2018年9月21日(金)
Switch版『ghostpia』に期待するノベルゲームの新たな体験。何でも言い合えるチームの妥協なき物づくり【TGS2018】
9月20日~23日に千葉・幕張メッセで開催中の“東京ゲームショウ2018”において、不思議な魅力を放つ1本のノベルゲームが、インディーゲームコーナーのブース番号9-A68に出展されている。
タイトル名は『ghostpia』。iOSで無料配信中のタイトルだが、TGS2018に出展されているのは、そのNintendo Switch版だ。
出展を行う“超水道”は、小・中時代の幼なじみを中心に4人で活動する創作ユニット。ビジュアルノベルを中心に作品を手がけ、その最新作である『ghostpia』は第10話での完結を予定して、現在、iOS版は4話まで配信している。
コミックとも似た画面を自在に使ったビジュアル表現と、絵本のように温かみのあるイラスト、夜の町で繰り広げられるちょっとさびしげなストーリーが相まって、独特の雰囲気を持った本作。
Nintendo Switch版は、没入感を高めるさまざまな要素を追加し、第4話までとその先につながる未発表部分のシナリオを+αとして収録し、今冬より有料配信の予定だという。
なお、Nintendo Switch版の制作はUnityで行われ、room6がゲーム開発とパブリッシャーを担当している。room6代表の木村征史氏に話をうかがったところ、『ghostpia』のNintendo Switch移植は同氏の熱烈なアプローチによって実現したという。
そもそもは、iOS版『ghostpia』のクラウドファウンディングを行った際、木村氏が出資者の1人となったことが始まり。当時の心境を“ひと目ぼれ”だったと語る木村氏は、ゲームだけでなく超水道というチームそのものを非常に高く買っている。
木村氏によると、超水道は、互いに言うべきことは言い合ったうえで、固い結束を維持できる理想のチームであるという。物づくりにおいて、言うべきことを遠慮してしまえば、それが作品のクオリティに影響を及ぼすからだ。
しかし、「遠慮しないことが大事」だと代表のミタヒツヒト氏自身も語る超水道では、クオリティの追求に一切の妥協がない。木村氏いわく「カンパニー(の枠組み)では絶対にできないゲーム作りをする」という超水道の物づくりに対する姿勢と情熱にほれ込んでいるようだ。
その一端が、膨大な枚数のイラストを毎話使うことに現れていて、最新の第4話を例にとれば、絵コンテやシナリオ資料なども含めた原画集は150Pに迫るボリュームで、かなり分厚い。
▲原画集の1巻は第1・2話を合わせたものだが、4話ぶんで3冊の原画集がこの厚みというのは……賞賛する言葉も見つからず、ただ絶句するしかない。 |
デモ版の短いプレイ時間の中でも、状況や感情の変化に合わせて贅沢にイラストが使用されていた。イラストの使い方だけでなく、エフェクトやサウンドにもこだわりを感じ、物語がスッと入り込んでくるような感覚がある。立ち絵で会話するADVなどと比べると、没入感がひと味違うように感じられるはずだ。
ミタ氏も、“細部に神は宿る”という言葉を用いて、ディテールまで徹底的にこだわり抜くことが、作品全体のクオリティを上げることにつながると語っていた。
そんな思いもあってか、Nintendo Switch版ではHD振動・ジャイロ機能を取り入れた表現にチャレンジしている。何かを殴った手応えをHD振動で再現したり、キャラクターが見回すシーンでジャイロ機能を用いたり、インタラクティブな要素を加えて没入感をさらに高める狙いがあるとのことだ。
サウンド面でもiOS版からの進化があり、インタラクティブ・ミュージックを導入して、録音された音楽がただ流れるのではなく、リアルタイムに生成される音色や伴奏が、物語の進行に合わせて再生される仕組みを実装するという。
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デモ版を体験し、超水道のメンバーやroom6の木村氏の話を聞いて筆者が感じたのは、両者とも熱い情熱を持っていて、その熱によって鍛え上げられているNintendo Switch版『ghostpia』は、ノベルゲームの新たな体験をもたらしてくれるかもしれないという期待だ。
言葉や静止画だと伝わりにくいのだが、実際にNintendo Switch版のゲームを体験すると、細部へのこだわりが実に生きた作品だと感じられる。文章に対して、イラスト、エフェクト、SE、音楽など、さまざまなものを使って丁寧に演出が入り、没入感を促してくれるからだ。
TGS2018に足を運ぶ予定の人で本作に興味を引かれた人がいれば、超水道のブースに立ち寄って、デモ版を体験してみてほしい。
■東京ゲームショウ2018 開催概要
【開催期間】
ビジネスデイ……9月20日~21日 各日10:00~17:00
一般公開日……9月22日~23日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料
※画面はすべて開発中のものです。
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