News

2019年2月15日(金)

『メトロ エクソダス』レビュー。探索要素がバランスよく組み込まれたサバイバルシューターの良作

文:柏又

『メトロ エクソダス』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。

 スパイク・チュンソフトから2月15日にPS4/Xbox One『メトロ エクソダス』が発売。そのインプレッションを掲載します。

『メトロ エクソダス』

 『メトロ』シリーズは、核戦争後のロシアを描くドミトリー・グルホフスキー氏の小説の世界観をもとに制作された、ストーリードリブンのアクションアドベンチャーシリーズ。シリーズ最新作である本作では、従来作の舞台であったモスクワを離れ、主人公アルチョムは安住の地を求めてロシア全土を旅します。

 発売されたばかりの『メトロ エクソダス』のPS4版をプレイ。武器や探索などを含めたインプレッションをお届けします。

手作り感のある装備を駆使してロシアを旅する

『メトロ エクソダス』

 『メトロ』シリーズの魅力と言えば、わずかに残った戦前の装備品に加えて、パイプなどで自作された手製のアイテムが登場するアナログ感。例えば、ゲーム中の目的や周辺のマップは手帳を取り出して確認しますし、ライトなどに使うバッテリーは手動で充電する必要があります。

 さらに、ガスマスクを装着して汚染地域を探索する要素も健在。今作では、マスクの汚れをふき取れる他、戦闘で破損したマスクを修理することも可能です。ゲーム全体からするとささいなものですが、これらのガジェットやシステムが文明の失われた世界で懸命に生きるサバイバル感をよく出していると思います。

『メトロ エクソダス』

 また、主人公が使う武器は、FPSプレイヤーにはおなじみのカラシニコフに加えて、手製のサブマシンガンやショットガンなどが登場。今作『メトロ エクソダス』では弾薬を通貨とする売買要素の代わりに、スクラップや薬品といった素材を集めて弾薬や治療薬、ガスマスクのフィルターを作成するシステムを導入。カラシニコフに使うアサルトライフル弾は作成コストが高く、気軽に撃ちまくるのが難しくなっています。

 そんな本作の中で注目ポイントは、ベアリングのような鋼球を圧搾空気で発射するライフル“ティハール”。ティハール自体はシリーズ1作目から登場している武器ですが、ティハールに装てんする鋼球は作成コストが控えめで、さらにアルチョムの簡易作業台兼バックパックでも作れるという利点があります。

 ただし、ティハールの発射に使う圧搾空気は、手動でタンクに溜める必要があり、空気圧をつねに確認しなくてはならないという緊張感があります。

戦闘は武器の組み換えとステルスが重要

 今作では、放射線によって変異した凶暴な“ミュータント”に加えて、ロシア各地で独自のコミュニティを作っている敵対する住人が、主人公たちの行く手に立ちはだかります。限られた素材の中から弾薬や消耗品を作らなくてはならない本作では、弾薬の消費をなるべく抑えつつ敵との戦闘にあたることが重要です。

『メトロ エクソダス』

 そこで役立つのがアルチョムが持つ簡易作業台を兼ねたバックパックを使った武器のカスタマイズ。過去作では武器のカスタマイズはショップで行う必要がありましたが、今回はプレイ中にバックパックを開くとその場で武器のアタッチメントを組み替えて、状況に応じたカスタマイズが可能です。

『メトロ エクソダス』

 特にカスタマイズで性能が大きく変わる武器は“リボルバー”でしょう。リボルバーはロングバレルにライフルストック、4倍スコープを装着することでスナイパーライフルのように使うこともできれば、サプレッサーにホロサイトをつけて音を立てずに相手を倒すステルス仕様に組み替えることも可能です。状況に応じてその場で武器をカスタマイズしていけば、1種類の武器でさまざまな戦い方が可能となり、弾薬の消費を抑えることにもつながります。

 なお、拠点であるオーロラ号にはしっかりした作業台が用意されていて、ここではバックパックでできることに加えて全種類の弾薬のクラフトや、汚れて性能が落ちた武器のクリーニングなどを行えます。

『メトロ エクソダス』

 また、過去作でも重要だったステルス行動は今作でも健在。主人公の左腕に巻かれた腕時計には、周囲の明るさに反応してランプが点灯する機能があり、自身が敵に見つかりやすい状況かどうかを判断できます。この機能を使えば、暗闇にまぎれ、戦闘を避けて目的を達成可能です。暗闇を確保するためにたいまつやランプを消しながら進むこともでき、自分でルートを切りひらくことができるのです。

特色が異なるマップの探索が楽しい

『メトロ エクソダス』

 『メトロ エクソダス』では、オーロラ号に乗って最終戦争で破壊されたロシアの各地を旅します。線路上のオーロラ号を拠点とすることで、それなりの広さがある地域を自由に探索できるシステムとなっているのが特徴。探索によって弾薬や消耗品の作成に必要な素材だけでなく、バックパックやガスマスクなどの装備品をアップグレードできるアイテムが手に入ることも。なにかありそうな場所は、登場人物との会話や双眼鏡で遠方を観察することでマップに書き込まれていきます。

『メトロ エクソダス』

 物語は真冬のモスクワから始まり、進行に応じて季節が変化。雪解け水で大地がぬかるむロシアらしい場所や、大峡谷に設置された戦前の司令部など、多彩な世界が主人公たちを待ち受けています。訪れる土地ごとに、見た目だけではなくゲームプレイに異なる要素があるのも本作の魅力のひとつ。ゲームの進行に応じてガラリと変わる土地を旅するのは楽しく、プレイヤーを飽きさせない作りになっています。

 例えば、夏に訪れることになる“カスピ海”。現実のカスピ海は世界最大の湖ですが、ゲームの世界ではそのほとんどが干上がっていて、荒涼とした砂漠が広がっています。この時代でも採掘可能な油田のあるカスピ海では、車を使って移動ができる他、時折やってくる砂嵐をガスマスクで耐えるといった要素が。また、砂にまぎれて主人公を襲うミュータントや毒蛇などもいて気の抜けないエリアでもあります。

『メトロ エクソダス』

 プレイして感じたのは、本作はエリアがなかなか広いうえに、徒歩以外にさまざまな移動手段が用意されていて探索が楽しいということ。また、戦闘はただ倒すだけのものにはなっていません。難易度ノーマルでは正面きって戦っていると弾がどうしても不足がちになり、ステルスや武器のカスタマイズをしっかり使う必要性があり、奥深さがあります。

 主人公アルチョムのモノローグで進行する独特の雰囲気は過去作譲りで、シリーズファンなら間違いなくハマれるかと思います。過去作のプレイ経験がない人も、他のポストアポカリプス作品とはちょっとおもむきの異なるゲームが展開するので、オススメです。

(C) 2019 and published by Koch Media GmbH, Austria. Deep Silver is a division of Koch Media.Deep Silver and their respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. Developed by 4A Games. 4A Games Limited and their respective logo are trademarks of 4A Games Limited.Inspired by the internationally best-selling novel METRO 2035 by Dmitry Glukhovsky. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved. Licensed to and published in Japan by Spike Chunsoft Co., Ltd.

データ

関連サイト