2018年9月26日(水)

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』の開発インタビュー! 四天王はやっぱり登場確定!?【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 先日発表され、原作ファンや対戦格闘ファンからの期待も極めて大きい “耐繊アクション”『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』。今回は東京ゲームショウ2018(TGS2018)で行われたステージイベントの模様と、山中丈嗣プロデューサー&溝田英明ディレクターへのインタビューをお届けする。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』

ステージイベントで原作キャラクターデザインのすしお氏による“生”監修!!

 本作のステージは、TGS2018会場で4日連日行われる気合の入りようだった。ビジネスデー初日のステージではアークシステムワークスの山中丈嗣プロデューサーと、開発を担うエープラスの溝田英明ディレクターが登壇。□ボタンの連打でコンボが繰り出せるなど、本作がカジュアルに遊べるタイトルであることが強調された。

 またその一方でシステム面に『GUILTY GEAR』シリーズのバトルスクリプトを組み込んでいることも明かし、「決して対戦格闘プレイヤーにとって底の浅いタイトルにはしない」とも語ってくれた。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』

 また、TGS 2018で初お披露目となった蟇郡苛と猿投山渦にも言及。蟇郡は“縛の装”で専用の“ダメージチャージ”を蓄積して、それを消費して強力な攻撃を行うキャラ。猿投山は遠距離攻撃をほとんど持たない代わりに近距離攻撃による連携を2セット連続で繰り出せる近接戦特化のキャラだそうだ。

 さらに蟇郡は攻撃を受けた際のボイスが2種類あるとのこと。通常時はほかのキャラクターと同様に攻撃に耐えるもしくは苦しむといったボイスだが、“縛の装”中に攻撃を受けるとなにかに昂った声が聞けるそうだ。徹底した原作再現をウリとしている本作だけに、細やかな心配りが各所に導入されている様子。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲蟇郡苛(CV:稲田徹) ▲猿投山渦(CV:檜山修之)
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲蟇郡はダメージチャージがたまると、原作で使用した死縛の装”のムチなどが使用可能に。
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲猿投山は原作の三都制圧襲学旅行で登場した“剣の装・改”を着ての参戦となる。

 同じくTGS 2018で初お披露目となった一撃必殺の“戦維喪失奥義”についても話は及んだ。決まれば原作さながらに相手を戦維喪失させ、一撃で勝利するこの新アクション。TGS 2018版では流子と皐月のみに実装されているが、最終的には全キャラクターに用意されたシステムになるそうだ。

 ただ、この“戦維喪失奥義”のビジュアルがTGS 2018出展時点でトリガーの監修を通っていないと山中氏は語り、翌21日のステージイベントでトリガーのスタッフを招いての“生監修”が行われると発表された。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲“戦維喪失奥義”のイメージ。

 そして21日のステージでは山中プロデューサー、溝田ディレクターに加えてトリガーより“キルラキル”クリエイティブオフィサーの若林広海氏とキャラクターデザインを手がけたすしお氏が登壇。前日に告知していたとおり、“戦維喪失奥義”シーンの生監修が実施された。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲左から山中氏、溝田氏、若林氏、すしお氏。
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲これまでに監修された皐月の3Dモデル。頭の飾りの角度や、胸の形などが修正されている。
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲監修中のすしお氏、集中モード。迷いなく修正を加えていく手つきはさすがのひと言。

 最初に監修が行われたのは皐月の戦維喪失奥義。髪や腕の力の入り方などに修正が入るなか、いつの間にかすしお氏の手は“戦維喪失奥義”を受けている猿投山のもとへ。山中氏、溝田氏ともに予想だにしていなかった“戦維喪失奥義”を受けたキャラクターの極制服の破け方にまで監修が入った。続けて流子の戦維喪失奥義のカットにもすしお氏の監修の手が。こちらは筋肉の躍動感や、脚の踏み出し方などに監修が入った。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲監修の模様は常時スクリーンに映し出されていた。
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲インタビュー時に撮影させていただいた、監修元のイラストとすしお氏による監修内容。

 さらに、このステージでは新情報としてストーリーモードが発表。鬼龍院皐月を主人公に、原作のある時点から分岐したIfのストーリーが描かれるそうだ。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲新ストーリーはアニメの脚本を手掛けた中島かずき氏書き下ろし!
『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲イベントでは本作に登場する“神衣純潔”の最終形態“純潔神髄”のシルエットも発表。

 さらに、22日には格闘ゲームガチ勢によるエキシビジョンマッチが、翌23日には生徒会側の主演声優が集ってのトークイベントが開催された。こちらは公式のTwitchチャンネルに動画が公開されているので、ぜひご覧いただきたい。

⇒22日ステージイベント

⇒23日ステージイベント

“血威表明縁絶”はわざと強くした!? 開発プロデューサー&ディレクターインタビュー

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』

 ステージイベントでその制作過程の一端に触れられた本作だが、ステージで聞けた以外にも気になることが満載。そこでステージにも登壇していた、山中丈嗣プロデューサー&溝田英明ディレクターにインタビューを行った。

――まずはあらためて、本作が開発されるにいたった経緯を教えてください。

山中丈嗣氏(以下、敬称略):私は2代目のプロデューサーなので開発を始めたころのことは正確には把握していません。ただ、アニメの放送中ないしは放送終了直後には“キルラキル”の制作委員会がゲーム化をしてくれる会社を探していたようです。そのころにたまたま弊社の森(アークシステムワークスの森利道プロデューサー。『BLAZBLUE』シリーズをプロデュース)が「『キルラキル』がおもしろい」とTwitterに投稿したのが目に留まって、お話をいただきました。

溝田英明氏(以下、敬称略):ゲーム化にあたって、開発を行っているのが我々エープラスです。親会社であるアークシステムワークスさんにお手伝いしてもらいながら制作を進めています。

山中:アニメ放映終了から5年近くたっての発表になりますが、実は開発を始めてから3年近くたっているんですよ。

――アークシステムワークスさんというと2D対戦格闘のイメージが強いのですが、本作であえて奥行きのある3Dを選んだ理由はなんでしょう?

山中:本作のメインターゲットはアニメ版のファン層になるだろうという考えがありました。そういった方には対戦格闘をプレイしないという人も多いですよね。弊社の対戦格闘は正直かなりのプレイヤースキルを必要とするので、メインターゲットとなる層には敷居が高いものになり得ます。ただ、もちろん従来のアークシステムワークスファンも本作を遊ぶでしょう。両者が楽しめる形を考えた結果、現在のような、2D格闘のテイストも残しつつ3Dフィールドで勝負するというゲーム性にたどり着きました。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲本作では3D空間を前後左右自由に動き回ることができる。この形だからこそ生まれる戦略も多そうだ。

――TGS 2018の会場では肩を並べての対戦だったので自分の操作するキャラクターが画面の奥に行くことがありました。オンライン対戦ではどうなるのでしょう?

溝田:オンラインプレイでは両プレイヤーの前に別のモニタがありますが、1Pと2Pで映っている画面に差が生じることはありません。例えば1Pのモニタで2Pの操作するキャラクターが画面の奥にいれば、2Pの画面でも同じように奥にいます。ただ、画面の軸線が奥から手前などに切り替わる際に操作に違和感が生じることは気になっています。この点はもう少しプレイしやすくなるように、今後調整をしようと考えています。

――プレイした感覚では、相手を画面の奥に押し込んだ方が有利なのかなと感じました。

山中:おそらく自分の操作するキャラクターが画面の手前側にいたほうが距離感などはつかみやすいと思います。そういった位置取りも含めて、対戦の一部かなと考えています。

――中島かずき氏書き下ろしの新ストーリーはアニメ本編の途中から分岐するそうですが、何話あたりからの分岐になるのでしょう?

山中:本作の猿投山は“剣の装・改”を着ていますよね。つまり“剣の装・改”登場以降のどこかなのかな……というところでご容赦ください(笑)。

――猿投山は“改”ですが、蟇郡はアニメで最初に登場したときの極制服を着ていますね。各キャラクターにどの極制服を着せるかは、システム面とストーリーのどちらをベースに決めていったのでしょう?

溝田:どちらかというとストーリーですね。つまり、蟇郡は初期の極制服で猿投山は“改”を着ている。そんな時期にストーリーがIF展開を見せるということになります。

――本作のストーリーを読んでのご感想を聞かせてください。

山中:破天荒でよくわからないけれどスピード感がある、あの中島節が文字からでも伝わってきましたね。あと、「これを書きたかったんだろうな」というのも感じました。原作ファンの方も、アニメの続きとして大いに楽しめると思います。

――アニメではトドメの演出として戦維喪失が描かれていましたよね。本作で1ラウンド目に戦維喪失奥義を当てると、2ラウンド目はどうなるのでしょうか?

溝田:戦維喪失奥義は完全に一撃必殺の技になっているので、1ラウンド目に当てればその時点で試合自体に勝利します。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲戦維喪失奥義は当たればその時点で勝利! ただし、使用にはいくつか条件を満たす必要がある。

――個人的に満艦飾マコが好きなのですが、彼女はどういった形で登場しますか?

溝田:原作のIFとはいえ、ストーリーにはなんらかの形で登場すると思いますよ。プレイアブルで登場するかは……まだ言えません(笑)。

山中:プレイアブルキャラクターで参戦するかは言えませんが、もし参戦するならすしお氏の言うとおりに作ります(笑)。

溝田:TGS 2018や海外のEVO 2018で本作を出展した際にアンケートを取っているんですよ。そのなかではやはりマコを使わせてほしいという意見が多かったですね。多分ぶっちぎりの人気です。

山中:あとは袋田とかガッツとか、いろんな声がありましたね。

溝田:袋田を演じている岩田光央さんは、最近トリガー作品の1話に必ず登場しているそうですよ。しかもだいたいやられ役だとか(笑)。

――キャラクター数はどのくらいになるのでしょう?

山中:具体的な数は言えませんが、「まだまだ増えます」とだけ。

――アークシステムワークスブースでもらえたパンフレットには、今後発表されるであろうキャラクターがシルエットで載っていましたが、あれはどう見ても……。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲戦維喪失奥義は当たればその時点で勝利! ただし、使用にはいくつか条件を満たす必要がある。

山中:まあ、二天王なんて言葉はないですよね。4人そろってこそ四天王ですから(笑)。

溝田:参戦が決まってますと言ってもいいレベルですね。実はTGSでも二天王だけをプレイアブルにするか、4人全員使えるようにするか決めかねていたんですよ。

――そういったキャラクターも含めてすべてトリガーさんが監修しているんですよね?

溝田:そうですね。どのキャラクターもまずモデルの素体でチェックをしてもらっています。ただ、素体だけでチェックしてもゲーム中の動きなども監修が必要なので、カットシーンなどを作った際には改めて監修してもらっています。

山中:大変だなあと思うこともありますが、ここまで細かく監修をしてくれる方は少ないので、その点はありがたいですね。

――熱意の入れ方が素晴らしいです。ちなみに、この監修は1回では済まないんですよね?

山中:はい。今日の監修をもとに修正して再度トリガーさんのチェックを受けるのですが、きっとすしおさんはまた新しいチェックを入れますね。キャラクターもカットシーンも大体の場合、修正して監修を受けてというやりとりを何度か繰り返して完成にこぎつけています。

――猿投山と蟇郡は既に監修を終えているのでしょうか?

溝田:だいたい終わっていますが、まだすべてOKというところまでは行っていませんね。おそらく発売直前まで調整を続けると思います。

山中:トリガーさんの物作りの性質は我々アークシステムワークスやエープラスと似ていて、できる限りギリギリまでやろうとするんですよ。

溝田:ギリギリといえば、TGS版のROMを山中さんに渡したのもギリギリでしたよね。

山中:そうなんですよ。みなさんに今回触ってもらったROMのデータが私のもとに届いたのが、なんと設営日の朝。そこから1時間くらいで急いでチェックして、会場のPS4にインストールしました。

――同キャラクターでの対戦時には原作とは異なるいわゆる2Pカラーが必要になりますよね。そういった原作にはない部分も監修が入るのでしょうか?

溝田:もちろん監修は必要になります。今回ゲームメディアさんに同キャラ戦はNGというというお話をしていたのですが、これは蟇郡と猿投山の2Pカラーの監修が終わっていなかったからなんですよ。

――流子と皐月はどんな2Pカラーになっているのでしょう?

山中:流子は元々黒ベースだったのを白ベースにして、赤の差し色が入ったカラーになります。そして皐月様は金髪のガン黒。純潔も黒ベースになっています。DVDやBlu-rayでのみ見られる25話に登場した偽物の皐月のイメージですね。

――監修以外でトリガーさんとのやり取りはあるのでしょうか?

山中:アニメではまったく描かれていないものも、トリガーさんをまじえて決めています。例えばアニメでは戦維喪失を受けたことがないキャラクター。当然本作では戦維喪失することもあるのですが、下着の設定がないんですよ(笑)。ボクサーパンツ派なのかトランクス派なのか。はたまたブリーフなのか。そんなことを大真面目に決めています。

――“血威表明縁絶”を実装した経緯を聞かせてください。

山中:口論をしながらバトルをする原作の流れを再現したかったんですよ。最初はバトル中にずっとしゃべっているということもあったのですが、やはりきちんとした演出としていれなければいけないと考えて現在の形になりました。

溝田:カジュアルなユーザーさんが多いと考えているので、複雑な操作を求めず読み合いが発生するジャンケンをベースにしたシステムになっています。

『キルラキル ザ・ゲーム -異布-』
▲“血威表明縁絶”は3種のボタンでじゃんけんのように駆け引きをするシステム。仕掛けた側が読み勝てば、体力の大幅回復などの効果が発揮される。

山中:当初作ったものよりもTGS版ではだいぶテンポのよいものになりました。ただ、ゲームのテンポを損なわないためにはもう少しだけスピーディにしたいかな。

溝田:カットインの入り方は原作で皐月と流子が大阪でバトルをしたときのものがベースになっており、それが全キャラクター分あるので見たことはないけれど“キルラキル”らしいシーンが楽しめますよ。

――“血威表明縁絶”を始めるための衝撃波がかなり当てやすいように感じたのですが、無敵時間などはあるのでしょうか?

山中:そうですね。“血威表明縁絶”は『GUILTY GEAR』シリーズの“サイクバースト”に近い仕組みで、発動時に無敵時間があります。攻撃を受けている最中に“血威表明縁絶”と同じ入力で相手を吹き飛ばす“血威バースト”が繰り出せるのもサイクバーストとの共通点ですね。

――“血威表明縁絶”に成功したときの強化もすごいですよね。

溝田:そうですね。対戦格闘ではあまりみないレベルの強化だと思います。“血威表明縁絶”が当たりさえすればある程度実力差を覆せるように、意図的に強くしている面はありますね。

山中:『GUILTY GEAR』の場合、やり込んだトッププレイヤーに初心者が1000回挑んでもまず1勝もできません。ですが、本作の場合“血威表明縁絶”がうまいことあたれば勝てることもあるでしょう。“血威表明縁絶”は本作の対戦の技術介入度を下げる目的もあって強力にしています。

――発売までにユーザーさんが本作に触れる機会はあるのでしょうか?

山中:10月5日にトリガーさんが主催する『キルラキル』5周年イベントに出展します。こちらは既にチケットが売り切れているそうですが、参加されるユーザーさんはぜひ本作を手に取ってもらえればと思います。

溝田:11月23日、24日のARCREVO Japan 2018でも試遊台を出展しますね。こちらで出展するバージョンでは、TGS版よりもキャラクターを増やす予定です。

――最後に開発スタッフを代表して、山中様からユーザーさんにメッセージをお願いします

山中:トリガーさんの熱心な監修のもと、エープラスさんと我々アークシステムワークスの三社が協力して一刻も早くクオリティの高い『キルラキル』のゲームを作ろうとしています。2019年の発売を楽しみに待っていてください。

――ありがとうございました!

データ

▼『キルラキル ザ・ゲーム -異布-(キルラキル ザ・ゲーム イフ)』
■メーカー:アークシステムワークス
■対応機種:PS4
■ジャンル:アクション
■発売日:2019年
■価格:未定
▼『キルラキル ザ・ゲーム -異布-(キルラキル ザ・ゲーム イフ)』
■メーカー:アークシステムワークス
■対応機種:PC
■ジャンル:アクション
■発売日:2019年
■価格:未定

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