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2018年9月18日(火)

『World of Warships』潜水艦&新たにデザインされた航空母艦の使い心地は? 体験プレイの感想をお届け

文:田中尚道

 9月17日に開催されたPC用ゲーム『World of Warships』の新コンテンツ発表&体験会で、潜水艦やリデザインされた航空母艦が公開。プレイした感想等をお届けしていきます。

『World of Warships』

 使い方次第では戦局を変えるどころか、勝敗を決してしまうほどの力を持つ航空母艦クラス。強力な反面、習熟するのが容易ではなく新規ユーザーや初心者に敬遠されてしまい、ベテランとの差が大きく開いてしまう結果となっていました。

 それがゲームバランスを崩すという悪循環に陥ったため、バランスを再考した結果、まったく新しくなって再実装されることになりました。

 以下で、9月17日に行われた体験会からわかる違いと、エグゼクティブプロデューサー、アルトゥール・プロチェニック氏のインタビューをお送りします。

 これまで、艦載機を展開させて偵察、艦艇への攻撃、敵航空機への攻撃といったことを行っていた航空母艦ですが、マップ内を自由に動き回れて、かつ強力な攻撃を行うことができるという性能がバランスブレイカーでもありました。

 ただ、上達するには純粋にプレイ時間がものを言い、サービスイン当初より遊んでいるプレイヤーがどうしても強いクラスでもありました。今回、これを改善するべくゲームモードが大幅に変更され、搭載艦載機は1個中隊のみ発艦する形となり、プレイヤーはこれを操作、母艦はオートで目的地まで進むという、よりアクション寄りの改定が行われています。

 また、これまで、攻撃機・雷撃機・戦闘機の3種の艦載機を操作できましたが、リデザイン後は雷撃機・攻撃機・爆撃機の3機種のみ操作でき、戦闘機は艦隊防空の一環として自動操縦になりました。なお、操作できる航空機の違いは以下の通りです。

・雷撃機

 魚雷を抱えた航空機。艦船に対して一番高い攻撃力を持ちますが、回避行動をとられやすいという弱点も持ちます。

『World of Warships』

・爆撃機

 航空爆弾を装備した航空機。喫水下を攻撃する魚雷に対して、艦船の上面を攻撃します。甲板上に火災を起こしたり、敵艦のバイタルパートを貫通したりと比較的艦砲と似た性質を持っています。

・攻撃機

 HEロケットを搭載し、ダメージは少ないものの、即応性に富んだ攻撃を行います。弾速が速く、広範囲に攻撃を行うため、足の速い駆逐艦や、瀕死の艦艇のとどめに使うと効果的です。

『World of Warships』

 これらの航空中隊は、一度に攻撃できる機数に制限があり、1個小隊3機までが1回の攻撃に参加できます。これにより、大火力を一気に集中させて敵艦を撃沈するという戦法が実質的に使えなくなっています。

 また、操作できる航空機が1個中隊のみなので、マップの四方に中隊を展開させ索敵を行うこともできません。空母1艦で無双するというより、より僚艦との連携が重要になったわけです。

 航空機の操作はこれまでとさほど変わっていませんが、カメラが航空機に寄りアクションゲームのような体裁になりました。これらの変更は確定ではなく、実装後ユーザーの反応を見て以降変更するかを決めるとのことです。

 ユーザーの評価が高ければ、早ければ年内にさまざまなアップグレードを伴って実装される予定です。また、旧来の航空母艦のほうがよかったというユーザーには、何らかの補填も行われるとのことです。

ハロウィンでは潜水艦のプレイが可能に!

 続いて、毎年恒例のハロウィンイベントの告知も行われました。今年はなんと、潜水艦でのプレイになります。

 これまで何度質問しても、潜水艦の実装に関しては、否定的な意見が出ておりましたが、実はコンセプトとしては開発当初から存在し、1年前から開発していたのだとか。

 ハロウィンイベントは仮想シナリオをプレイするため、潜水艦はスチームパンクなデザインのオリジナル艦になりますが、こちらもユーザー評価が高ければ2019年には新クラスとして実装予定だとか。ちなみに最初に実装されるツリーは(※実装が決まれば)日米独になるとのことです。

 潜水艦は、普段は水上艦同様に水面を航行しますが、状況に応じて潜水ができます。攻撃できる深度は潜望鏡深度までで、それ以上に潜水すると攻撃を行うことができません。

 ただし、深深度に潜航することで、爆雷以外の攻撃を受けないメリットもあります。各潜水艦には酸素ゲージがあり、潜水中や、潜水中の魚雷発射により酸素が消費され、0になると緊急浮上してしまいます。また、潜望鏡深度であっても、魚雷発射に必要な酸素がなければ攻撃することができません。

 魚雷発射管は艦首と艦尾にあり、艦の前方または後方を攻撃することができます。魚雷の射界は浮上時に広く、潜航時に狭くなります。癖の強いクラスですが、被発見距離がおおよそ5kmと短いこと、敵が有効な攻撃手段を持たなければ潜航時に攻撃を受けないといったメリットがあります。

『World of Warships』 『World of Warships』
『World of Warships』 『World of Warships』
『World of Warships』
▲体験会で目にすることができた潜水艦たちです。各潜水艦には特性があり、速度が速い、耐久力が高いなど差別化が図られた5隻から選択します。
『World of Warships』
▲攻撃できない深深度まで潜航した状態。爆雷以外では攻撃を受けることもありません。また艦船の下をくぐることもできます。画面内中央のゲージが深度で、その脇の時間が酸素量です。
『World of Warships』
▲潜望鏡が出ている状態。一応当たり判定はあり、攻撃を受けるとダメージが入る場合も。なお、この状態で艦船にぶつかると一撃で自沈します。
『World of Warships』
▲この状態では水上艦とおなじ扱いに。また魚雷の射角が広くなります。

 潜水艦やリデザインされた航空母艦について、エグゼクティブプロデューサー、アルトゥール・プロチェニック氏に伺ったインタビューは下記になります。

『World of Warships』
▲アルトゥール・プロチェニック氏。

新たな航空母艦について

――今回大きく空母のゲームデザインを変えられましたが、満足度はいかほどでしょう?

プロチェニック氏:おおむね満足しています。ただゲームとしてまだ“深さ”が足りていないと考えています。これまでは、深くはありましたが、習熟度がゲームプレイを大きく変えてしまう点が問題でした。今回、深さを除いて新規ユーザーにやさしいシステムにしました。その点はこれから徐々に追加していく予定で、まだ満足していません。

――ゲーム性を変えてしまうと競技としての『WoWS』はどうなってしまうのでしょうか?

プロチェニック氏:競技のとらえ方だと思うのですが、弊社としてはクランバトルも競技だと思っています。そういうものは展開していますし、その他、観覧モードなどの特性も追加しています。ただ、今回のリニューアルはゲーム性の改定であって、今後どう競技を行うかはまだ決まっていません。

――『World of Warplane』も大幅にゲームシステムを変えて日本でβテストを行っていますが、Wargaming.netという会社の方針が新規あるいはライトユーザー向けにシフトしたということでしょうか。

プロチェニック氏:各プロダクトごとに方針が異なっていて、これはあくまで『WoWS』のマーケティングです。操作性こそカジュアルになりましたが、ゲーム性がカジュアル向けになったわけではありません。自分自身がプレイヤーとして進化していなかければなりません。

 競争性が強いゲームであることは昔から変わっていないんですよ。本作の本質が艦種の特性であったり、隠蔽や射程であったりといった知識を蓄積していくことだと思っています。操作が簡単になってもこういった知識の蓄積は必要になるので、全体的には前と変わっていないと思います。知識と経験を重視するシステムは変わっていません。

――今回PC版のシステム変更になるわけですが、『Blitz』のシステムも変わるのでしょうか?

プロチェニック氏:まったくプロダクトが違うのでわかりませんが、おそらくPC版と『Blitz』は異なるシステムになると思います。

――空母が変われば、他の艦種にも影響があると思いますが、何が変わるのでしょう?

プロチェニック氏:航空機との関係性の問題なので、対空砲が変わります。艦長のスキルであったりといった部分です。まだ検討中ですが、現在個別に機体をターゲットしていますが、それが「この辺りを攻撃しろ」といった感じに変えようかと思っています。

潜水艦について

――ハロウィンイベント用の潜水艦はスチームパンクな感じのオリジナルですが、これは社内でデザインされているんでしょうか。

プロチェニック氏:はい、そうです。通常、史実に基づいた兵器のデザインをこまごまとした規定に沿ってデザインしているんですが、たまにはこういう奇抜なデザインで遊べるのが楽しいとベラルーシの開発は言っています(笑)。

――ユーザーの反応が良ければ2019年に実装するとのことですが、実現の可能性はどれくらいあると思いますか?

プロチェニック氏:なにかにつけ、ユーザーは「潜水艦ほしい」と言っているので、聞くだけ無駄な質問かもしれません。ただ、この形で実装されるのかという点はわかりませんね。

――潜望鏡モードのようなものは実装しないのでしょうか?

プロチェニック氏:シフトによる視点の切り替えですか? 実は潜望鏡深度で見えている画面は潜望鏡モードなんです。通常ですとペリスコープの丸の中に見えるんですが、ゲームの特性上、全画面でそれを見せているので、それっぽくないんです。黒い画面に丸が切ってあって、そこに画面が出るイメージがあると思うのですが、それだとゲーム性に問題が……。

――潜水艦は特性的に強い艦種になる可能性があると思うんですが、それに対するハンディキャップはどのようにお考えでしょう?

プロチェニック氏:見える範囲を制限するのはゲームプレイに支障が出るのでそこまではやりませんが、今でも深深度に潜ると何も見えなくなりますので、それくらいはいいのかなと思っています。潜った時に、敵も味方もどこにいるかわからなくて、浮上したときにわかるような制限は加えています。

 シフトを押すと視界がせばまりますが、本作はTPSなので、TPSを禁止するのもどうかと思っています。今後対潜攻撃として爆雷が実装される予定ですが、潜っている際にそれをどう避けるかということになります。TPSの禁止はしたくないですし、ある程度の制限で十分ではないかと。

――現在潜水艦しか操作できませんが、対潜側の開発はいかがですか?

プロチェニック氏:現在は潜水艦の操作しかできませんが、これでいいということになったら、随時対潜の調整を行っていきます。爆雷を落としたり、一つの案ですが、艦載機からソナーを落としたりという案もあります。ただあくまで案なのでまだ具体的には何も決まっていません。

――艦長のスキルも増えていくのでしょうか?

プロチェニック氏:潜水艦の艦長スキルも増えます。

――対潜スキルもですか?

プロチェニック氏:はい、そうですね。

――まだプロトタイプの状態でこれを聞くのもお答えにくいと思いますが、日本軍の伊400号潜水艦のような航空潜水艦は実装されるのでしょうか。

プロチェニック氏:そういう特性のある潜水艦も実装したいとは思いますが、今後どうなるかはまだわかりません。空母の操作変更もあるので、どっちにするのかなど、考えないといけないことは多いですよね。

――最後に日本のユーザーに一言お願いします。

プロチェニック氏:ぜひプレイして、感想をお願いします。以前遊んでおもしろくなかったと感じた方にも楽しんでいただけるものになっていると思いますので。

(C) Wargaming.net

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