2018年10月16日(火)
東京ゲームショウ 2018で電撃発表され、配信日を心待ちにしている方も多いであろう日本ファルコムの『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』と、アクアプラスの『うたわれるもの斬』のスペシャルコラボ企画。
現在発売中の電撃PlayStation Vol.668では、9月27日に同日発売という縁から実現したこの“夢のコラボ”の経緯などを、日本ファルコムの近藤季洋氏とアクアプラスの下川直哉氏の対談でお伝えしています。今回はその記事で収まりきらなかった、両氏の圧倒的な熱量で語られた言葉のすべてを全3回に分けてお届けします(インタビューは8月29日に実施)。
2007年に32歳という若さで社長に就任。『軌跡』『イース』シリーズなど、日本ファルコムを代表するタイトルのプロデューサー兼シナリオライターを務める。
社長業をこなしつつ、アクアプラス作品のプロデューサーを務める。また、サウンドクリエイターとしても積極的に活動する。
――今回発表されたコラボは、日本ファルコム側から発信した企画とのことですが、その経緯を教えてください。
近藤季洋氏(以下、敬称略):コラボはいつもご提案いただく側で、じつは弊社から「コラボをやりましょう」と他社さんにお声がけしたのは今回が初めてでした。電撃さんの『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の取材中に「どこかコラボレーションしたい相手はいますか?」というやり取りがありまして。
▲『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』より |
そのとき“電撃さんの読者が喜びそうで、なおかつ意外性があり、しかも弊社となんとなく共通項がありそうな会社さんはどこだろう”と考えたときに、アクアプラスさんのお名前が思い浮かびました。
なぜアクアラプスさんのお名前が出たのかといえば、だいたい毎年同じタイミングで新作の発売が重なることが多いんですね(笑)。この業界では発売日が被ると、わりとお互いに気を使って“すみません”的に遠慮することがありますが、今回はそれらも含めてネタにさせていただけると、企画としておもしろいかなと。ちょうど電撃さんの担当者さんがアクアプラスさんもご担当されていることで、「では聞いていただけますか?」という形で始まりました。
――アクアプラスさん側は企画のお話を聞いていかがでしたか?
下川直哉氏(以下、敬称略):すごくビックリしましたね。「ファルコムさんからコラボのお話が……」と聞いたときに「え? もう一回言って?」と、うまく咀嚼ができないみたいな(笑)。なにせファルコムさんは、日本のゲーム業界の礎を作ってきた会社じゃないですか。ですので、そんな会社からお声がけいただいて“まさか!?”という想いがまずありました。
弊社の作品とファルコムさんの作品は、親近感を抱くユーザーさんがいるだろうとは思ってはいましたが、どこかベクトルは違うイメージがあったんです。ユーザー層が重なっている部分もあると思いますが、弊社は美少女をメインに押し出した作品が主流で、ファルコムさんは主人公が勇者という、硬派なRPGを中心に作ってきたメーカーさんなので、交われるかどうかわからなかったんです。でも、お話を聞いて素直に“おもしろいな。やろう”となりました。
近藤:スタッフにも御社のファンがいて「ストーリーがいいんですよ」「キャラクターが魅力的なんですよ」と、日々聞かされて過ごしてきたので、スッとお名前が出てきたんだと思います。
▲『うたわれるもの 二人の白皇』より。 |
下川:ありがとうございます。僕らはもはやファンというレベルではなく“ファルコムさんはみんなが知っていて当然!”みたいな感じです(笑)。僕と同世代のメインスタッフやその上は、全員がファルコムさんのソフトを遊んでこの業界を目指して入ってきているわけですから、今回お声をかけていただけたのはうれしかったですね。
近藤:僕らもそういう風に見ていただけるのは光栄ですね。ただ、お堅い会社と捉えられて、逆に遠慮されてしまうときもあるんですよ。どちらかといえば、本当は“もっと仲よくしたい!”と思っている人たちなんですよ(笑)。
下川:それはうれしいですね。これからもいろいろなことでご一緒にできたらいいなと思います。僕も個人の話になりますが、どれだけファルコムさんのファンなのかを言わせていただくと、じつはファルコムさんに2回応募して2回落ちているんですよ。高校を卒業するときに1回受けて落ちて、専門学校を卒業するときにもう1回受けて落ちているんです(笑)。
近藤:それは弊社の見る目がなかったんですね(苦笑)。
下川:いえいえ(笑)。あと、僕が音楽活動を始めるきっかけも、古代(祐三)さんが音楽を手掛けた『イース』や『ソーサリアン』でした。当時はCDの形をした『イースI』の楽譜を買って、打ち込み(MIDIデータと呼ばれる音符情報を音楽ソフトに入力して曲を作ること)をするなどしていました。僕は日本で『イース』の曲を打ち込みした回数に関しては、トップクラスであると自信があるくらいなんですよ(笑)。
▲古代サウンドを代表する作品の1つである『イースI』(1987年発売)。その音色は今も色あせない! |
▲1987年発売の『ソーサリアン』は『ドラゴンスレイヤー』シリーズの5作目。こちらも古代氏がサウンドを担当し、多くのファンを魅了した。 |
近藤:それはビックリしますね。ありがとうございます。音楽に力を入れている点でも、弊社とちょっと親近感がありますよね。僕もシナリオを書きますが、シナリオを書くスタッフからも『うたわれるもの』シリーズで「こんなキャラクターがいて、シナリオがいいんですよ」と、アクアプラスさんのタイトルが話題に挙がるんですね。そういったこともあったので、今回のお話ができてうれしいです。
――そんな夢のコラボが今回実現したわけですが、現時点ではどんなものが予定されていますか?
近藤:スタッフにはアクアプラスさんのファンが多くいて、ユーザーさんも同じか、それ以上の比率で多くいらっしゃると思います。弊社のゲームはとにかくプレイ時間が長いこともあり、DLCがけっこう喜ばれるんですね。例えばお互いの世界観は違いますが、衣装などが用意できればと思っています。これ以外にも担当がいろいろと考えているみたいで、衣装に限らず今はアイデア出しをしているところです。
下川:今は担当者同士で検討中ですね。ファルコムさんと相談して現状決まっているのは、せっかくの初めてのコラボなので、ユーザーさんに負担をかけない方法でやろうということです。ユーザーさんがこの記事を見られる頃には発表済みだと思います。
近藤:まずはビックリしていただけるといいなと。ありそうでなかったコラボだと思いますので。
下川:SNSなどでも『うたわれるもの』シリーズをプレイされている方が“『閃の軌跡』とまた発売日が被った! プレイの順番どうしよう?”などという声を多く見たので、被っているユーザーさんはまあまあいらっしゃるのかなと。両作品を好きな方が喜べるコラボがいいですよね。
――世界観が違うからこそ、互いの世界観を共有できる衣装DLCは魅力的ですね。
▲『閃の軌跡IV』側のコラボDLCは、ユウナが着られるクオンの衣装。 |
▲『うたわれるもの斬』側のコラボDLCは、ネコネが着られるアルティナの衣装。 |
近藤:最近はRPGを動画配信する方も増えてきて、衣装DLCの要望を多くいただいていますので、喜んでくださるかなと。
――明かされたコラボ以外に、こんなことをやりたいなどのアイデアはありますか?
下川:ファルコムさんは“ファルコム音楽フリー宣言”などの試みをはじめ、音楽にもすごく力を入れているメーカーさんです。僕はサウンドマンでもあるので、今回のコラボに対してというわけでもなく、例えば発売日が同じだった『閃の軌跡IV』と『うたわれるもの斬』で、オーケストラコンサートなどができたらいいなと、漠然と思っています。
▲日本ファルコムの“ファルコム音楽フリー宣言”は、ピアノの演奏会やバンドのライブで演奏する場合に楽曲を自由に利用できるというもの。 |
実際にどのくらい両タイトルのファンが被っているのかはわかりませんが、どちらも好きだという方が多いならば、お互いに8曲、10曲などのBGMランキングを決めて、オーケストラで演奏してみるのもありかなと。これがユーザーさんにとって望まれるコラボかはわかりませんが、僕自身が楽しいなと思いました。
――被るファンも多いと思いますので、ぜひ期待したいです! ちなみに、今回はこの2タイトルのコラボでしたが、今後もいろいろな形でコラボを行う予定ですか?
近藤:そうですね。このタイトルだけでなく、いろいろできればうれしいです。
下川:なにかできたらいいですね。
~以下第2回へ続く~
第1回ではコラボ企画の経緯についての対談をお届けしました。10月18日に公開予定の第2回では、クリエイターと社長という両面から、お2人のゲーム制作にかける想いをお伝えします。
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