2019年1月1日(火)

【おすすめDLゲーム】『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』は丁寧な作りが光るベルトスクロールACT

文:豊臣和孝

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はSteam、PS4、Xbox ONE、Switchにて配信中の横スクロール型アクション『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』を紹介する。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』

 本作は西暦120年の欧州ブリタニアを舞台にした横スクロールアクションゲーム。部族の誇りを胸に、侵略してくるローマ軍たちを撃退すべく激しい戦いを繰り広げる。

 ストーリーはゲームオリジナルだが、史実にもとづいて作られた壮大なもので、導入部からゲーム中の演出まで盛り上げに一役も二役も買っている。おもしろいのはアンロック要素で、取材にもとづき戦場となった場所や武器類などを紹介する資料性が高いものとなっており、とても遊びがいがある。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲西暦120年の欧州ブリタニアが舞台。ファンタジー要素も含まれるが史実ベースなので随所で使われるワードがグッとくる。
『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲豊富なアンロック要素。現地取材の写真なども多数使われており本当に楽しい。

 シングルプレイに加えて、2人でのマルチプレイに対応。操作するキャラクターは攻撃力や敏捷性などが異なる3人から選ぶことが可能だ。

 本作最大の特徴は、往年のアーケードライクなシステムやステージ構成。PC版はキーボードとマウスでもプレイできるが、本作がかかげる“古きよきベルトスクロールアクションと最新のバトルシステムの見事な融合”にならえば、ここはやはりPC用ジョイパッドやアーケードスティックで遊びたいところだ。

 難易度はステージごとにイージーとノーマルが選択可能で、初めて遊ぶ人やあまりアクションが得意ではない人はイージーから始めたほうがいいだろう。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲ベルトスクロールアクションが好きな人はコレを見ただけで食指が伸びるはず。

 念のため触れておくと、ここでいう“古きよきベルトスクロールアクション”とは、80年以前よりは90年代以降のキャラクターが大型化した作品群のこと。アーケード黎明期の独特な操作性も味わいがあっていいが「これくらいが普遍的ベスト」といったサイズ感やテンポが確立されたのは90年ごろで、今プレイしても古さなど微塵も感じさせない。

 フラッシュベースの動かし方は近年のインディーズアクションでは定番といってよく、力強いラインとタッチで描かれたキャラクターは野性味がありモーションやエフェクトもダイナミック。キーレスポンスも快適でアクションのよさをしっかり堪能できる。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲血しぶきや首が飛ぶなどのゴア表現はあるものの、グラフィックタッチ的に残虐感は希薄。
『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』 『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲ステージギミックや演出なども、思わずニヤリとさせてくれる。

 本作のバトルは断続的に出現する3~4人程度の敵を倒すことで進行していく。主人公のアクションは、剣攻撃、ジャンプ、防御、ダッシュがメイン。

 ベルトスクロールアクションの鉄則“立ち回り”が最重要で、なるべく片方に敵を集めるのがセオリー。挟まれると避けられない連続攻撃を食らうため、「ヤバイ!」と感じたら体力ゲージと引き換えに剣攻撃とジャンプのボタン同時押し(いわゆるメガクラッシュ)で周囲の敵を吹き飛ばすか、防御しつつダッシュ入力の回転で逃げつつ間合いを離すといい。ゲージを消費して一定時間無敵になれるレイジも、対ボスだけでなくピンチでも役立つシステムだ。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲挟撃は絶対に避けたいので危険と感じた瞬間に体力ゲージ消費で周囲を吹き飛ばそう。
『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲本来はボス戦向けのレイジだが、道中ヤバイと感じた時にも活用したい。

 本作の主人公キャラクターは上下移動があまり早くないため、いわゆる“軸ずらし”よりもダッシュで間合いをコントロールしたほうが戦いやすい。敵は攻撃してくる瞬間に“!”というインフォメーションが表示されるので、避けられない時やカウンターを狙う時なら防御、スカせるようならダッシュがいい。

 つかみ攻撃はモーション中に無敵がないため、まとまった敵がいる時は要注意。途中に落ちていたり隠されていたりする重武器は、振りこそ遅いが総じてリーチがあり攻撃力も高いので、剣攻撃のコンボに組み込んでいくと効果的だ。

『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
▲重武器は総じてリーチが長いため、コンボに組み込むと強い。

 近年の作品にありがちな成長要素はなく、あくまでもユーザーのプレイングに重点を置いた作風は、まさに“古きよきベルトスクロールアクション”をほうふつとさせる。決して豊富ではないが、ザコのバリエーションや攻撃パターンはメリハリがあり。ボスも奇をてらわないまっとうな強さで好印象。

 ステージも長すぎず短すぎず、難易度によるがラスボス含め3時間弱はアクションゲームの見本のような尺。じっくり腰をすえてもいいし、ちょっとした合間に「あのステージもう1回やってみようかな」とつまむ程度に楽しめるのもいい。アクション系が好きな人はもちろん、気になる人はぜひ一度触れていただきたい良作だ。

データ

▼『Wulverblade(ウルヴァーブレイド)』
■メーカー:Darkwind Media
■対応機種:PC/PS4/Xbox ONE/Nintendo Switch
■ジャンル:ACT
■発売日:2018年9月6日
■価格:PC 1,520円 / PS4、Switch 1,980円 / Xbox One 1,620円
※開発:Fully Illustrated
※日本サポート:架け橋ゲームズ

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