2018年9月25日(火)
【FFRKインタビュー】これからも続く“『FF』の記憶の追体験”。4周年イベントや今後の方針を聞く
スクウェア・エニックスとDeNAがサービス中のiOS/Android用RPG『ファイナルファンタジー レコードキーパー(FFRK)』の開発者インタビューをお届けします。
▲左から佐々木悠プロデューサー、間一朗プロデューサー。 |
インタビューのお相手は、スクウェア・エニックスの間一朗プロデューサーとDeNAの佐々木悠プロデューサー。開催中の4周年イベントや、『FFRK』の今後に関するお話はファン必見です!
4年間ブレずに続けた“『FF』の記憶の追体験”
――『FFRK』4周年おめでとうございます! あらためて、今のお気持ちをお聞かせください。
間一朗さん(以下、敬称略):以前もどこかの場で言ったかもしれませんが、何かひとつのことを4年も続けられたのは初めてです。こうしてプレイヤーの皆さまと一緒に4周年を迎えられて素直にうれしいですね。
佐々木悠さん(以下、敬称略):僕が間さんに『FFRK』の話を持ちかけたときから数えると、5年以上たっていますね。おかげさまで4年間も運営を続けられたわけですが、『FFRK』の一番大事にしている“『FF』の記憶の追体験”という部分はブレずにお届けできたかなと感じています。
年々、提供できるサービスの難度は上がってきていますが、その中でもプレイヤーさんに満足していただけるものを試行錯誤した1年でした。
間:4年目に突入した頃、思うところがあり、改めてニューゲームで『FFRK』を始めてみたんです。
もちろん、コアなプレイヤーさんが挑戦しているような高難度コンテンツには歯が立ちませんでしたが、それでもサクサク進められる実感はありました。昔から遊んでいる人も新規で始める人も、それぞれが楽しめるようなバランスにはなっているかなと。
――間さんと佐々木さんの付き合いは5年以上とのことですが、初めて会ったときと比べてお互いの印象は変わりましたか?
佐々木:僕が抱く間さんの印象は全然変わっていないです。『FFRK』以前に『FFブリゲイド』というタイトルでも接点がありましたし、間さんがプロデュースする他のタイトルを通じてどういう方なのかなんとなく把握はしていました。今でも印象のズレはありませんね。
間:僕も、最初の頃から佐々木さんの印象はまったく変わってないかな。初めてお会いしたときから、ゲーム作りにおいて絶対にブレない芯があるなと思っていました。
サービスをしていく中で、いろいろなことをお願いして対応してもらうんですけど、ゲームのおもしろさを考えたら「ここは譲れない」と考えている部分がいくつかあるんだと思います。そういうこだわりの部分を見つけて、突っつくのがちょっと楽しいんですよね(笑)。
佐々木:(笑)。
間:会話をしていても、「ここはこだわりがあって、絶対に動かさないのだろう」と感じることが多々あります。そういった、佐々木さんのモノ作りに対する姿勢は今でも変わりません。
――お2人が話す様子を見ても、互いに信頼しきっているような雰囲気が感じられます。ちなみに、制作の中で意見が衝突したことはありましたか?
間:衝突というレベルの出来事は今までないですね。佐々木さんたちが柔軟に対応してくれているだけで、もしかしたら我慢させている可能性もありますが。
佐々木:いやいや、そんなことはないですよ(笑)。制作するうえで、『FF』らしさを損なわないためのご指摘は受けますが、全体的には自由に作らせてもらっていると思います。
企画立ち上げ時の僕はまだ26歳かそこからの若造で、あれこれやらせてくれとお願いしてきましたが、間さんはとても真摯に対応してくれたのでとても助かりました。
間:まあ僕自身、今までずっと『FF』制作にかかわってきた中心人物というわけではないですからね。あくまでスクウェア・エニックス側とDeNAさん側の意図を汲み取ってお互いに伝えて、スムーズな開発環境を作る立場なので。そういうところも衝突が起こらない理由なのかもしれません。
制作陣のこだわりと遊び心が詰まった4周年イベント!
――現在、4周年記念でさまざまな催しが開かれていますが、過去のイベントと比較しても盛りだくさんの内容ですね。
間:月末には毎回『FFRK』レポートをチェックする作業があるのですが、今月は4周年特別号もありまして。特別号の内容を紙で受け取って確認してみたら、あまりの厚みに驚きました。
佐々木:9月10日生放送実施して、4周年のイベントを紹介したんですけども、23万人もの方々が見てくださっていて、めちゃめちゃ緊張しました。多くの皆さまに4周年のイベントをお伝えすることができてうれしかったです!
間:視聴者数は4周年目にして過去最高を記録したようで。お客様の変わらぬFF愛に感動しました。ご覧くださった皆さまありがとうございました。
――4周年イベントのメインといえる“歴史省”では、ついにラスボス形態のケフカが登場しましたが、ボスにケフカを選んだ意図とは?
間:『FFVI』は、シリーズの中で客観的に見ても知名度が高いほうだと思うんですよ。
スーパーファミコン最後の『FF』作品で、あの引き込まれるようなオープニングと群像劇があり、最後には神々しい雰囲気すら感じるケフカとの戦いが待っている。きっとプレイヤーさんの中には、僕と同じように『FFVI』に感動した方が多いと思うので、4周年という大舞台で満を持してケフカに登場してもらいました。
――『FF』のカオスや『FFIII』の暗闇の雲など、ナンバリングのラスボスたちが少しずつ登場してきていますね。
佐々木:はい。これからも大きめのイベントで、ナンバリングのラスボスが出てくると思います。ただ、当然ですがラスボスはギミックも複雑に作っているので、なかなか制作には骨が折れるんですよね……(苦笑)。今回のケフカも、バトルが大いに盛り上がる工夫を凝らしているのでぜひ挑戦してください。
――ミニゲームとして、『FFIX』のなわとびが登場したのは驚きました!
佐々木:4周年イベント中に、何度も挑戦して遊んでいただけるものとしてご用意しました。当時は3Dでプレイできたミニゲームですが、2Dになってもしっかりなわとびを遊んでいる感触は味わえます。
あと、ゲーム内でランキングを採用したのはこれが初だと思うので、ハイスコア目指してプレイしていただければと。しっかり練習すれば、ビビの装備がもらえる40回のノルマも達成できるはずですので!
――『FF』といえばミニゲームも魅力的なので、こういう再現はうれしいですね。
佐々木:きっと『FF』プレイヤーの中にも、ミニゲームに愛着がある人は多いと思います。本編開発と並行してコツコツなわとびを作っていたのですが、やっとお披露目できました(笑)。
間:正直なところゲーム本編とは関係ない要素なので、普通はあんまり実装しようと思わないですよね。
打ち合わせで話をしているときに、ふと「なわとびを並行して作っています」と聞かされたときは「この人たちは何を言ってるんだろう?」と思いました(笑)。でも、そういう部分に熱を注いでくれる人たちは個人的に大好きです。
佐々木:今までもWebキャンペーンなどでミニゲームをご用意したことはありましたが、ゲーム内で遊べるようにしたのは初めてなので、なわとびをプレイした人の感想を聞きたいですね。皆さまの声しだいでは、他のミニゲームも今後登場させたいと考えています。
――4周年に合わせて“マギアクリスタル”、“記憶の神器”、“覚醒奥義”などの新要素が登場しましたが、これらを実装した経緯を教えてください。
佐々木:“マギアクリスタル”と“記憶の神器”に関しては、今後の運営を見越したうえでの成長要素として実装しました。
それまではキャラの劇的な成長体験が感じづらくなっていましたが、RPGにおいてキャラを強くして強敵を倒すという、“成長実感”と“達成感”はとても大切だと考えています。それに加えて、“好きな英雄をもっと自分好みに強くしていく”という側面も満たせるように設計しました。
“覚醒奥義”は、4周年の目玉のひとつとして考案しました。その前に登場した“オーバーフロー奥義”が瞬間火力に長けているのに対して、“覚醒奥義”はそのキャラの得意な属性やジョブを引き上げる技になっています。
先日の生放送で試しにティーダの“覚醒奥義”をお見せしましたが、強力なアビリティが使用回数無限になるなど、かなり爽快感のある必殺技ですよ。ただ、1ダンジョン中で1回しか使えないので、ここぞという場面の切り札になりますね。
間:このインタビューが掲載される頃にはすでに4周年フェスガチャが開催されていますが、はたして僕はティーダの“覚醒奥義”を引き当てられているのか……。今はただ、それだけが気がかりですね(大真面目)。
――キャラ成長の話になると、わかりやすいところでレベル上限解放がありますが、こちらの予定は?
佐々木:レベル上限が99になってからけっこう経ちますが、今のところ上限解放の予定はありません。レベル100以上に突破させようと思えばできるのですが、『FF』らしさを考えるとどうしてもまだしっくりこないんですよね。
5年目突入でレコードダンジョンも新展開へ……!
――レコードダンジョンについてもお聞かせください。昨年12月にスタートしてから現在までに第6章まで配信されましたが、手ごたえはいかがでしょうか?
間:このゲームを始めた当初から、いつかレコードダンジョンのようなコンテンツができたらいいねと話していました。その目標がきちんと実現できて、今も続けられていることにまずは感謝しています。お客さんからのいい反応もいただけていて、国内だけでなく海外のプレイヤーさんからも好評のようです。
佐々木:一度遊んでもらえば楽しんでもらえるという自信はあるのですが、今まで本編で育てた英雄や入手した装備が使えないのもあって、イマイチ遊びにくいという声も届いています。
そこを踏まえて、4周年イベントの中にこれまでのレコードダンジョンのスペシャルセレクションを用意していて、ここでは自分の育てた好きな英雄で戦えます。まずはここでレコードダンジョンの雰囲気を味わってもらいたいですね。
――9月19日の配信分でレコードダンジョンの第1部が完結し、これからは第2部に移るようですね。
佐々木:第1部完結によって新たにビッグス、ウェッジ、Dr.モグが仲間に加わり、デシとウララの新しい旅が始まります。これまでは崩壊画をめぐる冒険でしたが、第2部では仲間と共に未知の島を訪れます。先日のTGS出張生放送で公開した第2部のキービジュアルを見つつ、第2部の展開を想像していてください。
――第2部からは『FFRK』オリジナルボスも登場するとか……?
間:はい。このタイミングではまだ詳細は明かせませんが、物語に大きく絡むボスなので僕自身も登場が楽しみです。
佐々木:第2部は今までの伏線を回収しつつ、オリジナルボスを交えて新たな展開に突入していきます。ボスの名前もまだ秘密ですが、イメージイラストはすでに公開されているので、まだ見たことがないひとはぜひチェックを!
――ビッグスとウェッジだけでなく、Dr.モグもプレイアブルキャラになるのは意外でした。性能を見ると、魔法タイプのキャラなのですね。
佐々木:魔法のスペシャリストというだけでなく、もはやデシの代名詞である“鉄壁のグリモア”の上位版を使えます。
“歴史省秘技・鉄壁”という必殺技で、“鉄壁のグリモア”より必要ゲージが少ない閃技として、しかも待機時間無しで使用できます。ただ、デシの師匠ということで“鉄壁”関連の性能はやや上ですが、単純にデシの上位互換キャラというわけではありません。
――今後のサービスの方針について、可能な範囲でお聞かせください。
佐々木:『FF』の記憶の追体験については、まだまだやり切れていない部分があるので、切り口を変えながら今後もお届けしていきます。従来のようなイベントダンジョンはもちろん続けますし、オリジナル要素のレコードダンジョンにも一層力を入れていきます。
レコードダンジョンについては、もっと多くの人に触ってもらうような導入を用意することが、今後のサービスの課題ですね。
間:『FF』の英雄やノーマルダンジョンはかなりそろってきていますが、それでも描かれていないエピソードは山ほどあるので、原作の掘り下げはまだまだ続くかと。現在も続いているオンラインタイトルの最新コンテンツなども、『FFRK』のなかで再現したいですね。
あとは、先ほど佐々木さんが言っていた新しい成長要素のように、“好きな英雄を育てたらきちんと実感が返ってくる”という仕組みは重要視したいですね。お気に入りのキャラを育てて、バトルで活躍できたらやっぱりうれしいですから。
佐々木:バトル面でいうと、これまでは属性重視のパーティが活躍する環境でしたが、これからはシリーズでパーティを組んだときの強みも押し出そうと思っています。シリーズリミットチェインや“記憶の神器”は、その一端ですね。
――他にプレイヤーさんからの意見・要望で検討していることはありますか?
佐々木:4年も運営を続けているとどうしても中身が複雑になってきていて、それがプレイヤーさんのとっつきにくさにつながっていると認識しています。“入口はシンプルに、でもやり込めば奥が深い”という作りをあらためて意識して、復帰したプレイヤーや新規のプレイヤーにハードルの高さを感じさせないようにしたいですね。
――最後に、5年目も遊び続けるプレイヤーへメッセージをお願いします。
佐々木:まずは4年間、『FFRK』を支えてくれてありがとうございます。『FFRK』で一番大事にしている“『FF』の記憶の追体験”はこれからも続きますし、それと並行してデシを中心にしたまだ見ぬストーリーも描かれていきます。いうなれば、過去を楽しみつつ未来も楽しむような作品になっているので、これからの展開にもご期待ください!
間:『FF』のいろいろな作品を『FFRK』の中に収録して、ファンの方々が楽しめるものを提供できている。この事実が僕にとって何よりうれしいし、そうやって4年もサービスを続けられたことが本当に光栄です。人によって“『FF』らしさ”って異なるし正解はないと思いますが、今後も僕らが全力で考えた“『FF』らしさ”をお届けできればと思います。
――来年は50連装備召喚ですかね(笑)。
佐々木:5周年のときは、まあ、そうなるの……かな?(笑) それはともかく、来年もこうやって『FFRK』の未来の話がしたいですね!
撮影:石津 大助
※予定は予告なく変更される場合があります。
※画像は開発中のものです。
(C)SQUARE ENIX CO., LTD. (C)DeNA Co., Ltd.
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