2018年10月28日(日)
カプコンの本格SLG『ブラックコマンド』最新バージョンをレビュー。部隊強化のおもしろさが広がる!
カプコンがiOS/Androidでサービスしている本格ミリタリーシミュレーション『BLACK COMMAND(ブラックコマンド)』で、10月19日に実施された初の大型アップデート“タルタロス”。最新バージョン1.1.0では何がおもしろくなったのか? その感想を交え、プレイのコツやゲームの魅力を紹介します。
本作では、傭兵を抱えるPMC(民間軍事会社)を運営し、紛争における戦闘、護衛、兵站など、あらゆる軍事的サービスを請け負って、数々のミッションをこなしていきます。
実在のものをベースにした多数の銃器が登場し、リアルな戦場の空気が漂う濃い世界観は、硬派なゲームが好きな人にとってたまらない魅力の1つでしょう。また、厳しいリソース管理やシビアな戦闘を楽しめるコアなゲーム性は、頭を使うSLGの醍醐味を味わえます。
『BLACK COMMAND』のおもしろさと特徴
・リアリティあふれる世界観と銃器
・コアなゲーム性(傭兵の死亡、高難度な戦闘など)
・部隊編成の自由度とスキル・武器の多様性
▲部隊の編成画面。傭兵のクラス(強さ)とスキル、武器を強化して、自分好みの最強部隊に近づけていきます。 |
ゲームの基本的な遊び方や楽しさの詳しい部分は以前に掲載されたレビューに詳しいので、まずはバージョン1.1.0の見どころからお届けしましょう。
強化やカスタマイズのおもしろさが広がる最新バージョンの見どころ
バージョン1.1.0では、新コンテンツ“マスターコマンド”を目玉として、PMCデータの閲覧機能やウィークリータクティカルドリル、新アイテムの実装、遊びやすさの改善などが行われました。
▲傭兵のクラス昇格時に、演出が入るようになったのは何気にうれしいところ。 |
実際に遊ぶと演出やUIなどの細かな部分にまで手が入っていて、多岐にわたる変化を感じますが、大きな変更は新コンテンツの報酬で傭兵や武器を強化するおもしろさが広がったことでしょう。
記事内では、新要素をいくつかピックアップして紹介したいと思います。
▲ゲームと直接関係ないですが、某サバイバルホラーで見たことのある“人形の指”が入手できるようになるなど、遊び心のある追加要素も(笑)。 |
マスターコマンド
マスターコマンドは、さまざまなシチュエーションの高難度ミッションに挑む腕試し型のコンテンツ。通常の戦闘と違って隊員が死なない代わりにアイテムを使用できず、己の采配と育てた傭兵の能力、武器の性能だけで勝負する必要があります。
攻略するにはある程度のやり込みが必要で、ミッションの説明画面に書かれた推奨装備やスキルを持っていないと、なかなかクリアは厳しいです。ただ、あくまで推奨なので、自分なりの攻略法を見出す余地もあります。そこが一番のおもしろさかなと!
▲例えばタンクスナイパーを推奨するこのミッションですが、LMGアンチタンクを主体にして戦うこともできました。 |
難易度が高いぶん、報酬は豪華で部隊強化に役立つものばかりです。じわじわと育成を進めながら地道にチャレンジし、ゲットした報酬でさらに部隊を強化する。そんなコンテンツになっていると思います。
▲スキルや武器を強化するアイテムの他、新武器のSMG-PP19BとHG-93Rも入手できます。後者は道のりが長いですけど……(笑)。 |
PMCデータの閲覧
いわゆるプレイ履歴を参照できる機能で、資金の収支、ミッション達成数などの基本的な情報や、隊員の従軍回数(ミッション成功数)ランキング、死亡した隊員数、消費した弾薬・アイテムの数などを見られます。
本作は戦闘で死亡した隊員が復活しないので、やはり隊員の従軍回数ランキングや死亡数は気になるところ。筆者の場合、この原稿を書いている時点で147人も死亡しているため、改めて数字を見ると何やら業(ごう)のようなものを感じます。
ごめんよ、散っていた隊員たち……けど、お前らの魂はスキルとなって今の隊員たちに引き継がれているからな!
▲隊員を葬式に出す画面を147回も見たということに……。 |
ウィークリータクティカルドリル
みりどるの乙夜(いつや)さんが出す9つのお題をクリアすると、報酬をもらえるタクティカルドリルの週替わり版です。
現在のところ、お題を完遂した時の報酬は、好きなスキルを成長させられる“マスターレポート”だったり、武器のレア度を上げられる“換装ツール”(後述)だったりと、いいアイテムがそろっています。
マスターコマンドと違ってコツコツ遊べば達成できるお題ばかりなので、長い目で見ると戦力の底上げに役立つと思います。
▲何より、乙夜さんのセリフを毎週見られるのがたまらんですね。 |
防弾プレートが好きなタイミングで使用可能に
敵の攻撃から隊員を守る“防弾プレート”が、他のアイテムと同様、戦闘中の好きなタイミングで使用できるようになり、戦術の幅が広がりました。
これによって、“念のために使ったけど意味がなかった”、“ケチったら隊員が死んだ”という状況が確実に減りましたね! また以前であれば、隊員が負傷した報告を受けても「とはいえ自分にできることはないし……」という感じでしたが、今回の仕様変更で大きな選択肢が生まれたと思います。
プレイ済みの人でないと実感しづらいですが、何気にデカい変更です!
換装ツールの登場
武器のレア度を上げる“換装ツール”というアイテムが実装され、マスターコマンドやウィークリータクティカルドリルといったコンテンツから入手できます。
武器の性能が戦力に占める割合は高いので、運に頼らず武器を強化できるアイテムの登場は非常にありがたい機能。入手機会が少ないので、どの武器に使うかは悩みますが、部隊編成のおもしろさが広がります。
▲換装ツールは倉庫のWEAPONメニューから使用できます。 |
弾薬やアイテムを節約するために
本作は、普通に戦うと弾薬を湯水のごとく消費してジリ貧になるため、いかに弾薬を節約して戦うかがプレイの課題になってきます。また、戦闘をサポートする防弾プレート、対戦車ロケット、航空支援といったアイテムも、使いどころを見極めたい貴重品です。
▲弾も尽きかけ、隊員をあと1人失えばミッション失敗……こんな状況はなるべく避けたいですね。 |
序盤を乗り越えるための基礎は先日公開された戦術指南に掲載されているので、ここでは筆者がプレイを重ねて意識するようになったことを紹介したいと思います。
強襲・補給強化ミッションを優先する
PMCが介入する紛争には複数のミッションが存在し、どのミッションを攻略して最終的な勝利につなげるかはプレイヤーが選択できます。ミッションの選択に迷う場合は、とりあえず強襲や補給強化などのミッションを優先的に攻略するのがおすすめです。
前者であれば敵の武装Lvが低下し、ミッション全体の難易度が下がるため、結果的に弾薬やアイテムを節約できる可能性が高まります。後者はターンごとに補充される弾薬が増えるので、1ターン内により多くのミッションをこなせるようになります。
ただ、紛争によっては特殊な条件が課されているため、上記はどんな状況にも絶対当てはまるわけではありません。身も蓋もないですが、最終的にはケースバイケースです。
考えることが本作のおもしろさでもあるので、少しずつゲームに慣れながら、自分なりの戦略や戦術を確立していきましょう。
▲例えば防衛を目的とする紛争では、拠点を守り抜くのが第一。上の画面なら差し迫った脅威である緊急防衛を先に攻略すべきでしょう。 |
奇襲を徹底する
奇襲は弾薬消費が0で済むので、基本的には奇襲で敵を倒したいです。奇襲の重要性は戦術指南にも書いてありますが、中盤以降は“徹底する”くらいの意識でないと、無駄な戦闘を避けても弾薬はすぐに尽きると思います。
回り込んで後ろを取れる場合だけでなく、一見、回り込めない地形でも“警戒移動”を使って敵の索敵範囲(射程)内を突っ切れば、後ろに回り込めることがあります。また、廃倉庫に火をつけて敵をおびき寄せ、後ろを取るのも手でしょう。
▲大きく迂回することもできますが、制限時間がそれを許さないので警戒移動にて突破を図ります。 |
▲警戒移動で敵の索敵範囲を抜ける途中、偶然にも潜伏していた敵を発見。 |
▲無事に索敵範囲を突破。この位置に抜ければ、どの敵も容易に後ろを取ることができるので、あとは奇襲で各個撃破するだけです。 |
奇襲を諦めるのは敵がマップの端にいる時くらいで、その場合もサブマシンガン装備の隊員が2、3人いればワンチャンあるので賭けてみたいところです。
▲筆者の場合はサブマシンガン2名の編成。この角度は成功するか微妙ですが、うまく行けばめっけものです。 |
スキルを育てる
即効性はないですが、スキルノートを惜しまずにレベルを上げると弾薬やアイテムの消費量はだんだん変わってきます。
○○ガンナーなど各武器のマスタリースキルはレベルを上げると地味に効果を実感できますし、戦闘後に敵の弾を奪えるスカベンジャー、敵に先制されても奇襲で倒せるマッドドッグ系、スナイパーからの狙撃に反撃するホークアイ系のスキルも同様です。
▲正面かつ射程外なのに奇襲とは本当に強引(笑)。でも発動するとありがたいです! |
また、筆者が特に重宝しているスキルがLMGアンチタンク。ライトマシンガン装備時に戦車と装甲車を奇襲できるようになるスキルで、あるとないとでは対戦車ロケットの消費数が大きく違ってきます。
対戦車ロケットは、敵拠点を攻撃する際や、数の多い歩兵部隊、紫のエリート兵部隊などを相手にする時も有効なので、数の余裕が出れば、いろいろな状況に対戦車ロケットを使える戦術の幅が出てくると思います。
▲対戦車ロケットを使わずに戦車を排除! 敵軍に戦車が多くなってくると、欠かせないスキルになります。 |
隊員の育成や編成において、「この傭兵はクラス上限が低いし、スキルノートの肥やしに……」と思う場合も、戦闘に出すならスキルレベルを上げたほうが、弾薬やアイテムを節約できてプレイはラクになるでしょう。
▲スキルレベルを上げた隊員が死んだ際は、同じレベルのスキルノートを執行券や資金で回収できます。 |
ヴァイキングの秘宝をやる
弾薬を補充できる“弾薬支給”をはじめ、各アイテムは無課金のゲーム内通貨だと1日に2個ずつ購入できます。その元手を稼ぐのに役立つのが“ヴァイキングの秘宝”です。
ヴァイキングの秘宝は、8つのスロットのうち何を掘り当てるかはランダムですが、以下のことを覚えておくと稼ぎやすくなります。
・左列に星マークがある場合、そこから資金1,200を得られる。
・窃盗団に資金を獲られても、再び窃盗団を引くと取り戻せる。
・右列の1番下は窃盗団もしくは相場UP(掘り当てた総資金が2倍になる)。
▲画像の場合、資金1,200が2つ眠っていると予測できます。800も2つあるので、他の場所で○倍を引いてから手を付けるとよさそうです。 |
上記を踏まえて、最初は3倍→資金1,200or800の流れを狙い、十分に資金がたまったら相場UPを狙って仕上げに入ると、けっこうな収入になります。窃盗団に資金を奪われた場合は、随時、窃盗団を狙うとよいでしょう。
資金0で相場UPを引くとか、そもそも相場UPがないとか、運の悪いケースもありますが、闇雲に掘るのではなく、○倍→高額資金で金をためる流れを意識すれば、何度もチャレンジするうちに平均していい収入源になると思います。
マネジメント要素とカタルシスにハマる作品
本作は、戦闘で隊員が死にやすく、死んだ隊員は復活しないというシビアなゲームシステムが採用されています。弾薬をはじめとした物資の面でも余裕が少ないです。
▲弾薬は本作の鬼門でしょう。正直、ゲームに慣れるまでは弾薬支給に課金していました。慣れてくると、弾薬支給自体、あまり使わず済むようになります。 |
ただ、人材と物資のマネジメントが苦しい状況を乗り切るゲーム性にはやり応えがあり、PC向けのコアゲームを遊んでいるかのような、考える奥深さと深い達成感を得られます。
また、戦闘で隊員がどんどん倒れていくからこそ、そこにカタルシスを感じ、生き残った傭兵に愛着を持てる部分があります。そして、愛着の湧いたキャラが死ぬ悲劇もまたドラマ。筋道の決まったシナリオではなく、1人1人のゲームプレイから自分だけの物語が生まれる作品だと思います。
▲レジェンドと呼ばれる固有スキルを持ったキャラだけは、死んでも再雇用できる可能性があります。 |
キャラが恒久的な死を迎える要素は人を選ぶので、隊員が死ぬ納得感については、もう一段厚いフォローがあったほうがいいのかもしれませんが、コアゲームに慣れ親しんだ人は現状でも十分にハマれるゲーム性を楽しめるでしょう。
将来的に対人戦の実装予定はあるものの、現時点では完全に自分のペースで遊べるゲーム内容なので、歯応えとゲーム性を求める人は、今のうちにプレイしてはいかがでしょうか。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
データ
- ▼『BLACK COMMAND(ブラックコマンド)』
- ■メーカー:カプコン
- ■対応機種:iOS
- ■ジャンル:SLG
- ■配信日:2018年9月26日
- ■価格:基本無料/アイテム課金
- ▼『BLACK COMMAND(ブラックコマンド)』
- ■メーカー:カプコン
- ■対応機種:Android
- ■ジャンル:SLG
- ■配信日:2018年9月26日
- ■価格:基本無料/アイテム課金