2019年4月7日(日)

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』試遊レポ。“さわれるマンガ”的なゲーム性がおもしろい【TOKYO SANDBOX】

文:キャナ☆メン

 4月6日・7日に、都内のベルサール秋葉原で開催されているインディーゲーム展示会“TOKYO SANDBOX”。会場に出展されていたゲームの中から、ライターの気になるタイトルをピックアップし、試遊レポートをお届けします。第1弾は『うっかり探偵の大正事件録(仮)』です!

 なお、本作はいわゆる“探偵モノ”ですが、記事内のテキストや画像には出展されていたプロト版のネタバレを含んでいます。あらかじめご了承ください。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』とは

 『うっかり探偵の大正事件録(仮)』は、口コミで広まって人気を博している自分探しタップゲーム『ALTER EGO(オルタエゴ)』を手がけたカラメルカラムの新作スマホアプリ。大正時代を舞台にした謎解きアドベンチャーゲームで、マンガ的なコマ割りの演出が表現として特徴的なタイトルになっています。

 主人公は、私立探偵の雁屋次実(かりやつぐみ)で、“何もなくともすっ転び、物をよく壊すとんでもなくうっかり者”というキャラクター。彼のうっかりは、出展されていたプロト版の事件でも発揮され、“うっかり探偵”の名に恥じぬ(?)活躍を見せてくれます。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲会場に展示されていたキャラクター表。なお、同様のものが公式Twitterで詳しく見られるので、気になる方はそちらで確認するのがおすすめです。

 その他、人間と鬼のハーフである苫米地蓮(とまこめじれん)、“自称”日本一の名探偵である茜川紀一郎(あかねがわきいちろう)、忍者の末えいでモノノケを察知できる水門泰樹(みなとたいじゅ)といった個性的な人物が多数登場し、ノリとテンポがいい会話劇を見ているだけでも、思わず笑ってしまいました。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲マンガのように展開する会話は、スマホで楽しみやすい形なのもいいところ。

プレイヤーがマンガにさわって話が分岐するユニークなシステム

 出展されていたプロト版では、鳴嶋家の当主を務めるお嬢様キャラクターの“柊子(しゅうこ)”が饅頭を盗まれてしまう、微笑ましい事件のエピソードを楽しめました。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』

 事件解決の道のりは、怪しいところを調べる“調査パート”と容疑者の証言のおかしな点を突いていく“尋問パート”に分かれ、いずれのパートもプレイヤーの行動によってシナリオが分岐します。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』

 ゲームシステムだけを語るとオーソドックスですが、本作がおもしろいのは、調査パートでプレイヤーがマンガに介入できるところです。ちょっとしたところでは絵をスワイプして窓を開け閉めしたり、重要なところでは“技術”というキャラクター固有の能力を使うことでコマの出来事が変化したり……。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲技術はいつでも使えるわけでなく、特定の場面で発動できます。

 マンガにインタラクティブに触れられる楽しさが、単純にビジュアルがマンガ的な表現であるのとも違う、新鮮なゲーム体験をもたらしてくれます。

 例えば、普通に怪しい場所を調べるだけでは行き詰まった時、ある場面で主人公の技術を使い、“次実がうっかり物を壊す”内容にコマを変化させることで、その先のコマでやれることが増える……という、マンガ的な表現とゲームシステムがカッチリ噛み合った作品になっています。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲怪しい場所を調べて針金を手に入れたものの、どうも使える場所が見当たりません。
『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲しかし、主人公の“うっかり”によって、あるコマで新しい出来事を発生させると……。
『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲手に入れた針金を使って折れたホウキを補修! 調べられる場所が増え、話が新たな展開を迎えます。

 尋問パートでは、容疑者の証言におかしなところがないか見定め、怪しいと思う証言をタップすることで主人公の推理が展開していきます。1度の尋問ごとに行動力を消費し、選択をミスすると単純にやり直しになりますが、状況次第では話が分岐する場合もあるとのことです。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲尋問パートでは、怪しいと思う証言をタップしたり、証拠を突きつけたりして進めていきます。

 なお、出展されていたプロト版には、ちょっとした遊び心が凝らされていました。証拠品を突きつける場面で、とある自分探しタップゲームで見覚えのある青い蝶を選べたのですが……ここでは『オルタエゴ』のプレイヤーがニヤリとできる演出に。会場で本作を試遊した人は、開発者の粋な計らいを楽しめたのではないでしょうか。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』

ありそうでなかった体験がおもしろいリリースの待ち遠しい作品

 ちなみに調査パートでは、あるキャラクターの技術を使うことによって、饅頭を盗んだのはモノノケの仕業であるという、言うなればモノノケ編のようなエピソードに話が進む分岐もありました。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』

 プロト版では、その展開をにおわせるだけで終わったのですが、会場で対応してくれたスタッフさんによると、製品版ではそうした純粋な探偵事件とは異なるシナリオにも続きの話を入れて、分岐のどちらもシナリオを楽しめるような作りを計画しているそうです。

 スマホに合ったマンガ的なストーリーの見せ方と、そこにプレイヤーが介入できるユニークなゲームシステムは、プロト版を試遊するだけでも作品のおもしろさを十分に想像できました。

 リリース予定は2019年とのことで、製品版に触れられる日が楽しみな1作です。

『うっかり探偵の大正事件録(仮)』
▲会場では、『ALTER EGO VR』のプロト版もプレイアブル出展されていました。

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