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2018年9月27日(木)

『D×2 真・女神転生』山田P&岩元辰郎氏インタビュー。ファン故に最初はノリノリではなかった?

文:まさん

 9月20日からの4日間、千葉・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2018(TGS2018)。初日に行われた『D×2 真・女神転生 リベレーション(以下、D×2)』のステージイベントでは、10月上旬に配信予定のVer1.6.0や1周年の大型アップデートVer2.0以降の最新情報が公開されました。

『D×2 真・女神転生』

 今回は、ステージの直後に詳しいお話をうかがうべく、『D×2』プロデューサーの山田理一郎氏と、キャラクターデザインの岩元辰郎氏を直撃。Ver1.6.0以降の予定からキャラクターデザインの秘密まで、いろいろとお話をうかがってきました!(インタビュー中は敬称略)

『D×2 真・女神転生』
▲左から岩元辰郎氏と山田理一郎氏。

 なお、『D×2』オリジナルグッズを読者プレゼントとしてご提供いただきました。インタビューの最後に応募フォームがありますので、そちらから奮ってご応募ください!

――TGSのステージでは今後のアップデートについていろいろ発表されていましたが、まずはステージを終えた感想からお聞かせください。

山田:ボリュームが多いこともそうですが、やはり運営ものは難しいですね。未来の話もしなければいけないけれど、ユーザーさんが直近で改善してほしいと思っている内容もたくさんあると思います。どういった順番で何を伝えればいいのか悩みながら内容を決めているのですが、SNSでユーザーさんの反応を見ていくと「期待している物が追加されそうだ」というコメントが多かったので、ちょっとホッとしているところです。

――直近ではVer1.60のアップデートでギルド機能の“ファクション”が追加されることが明らかにされましたね。

山田:コンテンツのソーシャル要素をどう考えるのかは難しい問題だととらえていて、ギルドを入れるかどうかもゲームをリリースする前から考えていました。ですが今、実際に遊ばれているユーザーさんの状況を見ると『真・女神転生』シリーズのファンの方がすごく多いんですよ。

 チャットなども『真・女神転生』ファンの方たちが集まる場所として機能しているので、このコンテンツ自体がそうなっているならば、より密接なコミュニケーションが取れる場を用意しようと。より密接なプレイができる環境になるほうが相応しいのではないかと考えて、いわゆるギルド機能的な“ファクション”を用意することにしました。

 とりあえず最初は、ギルドを組むところからスタートしようと思っています。その先にギルドメンバーで何をするのかというところについては、実際に遊ばれているユーザーさんの動きや状況を見ながら決めようかなと思っているところです。

 GvG的なコンテンツにするという手もありますし、GvEみたいにする可能性もありえます。あるいは、ギルドメンバーでしか潜れないアウラゲートのようなものを用意するといったいろいろな方向性を考えていますが、これもユーザーさんの意見やプレイの方向を見ながら決めていこうという感じですね。

『D×2 真・女神転生』

――そして、行く行くは1周年辺りからVer2.0が本格的に動き出す形ですね。

山田:ステージではver2.0で実装する内容とそれ以降も含めて話しましたが、実際の内容は調整しながら実装していく形になると思います。とくに、シナリオに関しては年末に第1部のシナリオが完結するのですが、第2部までの間にインターミッションのような話を挟もうと思っています。

 今後の展開がどうなるのかという話やどんな新キャラクターが出てくるのかといった、この世界のバックボーンを想像できるような展開を入れつつ、シナリオを展開しようかなと思っているところですね。Ver2.0以降に予定されている内容については開発の進行状況もありますので、優先順位をつけつつ進めているところです。

――新キャラクターが出るということは、デザインも岩元さんがされますよね。そもそも、本作のキャラクターデザインを岩元さんが手がけることになった経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか?

山田:自分が手がけた作品ではないのですが、以前にセガの別タイトルで岩元さんにイラストを描いてもらったことがあるんですよ。スマートフォンのゲームはいろいろな方にデザインをしていただくことが多いのですが、そのなかでも岩元さんはキャラクターデザインがすごく合っているなと思ったんです。

 あとは、僕自身が『逆転裁判』シリーズが好きなので(笑)。ぜひ岩元さんにやってもらいたいと連絡を差し上げたのですが、なかなかお返事をいただけなくて他の方々も候補として考えていました。

 ただ、どうしても岩元さんにやっていただきたかったので、ギリギリではあったのですが岩元さんにもう一度アタックしたら「やりたいです」というお返事をいただけて、希望が通った形ですね。

『D×2 真・女神転生』

岩元:確かに、最初はノリノリではなかったんですよ。まず、「えっ、どうするの?」という気持ちがありました。僕もSFC版『真・女神転生』の大ファンで遊んでいたこともありまして、お話をいただいたときに自分がやっていいのかと悩んで返事が遅れていました。

 でも、最終的には「このゲームは『真・女神転生』シリーズにいた悪魔が、どこかの日常に現れるという作品。だから、僕がその日常のキャラクターをデザインしても、それは『真・女神転生』という名が付くタイトルには変わりがない」という方向に考えを切り替えることにしたんです。

 それくらい背骨がしっかりしたシリーズだというところまで思い至ったので、僕が多少の肉付けをしてもビクともしないだろうと。そこで、やっと勇気を振り絞って「やります!」と返事ができました。

『D×2 真・女神転生』

山田:相当、プレッシャーがあったのはわかりますね。自分も、悪魔がカッコよい、スゴイという部分があっての『真・女神転生』なので、ゲームの部分でもそういうのを追い求めている部分はありますから。

岩元:やはりユーザーに喜んでいただきたいので、自分でいいのだろうかという悩みはありました。相当ビビりましたし、光栄でもありましたね。だから、声をかけていただけたのはうれしかったです。このチャンスがなかったら『真・女神転生』と名がつく作品でここまでしっかり絵を描けることはもうないだろうと思います。そう思ったので「もう、飛び込んじゃえ!」とやり始めました。

山田:キャラクターの部分をどうするかに関しては、最初にアトラスさんといろいろお話させていただきました。いろいろな案があったのですが、最終的に「セガさんが作られる作品なので、セガさん側で選んでいただいたほうがいいですね」とおっしゃっていただけたので、我々のほうで選ばせていただいています。

――キャラクターデザインを依頼する際に、「これだけは守ってほしい」といった要望はあったのですか?

山田:個々のキャラクターについては、話やキャラクターごとにいろいろあると思うので、バックボーンに沿っているものであれば問題ないという話をいただいています。なので、プロットは最初に確認してもらいましたが、キャラクターの細かい部分に関しては、その都度見てもらう形で進めていきました。

 世界観のバックボーンについては、かなりディテールを詰めています。今回はリベレイターズとアコライツの争いなのですが、意図的に入口をライトにしている部分があります。『真・女神転生』シリーズのバックボーンは、かなり大きな世界の話なので、この世界の成り立ちからディテールが決まっているのですが、そういったバックボーンに関しては、しっかり詰めさせていただきました。

『D×2 真・女神転生』

――『D×2』でも今後岩元さんがオリジナル悪魔を手がけられるようなことはありえるのでしょうか?

山田:『真・女神転生』ってなんだろう、というところは人の解釈によって変わると思いますが、共通しているのは“悪魔”だと思うんですよ。悪魔のデザインがあってこその『真・女神転生』や派生シリーズだと思うので、『D×2』オリジナルデザインの悪魔を入れていくというのは考えていないです。

岩元:僕もそうですね。悪魔をデザインするところまではおっかなくてできないです。

山田:僕らには踏み込めない領域ですね。ファンの方でも拒否反応があると思います。ただ、今回のステージでもコラボの話がでましたが、このゲームに関しては“コラボみたいな形で他のものから入ってくる”というやり方ならやりやすいと考えています。

 ただ、そうであっても相応しいものでないとユーザーさんが納得できないと思っているんですよ。昔、自分がやっていた『サムライアンドドラゴンズ』のときは「こんな無茶苦茶なコラボなんて、やり始めるのはひょっとして自分だけじゃ?」という感じで無茶苦茶なコラボをやっていたのですが、あれは、インパクトも含めてアリでした。

 ですが『真・女神転生』シリーズのようなバックボーンがしっかりしたものになるほど、コラボは難しいと思います。話題性だけにとらわれてもいけないですし、ユーザーさんが好きなところがあるわけなので、そこに合うような形を考えていくと従来のタイトルほどは簡単にいかないでしょう。

 とくに、このシリーズは悪魔が話のテーマになっているので、キャラクターが話の中にちょっと出てくるならいいのですが、それも意味があるのかわからない。ユーザーさんにとってうれしいかどうかがわからないので、結構難しいと思っています。

『D×2 真・女神転生』

――ストーリーやキャラクター制作の過程で苦労されているところはありますか?

山田:先ほども言った通りにディテールの部分はお任せいただいています。どちらかと言うと、世界観やバックボーンの部分で「なぜそうなのか?」という細部まで詰めさせていただいている形ですね。

 たとえば、今回はヴェ二タスという存在が物語のキーになっていますが、「ヴェ二タスとは何者なのか」、「この世界においてはどういう存在であるのか」、「この世界における神はどういう存在なのか」といった部分については、だいぶお話をさせていただきました。やはり、そちらのほうが大事ですし、しっかりさせていただいています。

 あとは、悪魔の扱いですね。特殊な悪魔もいますし、シリーズ的にどう扱われている悪魔なのかというところに関して、だいぶご相談させていただいています。運営に向けて特別難しいということもなく、ある程度信頼をいただいている部分はいただいて、こちらに任せていただいている感じですね。

――岩元さんは、制作に苦労されたキャラクターはいますか?

岩元:メガキンは、わりと苦労したキャラクターです。もともといただいた設定から、ごっそり別のアイデアをプレゼンして作りました。

山田:メガキンは、確かにいろいろアイデアが出ましたね。彼は今時の軽いノリな兄ちゃん風でありながら、ゲームを進めていくと頼れるリーダーになっていて、僕はすごい好きなキャラクターです。やっぱり単純にカッコいいなコイツと思えるし、ルックスもすごくいい。

『D×2 真・女神転生』
▲メガキン

岩元:プロデューサーが1キャラをえこひいきしていいんですか?(笑)

山田:えこひいきじゃないですよ。好きなキャラというだけです(笑)。

――自分が手がけたなかで一番好きなキャラクターはいますか?

岩元:悩ましいけど、自分もメガキンかもしれません。あとは、ミートバルーンも好きですね。

山田:苦労した度合いで言えば、ミートバルーンも大きいです。

『D×2 真・女神転生』
▲ミートバルーン

――ミートバルーンは、仲間たちのなかでも一番常識人でギャップがいいですよね。

山田:ミートバルーンは、コンセプトが“かっこいいデブ”なんですよ。これがまた問題でした。

岩元:軍人で、アイドルオタで……というのを文章でいただいていて、いやいや「デブでドルオタを外見の要素に入れて、カッコよくはできないですよ」と。そこで、カワイイほうに振ってみたりしたら「違います。カッコいいんです」と言われて……(笑)。わりと苦労して生まれた結果、難産だったことも含めて愛着が生まれました。

 でも、一番好きなキャラクターだとやっぱりメガキンですね。彼にはゴーグルなどの好きな要素を入れられたのもあります。あのゴーグルをつけると悪魔が見えるんでしょう。メガキンはポージングも含めて、他のキャラクターよりも好き勝手やらせていただけた感じですね。

――カッコいいデブのイメージとして、参考になった方やモチーフになった方はいますか?

岩元:最初はカワイイほうに振っていたので、『銀河鉄道999』の星野鉄郎みたいなイメージで描いていました。カッコいいイメージとちょっと違うのですが『ドカベン』なども見ています。

 それから、僕は週に1回専門学校で教えているのですが生徒の1人に太っているけどパーツがキュっとした子がいるんですよ。太っているけど濃い感じで顔が整った子だったので、彼の顔は何かイメージができるなと思ってこっそり彼の要素を足しました。

山田:そういう意味でも、ミートバルーンは最後まで一番苦労したキャラクターかな?

岩元:最初に公開されたアニメーションにいないのは、単純にその時間に合わなかったからです。

山田:他に印象的なのはアイリーンで、頭にグルグルがついていますけど最初からついてましたっけ?

『D×2 真・女神転生』
▲アイリーン

岩元:最初からつけてないと通らないですよ。ただ、顔立ちはもうちょっとエキセントリックだったので、カワイらしくしてほしいと言われたのは覚えています。

山田:アイリーンで覚えているのは、ショートソックスですね。最初はローファーにアンクルソックスで素足みたいだったので「これは意図的なのですか?」と聞いた覚えがあります。

岩元:とくにこだわってはいないですとお答えしたら、じゃあ「今時なのでショートソックスを履かせてほしい」というオーダーをされました。

山田:アイリーンは今時の子という設定なので、今時の子が履いていそうなソックスをネットでずっと漁り続けていたんですよ。そして、こういう感じのソックスにしてほしいというオーダーをしたのを覚えています。

岩元:僕自身が『逆転裁判』でイラストを描いていたときからのクセなのかもしれないですが、腰から下は飾りだと思っていたところがあるのでちょっと集中力が欠けているんですね。腰から下がふわっとどうでもよくなってしまうところがあって、そこを見抜いて締めていただいたとも言えます。

山田:ショートソックスの画像を4時間くらい漁って、どんな感じがいいかなと考えていました(笑)。

――このゲームではまだキャラクターのスキン替えといった要素はないですが、アイリーンのようにコスプレするキャラクターだと違う衣装で使ってみたいですね。

山田:要望もあると思いますし、話の中でもアイリーンはコスプレするのでそういう要望も入れていきたいと考えています。

――ちなみに、第2部以降も岩元さんにキャラクターのデザインを発注されていると思いますが、新キャラクターもそれなりに出てくるのでしょうか?

山田:展開が大きく変わって分岐が入ってくるので、いろいろご協力いただく部分が多いと思います。

岩元:頑張ります!

――『真・女神転生』シリーズの分岐ということで、ファンとしてはかなり重い話も期待していそうですが……。

山田:話としては、重くという言い方が適切かはわかりませんが、広い話になっていきます。今は狭い話という感じで展開していきますが、もっと“世界を含めた大きな話”になっていくと思いますね。

――すでに、第2部以降の新キャラクターも描かれているのですか?

岩元:まさに今、制作中です。新キャラクターの絵を描いているので、なるべく速く提出しないと怒られそうですが(笑)。

山田:キャラクターはこのゲームの独自要素ですので、『真・女神転生』であること以上に『D×2』のキャラクターと世界をみなさんに気に入っていただけるとありがたいと思っていますから、そこは力を入れてやっていきたいと思います。

『D×2 真・女神転生』

――では、これから1周年。そしてさらに2周年へ向けて、ユーザーへ伝えておきたいメッセージをお願いします。

岩元:こういうゲームはとにかく続くことが大事なことだと思います。自分もどんどん描いていくので、いっぱい遊んで続けてほしいな、と。本当にARも含めてだいぶおもしろいものになっていると思いますので、セガさんに頑張って続けていってもらいたいですね。

山田:今回は大きなアップデートの話が中心でしたが、運営しているタイトルは細かい部分の調整などでユーザーさんが「こうしてほしい」と思っていることがたくさんあると思います。

 そういう内容までは今回の発表では触れられていないのですが、やること自体はどんどんやっていこうと思いますし、ユーザーさんの声に応えていくことが大事だと思っています。そういうところをやりつつ、こういう大きなアップデートを繰り返していきたいと思っています。

 やはり、このコンテンツ自体がまだ完成したものではないと思いますし、みなさんに長く遊んでもらえるようなコンテンツを目指してもともと作りたいと思っていたタイトルなので、もっといいものにできるように頑張っていきたいと思います。

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