2019年4月11日(木)
4月6日・7日に、都内のベルサール秋葉原で開催されていたインディーゲーム展示会“TOKYO SANDBOX”。会場に出展されていたゲームの中から、ライターの気になるタイトルをピックアップし、試遊レポートをお届けします。今回は、その世界観に思わず笑い、ゲームは難しくとも夢中になれる『Mon Amour(モナムール)』と『箱だけのブルース』の2作を紹介!
『勇者ヤマダくん』や『BLACK BIRD』などを手がけるOnion Games(オニオンゲームス)の最新作は、主人公のおじさんがステージに囚われた女性にチューをして救い出す『モナムール』です。
▲“おじさん×ラブ×ファンタジー”とも言えるような絵作りは、絶妙なテイストの雰囲気を感じられ、インパクトのある世界観を演出していました。 |
チューをするというアイデアと、何とも言えぬ味わいがある主人公のおじさん、さらには水彩画風な背景グラフィックなど、組み合わせの妙が光っていて、じわじわと世界観に引き込まれる魅力があります。
しかも操作がシンプルで、完全にワンボタンで遊ぶことが可能。前に進むおじさんをボタン連打でうまく浮かせながら、上下の壁にぶつからないよう進み、画面端の女の子にたどり着いてチューができればステージクリアです。簡単に書くと、『moon』のジンギスカンをとてもリッチにしたようなゲームと言えます。
▲女性にチューをすると、次のステージからおじさんの後ろに付いてくるように。 |
いい塩梅に連打をしないと、おじさんはすぐ壁に激突するので、一瞬の操作ミスが命取りになってとにかく死にまくる! ビジュアルや世界観のゆる~い雰囲気とシビアなゲーム性のギャップが、作品として非常にユニークです。
その他、得点を得られるハートマークや壁を破壊するフルーツボムといったアイテムがステージ中に存在するので、ゲームとしては“ミスをしやすいのに1ミスが重たい”という中で、いかにスコアを狙っていくかを楽しめそうです。
また、アテンドしてくれた倉島一幸氏によると、製品版は10ステージずつを区切りにして構成される予定で、後ろを付いてくる女性たちは、10ステージ目をクリアすると完全に救出したことになる形を考えているとのこと。そうして救い出した女性たちを、コレクション要素のように閲覧できる機能も検討していると話してくれました。
ちなみにリリースは年内の予定で、ワンボタンで遊べるゲームであることから、マルチプラットフォームを前提にして開発しているそうです。
感想としては、コンパクトながら中毒性を秘めたゲームといった印象で、もしスマホで遊べるなら、外出先の空き時間などで起ち上げると思わずムキになって遊んでしまうタイプの作品になりそうだなと感じました。
『箱だけのブルース』は、老若男女を問わず楽しまれているのが印象的だった、中野亘氏の制作による体感ゲームです。過去にイベントで見かけた際には、試遊する(体力的な)余裕がなく別の機会があればいいなと思っていたので、今度こそとプレイさせてもらいました。
本作の特徴は、何と言っても本物の段ボールを使った特殊コントローラで遊ぶユニークなゲーム性でしょう。
ゲームの概要としては、野球拳に負けて全裸になった主人公の“ボク”が、段ボールを抱えて裸を隠しながら帰宅を目指すというもの。途中、通行人に発見されると通報されて御用となるため、段ボールをタイミングよく動かして、中に身を潜めることが重要です。
▲裸であることを段ボールで隠しながら家を目指す“ボク”。 |
▲通行人とすれ違いそうになったら、急いで段ボールに隠れる! |
操作自体は、段ボールを上げると駆け足に、下げると忍び足に、そのまま床につけると段ボールの中に隠れます。なお、段ボールを上げすぎると、大事なところがポロリしてしまうのでご用心。モザイクがかかった状態で走る主人公の姿には、段ボールを取り落として腹を抱えそうになりましたが(笑)。
プレイしてみると、通行人とすれ違う際に素早く隠れるのが意外と難しく、コツを掴むまでは通報されまくりでした。
それでも、ゲーム画面がストレートに訴えかけてくるわかりやすいネタと、自分で段ボールを動かすという行為との一体感がおもしろく、失敗してもついつい夢中に。リベンジを頼み込みながら、何とかクリアさせてもらいました。いや~、おもしろかった!
▲段ボールでゲームをプレイする経験などそうそうなく、しかも遊んでいて笑える作品。ムキになって、段ボールを上げたり下げたりしていました(笑)。 |
まさにアイデア勝負といえる作品で、体感ゲームということもあって、実際にプレイすると想像していた以上に心躍る楽しさがあります。残念ながらプレイする機会はイベント出展時に限られるとのことですが、もし別のイベントで見かけた際は、ぜひ遊んでみてほしいゲームです。
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