを始めると、意外なことが……。
なんと、次々と謎を解いてサクサク進んでしまったのです! 当初、任天堂側が時間的にプレイの限界だと想定していた場面も軽く超え、サクサク進んでいく三宅さん。
なぜか毎回犬を攻撃したり、一般人に攻撃して返り討ちにあったりと予想外の行動に盛り上がり、交代しながら遊ぶ予定のはずが時間を忘れて夢中でプレイしたようでした。
最後に、任天堂がオススメするインディーゲームを紹介するインディーワールドのPVが流れてステージは終了。ステージイベントのなかでも笑いが絶えず、非常に盛り上がっていたステージとなっていました。
任天堂ステージに続いて、UNTIESステージ。伊藤雅哉氏による解説とともに、UNTIESがリリースする予定の7タイトルが紹介されていました。ちなみに、UNTIESとはソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が立ち上げたインディーゲームパブリッシング事業を行う新レーベル。業界でもインディーゲームに詳しいスタッフが立ち上げたことでも話題になっていたレーベルです。
メインステージでは、まずコンシューマ版が決定した『TOKYO DARK -Remembrance-』を紹介。今回自分が書いたレポートでも紹介していますが、PC版で評価が高かった『東京ダーク』に追加シナリオを加えた完全版でUNTIESでも力を入れて推していることがうかがえました。
開発のCherrymochiによると「やり残したことはないが、語り尽くせなかったことを追加シナリオとして盛り込む」とのこと。ディレクターズカットのような最終系として今年の冬にリリースすることを目指しているそうです。
続いて、演出とビジュアルで独自の世界を構築している3Dアニメーションノベルゲーム『マヨナカ・ガラン』(英題:『The Midnight Sanctuary』)。独特な表現のゲームを作り続けている開発のCAVYHOUSEさんの作品も紹介されました。プロの翻訳者もこの開発のファンということで、英語版の翻訳はかなり質が高く仕上がったとのこと。こちらも期待できそうです。
ほかにも、京都のSkeleton Crew Studioに在籍する開発者が1人で手掛けた『Olija (オリヤ)』や、他ハードでの評判が良い『幻想郷ディフェンダーズ』や、ローグライクとして膨大なボリュームを誇る『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』。ハイクオリティなプロの仕事を感じさせるグラフィックの『舞華蒼魔鏡』といった東方系二次創作ゲーム。
インディー&VRゾーンでも大好評だった『BATTLLOON - バトルーン』といった計7タイトルが紹介され、インディーゲームパブリッシャーとしての目利きの良さと、ラインナップの厚さをアピールするステージとなっていました。
ラストは、電撃とファミ通がタッグを組んだ特別なステージ。このステージではゲーム業界を代表するマスメディアとして、電撃PSの西岡美道編集長と週刊ファミ通の林克彦編集長が会場内にあった3つの作品に着目。開発者を呼んで、ゲームの進捗や詳細について語ってもらうステージになっていました。
開発者として呼ばれた1人目は、プチデポットの代表・川勝徹氏。すでに3年半開発を続けているという人狼系SFアドベンチャー『グノーシア』について語る川勝氏は、実際の人狼ゲームを遊ぶように性格や傾向が設定されたAIや、人狼ゲームを知らない人でも遊べる人狼を目指した開発の経緯など、ゲームの魅力を存分にアピールしていました。
業界内でも開発中バージョンをプレイした人たちからの評価が非常に高い『グノーシア』ですが、発売日はまだ具体的に決められないとのこと。今年中の完成を目指しているようなので、東京ゲームショウ辺りでの進捗報告に期待したいところです。
2人目は『両手いっぱいに芋の花を』という3DダンジョンRPGを制作中のPonPonGames・浜野氏。ポストアポカリプスの世界が好きという浜野氏は、滅びかけた世界でダンジョンを攻略するための目的として、食べ物の種を探しに行く話にしようとしたというタイトルの由来を解説。続いて、最初のバージョンから紆余曲折を経てゲームを作り直した経緯を語ってくれました。
すでに会場でプレイしていた2人の編集長は、相手の攻撃対象や確率が事前に表示される戦略的なバトルシステムを絶賛。2019年の完成を目指して開発中の本作に対する期待の高さをうかがわせました。
ラストは『RPGタイム! ~ライトの伝説~』を制作している藤井トム氏(DESKWORKS)が登壇。今年のビットサミットで公開されて以降、インディーゲームファンの間で大きな話題となった本作について、開発の経緯を語ってくれました。
2名のプランナーで制作されている本作ですが、鉛筆書きによる1万枚以上のアニメーションや子供の工作を3Dに再現したようなグラフィックが最大の特徴。制作期間は、すでに6年以上にも及んでおり、かなりこだわって作られていることを明かしました。
発表してからの反応も良く、現在はスタッフを増やしてさらにボリュームアップを図っているとのこと。2019年の配信予定に間に合うかはわかりませんが、個人的にも非常に楽しみな作品なので、最後までしっかり作り込んでもらいたいものです。
ちなみに、このステージでもっとも印象的だったのは、会場内にいたユーザーに各作品を知っているかどうか質問した場面。何名か知っている人はいましたが、ぜんために訪れるようなゲームファンでも、インディーゲーム自体の知名度はあまり高くないという現実がそこにありました。
今回のステージで紹介されていた作品は、どれも現時点での質が高く発売が楽しみなものばかり。完成すれば、メジャータイトルにも負けない作品になると思いますし、もっとインディーゲームを知ってもらえるように、自分もガンガンおもしろいインディーゲームを推していこう、と密かに思わせるステージだったかもしれません。