2018年12月27日(木)
さる12月14~16日の3日間、1月配信開始予定のスマートフォン向けゲームアプリ『スーパーロボット大戦DD』の先行テストプレイが行われた。コンシューマー用タイトルと同様の“シミュレーションRPG”と銘打たれている本作。果たして手応えのほどはいかに!?
いきなりの私事で恐縮だが、筆者と『スーパーロボット大戦』シリーズの付き合いは長い。中学生の頃(1993年)に『第3次スーパーロボット大戦』をプレイして以来の縁なので、もう25年もずっと『スパロボ』を遊んできたことになる。
もちろん無印『スーパーロボット大戦』『第2次スーパーロボット大戦』も、すぐさまそこからさかのぼってプレイしている。「第2次のグランゾンは遠距離攻撃が全部無効だった」のを覚えている人や、「第3次はゲッター3無双だった」という言葉にうなずいてくれた人とは、いいお酒が飲めそうなので、今度一杯どうですか?
▲往時の自分に言っても信じないだろう。まさか『スパロボ』がこんなにヌルヌル動く日が来るとは! |
閑話休題。そういうわけで、『スパロボ』は大好きなのだが、あまりにも脳筋なので、ゲームの腕前はからっきし。攻略本で攻略ページのお手伝いをしていたときも半泣きだった(泣いていたという説もある)。
だから、新システムを導入した新規タイトルとなると、どうしても身構えてしまう。『スパロボDD』は、そんなロートルプレイヤーである筆者にも楽しめる作品なのだろうか……。
▲テストプレイ範囲である“ワールド2”の参戦作品は7作品。新規参戦作品も楽しみだが、シリーズおなじみの、この顔ぶれにはホッとする。 |
結論から言ってしまうと「十分楽しめる」! というのも、“移動先を選択して、攻撃する敵ユニットを選ぶ”という、『スパロボ』シリーズの基本行動プロセスがそのまま踏襲されているからだ。
ユニットを動かす順番は、ターン製ではなくスピードによって決定され、武器や必殺技、精神コマンドは戦闘準備の段階でそれぞれ1つに固定されるので、こと戦術マップについては、従来の『スパロボ』作品を、より少ないタップ数でプレイできるように最適化していったシステムとも言える。
そのプレイフィールは、まさしく今まで慣れ親しんできた『スパロボ』そのものであり、戸惑うことなく初手からゲームを楽しむことができた。
▲『スパロボ』ファンおなじみの戦術マップ。青が移動可能範囲、オレンジ色が攻撃可能範囲だ。攻撃可能範囲は、通常技と必殺技とで切り替わる。 |
▲戦闘デモは、もちろんアニメーション。ボイスも付いているので、コンシューマー版とまったく遜色のないクオリティだ。 |
先に「十分楽しめる!」なんて言っておいていまさらだが、個人的には『スパロボ』の最大の魅力はストーリー……“古今東西のロボットアニメのキャラや機体が一堂に会する”というところにあると思っている。だから、ストーリーを差し置いて評価を下せないのだ。
では、肝心要のストーリー周りはどうなのか。まずは、主人公機のディーダリオンを見ていただきたい。
『スパロボ』ファンおなじみの大張正己さんによるオリジナルロボットで、個人的にはかなり好みのデザインだ。このディーダリオン、ストーリーの上ではロボットというより特撮の巨大ヒーローみたいな役回りになっていて、そこは『スーパーヒーロー作戦』を彷彿とさせる。
ディーダリオンのパイロット……というか、ディーダリオンに変身する主人公・ディドのキャラクターデザインは、ヤスダスズヒトさん。
ただ、今回のプレイ範囲である“ワールド2”のストーリーでは、ディ―ダリオンはともかく、ディドとしての出番は少なめ。むしろ、ヒロインのメグ(大門恵留)を中心として物語が進められていく。で、そのメグはこちら。
……でかい。間違えました(確信犯)。
こちらだ。メグもキャラクターデザインはヤスダスズヒトさん。乗機・メラフディンのメカデザインは『スパロボZ』でバルゴラを手がけた明貴美加さんだ。肩の開閉式スラスターに、氏のカラーがにじみ出ている。
前置きが長くなってしまったが、本作の物語は、メグが同僚のユンナとともに、ディーダリオンと彼に敵対する謎の巨人たち(アンギルオン&マービュオン)が引き起こした空間歪曲現象に巻き込まれ、見知らぬ世界に飛ばされてしまうところから始まる。
そこで、メグたちは各ロボットアニメに登場するキャラクターたちと出会い、ともに平和を守るための戦いに身を投じていくのだ。
▲友好的な関係を築いていたメグとディーダリオン(ディド)。だが、ディドは“人間を守る”という使命を除き、ほとんどの記憶を失っていた。 |
また、ストーリーの上で特筆しておきたいのは、各参戦作品の原作再現がとてもていねいなところ。近年の『スパロボ』では、シリーズを重ねてきたためか、新規参戦以外の作品の発端が描かれることはあまり多くない。
ところが本作では、『超電磁マシーン ボルテスⅤ』『ヱヴァンゲリオン新劇場版』『勇者王ガオガイガー』といったシリーズおなじみの作品も、原作の第1話に当たるエピソードをモチーフにしたストーリーが展開されるのだ。
原作を知らない新規プレイヤーでも楽しめる作りになっているのはもちろん、長年の『スパロボ』ファンとしては、“ワールド2”参戦作品の顔ぶれもあって『スーパーロボット大戦α』シリーズに通じるノスタルジーを感じ、そこが一周回って新鮮ですらある。
今のところクロスオーバー要素はやや控えめになっているが、今後の展開やイベントなどでフォローされていくのだろう。
▲もちろん「エヴァ」の、あの名シーンも再現されている。 |
▲岡長官が出てくると、とたんに『スパロボα』っぽくなると思うのは筆者だけだろうか。 |
▲マリーダの境遇に共感し、彼女をかばうフォウ。原作を思うと泣けるクロスオーバーだ。 |
『スパロボDD』では、自軍ユニットはガシャではなく、メインクエストの進行によって追加されていく。なので、本作に初めて触れるプレイヤーがまずやるべきことは、メインクエストのクリアだ。
フレンド枠として1機のレンタルが可能なので、都合3機のユニットを揃えれば最低限の戦力は整うのだが、今回は難易度の確認も兼ねて、フレンド枠は使わずに自前の戦力だけで、まずはメインクエスト“ワールド2”の制覇を目指すことにした。
だが、実はスタート時点で悲報が。年の瀬も近いということで、筆者も年末進行で忙しく、初日のログインボーナスをもらいそびれていたのだ。
ボーナスは、3日連続ログインで、ガシャが回せるDクリスタル✕250個、SSR確定チケット✕2が順にもらえるというもの。ガシャでは、ユニットに装着させることで必殺技やスキルが使えるようになる“ユニットパーツ”が排出。ユニット性能も強化されるので、自業自得とはいえ痛恨の失点……!!
ただ、運良くチュートリアル直後の10連ガシャで、SSRの「NT-D連続攻撃」を入手できた。SSRパーツともなれば、適当なユニットに装着させてもスキルや性能アップは強力だが、ここはやはりユニコーンガンダムに付けて専用の必殺技を使えるようにしたいところだ。
▲ユニットパーツは“強化”や“限界突破”によってパワーアップさせることができる。ユニットの性能に直結する重要な要素だ。 |
▲必殺技タイプのユニットパーツは、特定のユニットに装着すると、強力な必殺技が使えるようになる。ユニットごとに設定された通常攻撃1種のほか、必殺技1種だけで戦っていくシステムなので、選択は慎重に。 |
また、3ステップ目が支援タイプのSSRパーツ確定排出となるステップアップガシャが開催されており、初日のログインボーナスと、サクッとクリアした序盤2ステージのクリアボーナスのDクリスタルで、SSRパーツ「カミーユを支え続けた少女」を入手できた。
▲支援タイプの一部ユニットパーツは、装着するユニットによっては専用演出を見ることができる。例えば「カミーユを支え続けた少女」は、上が汎用演出、下がZガンダム専用演出だ。 |
先ほど“サクッとクリアした”と書いたが、メインクエスト各ステージの所要時間はじっくりプレイしても10分ほどで、テンポよく進んでいける。また、スタミナ制ではないので、各ステージがプレイし放題。
これなら“合間の時間にちょっとプレイ”というスタイルでも十分楽しめそうだ。序盤は難易度も低めなので、ユニットやパーツを強化しなくても、ほとんど手こずることはないだろう。
……だが、順風満帆に進んでいたプレイに風雲急、暗雲が立ち込めた。そう、あいつだ。ジェリド・メサだ。
こう言っては何だが、あのジェリドが信じられないくらい強い。おとものバーザムもこれまでのマップにはない大軍で、善戦はしたものの、あえなくゲームオーバー。初の敗北を喫し、部隊の強化を余儀なくされることになった。
僕はあの人(ジェリド)に勝ちたい……! 幸い、各種強化用クエストにも制限なく挑戦できるので、今作の目玉機能でもある“オート機能”を利用して、パーツ強化素材やユニット改造素材を集めていく。
使ってみてわかったことだが、この“オート機能”、とても便利なのだが欠点もある。1つ目は、精神コマンドや必殺技を使用してくれないこと。2つ目は、HPが低い手近な敵から狙っていくという思考ルーチンらしく、ターン経過で逃げてしまうレアエネミーのディポーターを取り逃がしてしまうケースが多いことだ。このあたりは、正式リリース後に改善していただきたいところ。
▲撃墜するとレアアイテムが出やすいディポーター。HPは低いが防御力が異常に高く、10ずつしかダメージを与えられない。 |
とはいえ、オート機能のおかげでジェリドも難なく倒せるように。しっかりと強化すれば、拍子抜けするくらいの相手だった。
そこからは、強化していないボルテスⅤが強制出撃でボアザン円盤にフルボッコにされてしまうという“スパロボあるある”的な展開があったものの、クリアボーナスのDクリスタルで「ヘルアンドヘブン」をゲットできたことも手伝い、ジャンギャル、マリーダ、シャアといった『スパロボ』おなじみの強敵相手にも引けを取らずに、最終局面まで戦い抜くことができた。
最初に手に入れた「NT-D連続攻撃」を装備したユニコーンガンダムも、八面六臂の活躍だ。振り返ってみれば、あの憎らしいジェリドは“序盤で超えるべき壁として現れ、進むべき道を指し示してくれる敵”という、とても王道な役割を果たしてくれた。
▲「ヘルアンドヘブン」はガオガイガー用の必殺技パーツ。基本威力が高い上、必殺技威力を底上げするスキル「勇者王」も付いているので、ガオガイガーが一躍最強アタッカーにのし上がった。 |
▲次々と現れる、HP10000を超える強敵たち。でもジェリドが一番ヤバかった! |
▲ボアザン円盤もキツかった。原作でもボルトマシン相手には結構強かったので、その再現かもしれない。 |
そして“ワールド2”のストーリーは、因縁の相手であるアンギルオン&マービュオンとの再会で幕を閉じる。とにかく謎だらけ、ものすごく続きが気になる“引き”なので、正式リリースが待ち遠しい!!
▲“エギリゴ”なる人物の存在が示唆される中で、“トリニティ・ゲート”が発動する……。 |
本編“ワールド2”の先行テストプレイはここまで。クリアボーナスとして、νガンダム用のSSRパーツ「クロス・レンジアタック」ほか、さまざまなアイテムがもらえた。
こうしてストーリー本編をクリアした筆者だが、イベント「忌まわしき記憶と共に」も開催されていたので、せっかくだからとそちらにも挑戦してみた。そして、我が目を疑うことに……。
「忌まわしき記憶とともに」はストーリーがなく、数機のギラ・ズールを従えたシャアのサザビーを撃墜するというシンプルなイベント。
今回のプレイ範囲では唯一、このイベントでだけ原作楽曲の「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」が流れるので、テンションはうなぎのぼりだ。やはり『スパロボ』はこうでなくては。イベント限定と言わず、どんどん原作楽曲を導入していってもらいたい。
ところが、このイベントボスのサザビーがめっぽう強い。中級でHP30000、上級に至ってはHP50000というケタ違いの性能で、上級サザビーが放つ必殺技の「ファンネル」は、ゆうに1万を超えるダメージを与えてくる。
本家『スパロボ』でも、こんな強敵はほとんど見たことがない。『スパロボA PORTABLE』のドン・ザウサーに匹敵するといえば、それはさすがに言い過ぎだが。
▲圧倒的な性能を誇る上級サザビー。何より絶望的なのは、セーブ&ロードができない一発勝負ということだ。 |
中級は“ワールド2”クリア時の戦力でなんとか制することができたものの、上級は全く歯が立たない。そこで、またしても“オート機能”の出番だ。だいたい3~4時間くらいかかっただろうか。ようやく、ここまで育てた。
▲改造度に偏りが生じているのは、一部の改造素材がなかなかドロップしなかったため。こうしたところはスマホアプリならではだろうか。 |
ダメージ源としては「ヘルアンドヘブン」を装備したガオガイガーが最有力なので、率先してユニット改造。全パラメーターを5段階改造するごとにボーナスが付くので、パーツを1つ多く装備できるようになる“スロット解放”を目指した。
ほかには「NT-D連続攻撃」を付けたユニコーンガンダム、「クロス・レンジアタック」を装備したνガンダム、趣味でメラフディンを同程度まで育成。それぞれSSRのパーツはレベル75の上限まで強化している。
“ワールド2”プレイ時には特に意識しなかったことだが、これほどの強敵になると、HPとは別に設けられた「ブレイクゲージ」の存在がカギになってくる。
これは攻撃を与えるたびに減っていくゲージで、0にすることでHPへのダメージを大幅アップさせることができるのだ。ブレイクを狙い、大技を叩き込む。これが、本作でのボス戦の常套戦術になるようだ。今回のケースでは、ブレイク後の「ヘルアンドヘブン」が、まさに勝利の鍵だ。で……。
トドメは「ヘルアンドヘブン」ではなく、ただの格闘(通常攻撃)になってしまったが、ガチンコプレイの結果なので、そこは許してもらいたい。トライアル&エラーや、育成を含めるとかなりの長期戦になってしまったのだが、その分達成感もすごい。
ちなみに、2周目以降もミッションボーナスがもらえるので、再度挑戦してみたところ、ファンネルが依然として大きな脅威だった以外は、さほどの危うさもなく上級サザビーを撃墜できた。手間暇をかければ、お気に入りのユニットが着実に強くなっていくことを実感できるのは嬉しい。
▲ちなみにこの後、例のジェリドにリベンジを挑んだら「圧倒的じゃないか、我が軍は……」状態。はっきり言って、筆者は先の敗北を根に持っていた。 |
先行テストプレイはこれにて終了! 期間ギリギリではあったが、上級サザビーを撃破することができたのは十分な成果だろう。
今回のプレイを振り返ってみると「いつもの『スパロボ』をやっている感覚」しかなかった。もちろん、素材集めやガシャ、属性の相性やスピードによる行動順の決定などなど、スマホアプリ向けに追加されたシステムも導入されているが、それが『スパロボ』らしさを損ねてはいない。
むしろ、従来作をコンパクトにまとめたようなシステムや、ていねいに原作を再現したストーリーの描かれ方、かなわない強敵が登場したらユニットを強化して出直すといった遊び方など、『スパロボ』の根本的な楽しさを思い出させてくれるような仕上がりになっていた。
筆者と同じように『スパロボ』がずっと好きな人はもちろん、昔プレイしていたけれど、しばらくシリーズから離れているという人にも、ぜひ一度触れてもらいたい。
テストプレイ範囲だった“ワールド2”では、「デビルマン(原作漫画版)」や「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「革命機ヴァルヴレイヴ」といった新顔が登場していないので、他のワールドでは一味異なる体験が楽しめるだろう。期待を膨らませながら、正式リリースを待ちたいと思う。
※情報は、発表日現在のものです。発表後予告なしに内容が変更されることがあります。
※画面は開発中のものです。
(C)賀東招二・四季童子/ミスリル
(C)カラー
(C)サンライズ
(C) SUNRISE/VVV Committee, MBS
(C)SUNRISE/PROJECT GEASS Character Design c2006 CLAMP・ST
(C) サンライズ・プロジェクトゼーガ
(C)サンライズ・プロジェクトゼーガADP
(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ・MBS
(C)ダイナミック企画・東映アニメーション
(C)東映
(C)永井豪/ダイナミック企画
(C)1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ」製作委員会
(C)2001永井豪/ダイナミック企画・光子力研究所
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