2018年10月16日(火)
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はPS4/Nintendo Switch/Steamにて配信中の3Dアニメーションノベルゲーム『マヨナカ・ガラン』を紹介します。
本作は過去に迫害された隠れキリシタンが作った“大臼村”が舞台。村の調査に訪れた牧師の“橘はもるる”が閉鎖的になっているこの地の村おこしを手伝うことになりますが、そのなかでひとつの不可解な出来事を目の当たりに。村の“異常なこと”に気づいて……という内容です。
いわゆる伝奇ホラーのようなジャンル。総プレイ時間は3~4時間ぐらいとなっており、サクッと遊べる短編となっております。ちなみにホラーといっても幽霊の出てくるようなタイプではないので、そういう内容がニガテな人も安心だと思います。
本作で目を見張るのは独特な色彩感覚で描かれたグラフィックです。PS初期のようなテクスチャーとサイケデリックな色彩によって作られたグラフィックは不思議な魅力があり、忘れられないインパクトがあります。
ちなみにメインキャラクター以外は、いわゆる“のっぺらぼう”のデザイン。制作コスト削減の狙いもあると思いますが、こちらも独特な味を出していて世界観にマッチしています。
▲目の見えない老婆が“奇跡”によって光を取り戻すシーンなど、演出からもセンスを感じます。 |
▲ステンドグラスや幾何学的なデザインを彷彿とさせる背景。どことなく不気味です。 |
キャラクターの動作は使い回しなどはなく場面ごとにしっかり作り込まれています。また重要な場面で歌が流れるなど驚きの演出も多いですね。
▲ドラマを見るような感覚で物語を楽しめます。 |
映像美に目を引かれる本作ですが、ストーリーも練られていておもしろいです。ネタバレになるため語るのは難しいですが、序盤はノホホンとした主人公とどこかずれている村人たちのやり取りが和みますし、中盤以降は百数年に一度だけ村に訪れると言われる“聖人様”が登場して衝撃的な展開の連続になります。思わず一気にプレイしてしまう魅力があるかと。
▲のどかに見える村ですが、実は大きな秘密が……。 |
▲“聖人様”が登場してからは急展開を迎えます。 |
ミステリーではないため犯人当てのようなものはないですが、この村の過去になにがあったのか、徐々に判明していく展開は伏線の張り方がとても上手。思わず「なるほど~!」と唸ります。
また、物語が進むに連れてメインキャラクターが確固たる信念や等身大の悩みを抱えていることがわかり、感情移入して好きになれます。
▲村人から「お嬢様」と呼ばれている女の子。言いたいことをハッキリ言うタイプです。 |
▲神父と村長の息子。序盤と後半で印象がガラリと変わるのではないでしょうか? |
▲フルボイスになっている点も注目で、メインキャラクターは実力派の有名声優陣が演じています。 |
後半からラストにかけての展開は衝撃的。インディーだからこそ、そして短編だからこそできる野心的な内容になっていると思います。長編になると、どうしても“みんなが求める結末”が必要になってきますが、短編だからこそクリエイターのやりたいことができるんだなと感じました。
人によっては納得できない結末かもしれませんが、自分はこういうラストも好きですね。……というか書きすぎるとネタバレになってしまうのでやめておきましょう(苦笑)。
と、いうことでインパクトのあるグラフィックや尖ったシナリオが魅力の『マヨナカ・ガラン』。伝奇系のストーリーが好きな人は、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか?
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