2018年9月22日(土)
東京ゲームショウ2018(TGS2018)のセガゲームスブースでは、11月29日にPS4/Nintendo Switchで発売される『ラピス・リ・アビス』の試遊台が展示されています。
本作は、日本一ソフトウェアが送るハック&スラッシュ系2Dアクションゲーム。1人の人型の上に3人のアタマを乗せた“DANGO”と呼ばれる斬新な戦闘スタイルを駆使し、多彩なダンジョンを攻略していきます。
記事内では、そんな本作のプレイインプレッションと、ディレクター兼キャラクターデザイナーである、板野広和氏のインタビューをお届けします。
まずプレイして感じたことは、とにかくゲームスピードが速くテンポがよいということ。モンスターに向かって適当にボタンを連打しているだけでも簡単にコンボがつながるため、誰でも軽快なアクションを楽しめます。
ゲームスピードが速くて敵が大量に出現するため、一見難しそうに見えるのですが、プレイヤー側の攻撃性能が高いため、意外とすんなり敵を倒せます。本当に困った時には、上に乗ったすべてのアタマを投げるエクストラオーダーを使うことで、大体のピンチをどうにかしてくれるので、アクションゲーム初心者にも安心。
また、本作にはフィーバータイムという、プレイヤーが無敵になる以外にさまざまな恩恵が受けられるボーナスタイムがあるのですが、これの演出が気持ちいい! 敵を倒したり障害物を破壊するたびに画面いっぱいに広がるフィーバージェム。そしてジェムを自動回収していく様子は、ある種の高揚感を感じます。
フィーバータイムは演出による爽快感の獲得以外にも、アクション初心者が難所を切り抜けるための救済処置となったり、フィーバータイムを発生させる場所や立ち回りを意識することで、そのステージ中のパーティ能力の底上げや、スコア稼ぎ狙いのステージ攻略が可能になるなど、シンプルながら奥深いシステムとなっています。
本作はプレイヤーキャラクターを8種類の職業から4つを選択してパーティを組みます。各職業にはスキルやステータス、装備品の違いなどの違いがあり、その職業をバランスよく選んでいくことで、ゲームを有利に進めることが可能です。
また本作は、パーティ単位でのレベルが採用されています。そのため、この職業の見た目がかわいいから使ってみたい、この職業の強い武器を入手したから使ってみよう、といった場合、気軽にパーティを変えられるのはありがたいですね。
HPが低く攻撃速度も遅いデストロイヤーを、フィーバーの無敵を利用して大暴れさせたり、シールダーで防御を固めつつほかのキャラクターのアシストオーダーで道を切り開いたりなど、パーティ編成次第でバトルの仕方も変わりますので、いろいろな編成を試してみたいと感じました。
可愛いキャラクターを操作し、誰もが気軽に気持ちのいいアクションを楽しめる、そんな『ラピス・リ・アビス』をぜひゲームショウ会場で体験してください。
――本作を開発するうえで心がけていることを教えてください。
板野広和氏(以下敬称略):一番はビジュアルをキャッチーにするということですね。パッと見た時に「楽しそうだな」と思っていただけることを目標にしていました。本作の発表時やPV公開後は「キャラクターがカワイイ」といったご感想をいただけましたので、よかったと思っています。
そのほか、「難しい操作なしに派手なビジュアルで気持ちのいい動きができるようにしよう」ということも意識しています。本作は比較的カジュアルな見た目をしているので、「アクションが苦手だけど、イラストがカワイイからやってみたい」と思ってくださる方もいらっしゃるんじゃないかと思いまして。
ですから、たとえば□ボタンを連打するだけで5回くらいまでどのキャラクターでもコンボがつながるようになっていますし、いわゆる “ガチャプレイ”でも、アクションの気持ちよさを感じていただけるようにしています。
――開発中、苦労したことはありますか?
板野:人によって難しいと感じる度合いは違いますので、どこを基準にするかという部分は悩みました。かなり昔なんですが、『魔界戦記ディスガイア』シリーズのスピンオフタイトルとして『プリニー』というアクションゲームを出していて、当時は自分もその開発に関わっていました。このタイトルはプリニーたちがひどい目にあう、というコンセプトもあって、アクションゲーム上級者向きのゲームデザインをしていました。なので、とても難しかったんです。
一方今回は、繰り返しになりますが「手軽に手にとって、楽しんでいただけるものを作ろう」と心がけていました。とにかく爽快感を重視しており、プレイヤーが敵をザクザク倒せるという感じに調整しています。またアクションゲームによくある、落下したら死ぬとか、そういう難しい要素もなるべく入れないようにしました。
――ハック&スラッシュ的要素を導入した理由を教えてください。
板野:たとえばRPGの場合、強い装備を入手して装備すれば、ゲーム難度を下げることができますよね。アクションが苦手な人のために、そういった要素を盛り込みたいと思ったんです。
それと、本作は“アイテムを大量に回収する”ということをテーマのひとつとして掲げています。色々なアイテムを集めてそれぞれが違う性能をしていたら、ユーザーさんはアイテムを入手するたびにその装備が強いのか弱いのか、それぞれを見比べて自然と「より強い武器ってなんだ?」ということを考えてくださると思ったんです。
そういう理由で、本作のアイテムにはパラメータなどをたくさん用意しています。ただ、慣れないうちはそういったパラメータ類をみてもよくわからないと思いますので、そういうことを気にしなくてもノリで敵をばったばった倒していくことができるようにもしています。
――本作には8つの職業がありますが、その中でオススメの職業はありますか?
板野:アクションゲーム初心者の方にオススメな職業はシールダーですね。この職業は元々HPが高めに設定されていることに加えて、ゆいいつ盾という防具を装備できるんです。この防具を装備するとHPが大きく上がりますので、生存率がほかの職業に比べて極端に高いです。
▲シールダー |
このほか、ハンターという比較的バランスの取れた職業もオススメですね。この職業はパワーアップ状態になるとHPをドレインすることができますので、使いやすいです。もうひとつ挙げるならビショップでしょうか。エクストラオーダーを出すと味方を回復することができます。この3人がいると探索の安定感が上がります。
▲ハンター |
▲ビショップ |
あとはデストロイヤーという攻撃力がとても高い職業があるんですが、この職業の装備できる武器は攻撃力が高めに設定されているので、開発スタッフたちの中では人気が高かったです。
▲デストロイヤー |
――では、今回のTGS試遊版の内容について教えてください。
板野:TGS試遊版は本編の内容がそのまま楽しめるものとなっています。職業は全部使えるようになっていますので、見た目がいいとかこの武器かっこいいとか、ぜひみなさんの直感で選んでください。ちなみにゲーム全体を通しても、「この職業がいないとクリアできない」ということにはならないようにしています。
――例えばメイド4人などといった、偏った編成でも大丈夫でしょうか?
板野:大丈夫です。みなさんの好きなキャラクターを使ってください。
――本作の大きな魅力であるフィーバータイムにうまく突入するコツはありますか?
板野:本作にはスライムという敵が登場するんですが、そのモンスターは倒すたびに分裂してアイテムを落とします。なので、あいつを残しておくことで任意のタイミングでフィーバータイムに突入しやすくなります。状況によっては、フィーバータイム中でもあえてスライムだけ残しておくことで、終わった後にスライムを倒すともう1回フィーバータイムに突入できたりしますね。
スタッフもこの敵はオイシイよねって言ってましたし、フィーバータイムに突入してほしい場所にはスライムを多く配置したり、なんてことも行っています。ただ、フィーバータイムに突入するタイミングを意識しないとクリアできないというデザインではないので、気にせずガンガン突っ走ってもクリアできるようにしています。
もちろんゲームに慣れてきた方には、フィーバータイムを意識することでハイスコアに挑戦する、といったプレイも楽しんでいただけると思います。
――やり込みたい方に向けて、ステージリザルトで表示されるハイスコアを狙うコツも教えてください。
板野:一番スコアを稼ぎやすいのは、オタカラチェインですね。これは相手の攻撃を受けずに攻撃を当て続けることでカウントされる数値です。たとえば、チェインが1000になっているときに10点のアイテムを入手すると1000+10で1010点というポイントが加算されます。
なのでオタカラチェインをつなげ続けていくと、とんでもないスコアになります。ただ被弾しないという条件はやはり厳しくて、本能のままにプレイしてるとなかなか難しいと思います。腕に自信のある方はぜひ挑戦してみてください。
――板野さんは『魔界戦記ディスガイア5』や『魔女と百騎兵2』などでもUIを作っていましたが、今回のUIについてのこだわりはありますか?
板野:ほかのタイトルでもそうですが、やはり一目見て「このUIいいな」って思ってもらえることを重視しています。本作は弊社の手がけるゲームのなかでも、トップクラスに派手な色使いなので、その辺の派手さが生きるようにしました。
あとフィーバータイムは非常に画面がにぎやかなので、ぴかぴか光るとかそういうアニメーションもこだわりました。あとはやはり使いやすさですね。
――PS4とNintendo Switchでは画面のサイズが違うので、ひとつの画面に盛り込む情報量をどのぐらいにするかなど、UIを作るうえで苦心されたんじゃないかと思います。
板野:今回いちばん画面サイズが小さいのはNintendo Switchの携帯モードだったのですが、制作の際に参考になったのは『ディスガイア5』のUIですね。
『ディスガイア5』は当時作っていたときにNintendo Switchは発表されていなかったので、それを意識することなくPS4版を作ったんです。後にNintendo Switchに移植することになって、PS4版のUIをそのまま入れてみたのですが、「案外見れるな」と。そういう流れもあって、基準点を定めて制作ができたと思います。
――たくさんのステータスや施設が存在する本作ですが、この辺りはどのような意図で実装されているんでしょうか?
板野:本作はステータスや拠点など、ゲームを盛り上げるための要素はたくさん用意しています。ただ、それらは無理して利用する必要はなく、無視してもクリアできるように作っています。そうでないと、普段ゲームをあまりプレイしない方は混乱してしまうかなと思いますので。
もちろん、利用したほうがもっと本作を楽しめると思いますし、やりこみにもつながっていきますよ。間口は広く、やりこみは深く、というイメージです。
――本作には多種多様なアイテムが用意されていますが、ゲームの背景となる世界設定などはゲーム中で語られているのでしょうか?
板野:本作ではそういった情報は、こういうことがあったからこうなっているんだよ、とほのめかす感じになっています。プレイしていると手に入るアイテムを見て、今よりも前の時代について想像していただく、という流れですね。ビジュアルについてはこだわって作ったので、ぜひいろいろ想像してみてほしいです。
――最後に、TGSに来るユーザーにメッセージをお願いします。
板野:本作は横スクロールアクションの魅力を最大限感じてもらえることを心がけて作らせていただきました。なので、そういう昔ながらの横スクロールアクションが好きな方のほかに、PVを見てビジュアルが気になった方も、ぜひ一度触ってみていただければと思います。
※画像および内容は開発中のものです。
※ゲーム画面の写真はPS4で撮影されたものです。
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