2018年11月20日(火)
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はNintendo Switch用ダウンロードソフト『送り犬』をお届けします。
本作は、シナリオをスーパーファミコンの名作『学校であった怖い話』の脚本などを担当した飯島多紀哉さんが手掛けるノベルゲーム。プレイヤーをゾクリとさせるシナリオに定評のある飯島さんが、かつてモバイルでリリースした『送り犬』に新規シナリオを追加して再び命を吹き込みました。
音やグラフィックも強化されている本作の魅力をお伝えしていきます。
主人公は、女子大生の財部美穂。大学への入学をきっかけに、地元を離れて一人暮らしを始めたばかりです。美穂ちゃんは地元に住んでいたころ、おばあちゃんに“送り犬”の話をよく聞かされていました。
送り犬は八ヶ岳に住む妖怪。夜道を歩いている時に後ろからヒタヒタと足音が聞こえてきたら、送り犬がつけてきている合図。このとき、後ろを振り返ってはいけません。送り犬に食べられてしまいます。そのまま振り返らずに家に向かえば、送り犬は狼や魔物から守ってくれます。
また、送り犬が後ろにいる時に転んでもいけません。やはり、送り犬に食べられてしまいます。
▲もし、送り犬の前で転んでしまったら、こう言わなければならないと伝わっています。 |
美穂ちゃんは、おばあちゃんに聞かされた話のほとんどは記憶が薄れてしまいましたが、なぜかこの送り犬の話だけはよく覚えているとのこと。この伝承は物語を進めるうえでの重要な鍵になります。
ゲームはときどき出現する選択肢を選びながら、文章を読み進めていくというもの。選択肢が運命を左右するきっかけになるので、直前の文章をよく読んで選んでいきましょう。
▲選択肢が出た場面。初回プレイ時は考えすぎず、思うがままに選んでいくのがオススメ。 |
▲友だちのまどかに合コンに誘われましたが、筆者の選択で行かないことになりました。 |
▲そして……夜道で一匹の犬と出会います。 |
▲選択肢の中には、ちょっと恐ろしいものも見えますね……。 |
このように基本はストーリーを読んで先の展開を予想し、これだと思った選択肢をチョイスして進めていきます。選択肢が現れるタイミングが絶妙で、「こうしたいなぁ」と思ったことはおおむね実現できる印象です。
▲先程の選択を変えたら、合コンに参加して男子と仲よくなることができました! |
▲一度結末を見た後も、もう一度プレイしてみてください。選択肢が増えていることも……。 |
選択肢の選び方によって、複数あるルートのどれかに進んでいきます。一度ですべてのルートは遊べないので、セーブ機能を利用して後から別の選択肢を選べるようにしたり、最初から遊び直したりして新たなルートを探します!
▲エンディングは全部で35まであります。 |
▲セーブ、既読文章の早送り機能が実装されているので、周回は苦になりません。 |
選択によってタイトルを回収するルート、別の種類の恐怖を感じられるルート、さっきまでの怖さが嘘のような意外なルートなどに分岐していきます。中には、特定のルートでないと出会えないキャラクターもいます。
▲急にカワイらしいゲームになりました。この子たちが何なのかは、ぜひプレイして確かめてください。 |
▲同じキャラクターでも、ルートによって別の出会いをすることがあります。 |
▲プレイヤーの視点が美穂ちゃんではないルートもあるようです。 |
どのルートに進んだとしても、目指すのはエンディング。ルートごとに結末が用意されていますので、選択肢に頭を悩ませながら進めていきましょう。
▲スタッフロールの流れないエンディングは、まだそのルートの真実に辿り着いていないということ。 |
▲ルートの真実に辿り着くと、スタッフロールありのエンディングが流れます。 |
筆者が辿り着いた最初のエンディングは……とても恐ろしいものでした。ちゃんと導いてあげられず、美穂ちゃんには悪いことをしたと本気で思ってしまいました。その後、少し戻ってプレイし直して、スタッフロールまで導きました。
▲ホラータイトルなので、主人公が最後まで無事とは限らないわけです。 |
▲「どうしてこうなった!」と思わず叫びたくなるルートも……。 |
物語の随所でかかわってくる“送り犬”。細かい部分は地域ごとに異なっていますが、実は日本各地で実際に語り継がれている妖怪です。油断していると今夜あたり、出会ってしまう……かもしれませんね。送り犬に出会う前に、本作をぜひプレイしてみてください! 本作の中には、対処方法のヒントがあるので。
そして、恐怖を乗り越えて真相まで辿り着いてください。
(C)飯島多紀哉
(C) mebius.
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