2018年8月10日(金)
カプコンがサービス中のPS4/PS3/PC用オンラインゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』。今回はシーズン3.3の新要素についてのインタビューをお届けします。
インタビューを受けているのは、松川美苗プロデューサーと木下研人ディレクター。シーズン3.2で実装された新ジョブ“ハイセプター”や“黒呪の迷宮”などについてのユーザーの反応、また、シーズン3.3のシナリオや悪しき竜との戦いなどについてお話を伺いました。
なお、インタビュー中は敬称略。
――シーズン3.2ではユーザーの反応はいかがでしたか?
木下:シーズン3.2は、新ジョブのハイセプターや黒呪の迷宮など目玉となる要素の他に、冒険ガイドやジョブ修練の緩和などの遊びやすくなる要素も用意できたので、ユーザーの皆様にはおおむね好評です。
そもそもシーズン3.0がバラエティ感やコンテンツボリュームを増やして、できることがたくさんある感覚を提供したかったこともあり、最前線にいるユーザーにフォーカスを当てていた部分が大きかったので、新規ユーザーや復帰ユーザーには「最前線にいるユーザーはいいけれど、結局レベル上げが大変」という声をいただいていました。それを踏まえたうえでいろんなものがバランスよく加えられたのがシーズン3.2のアップデートだったので、手ごたえを感じることができました。
松川:シーズン3.2が始まる前の3月に少しでも新規や休眠ユーザーに戻ってきていただきたいということで、“今すぐLV.80になれる”キャンペーンを行いました。そこからアクティブユーザーが増えて、そのままシーズン3.2につながったのが個人的にはよかったなと感じています。
また、通常だと大型アップデートを行うとアクティブユーザーが増えたあとで緩やかに減少し、次の大型アップデートで再び盛り上がるといった傾向がありました。しかし、“24時間全コース無料開放デー”や“100万経験値プレゼントキャンペーン”などの影響があり、1つのアップデート内でユーザーが戻ってきてくれて、何を実施すればいいのかがつかめてきたのはよかったなと。ユーザーの皆さんからは「気付くのが遅いよ!」と言われそうですが(笑)。
――初心者の方への施策でもっとも反応が大きかったものを教えてください。
松川:LV80になるキャンペーンは数千人単位でガッと増えますね。以前よりもコンテンツが充実していてレベルも上げやすくなっているので、戻ってきてからもプレイし続けてくださる方が多いです。しかし、既存ユーザーからすると、「自分たちが苦労した部分が……」となると思います。ですので、新規ユーザーにプレイしていただきたいと思うようなタイミングで実施し、ずっと継続する予定はありません。
――ハイセプターの反応はいかがでしたか?
木下:プレイしていただいた方々の反応は予想以上に良好でした。操作は難しいですが、その代わり使いこなせるようになると、戦いながら次の手を考える構築の楽しさや自分がより速く動いてマウントを取っていく快感が気に入ってもらえたようです。
あとは、シーズン3.2のトレジャーズロットのラインナップにハイセプターの魔道剣があったのですが、それとあわせて運営側が施策の一環として3回購入したら欲しいものをゲットできるようにしたので、序盤から高レベルの魔道剣を持ったハイセプターを使ってガンガン敵を倒しつつ、自分のプレイスタイルを模索するような楽しみ方をしていただけたのも大きな要因となりました。
松川:戦闘が大好きな覚者の方が次から次へと最前線へハイセプターを持ち込んでいるのを見ると、「新ジョブでアタッカーを実装するとこれほどまでに盛り上がるのか!」と驚きを隠せませんでした。
木下:インパクト的にはアルケミスト実装時も大きかったのですが、実際に使ってみると「おっと難しいぞ」という反応でした(苦笑)。
――“黒呪の迷宮”はいかがでしたか?
松川:黒呪の迷宮は、本編とは別に周回できるコンテンツとしては『DDON』で初めての要素でした。開発側としては幅広い層の覚者の方が一緒にプレイできる場を想定して実装しましたが、最前線をプレイする方々が想像以上に“黒呪の迷宮”に潜ったまま出てこなくてビックリしました。
木下:封印の要素などもあり、周回すること自体がムダにならないという印象も持っていただけているようです。
――シーズン3.3のフィールドはどのくらいの広さなのでしょうか?
木下:メガドシスほど広くはありませんが、シーズン3.0で遠くに見えていた火山に向かい、最終決戦はその頂きで行われます。また、荒み方や標高の高さなどの入り組んだ部分も多いですが、ビュースポットもあるのでそこも楽しんでいただければうれしいです。
――フィールドのデザインはどのくらいからでき上がっているのでしょうか?
木下:シーズンの始めのほうでは舞台のサイズは決まっているのですが、ディティールを詰める作業は順番にやっていますね。具体的には、2シーズン前くらいからマップデザイナーが拠点やスポットの詳細を作り込んでいきます。
松川:アッカーシェランの火山の高さについては、木下やプログラマー、背景担当が細かくやり取りをしていました。
木下:火山はアッカーシェラン大陸の象徴なので、他の山の稜線よりも高くするにはどうしたらいいかを話し合いました。システム的な部分でムリな相談もしました。他にも最初は「フィンダム大陸くらいの大きさは厳しいです」という報告がデザイナーのほうからあったのですが、「魔赤島以上のサイズは欲しい」などのやり取りなどもしました。
松川:もちろん世界観的にも重要な部分ではありますが、覚者が何度も訪れる場所なので力を入れる部分ではあります。
木下:僕自身の納得よりもユーザーの期待に応えなければという側面がありますね。
――“悪しき竜”との戦闘があるようですが、注目ギミックはありますか?
木下:絶望の大陸のシナリオを締めくくる戦いとなるので、シーズン2の精霊竜ウィルミア戦以上に作り込んでいます。ステージは全部で4つあり、大きな火山全体を使った戦いになります。また、悪しき竜の攻撃が火山と連動するような場面もありますね。
――火山と連動するというのは具体的にどのようなものですか?
木下:悪しき竜が生み出すギミックに対処できないと溶岩が流れ出て足場が悪くなったりだとか、最終ステージでは悪しき竜がトリガーとなって熱風が吹き荒れたり、火山弾が降ってきたりなど、火山を動かしているような印象を持つギミックがあります。
――ステージをまたぐギミックもありますか?
木下:ステージをまたぐギミックも存在します。全4ステージで遊ぶのがフルボリュームになりますが、メインクエストでは前半の2ステージで決着を付けることになります。ウォーミッションになると悪しき竜が後半のステージである火山の噴火口に逃げていくところを追い詰める戦いになりますね。
第3フェーズは覚者が火山の内壁をのぼるアスレチックのようなステージになっています。また、蒸気が出ている噴気孔のようなものがあり、覚者がそれに乗って上に飛ぶことが可能。そして、移動している最中に次のステージに影響するギミックがあり、それをどう処理するかで頂上のステージが変化します。
――完全にステージが4つあるんですね。
木下:そうですね。今まではモンスターが変化することが多かったと思いますが、今回はステージが4つ存在するので、新鮮な感覚で戦っていただけるかと。また、ボリュームはひと通りプレイすると30分くらいかかるかと思いますが、慣れると半分くらいで戦えるようになると思います。
松川:悪しき竜自身もアッカーシェランに登場する最後の竜として狂ったように強烈な攻撃を仕掛けてくるので、ずっと気を抜けない炎獄のような戦いが味わえると思います。
木下:あとは火の鳥をモチーフにしているので、戦いの中で全身に炎をまとうことがあります。そのときに炎を消すと部位が炭化し、全部位を炭化させるとダウンを奪うことができるようになっています。しかし、そのあとは溶岩から炎の力を吸収して、再び全身に炎をまとうという流れになっていますね。
――今回のウォーミッションで得られるシーズン3.3最強防具は、火の鳥を連想するようなものになっていますね。
松川:そうですね。かなり凝った見た目になっていますが、デザイン自体はシーズン初期のころに完成していました。
木下:シーズンごとにテーマがあるので、それを印象付けるデザインを意識しています。そのため、シーズン2の時はブルークリスタル、今回は火山がシンボルになっているので溶岩や炎を基調にしたデザインになっています。個人的には炎の翼を連想させるようなディティールも気に入ってます。松川:ちなみにシーズン3.3最強防具にはマグマのなかでもダメージを受けにくくなる特徴があります。アビリティも合わせると完全に防ぐことも可能です。また、この防具を装備している覚者だけが取れる宝箱も用意しています。
――ユーザーから人気の防具はありますか?
木下:かなりバラバラな印象です。個人個人どのように着飾り装備でオリジナリティを出すかを考えている覚者の方が多く見受けられますね。
松川:夏という季節からか、白竜神殿内では比較的薄着の覚者が多い印象です。あと、今年実装したサングラスをかけている方が多くてうれしいですね。
――新たなカスタムスキルEXのなかで、注目のものを教えてください。
木下:“ディフェンスライザー”ですね。剛は、詠唱したあとに“フィールド・シフト”をすると味方に“ガード・ビット”を1つ付与できます。一見、クイックに盾を付けられるのは強過ぎないかという心配もありますが、ダウン時の火力を重視するか、ダウンまでの時間を重視するか状況に応じて使い分けが楽しめればと思っています。技は、風圧耐性と耐震が付与できるので、事前にパーティーメンバーと話し合えるのであればアビリティの枠を他のものに当てることができます。
同じヒーラーつながりでいうとスピリットランサーの“キュア・グラスタ -剛-”も、白ゲージを回復しつつプリーストを超える攻撃バフを付与できますね。“キュア・グラスタ -技-”は、のけ反りにくくなる効果を付与できるので、パーティーへの貢献の仕方が少し変わると思います。
――他には?
木下:あとはアルケミストの“レクス・エレメンタ -技-”ですね。通常の“レクス・エレメンタ”は球体に触れないとエンチャントを付与できませんでしたが、発動するだけでシールドセージと同じくらいの範囲にエンチャントを付与できるようになりました。
“レクス・エレメンタ -剛-”はアルケミストが苦手だった5属性の状態異常の付与能力が高まる効果があるので、立ち回りの幅が広がるかと。
松川:ファイターの“天蓋斬り -技-”も熱いですね。斬撃が真上に飛びます。サイクロプスの目や飛んでいるグリフィンにも届くのでかなりの高さまで攻撃できます。
――ファイターにハーピー処理を任せる時代が来るんですね!?
松川:今までは誰かにお願いしなければ厳しかったのですが、そうなる場面もありそうですね。
木下:EXスキルをいろいろと考えていると、『DDON』のサービス開始時点で感じていた「戦闘中に使えるカスタムスキルの数を5つ使えるようにできていたら……」という想いがありますね。メモリなど、技術的な問題があったので厳しかったのですが……。
――現在のジョブバランスはどのようになっているのでしょうか?
木下:多いのはファイターで、その次にハイセプター、シーカーと続きます。一撃のロマンがあるウォリアーやソーサラーは、ダメージキャップがある影響で手数の多いジョブに比べて使用率が低くなりつつあります。ヒーラーはエンドコンテンツでダウン時のダメージが重要になるのでアタッカーとしても活躍できるスピリットランサーが多いようです。次いでエレメントアーチャー、プリーストの順番です。タンクはシールドセージもアルケミストも同じくらいですね。
松川:タンクをプレイする人はどちらも扱える人が多いようで、コンテンツ次第で使い分けている印象です。
木下:長期的に見てどのようなジョブにどのような特色を加えていかなければいけないのかを考えるのは、ユーザーのプレイの仕方もあって非常に難しいですが、アクションをアップデートし続けること自体なかなか経験できないのでとても貴重です。
――シーズン3.3でもっとも力を入れている要素はなんでしょうか?
木下:シーズン3.3でもっとも力を入れている要素は、やはりシナリオですね。シーズン3.3では、シーズン3.2でネドが解放軍から離れてしまった理由に迫ります。王子といえども年齢的には幼いので、そんな王子の心の内がドラマチックに解き明かされていきます。また、悪しき竜は主人公たちをアッカーシェランに呼び寄せましたが、自身で手を下すことはなく静観していました。その理由がなぜなのかも明かされます。それを踏まえて先ほど言った、悪しき竜とのバトルコンテンツにも力を入れているのでご期待ください。
――他の要素はシーズン3の流れを踏襲している感じでしょうか?
松川:基本的な流れについては同じですが、サブストーリーはありません。
木下:悪しき竜と戦うクエストのみ後日配信としました。シーズン3.3開始から約1カ月後くらいでしょうか。その手前にはエリアボスとなるウシュムガルとの戦いが待っています。また、ハイセプターのジョブマスターにスポットを当てたクエストも配信する予定です。
松川:ちなみに今までのシーズンの流れから、シーズン3.3でシーズン3が終わりだと思われている方が多いと思いますが、実はシーズン3.4があります。
――え!? それは本当ですか?
松川:どのタイミングで言うか迷っていたのですが、3.3のアップデート後にシーズン3.4があることを伝えると「シーズン3.3の開発が間に合ってなかったのでは」と誤解を招きそうなので、このタイミングで発表させていただきました。
――シーズン3.4はどのようなアップデートになるのでしょうか?
松川:実はシナリオには多くの伏線を張り巡らせているので、その伏線を知る物語が描かれます。
――最初からシーズン3.4は予定していたのでしょうか?
松川:明確に決めていたわけではないのですが、作っていくうちに、シーズン3.4までのボリュームになりそうだなと思ってはいました。具体的な内容は現時点ではお話できませんが、今までのアップデートと同じくらいのボリュームはあるのでご期待ください。
――シーズン3.3はコラボなどの予定はあるのでしょうか?
松川:9月に新しいコラボを準備しています。他にはハロウィンイベントも新規のものを用意しています。
木下:最近はデザイナーチームから今まで以上にさまざまな案が出ているので、どれを実装するか迷いますね。
――3年を経ての心境はいかがでしょうか?
木下:個人的には、どうしたら継続してプレイしていただいているユーザーの方に喜んでいただけるかを考えて走り続けてきました。先ほども言いましたがシーズン3.2というシーズン3のターニングポイントでユーザーの方に喜んでいただけた部分が大きかったので、手応えに近い感覚が強くあります。3年という長い期間積み上げてきた思いもあるので感慨深いです。
松川:ちょうど3年前の7月、8月はベータテストの時期で、問題がありすぎてあたふたしていました。そのゲームを開発や運営メンバーの力だけで3年間作り続けることは不可能で、プレイしてくださる方やさまざまな方の協力があってこそ成り立っていると感じています。そのようなタイトルのプロデューサーを担当させていただいていることを嬉しく思います。感謝の気持ちでいっぱいです。そしてこれからもがんばって作り続けていきます。
――最後に読者の方へひと言お願い致します。
木下:シーズン3.3はネド王子や悪しき竜の謎を解き明かすシナリオや、悪しき竜との壮大なバトル、またEXスキルやハイセプターの新スキル“ファントムエッジ”など楽しめるものを用意できたと思っています。
8月16日にぜひアッカーシェラン大陸に降り立ってください。お待ちしております。
松川:いよいよ、8月16日にシーズン3.3のアップデートが実装されます。3周年ということで“3”にちなんだキャンペーンも実施予定です。1年前にアッカーシェラン大陸にそびえ立っていた火山の頂きでの決戦が皆さんを待ち受けているので、ぜひ楽しんでいただきたいです。また、“Free to Play”なので気軽にダウンロードして覚者になっていただければと思います。
これからの『ドラゴンズドグマ オンライン』をどうぞご期待ください。
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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