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2019年2月27日(水)

スクエニの名曲がジャズアレンジでさらに輝く! SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-の公演をレポート

文:電撃オンライン

 スクウェア・エニックスの人気楽曲をジャズアレンジした2枚のアルバムから、選りすぐりの曲を披露するジャズライブが開催されました。“Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-”と銘打たれた本イベントは、“ゲーム音楽史上初のBillboard Liveでのオフィシャル1st LIVE開催”という特別なもの。2月9日に大阪・Billboard Live OSAKAで、2月23日と24日には東京・六本木のBillboard Live TOKYOで、全6公演が実施されました。

 この記事では、2月23日(土)の1ststage(1部)の公演の様子をレポートします。

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲エントランスでは、CDのジャケットを手掛けたNOVOL氏のイラストがお出迎え!

 オープニングを飾ったのは、『FF』シリーズを代表する“メイン・テーマ”。誰しもがピンとくる定番の名曲からスタートしました。何度も聴いて覚えこんだ楽曲だからこそ、ゲームをプレイした時の音源とは異なるジャズアレンジでも、スグに引き込まれ、これから始まる公演への期待感がグッと高まりました。サックス、トロンボーンの突き抜けるような明るさを感じさせる音色もあいまって、会場全体が一気に熱量を帯びていくのが感じ取れました。

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-

 続いては『FFVI』より“仲間を求めて”。原曲のメロディアスな部分を引き継いでおり、オーソドックスなジャズの良さを堪能できるアレンジに感じました。

 3曲目は『ロマンシング サ・ガ2』より“七英雄バトル”。伊藤賢治さんが手がけた、特に人気の高いこの曲。力強いドラムでさらに盛り上がりをプラスされ、「CDで聴いていたときですら気持ちがたかぶったのに、生演奏だとさらにだと…!?」と、ライブの熱量を目の当たりにした1曲に。

 曲間のMCパートでは、川村竜さんと伊藤賢治さんの交流エピソードや、川村さんが『ニーアオートマタ』をトロフィーコンプリートしたというゲームへの情熱がうかがえるお話が披露されました。トロコンに要したプレイ時間は200時間だとか! 

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-

 そんな『NieR』シリーズへの愛が深いエピソードが披露されたMC明けの曲は“イニシエノウタ”。ウッドベースの野太いストリングスを感じられる厚みある1曲に。続いての“APOCALYPSIS NOCTIS”では、フルートの奏でる美しい旋律、繊細なピアノソロ、サビでの全員の一体感、その後も各パート次々とメインを担ってパスをつなぐような印象的なアレンジでした。

 ジャズのライブパフォーマンスでは即興性が醍醐味の一つ、と言われていることを思いだしたのも、この曲の変化にとんだ音色を楽しませてもらったからかもしれません。

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Tb・中川英二郎さん。
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Bass・川村竜さん
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Drs・髭白健さん
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Piano・宮本貴奈さん
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Gt・鈴木直人さん
Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-
▲Sax・庵原良司さん

 続く“ザナルカンドにて”は、第1部のセットリスト用に用意された一曲。アコースティックギターの切ないメロディに、このままずっとこの曲と時間が続くんじゃないかと思える、そんなノスタルジックな気分になりました。“風の憧憬”では、とにかくサックスのかっこよさが映えるアレンジ。“Swivel”はドラムスティックを持ち替えての演奏を、目でも耳でも楽しめました。

 ステージとの近しい距離感の恩恵により、プロの超絶技巧を楽しめました。スティックの形状が違うことで音色の変化もこんなに幅があるものかと、思わず身を乗り出してかぶりつきに。ラストの“妖星乱舞”では最初からクライマックス感。ミラーボールの演出も相まって、会場のムードも一気に最高潮に。ケフカ戦がこんなかたちで楽しめるとは…! と興奮しきりでした。

 大興奮さめやらぬなか、本当のラスト曲・アンコールではアルバムにも収録されていない“エミール”。またしても川村さんの『NieR』熱を感じる気合の入った新譜に、会場からは歓声があがりました。このアンコール曲も、1ststageと2ndstage(2部)で異なる構成とのこと。完成された名曲が、ジャズアレンジでさらに輝きを増すことを証明した1ststageは、大きな拍手のなか終演となりました。

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-

オーケストラコンサート“Distant Worlds”、ウィンドコンサート“BRA☆BRA FINAL FANTASY / BRASS de BRAVO”参加経験者へ

 普段からスクエニゲームシリーズのコンサートには参加している、ゲームミュージックの演奏会には慣れ親しんでいるという人に、今回のジャズライブの魅力をお伝えします。

 「いつもと違った体験ができますよ!!!!」

 この一言に尽きます。

 広いコンサート会場で感じるあの荘厳な感じ、大人数のオーケストラによる音圧やら、とくに思い入れのある曲では思い出のゲームシーンが脳裏に再生されて目頭が熱くなってしまうあの感じ……。これまでにスクウェア・エニックスのゲームミュージックのコンサートに参加したことがある人、よく足を運んでいるよという人にこそ、また新しいゲームミュージックの体験ができる場が増えましたよ! と伝えたいです。

 コンサートホールと異なる魅力、ざっくりと以下の二つ、ご紹介したいと思います。

 1.食事してもいいの!?
 2.こんな至近距離で楽しめるの!?

 ジャズバー、ジャズラウンジということで、お酒をはじめとしたドリンク・フードの提供があります。各種コンサートホールでは飲食厳禁で、公演中は演奏を耳や目で楽しむことに集中しますが、今回の公演では、美味しいお酒や食事とともに、大好きな曲を楽しむことができました。


Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-

 筆者の席はステージに近しい前方エリアの上層フロア。ステージとは直角に位置する席で、ちょうど、ピアノの後方を上から見下ろすようなかたち。ピアノは鍵盤の上を滑るような手元が見える素敵な席でした。ステージ一番遠くのギターの弦を弾く手元の動きも見えるほどで、客席とステージの近さは、他のコンサートホールでは体験できないような距離感でした。

 Billboard Live TOKYOでは、客席の位置によってミュージックフィー(チケット代金)が変わりますが、最前列のボックステーブルは、演奏に熱が入ったトロンボーンの先が当たってしまうんではないか…!? というほどの至近距離。迫力のライブを目の前で観たい人、自身も楽器プレイヤーで、プロの指さばきを間近で見て技術を盗みたい人(笑)……極上体験ができるので、本当にオススメです。

 一方で、ステージを真ん前にとらえる席や、会場後方のカジュアルエリアという位置で演奏を楽しむのもまた最高です。ステージ、客席全体を俯瞰することができ、ムードは満点。

 普段とは違う時間の過ごし方をしたいという人にも、普段からジャズに親しんでいて、気軽に楽しみたいという人にも、どんな気分にもマッチする使い勝手良いエリアです。それもこれも、バーカウンターのたたずまいやテーブル、ソファー、照明といった細かい部分まで上質なしつらえがなされているBillboard Live TOKYOだからこそ……!

 今回参加できなかったという人は、次回の開催でぜひとも! 次回のライブ開催とアルバム第3弾のリリースを期待して待ちましょう!

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT-

【セットリスト】

1.メイン・テーマ Jazz Arrangement(FINAL FANTASY SERIES)
◆作曲:植松伸夫 編曲:中川英二郎
2.仲間を求めて Jazz Arrangement(FINAL FANTASY VI)
◆作曲:植松伸夫 編曲:中川英二郎
3.七英雄バトル Jazz Arrangement(ロマンシング サ・ガ2)
◆作曲:伊藤賢治 編曲:中川英二郎
4.イニシエノウタ Jazz Arrangement(NieR Gestalt/Replicant)
◆作曲:岡部啓一(MONACA) 編曲:川村竜
5.APOCALYPSIS NOCTIS Jazz Arrangement(FINAL FANTASY XV)
◆作曲:下村陽子 編曲:中川英二郎
6.ザナルカンドにて Jazz Arrangement(FINAL FANTASY X)
◆作曲:植松伸夫 編曲:川村竜
7.風の憧憬 Jazz Arrangement(クロノ・トリガー)
◆作曲:光田康典 編曲:川村竜
8.Swivel Jazz Arrangement(聖剣伝説3)
◆作曲:菊田裕樹 編曲:川村竜
9.妖星乱舞 Jazz Arrangement(FINAL FANTASY VI)
◆作曲:植松伸夫 編曲:川村竜

<アンコール>
10. エミール Jazz Arrangement(NieR Gestalt/Replicant)
◆作曲:岡部啓一(MONACA) 編曲:川村竜

【奏者コメント】


●庵原良司(Sax)
ファミコンの頃から遊んでいたファイナルファンタジーやゲームボーイで遊んでいた聖剣伝説の音楽と、こういった形で携われるというのが幸せなことだと思っています。皆さんも同じように楽しんでいただけていたら嬉しいです。ありがとうございました。
●宮本貴奈(Piano)
ビルボードといったらいつもジャズポップスもの・歌もので来ることが断然多いんですけど、今回はごりごりのインスト物でゲーム音楽をやるということで、すごく異色の企画ものだと思ってます。それをド直球でやるという潔い感じをとても楽しんでいます。すごいメンバー達と本気でがつんとやるとこうなるんだなと。毎回、本当にげっそり消耗するんですよ。まれにみる高カロリーな公演です。アルバムにも参加させていただいたので、このスクエニジャズシリーズを続けていけたらいいなと思っています。たくさんのゲームファン、ジャズファン、ビルボードファンの方に来ていただけたらと思っています。
●鈴木直人(Gt)
楽しいです。最高です。小学生の時に、ドラゴンクエストのテーマ曲をピアノで弾いてめちゃくちゃ人気者になったことを思い出しました。
●髭白健(Dr)
このシリーズは第一作から同じメンバーでレコーディングができて、今回もこうやって素敵な先輩方とライブができて嬉しい限りです。ありがとうございます。第10回まで呼んでいただけるように頑張ります!
●川村竜(Bass)
人生でゲームに費やしてきた時間が、今日やっと報われたような気がします。本当にありがとうございました。Vol.4、5…そして10まで頑張って続けていきたいなと思っているので、よろしくお願いします。ありがとうございました。この人気ぶりだったら海外公演も間違いないなと思ってますので。皆様の声で、スクエニさんを動かしてください。よろしくお願いします。
●中川英二郎(Tb)
この企画は5年ほど温めてまいりまして、ついにコンサートまでこぎつけました。本当に毎回楽しいメンバー、そして曲たちがいろんなところへ連れて行ってくれます、本当にありがとうございます。これまでに2枚作ったアルバムもすでに自分たちが十分楽しんでおりますので、この他にもいろいろな作品・ゲームから取り上げて、Vol.10まで頑張っていきたいと思います。

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