2018年9月17日(月)

木村拓哉氏主演の『JUDGE EYES』を紐解く名越総合監督&細川Pインタビュー!【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 “木村拓哉 in PS4”という衝撃的なキャッチコピーを掲げ、9月10日に開催された“PlayStation LineUp Tour”で電撃発表され、さらに完成披露発表会も行われた12月13日発売のセガゲームスの『JUDGE EYES:死神の遺言』。木村拓哉氏をはじめ、実力派の俳優陣たちが参加することが明かされ、ゲームファンのみならず、あらゆる層から注目を集めた。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

 そんな本作を制作するのは、『龍が如く』シリーズでおなじみの“龍が如くスタジオ”。名越稔洋総合監督が率いるクリエイター集団が、長年のシリーズ制作で培った経験、資産を生かして次に挑むのは、リーガルサスペンスアクションと呼ばれるジャンルとなる。はたして彼らが挑む新境地とは? 新プロジェクト始動の経緯や本作が目指すべきところを、セガゲームス取締役CPOであり総合監督でもある名越稔洋氏と、プロデューサーの細川一毅氏へのインタビューから探ろう。

『龍が如くスタジオ』
『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲名越稔洋総合監督(左)と細川一毅プロデューサー(右)

キャンスティング先行ではない新たなトライ

――まずは『JUDGE EYES:死神の遺言』の企画がいつ頃からスタートしたのか、そしてどのような経緯で生まれたものなのかをお聞かせください。

名越:もともとの原案は3~4年くらい前にありましたが、それは僕のなかだけの話でした。当初はゲームとはまったく関係ないオファー用のもので、そのなかでチラッと考えていたアイデアでしたが、残念ながら実らなかったので、引き出しのなかに収めていたんです。現場では『龍が如く6 命の詩。』や『龍が如く 極』などを作り続けていたこともあり、日の目を見ることはないだろうなと思っていました。

 ですがその後、社内的に『龍が如く』チームを2つに分ける必要があるタイミングがありまして。1つのチームでずっとやってきてスタッフも成熟してきたし、チームを2つに分けてノウハウを分散させて、ペースを落とさないままいろいろなトライをしたいなと。

 とはいえ「『龍が如く』を軸とした作品では完全に新しいトライにはならないので、新しい柱を立てたいよね」となり、その際に個人的に気に入っていた、引き出しの中の原案を取り出してみようかなと考えたのが、企画が立ち上がったきっかけです。

――そこから制作が大きく動いたのは、やはり主演が木村拓哉さんに決まったタイミングでしょうか?

名越:いえ、もっと前ですね。ネタ的におもしろいからゲームにしようと決まって、細川をプロデューサーに立て、ゲームの制作自体は先にどんどん進めていたんです。『龍が如く』と同じくアクションアドベンチャーでありながら、調べて、考えて、いわゆる“ゲームをする”部分でアドベンチャー色を濃く感じる作品の開発を進めていました。じつはその段階での主人公はオリジナルだったんです。木村さんとの出会いはそのあとですね。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲木村拓哉氏演じる主人公・八神隆之。

八神隆之 プロフィール

 神室町で青春時代を過ごし、現在もそこで探偵事務所を営む元弁護士の探偵。法律家としての経験と神室町で鍛えられた喧嘩の腕で、どんな依頼も受ける“何でも屋”のような存在として、街の人々に重宝されている。

細川:企画案の段階における“ここを大事にして作っていくんだ”というゲームとしての立て付けは、最初の時点から完成に至るまでほぼ変わっていません。これまで『龍が如く』シリーズを手に取っていただけなかったお客様に遊んでいただくためにはどうすればいいか? “龍が如くスタジオ”の経験値や資産といった強みがどこにあるか? それらを何度も検討した上で開発をスタートしたので、途中で方向性が変わることはありませんでした。

――そうなると、木村さんにオファーを出す段階で、リーガルサスペンスアクションというジャンル名が表す内容が、ほぼ固まっていたということでしょうか?

名越:決まっていましたね。

――裏社会を描いていた『龍が如く』シリーズとは異なるプレイヤー層向けであり、主人公が裏社会の人間でなく元弁護士の探偵であることも、最初から構想にあったのでしょうか?

名越:そうですね。『龍が如く』というタイトルで期待されることや、主人公の桐生一馬に期待されることに応えることはうれしいことですが、“縛り”でもあるんです。やはりそこから脱皮していきたかったというのは、“龍が如くスタジオ”として持ち続けていた想いでもあります。作り手としては悶々としたものがたまっていくので、前向きに発散できるタイミングを計っていました。その時点でもう『龍が如く』シリーズも10年を超えていましたから。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――本作は『龍が如く6』でも使われたドラゴンエンジンを採用していますが、改良されている部分はあるのでしょうか?

名越:エンジンを技術的に精密にしていくことよりも、原案に合わせた目標があり、それに合わせてエンジンを改良したというべきでしょうか。「ドラゴンエンジンはこう進化するもの」と決まっているわけでなく、リーガルサスペンスというジャンルに合わせるならばと、細川が進化させてくれました。本作ならではの色味や表現、シーンの印象の調整などは、彼の貢献が大きかったと思います。

細川:僕はデザイナー出身なので、描画周りに興味が集中しがちなのですが、実際はコリジョン(当たり判定)の判定や、物理演算、プレイヤー制御など、ドラゴンエンジンが全体的に大きく高速化しています。それはなぜかと言えば、『龍が如く』シリーズでは求められなかった調査アクションなどのあらたなゲーム要素を動かすためには、どうしても基礎部分となるドラゴンエンジンの高速化と言う進化が必要だったからです。その意味ではドラゴンエンジンの順調な進化が『JUDGE EYES』を支えてくれています。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――『龍が如く6』と描画の部分での違いはあるのでしょうか?

細川:もちろん、描画部分に関しても『JUDGE EYES』ならではのアプローチを行っています。以前のわたしは、「こういう絵を作りたい」という結果が先にあり、「そのために、どう作っていけばいいのか?」を考えるという順番で絵作りを行っていました。しかし、『龍が如く6』において、ドラゴンエンジンを使用した描画にステップアップした際、「現実世界に起こっている物理法則をなるべく正確に描こう。そうすれば写実的になっていくはずだ」というコンセプトへと変化を遂げました。

 それにより、飛躍的にリアルなグラフィックを手にすることができましたが、『JUDGE EYES』はそのコンセプトを継承しつつ、もう一度「こんな映像を見せたい。ならばどんな風に作ったらいいのか」というアプローチを織り交ぜて表現していく形を復活させています。

――今回は陰影のある、色調の深い映像が印象的ですが、それに合わせてエンジンも進化させていったという形でしょうか?

細川:リーガルサスペンスと決まったときに、映像を見ただけで言葉を使わずに雰囲気を伝えるには、どんな風にしていくべきなのかを、まずは名越と綿密に打ち合わせしました。そして“『JUDGE EYES』で求める映像”に近づけるために、ライティングやカラーグレーディングなどにどのような機能が必要かを、デザイナーやプログラマーと相談してエンジン部分に機能を追加していきました。映像ができてからは名越と確認しながら何度も調整を行い、最終的な映像に仕上げていった感じです。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――発表から発売まで約3カ月というスピード展開になりますが、こちらはどのような狙いがあってのことでしょうか。

名越:年末の発売に合わせてというのが1つの理由です。ストレートに言えば、今の時代は情報が過多なので、「これを発売するよ」というインパクトを与えてから発売までのプロモーション時間を、あまり長くかけたくありませんでした。

 これまでの時代は、認知してもらう時間をタップリとってから発売していましたが、今は認知してもらう合間にも、どんどんいろいろなものが出てくる時代です。一人でも多くの人に楽しんでもらいたいというゴールがある以上、今までと同じスパンでプロモーションをやっていくのは、ちょっと得ではないかなという結論です。

――たしかに情報が伝わるのは早くなりましたが、その記憶が薄れてしまうのも早くなってきた印象です。

名越:プロモーションの時間を取り、継続的にCMを打つなどいろいろと活動すればコストがかかりますよね。そこにコストをかけるならば、中身を作るお金にするべきだと思うんです。今回は実質3カ月ですが、3カ月もあればプロモーションも十分なのではと考えました。我々としてはやったことがないので、トライといえばトライですね。

――となると、ゲームとしてはほぼ完成した状態でしょうか?

細川:そうですね。今は作業的にデバッグを残すのみです。

――発表の段階で完成しているのは、この規模の大作ではあまり聞いたことがありませんね(笑)。

細川:“龍が如くスタジオ”としては初めてですね(笑)。

ダメ元で決まった奇跡の配役

――“木村拓哉 in PS4”という言葉のインパクトが絶大な本作ですが、主役の八神隆之役を木村さんに決めた経緯をお聞かせください。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

名越:先ほども話しましたが、企画の段階では主人公の八神はオリジナルのキャラクターでした。僕はオリジナルでもいいと思っていましたが、どちらかといえば細川のほうが、実名の人をキャスティングしてみたいという意見でした。

 それにはいくつかの理由があり、まずは作品をキャッチーにしたいというマーケティング面での狙いがあります。また、ドラゴンエンジンを採用した『龍が如く6』では、CGの画像を見ただけで「あ、これは俳優の○○だ」と瞬時にわかるようになりました。このようにリアルな表現ができるようになったので、著名な人を主人公に起用しても問題はないだろうし、結果的にはいいほうへと向いてくれるのではというのは期待もありました。

――たしかに『龍が如く6』では、ビートたけしさんの出演がとても話題になりました。

名越:でも本作では、僕はどちらかといえば疑問もありました。「主人公は○○です!」となって、その人に依存して作品を預けるとなると、結局は自分が主人公を操作するゲームとしては、その結果とは、はたしてどうなんだろうと。ですから、やる・やらないと検討を繰り返していたんです。そんななかで『JUDGE EYES』とはまったく別件で「木村拓哉という人物に会ってみない?」と声をかけていただく機会がありました。

 その方は僕のことを多少なりとも知ってくれていたので、「たぶん気が合うよ」と言ってくれまして。僕も最初は「TVのなかでしか見たことがないけど、本当にリアルに存在するんだろうか? 会えるだけでもいいかなぁ」という考えでお会いしたんです(笑)。そうしたら、「やっぱり木村拓哉、かっこいいな!」と(笑)。でも真面目でこだわりも強い人だろうと予想していたんですが、それ以上にバランス感覚の良い部分に魅かれました。

 もちろんこだわりの強い人が好きな僕としては、たしかに話もすごく合いました。そこでふと「ダメ元でオファーを出したら、どうなるんだろう?」と考えるようになりました。もちろん前述の葛藤もありましたからね。悩みました。でも、もし主人公をキャスティングするならアイコンとなる人はメジャーであるべきかなと。

 メジャーだからこそゲームに登場したときの期待に沿う部分と、あえて裏切る部分の差分を意識した演出も伝わりやすいはず。そうであるなら彼以上のアイコンはないだろうと思い、それまでの考えを変えたんです。そして思い切って脚本を渡してみたら、「やりたい」という返事があっさり来まして。正直、ビックリでした(笑)。

 ビートたけしさんのケースと同じですね。「出てくれるはずがないよね……」という方が出演してくださったという面で(笑)。これに関しては『龍が如く』をずっと積み重ねて認知度が増したことで、話をしやすい土台を自分たちで作ってこられたことが、快諾してもらえた理由の1つだと思います。

――主演ということで収録量も多く、演技の方向性をはじめ、いろいろほかのケースとは比べ物にならない大変さだったと思いますが……。

名越:そうですね。シリーズ作品にもよりますが、桐生よりもセリフ数は多いですね。

細川:収録量は多かったですね。

名越:決して桐生のセリフが少ないわけではないのですが、本作はリーガルサスペンスということで、堅くて長い法律用語が多いんです。そのため結果的に桐生の収録量を上回ったという面もあります。実際木村さんにはかなり負担をかけてしまいましたね。

――体験版をプレイして木村さんが八神として話しているのを見ると、木村さんらしさがしっかりありつつも、八神というキャラクターも確立している感じでした。もともと八神はああいったキャラクターだったのでしょうか? それとも木村さんに合わせて調整をされたのでしょうか?

名越:木村さんに決まってから書き直したのは、セリフの語尾や単語、言い回しくらいです。映像のアーカイブが膨大にある方ですから、書き直しやすかったですよ。

細川:どんなことが好きで、どんなことに対して怒るか、というような八神のパーソナリティは、木村さんに決まる前からずっと変わっていません。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――木村さんの収録現場はいかがでしたか?

名越:正直に言うと、最初は不安もありました。ボリュームがあるし、法律用語も多いので、セリフを読んだときにどうなるかなと。ですが、収録を始めて台本を読んでいただいたとき「あ、しっかり読み込んできてる」と、瞬時に感じました。演技はやはりうまかったですよ。もちろんNGが出ないわけではないですが、僕が想定していたNG数よりは、はるかに少なかったです。それは僕が木村さんに忖度したわけではなく、純粋にそういう結果になったので。

 ちなみに収録は1章から始めたのですが、収録が進むにつれてだんだんキャラクターが自分のものになって、中盤以降のほうがよりしっくりした演技になるんです。だから、前半も悪くはないものの、だんだんと欲が出てくるんですよね。なので前半部分の大幅な取り直しを提案したんです。が、それも快く応じてくれました。めちゃくちゃ協力的でしたね。本当にありがたかったです。

 あとは、木村さん自身が強い意思表示を持って「この作品をやるんだ」と明言してくれたことで、周囲の理解や協力もすごくスムーズに進みましたね。もちろんビジネスサイドのサポートなどもあってのことですが、このプロジェクトをスムーズに完成できたことは、やはり彼の意思表示がすべてだったような気がします。

――そこまで意欲的だったのは、ドラマやバラエティ、アニメといろいろなジャンルに挑戦されてこられたからでしょうか?

名越:単純にやったことがなかったから、ゲームの仕事をやってみたかったからだと思います。木村さんとは今もLINEでやり取りしますが、仕事が終わってスタッフたちと同時にLINEをすると、最初に返事が来るのは木村さんですよ。一番忙しいはずなのに(笑)。根っから義理堅いし、真面目なんですよ。

――収録スケジュール的には順調に進んだ感じでしたか?

名越:やはり主人公ということで、収録量についてはかなりのボリュームになりました。ただ、『龍が如く』では制作と並行しながら収録することが多かったのに対して、『JUDGE EYES』はしっかりシナリオが完成した段階で収録にお招きすることができたので、正確な全体量を把握できる状態からできたのがよかったですね。

 それに木村さんはとても勘がいい方で、すぐに八神のキャラクターを把握して演じて頂けたので、収録量の割には順調に進んだのではないかと思います。自分から録り直しを希望することも多かったですよ。こちらがOKなテイクも、木村さんの要望で録り直すと「ああ、なるほどな」と思わされることが多々ありました。

――収録はメインストーリーだけでなく、いわゆるサブストーリーにあたる“サイドケース”も含めてですよね?

細川:はい。ただサイドケースもセリフ量が尋常じゃなく多いため、残念ながらフルボイスではありません。

――サイドケースといえばバリエーションが豊富で、なかには“龍が如くスタジオ”らしいコミカルな内容も多いと思いますが、木村さんの反応はいかがでしたか?

名越:寛容でしたよ。事務所の看板でもある方ですから、イメージから大きくはずれるものに対して、監修時にクレームが出るかもしれないという心配もありました。ですが、僕らも作品をおもしろくしたいという想いから、勝手に「これくらいかな」と限界を決めつけず、かなりチャレンジ的なものを提案したんです。『龍が如く』でもそうですが、やれるだけやって怒られたら変えようと。そうしたら意外と怒られなかった(笑)。

 木村さんがけっこうきわどいシナリオに巻き込まれたり、普段ならば演じたことがないような恰好をすることになるなど、結果的にゲームとしておおよその希望通りに実現できました。サイドケースでのそういうはっちゃけた遊びは僕らがすごくしたかったことなので、木村さんと契約できそうだとなったときに、喜んだこと以上にそこが心配でもあったんです。

 普通の方よりも圧倒的に厳しい監修を予感がしていたのですが、我々のほうが過敏でしたね。でも、結果的に全然心配することがなかったのは、うれしかったです。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――そんな木村さんを取り巻くキャラクターも、そうそうたる面々がそろっていますが、それぞれキャスティングされた狙いなどをうかがえますか?

名越:中尾彬さんが演じる源田龍造は、八神が弁護士時代に所属していた弁護士事務所の所長です。八神の両親は亡くなっているので、彼の親代わりでもあり、よき理解者であります。親代わりという意味でいえば、時に優しく、時に厳しく接するので、中尾さんの粘りがあって含蓄のあるしゃべりが合うんですよ。僕は中尾さんの声って、正直ずるいと思うんですよね(笑)。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲中尾彬氏が演じる源田龍造。八神が駆け出しの頃から世話になっている、気骨のある弁護士。神室町で、源田法律事務所を構えている。

 また、法律家としての声にも合うんじゃないかなと。ネチネチと責めようが怒鳴ろうが、言葉に含蓄がありますから。そういう意味でも、木村さん演じる八神という1つの強烈な個性を発散させるためにも、大きな器がある人がどうしても欲しかったんです。親という立場になればきっと優しくするし、なだめたりするし、叱ったりもしますからね。お願いしてよかったと思っています。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――となるとオープニングだけでなく、源田所長は物語で頻繁に登場するのでしょうか?

細川:もちろんです。

名越:谷原章介さんが演じる黒岩満と、滝藤賢一さんが演じる綾部和也はどちらも刑事なのですが、横並びに立たせたときに、優秀な警官と小悪党な警官を並べるとおもしろいなと。スマートで二枚目な黒岩と、一見コミカルでだらしなさが似合う綾部とのコントラストはできるかぎり強い方がいいので、今回お2人をキャスティングさせていただきました。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲谷原章介氏が演じる黒岩満。神室署組織犯罪対策課。高い検挙率を誇る、敏腕エリート刑事。八神を目障りな存在だと思っている。
『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲滝藤賢一氏が演じる綾部和也。神室署組織犯罪対策課の刑事。情報の横流しで私腹を肥やす悪人だが、金しだいでは八神とも協力関係に。

 滝藤さんは旬な方でもありますし、谷原さんと声の質も違えば顔も含めて存在感が違いますので、いい並びを作れたのかなと。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――谷原さんが演じる黒岩は、八神と並んでもコントラストがありますね。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

名越:そうですね。タイプの違う二枚目ですし。そして極道である羽村京平役のピエール瀧さんですが、彼は『アウトレイジ』をはじめ、バイオレンスな役や悪徳刑事の役などが多い方ですよね。もともと器用な方でいろいろとこなせる俳優さんですが、どちらかといえば今、ピエールさんが出演してみんなが期待するものといえば“凄味”だと思います。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲ピエール瀧さんが演じる羽村京平。神室町を根城とする、東城会系三次団体松金組若頭。自己中心的で、他人を蹴落とすことに長けた策略家。

 だから、その凄みの期待値がいい段階でオファーをかけさせていただいて、それがまさに役柄として満載になっていると思います。けっこう出演シーンも多いので、十二分に皆さんの期待に応えてもらえてるかなと。羽村は物語上でもキーマンになる人物で、単に怒鳴る、怖い、悪い奴というだけの人物にはしたくありませんでした。そこが表現されているのが見どころでしょうか。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――発表済みのキャラクターは魅力的な男性が集まっていますが、女性の配役が少ない印象です。本作ではヒロイン的なポジションの女性は登場するのでしょうか?

名越:八神をよく知っている女性は何人か出てきますが、今回はヒロインというポジションの女性はいないんですよ。例えば映画ならばマーケティングをして、配給会社的に取り込みたい層に響くキャスティングを無理してでもすることが多いですよね。舞台挨拶のカラーリングから「どうしてもここにはこの人を入れておこう」みたいな。僕にもその意識はなくはないのですが、今回はシナリオが元々そうではありませんでした。

――恋愛要素が絡むシナリオではなかったと?

名越:まったくなかったですね。それを後付けで盛り込むと、話がブレやすいと思いまして。入れることもできたのですが……、無理はやめました。ヒロインの有無と面白さは関係ないでしょ?(笑)。

細川:女性をキャスティングするかしないかは、ちょっと揉めはしました。でも、結果的にはヒロインであったり、マーケティングを意識しての女性をあえてキャスティングしなかったのは、正解だったと思います。

名越:俳優のキャスティングではない場合、自由にキャラクターのイメージが作れるので、そちらのよさで勝負しましたね。

――『龍が如く』におけるキャバクラ的なコンテンツはあるのでしょうか?

名越:今回キャバクラはありません。『JUDGE EYES』は土台として神室町での新たな遊びがゲームとして膨らんでいるので、『龍が如く』的なプレイスポット全部を引き継ぐ必要はないかなと。抜本的なキャバクラのリニューアルがあれば別ですけど、今作のポイントとは違いますし。女性関係のイベントでいえば、ガールフレンドイベントというものがありますよ。

神室町だからこそできる新しい体験

――シナリオ制作には3年の月日がかけられたとのことですが、どのようなスタッフ陣で、どのような点をコンセプトにシナリオを練られたのでしょうか?

名越:まず“龍が如くスタジオ”のチームを2つに分けるにあたり、会社的なセクションとして、横山(昌義氏)と細川がそれぞれ副部長として組織管理の長になりました。そこから下に誰が付くのかはケースバイケースでした。まあ2つに分かれてももともとは1つなので、結局は助け合う形にはなりますが(笑)。

 僕としては横山をはじめ、彼の下に付くメンバーたちはパンチがあり、勢いのあるシナリオが得意だと思っています。そういう意味でも『龍が如く』シリーズが合うのかなと。今回の『JUDGE EYES』は『龍が如く』とは違うものにしたかったし、法律監修などもけっこう厳しかったんですね。それで、緻密なドラマ作りという意味でも、『龍が如く0 誓いの場所』の脚本を担当した古田(剛志氏)がどうしても必要で、そうなると自然と『龍が如く0』のチームが集まっていった感じですね。

 『龍が如く0』も『龍が如く』シリーズの1作ですが、数少ない恋愛要素があり、切った張ったの任侠物というよりは、男女の人間ドラマが強かった作品で、『龍が如く』のなかでは突出して異質な物だったと思うんですよ。それもあって海外も含めて、シナリオの評価がバツグンに高かったんです。『JUDGE EYES』はその勢いを借りたかったというのもありますし、結果的にいい選択ができたと思っています。

――そのシナリオの中で、舞台を『龍が如く』と共通の神室町に決めた理由は何でしょうか?

名越:もちろん違う選択もなくはありませんが、繁華街、都市部を舞台にしている以上は、神室町という素材を捨てる必要は感じませんでした。もちろん場所が同じならゲームも同じになるのでは?という疑問も出るでしょうが、そもそも『JUDGE EYES』ゲームそのものが違う形になるという自信もありました。むしろ同じ神室町でも、何らゲームプレイとしては新鮮味を損なう形にはならず、より深いゲーム体験を提供できると信じていました。

細川:神室町を舞台にしない場合、物語に重みをもたせるためには、架空ではない実在の街を再現しなければ意味はないと思っていました。その点、神室町は龍シリーズを通してずっと育ててきた街で、ゲームの舞台として機能性や、ドラマに必要な雰囲気を醸し出すための方法を我々は熟知しています。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

 さらに、神室町は『龍が如く』シリーズのなかで、多くのユーザーに馴染みがある形で、実在の街に近い情報量や存在感を持っていますし、街としての機能も練り込んできているので完成度も高い。ならば『JUDGE EYES』の世界観を『龍が如く』と共通させれば無理もなくなるし、神室町という街がうまく機能するのではと考えて舞台に選びました。

――たしかに主人公が変われば、街にある施設へのアプローチも変わりますよね。

名越:施設というよりも、まずアドベンチャーの内容が違います。桐生は尾行や調査をしませんからね(笑)。桐生の場合はどこかのビルのオフィスに何かがあって、目的地まで向かったら○ボタンを押すだけでした。それ以上でも以下でもなかったものが、『JUDGE EYES』では画面のカメラを動かして見回し、そこで調べて得た情報が何であるかを考えて次に応用して……となります。

 『龍が如く』でもカメラで写真を撮影できましたが、撮れてうれしいという以上のものはとくにありませんでしたから(笑)。今回は証拠として成立するかどうかをAIがちゃんと判定してくれますし、ゲームプレイとしてはまったく別物と言えますね。その土台となる街は、ゼロから作るよりもすでにある神室町を使い、むしろ神室町での新たな遊びを作ることにコストをかけるほうがいいと考えたんです。

 ただ、『JUDGE EYES』がもし成功して、次は違う場所で探偵体験がしたいという声が多くなれば、そのときはまた更に考える必要があるでしょう。

――劇中の時間軸が2018年12月10日と、発売日の12月13日とほぼリンクしていますが、『龍が如く』シリーズと同様、その同時代性にはこだわりがあるのでしょうか?

名越:そうと言えばそうなるのかな?(笑)

細川:じつは「なんとなくそれぐらいにしておこうか」という感じでした(笑)。『龍が如く』シリーズは1年に1回、年度末や年始に発売してきたのでスタッフたちもその開発感覚に馴染んでいたのですが、本作は長丁場で取り組んでいただけに、当初は発売日がいつとは決まっていなかったんですよ。ですから、発売時期が夏であろうと冬であろうと、2018年の冬に時間軸を設定しようとなりました。結果的に発売日がドンピシャで合いましたが(笑)。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

元弁護士が華麗に戦えるのにはワケがある

――ゲーム中はキャラクター育成の要素もあるとのことですが、どういったものが用意されていますか?

細川:街の住人の依頼を受けて事件を解決すると、Spというポイントがまとまって手に入ります。それ以外にもご飯をたべたり、プレイスポットで遊んだりしてもSpが手に入ります。Spはバトルを始めとした調査アクションのスキル向上に使用します。例えばピッキングを解くうえで、ちょうどいい箇所をコントローラの振動で知らせてくれるような能力など、調査アクションを開花させていくのに重要な要素となります。

――『龍が如く』はバトルに比重を置いた形でしたが、今回はバトルと同じくらい調査アクションにも比重があると?

細川:そうなりますね。ただ、どうしてもバトルはアクション性が強く、プレイヤー自身の腕も要求されることも多いですから、そこをサポートするためにも成長要素としてはバトルにかかわる能力が多めに用意されています。

名越:やはりバトル能力から強くしたいのが心情じゃないですかね。弱いと死んじゃいますから(笑)。

――バトルは壁を蹴って三角飛びができるなど、『龍が如く』よりもアクロバティックな印象を受けました。

名越:バトルのディレクションは比較的若いスタッフが担当しています。そのうえで今回は“『龍が如く』ではないタイトルを付けても問題ないバトル”を、1つの目標にしていました。担当スタッフもスピード感やアクションのテイストについて「桐生はやらないであろう、桐生には似合わないバトルにしよう」と考えたと思います。

 結果的に爽快感があってテンポよく遊べるものになりました。あとは八神を演じるのが木村さんなので、シャープな動きのイメージで、テンポ感もマッチさせなくてはいけないという課題もあります。動かすのは『龍が如く』の桐生ではなく、八神であり木村拓哉であるわけです。今回のバトルはそこをマッチさせるところから考えた1つの結論ですね。

 もちろん、一撃必殺的な技もバトルアクションにはなくてはならないものです。そこは豪快さをベースに、シャープでテンポのいい遊びを用意しています。とはいえ、八神は極道ではないですし、ケンカ大好きで戦ってばかりいるゲームともまたちょっと違いますから(笑)。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

――体験版のプレイの範囲では、中国拳法がベースらしい動きをするのが印象的でした。

名越:あれは八神がカンフー好きで、自己流で学んだという設定がありまして。そうでないと、どんどんエスカレーションしてしまいますから。桐生の場合はどんどんエスカレーションしても楽しいのですが、探偵があまりに化け物的に強いのもね(笑)。でも華麗さでの成長要素はありますから。

――たしかに桐生のような理由のいらない強さは、八神の場合不自然ですよね。

細川:「元弁護士の探偵がなぜこんな豪快な技を!?」となるところは、腑に落ちるエピソードが後々語られていきますので、楽しみにしておいてください。

――“調査アクション”では、ドローンを使う、ピッキングで解錠するなど探偵らしい要素がいろいろあり、『龍が如く』にはないシチュエーションも多いですね。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲調査アクションの1つ、ピッキングでの解錠。

細川:それ以外にも、変装することで受付の目を欺いて建物に潜入したり、重要な情報を持つ人物に対し聞き込みをおこなったりもします。聞き込みは選択肢会話になりますが、最適な選択肢を選ぶとボーナスでSpをもらえることもあります。また、スクープミッションでは、いかにターゲットにバレずに近づき、いかにいいタイミングでカメラのシャッターを切るかで、評価の判定が変わってくるといったものもあります。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
▲調査アクションの1つ、尾行からの盗撮。

――それらはサイドケースの浮気調査などで登場するのでしょうか?

細川:そうですね。探偵と言えば浮気調査が定番ですね(笑)。

名越:そこの多様性がサイドケースの魅力です。とんでもないシナリオが山ほどあるんですよ。単なる浮気調査ではなく「どういうことだ!?」という場面からスタートします。まあ、意味のわからない事件は世の中にもいろいろありますよね(笑)。そこをぜひ楽しんでください。

――サイドケースはストーリーとしての楽しみもあり、調査アクションのバリエーションも楽しめるのが魅力なんですね。

名越:調査アクションはメインストーリーでもサイドケースでも使いますが、どれを応用してどこで使うのか、いろいろなものがあります。

主題歌に[ALEXANDROS]を選んだ理由

――主題歌と挿入歌を[ALEXANDROS]さんに依頼された経緯を教えてください。

[ALEXANDROS]

名越:『龍が如く』では今までもいろいろな方に楽曲をお願いしてきました。基本はパンチがあるロックで、今回もそこから引き継いでいる部分がありますが、『JUDGE EYES』ではできればテイストとタッチを少し変えたいと考えていました。今のトレンドでいえば、ハイトーンのボイスのバンドが多いですが、該当するならば誰でもいいというわけでもありません。ひととおり曲を聞いて候補を絞り、[ALEXANDROS]というバンドに注目しました。

 これは僕なりの意見ですけど、アーカイブスを聴いても彼らはすごく若いバンドのわりに、これまでいろいろなクライアントとメジャーな仕事をこなしてきているんです。そこに、彼らの多様性をすごく感じました。彼ら自身も事務所も、自分たちの音楽をどう追及するのかと同じくらい、クライアントの依頼にマッチさせる音楽を提案する仕事に対して強い興味を持っていたんです。それでまず連絡してみると「興味あります」とお返事をいただけまして。その後ミーティングもやり、あらためて彼らから「受けたい」というお話をいただいて、うまく決まった流れです。

――名越さん側から「このコンセプトで曲を作ってほしい」と、[ALEXANDROS]さんにオファーをされたのですね。

名越:そうですね。今回は完全に白紙からのスタートでした。以前、湘南乃風さんと何回かお仕事をさせていただいていますが、彼らは少し曲ができたらすぐに送ってくるんです。そして「どうよ?」と(笑)。けっこうワイルドなルックスなので、わりと勢いで作曲してヨッシャー! というイメージがあるかもしれませんが、すごく細かくて丁寧なんです。それはテクニックがあり、こちらの要望に対していかようにも対処できる自信があるからで、クライアントをうならせてみせる! という自信の表れなんですね。

 [ALEXANDROS]さんは音楽性こそ湘南乃風さんと違いますが、アプローチは似ていましたね。私からコンセプトと大まかな方針を伝えたら基本的にはお任せしていました。ある日、ほとんど文句の無い出来の楽曲が届いたのですが「気になれば何でも言ってください」とていねいな姿勢も見せてくれました。

 でも、それってやはりゲームにマッチさせたいからこそなんですよね。神経質に仕事をしてくれることが、たぶん若くしてナショナルクライアントがたくさんいるという結果につながっていると思います。「僕らはこういう音楽性で、こういうことをやりたいバンドなので、気に入ってもらえる人にだけに受け入れられればいいや」というスタイルのバンドではないんだと感じます。

 自分たちのスキルが喜ばれ、最大化されるためにはどうすればいいか、というのを常々考えていて、人の意見を重んじてくれました。真面目ですよね。結果的な話ですが、木村拓哉さんもそうですし、[ALEXANDROS]のメンバーもそうですし、いい意味で神経質なメンバーがそろった作品になったと思います。

――細かいところに気配りしつつ、さらに自分なりのこだわりのある方々なんですね。

名越:はい。そういうバランス感覚に長けている人たちだと痛感します。

“発表と同時に先行体験版を配信”というチャレンジ

――先行体験版を発表からあまり時間をおかずに配信する試みにも驚きました。

名越:遊んでもらわないと、『龍が如く』とどう違うのかがわかってもらえないと思ったんです。先行体験版を遊べば『龍が如く』との違いも理解でき、またそれ以降の物語が気になって、ぜひ手に取りたいと思う人を増やせる自信が、細川にはあったと思います。

 あと、僕らが作品発表会後のインタビューで必ず聞かれるのが「体験版はいつ?」という質問で、「未定です」と返すのがほとんどでしたが、今回その会話がないのは非常にうれしいなと(笑)。

細川:「こんなのを作っていたんだ」「え、もう体験版が遊べるの!?」とできるのは、今回だけのサプライズだと思います。また9月10日の発表後に「すぐダウンロードして遊べますよ!」という仕掛けも試したかったんです。私どもにとってはこれまでにない試みなので、皆さんからどのような反応が返ってくるか楽しみです。

 新規タイトルの場合は、関心を持っていただいたピーク時のユーザーの気持ちを、実際にプレイするまでつなげられるかどうかがすごく難しいと考えています。だから、最初に情報をお届けして、一番インパクトを感じてもらっている時期にすぐに遊べる環境を用意できれば、最も多くの人に体験版を触っていただけるのではないかと。

――たしかに今は新作が気になったらまず動画を見て、先行体験版を触ってというユーザーさんが多いです。とにかく記憶が薄れていくスピードが速くなっていると感じます。

細川:そうですね。情報が溢れかえっている世の中なので、関心が持続しづらいというか、興味の鮮度が薄れてしまやすい。我々にとっては、ユーザーの皆様に遊んでいただく機会を失ってしまうことになってしまいます。

名越:先行体験版を配信すれば、その期間に予約も開始できますし。

細川:それもあり、今回はかなり前から発表の時期での先行体験版配信を計画していました。

――東京ゲームショウでの試遊台は先行体験版と違う内容でしょうか?

細川:基本は先行体験版をベースに、『龍が如く』シリーズでは遊べなかったミニゲームを2種類ほど増やしています。ストーリーモードと合わせて、3つのモードからお好きなモードを遊んでいただけたらと思っています。

『JUDGE EYES:死神の遺言』
『JUDGE EYES:死神の遺言』

名越:物語やゲームモードに関しては、さらにもう一段深く理解していただける映像の公開もあります。

――『龍が如く』シリーズはアジア圏をはじめとした海外展開を積極的に行っていますが、本作もそのあたりは重視されているポイントでしょうか?

細川:はい。『JUDGE EYES:死神の遺言』においてもそれは同様です。繁体字版とハングル版は日本と同時発売します。また北米、ヨーロッパでは2019年のリリース予定です。

――最後に、本作は木村拓哉さんのファンであったり、『龍が如く』シリーズのファンであったり、探偵ものが好きであったりと、いろいろな層が興味を持つ可能性があるタイトルになると思います。そのなかでもとくにゲームファンに対し、どんな部分に期待してほしいか、最後にひと言ずつお願いします。

名越:僕は頭を使うアドベンチャーゲームをおもしろいと思っていますが、今は時短という言い方に代表されるように、ゲームを遊ぶためのスキルや経験値を、お金で買う時代にもなってきています。ですが、お金で何かを買うのはなく、純粋に頭と時間を使うゲームは本来楽しいと思うんです。とはいえ、我々も今の時代に逆行はさせたくはないので、ヒントの助け舟を出すとしても、今の時代にあった助け舟を出すような手段を試行錯誤しています。

 『龍が如く』と同じく、エンディングまで見てもらえる流れを作ることを大事にしながら、しっかり考えて解けたときに味わえるスッキリ感という、ゲームとしてのおもしろさも大事にしました。バトルに強くてドラマとしても明快なスッキリ感が味わえる『龍が如く』とは違う、考え抜いてエンディングにたどり着けたスッキリ感が『JUDGE EYES』にはあります。こんなスッキリ感も、それはそれでいいのではないかと。

――シリーズ作品はどうしても前作からつながる設定と、今後につながる事象がありますが、本作は完全新規のオリジナルストーリーなので、そこも考えずに楽しめますよね。

名越:そうですね。もうまっさらですから。ここから入る人しかいませんし。遠慮なく体験版を遊んでいただいて、続きが気になってもらえることを願っています。

――プレイをして「おもしろかった!」となれば、きっと「もっと八神の活躍の続きが見たい!」という声が出てくると思います。

名越:ぜひそうなってほしいですね。

『JUDGE EYES:死神の遺言』

細川:僕はサスペンスの小説も映画もドラマも大好きなので、リーガルサスペンスを手掛けることができたということが、純粋にうれしいです。しかも、自分がプレイする側になったことを想像したときに、それこそ何十時間もかけてエンディングまで遊んだ後に「やってよかったな」と思える作品を、自信を持って作ることができました。

 アクションアドベンチャーファンもそうですし、サスペンスというジャンルが好きな方、そして従来の『龍が如く』を支持してくださっている方、すべての方に対して満足していただけると思っています。もちろん「細川はああは言っているけど、実際どうなんだ?」という観点で遊んでいただいてもかまいません(笑)。ぜひよろしくお願いします。

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