2019年1月28日(月)
『アトリエ』シリーズ20周年記念作品として、1月31日にPS4、PS Vita、Nintendo Switchでコーエーテクモゲームスから発売される『ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~』。本作は街の担当管理官となった主人公のネルケが、シリーズの歴代キャラクターたちの力を借りて街づくりを行いながら“グランツヴァイトの賢者”が残した賢者の遺物を見つけるべく奮闘する“街づくり×RPG”となっています。
そんな街づくりのスタートを目前に控えた特集第2回では、これまでの『アトリエ』シリーズにない遊び方の基本情報を総まとめ。さらに『アトリエ』シリーズ担当の編集Oが、そんな新しい『アトリエ』の魅力を、ロングインプレッションでお伝えします。これを読んで予習しておけば、街づくりをスムーズに進められることは間違いなしです!
<特集1回目の記事はコチラ>ネルケが“辺境の村・ヴェストバルト”にやって来たのは、担当管理官として街を発展させることが目的ですが、グランツヴァイトの賢者が残した“賢者の遺物”を探すという目的もあります。当然ゲーム中では両方を達成することが目標ですが、ゲームの進行という面で最重要なのが街の発展です。
この街の発展は“課題”という形で提示されますが、この課題はメインとサブの2タイプがあります。クリアが必須なのはメイン課題で、サブ課題は達成すると主に街の人口が増える報酬が用意されています。
▲提示される課題は達成の締め切りまでの時間(ターン)制限は長く、ハードルは低めとなっています。課題が提示されてから準備をしても、十分間に合いますのでご安心を。 |
課題は締め切りまで余裕がある設定ですが、もし達成できなかった場合はどうなるのか。残念ながらその時点でプレイは終了となります。ですが、その場合は周回ボーナス(報酬や住人の友好度上昇率がアップ)が付いた状態で再スタートが可能です。
さて、課題には締め切りが設定されていると紹介しましたが、ここからはその制限時間の概念となるターンの概要を解説しましょう。まず本作では休日と平日の行動を1セットで1ターンと計算します。休日は主に街の住人たちとのコミュニケーションや錬金術士たちと調査に出かけて、平日は街を発展させるための仕事を行います。
そして1ターンが終了した時点で、そのターンでのリザルトが提示。この画面ではどのくらい儲けたのか、どのくらい人口が増えたのかなどが確認可能です。
▲経営系のシミュレーションが苦手という方は、ここで何が不足しているのかを確認してみましょう。 |
1ターンは休日から始まります。休日に行えるのは以下のコマンドですが、1ターンには行動力の制限(最大12)があり、“訪問”は1回で行動力を2消費する形です。また、“調査”もこの行動力で調査時間が決まります。なお、調査に出かけた時点でほかのコマンドは選べなくなります。
▲休日の行動力は支持率の左に表示される緑色の円。 |
街の住人たちを訪問するコマンドです。訪問するとイベントが発生して経験値や友好度がアップしたり、まちの声(お金が稼げる報酬)を聞いたりできます。
▲友好度はイベント発生のフラグになります。なかにはランドマークが建築可能になるイベントも! |
街の外に出かけて調合に使う素材を集めます。調査できる時間は行動力の残量で決まり、調査ルートの最奥まで進むと、その次のルートが解放される仕組みです。なお、調査中に魔物と遭遇するとバトルが発生します。
▲調査するルートには投資が可能で、投資するとさまざまなプラス効果を得られます。よく足を運ぶ場所は投資すると調査の効率がアップ! |
▲調査は最奥にたどり着いたら終了。なお、調査中はダッシュすることも可能です(採取はできませんが、そのぶん早くたどり着ける)。 |
錬金術士の力を借りて行う研究には、物語の進行にかかわる“メイン”、戦闘で使うアイテムの“使用”、街づくりに使う“街づくり”、重大急報で使う“急報”の4カテゴリがあります。研究を進めるには、特定の錬金術士とアイテム、そして研究費が必要です。こちらは実行しても行動力は減りません。
▲研究が完了するまでにはある程度時間がかかります。 |
休日終了を選ぶか、または調査を終えると平日へ。ここでは街を発展させるためのコマンドが用意されています。各種コマンドはこのターンで何をするかという指定なので、全部決め終わったら“お仕事開始”を選びましょう。
▲メニュー画面では現在のヴェストバルトの姿も確認できます。 |
誰にどんな仕事を依頼するかを選びます。仕事は調合、販売、栽培、派遣の4つがありますが、調合だけは錬金術士でないと依頼できません。なお、住人たちには得意な分野があるので、適性にあったお仕事をまかせると、より高い成果を期待できます。
<お仕事依頼内容>▲調合は錬金術士に依頼しますが、いわゆる主人公の錬金術士のみが該当します(例えば『エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~』のノルディスも錬金術士ですが、本作ではお願いはできません)。 |
▲調合には素材だけでなく、源素と呼ばれるアイテムも必要です。これは情報メニューでアイテムを還元することでも手に入ります。 |
区画にどんな施設を建築するのか、または誰に該当施設を管理させるのかなどを決められます。 1ターンに建築できる数は決まっているので、ある程度先を考えながら実行しましょう。
▲建築できるものは、アトリエや食品店のような施設から、草や柵のような街を彩るアイテムまでさまざま。のちに上位の施設も建築可能です。なお、1区画で建設できるコストは制限があります。 |
錬金術士に調合を依頼します。ただし、街にアトリエを建築して、そこに錬金術士を設定していることが条件です。
▲錬金術士には調合のコスト(画面右上)があるので、この数値に収まるように依頼しましょう。 |
物語を進めるうえで達成しなくてはならない課題を確認できます。
調査では魔物と遭遇すると戦闘が発生します。本作の戦闘はネルケを含む最大5人までが参加可能で、参加メンバーは第1回で紹介したようにアタッカーとサポーターに分かれています。
▲ネルケを含む本作のオリジナルキャラクターはアタッカーで、それ以外はサポーターです。 |
アタッカーはコマンド入力が可能で、サポーターは自動で行動するのですが、このとき素早さが高いキャラクターほど、多く行動が可能になります。戦闘では1回行動するごとにドライブ(緑玉)が1たまり、それを消費することで強力なアクティブスキルを繰り出せるようになります。
▲コマンド入力ができないサポーターですが、ドライブを4つ使うアクティブスキルは任意に実行可能です。 |
▲戦闘中に使えるアイテムは、1回の調査で基本的に1種類につき1回ずつ使えます。 |
また、味方が行動するたびにたまるバーストゲージは、最大までためて発動すると、攻撃力などが上がる効果を得られます。
▲画面左下がバーストゲージ。ドライブゲージともに1戦闘での使い切りでなく、持ち越しが可能となっています。 |
歴代シリーズの錬金術士たちと再会できる! それに加えて『アトリエ』シリーズで活躍したキャラクターたちが100名以上も登場!! そんなオールスター的なにぎやかさに注目度が集まる『ネルケと伝説の錬金術士たち』ですが、まずはそこに対しての期待は裏切らないと宣言します。とにかく次から次へとキャラクターが登場して、知っている顔ぶれと再会するたびにテンションが上がりまくりです。
しかも、他作品の錬金術士たちとの交流エピソードがタップリと用意され、原作の想い出も蘇りながら、さらにそのキャラクターの新しい魅力を知ることができるのです。個人的には『アトリエ』シリーズの歴史を切り開いた『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』のマリーが最初に登場するのも、“ここからみんなと再会していくんだ”と期待感を煽る心憎い演出でよかったですね。
▲続々と伝説の錬金術士たちが登場。次に誰がどんな形で登場するのか、それが楽しみでついついプレイを続けてしまいました。 |
ちなみに歴代キャラクターたちの個性が強すぎて、ネルケたち新キャラクターたちは存在感で負けてしまうのでは、と心配していたのですが、そこはまったくの杞憂でした。ネルケはひたむきで真っすぐな性格で主人公然としているし、彼女以外の3人もきっと好きになれるはずです。
▲プレイ前とガラリと印象が変わったのがロータス。『アトリエ』キャラのパメラとの絡み方も、超自然でした(笑)。 |
で、そんなキャラクター性もさることながら、個人的にツボったポイントは今回のゲーム性です。最近の『アトリエ』シリーズは物語を楽しませることに比重を置いたバランス傾向で、制限時間内での試行錯誤という部分が抑えられていたと思うんですね。
もちろん、かわいい(一部カッコイイ)主人公が錬金術で道を切り開く……そんな物語性とシステムの融合が『アトリエ』シリーズの魅力だと考えているので、そちらへの方向転換も大歓迎でした。でも、ちょっとだけ物足りなさを感じていたのも事実だったんですね。というわけで、ターン制ではありますが、ひさしぶりに時間制限があって、限られたなかでの試行錯誤が味わえるこの『ネルケと伝説の錬金術士たち』に、ドップリハマってしましました。
では、ここからはどんな部分で試行錯誤が楽しかったのか、いくつか例に語りたいと思います。まずは街づくりに必要なお金を稼ぐときの思考錯誤から。お金は錬金術士に調合を依頼し、それを販売することで利益を得られるわけですが、行き当たりバッタリで調合を頼むだけではうまく儲かりません。
儲けるには①需要を見極める、②何を調合させるかを考える、③必要な材料を用意する、④錬金術士が持つコスト(画面右上の数字)内で、いくつ調合させる、⑤どこで誰に販売させるかを決める、というような要素が絡み合うんですね。この一手先、さらにはその先を考えて遊ぶという感覚は、どこか昔の『アトリエ』ライクで楽しかったです。
▲材料の用意、調合、販売などさまざまな要素を並行にこなし、いかに儲けを出していくのかを考える。マルチタスクな思考が求められますが、うまく歯車がハマると気持ちいいんですよね。 |
また、街づくりの部分でも、どの区画にどんな施設を置いて、誰にその施設を管理させるという選択も試行錯誤の1つです。自分がこの手のシミュレーションゲーム好きという理由もありますが、プレイしていない間も“あの区にあれとこれを建てて、儲けをさらに伸ばそう”とか、“リディーとスールのアトリエはやっぱり隣に置くべきだよな”など、いろいろと妄想が捗りまくりでした(笑)。
▲例えば食品店を同じ区に固めて、さらに食品店の売り上げが上がる花などをたくさん植え、販売効率のアップを狙うなどができます。 |
そして最後は課題を制限ターンまでに達成させるためには、何を優先してどのタイミングで実行するという試行錯誤。とくに休日は行動力の範囲内で動く必要があり、研究を実行できるようにするために友好度を上げるか、お金を稼ぐための報酬狙いでまちの声を増やすかなど、そこでも試行錯誤が求められるのです。最終的にこだわればこだわるほど、数字となって結果に現れてくるので楽しいですね。
▲後半になって街の住人が増えると、訪問できる人数も相当数に。ここから限られたキャラを選ぶのが本当に悩ましい……。 |
この手の経営系ゲームが大好物のため、今回のインプレッションは試行錯誤に焦点を当てましたが、最近の『アトリエ』シリーズが好きな方は“面倒だな”と感じてしまう方がいるかもしれません。もちろん、小難しいことは考えずに、好きなキャラクターをひいきにして、自由気ままに施設を建築してもかまいません。いろいろなプレイスタイルを受け入れてくれる、懐の広いゲームとなっていますよ。特集第3回では発売記念開発者スペシャルインタビューをお届けする予定です。
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved. ※画面はPS4で開発中のものです。
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