2019年4月24日(水)

『リトルナイトメア』は逃げるアクションだけでなく物語の考察も魅力的なタイトル【綾那のゲームに夢中】

文:綾那

 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第20回をお届けします。

“綾那のゲームに夢中”

 皆さま、こんにちは! 今回の記事で、このコラムも平成最後となりますね……。別段なにか思うわけではないけれど、最後って聞くとしんみりはします。

 エンディング前は必ず一度ダンジョンの外に出て、なかなかラスボスに挑まない派の私です。最後って悲しいよな……。

 さて、今回かかせていただきますゲームのタイトルは『LITTLE NIGHTMARES‐リトルナイトメア‐』です!

“綾那のゲームに夢中”

 この大冒険が始まりそうなパッケージとは裏腹に、ジャンルは“サスペンスアドベンチャー”です。そして考察がとても捗(はかど)る奥が深~いゲームでございます。

考察がはかどる世界観

 主人公は“シックス”というお腹をすかせた小さな女の子。シックスは黄色いレインコートを着ており、その小さい体でモウの中からの脱出を図ります。

“綾那のゲームに夢中” “綾那のゲームに夢中”

 モウとは、胃袋と呼ばれる所。一見、船のようにも見えるし、孤島のようにも見える場所。

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 その場所は、死んだような眼をし醜く膨張した“ゲスト”と呼ばれる者達を招き入れ、たくさんの御馳走をふるまってくれます。しかし、家畜のようにご馳走を食い漁るゲストたちを待っているのは、明るい未来ではありません。モウに入った者は1人として出てこない……。

 そんなモウで働くのは手が長い管理人や、暴力と肉をこよなく愛する双子のシェフ。そして仮面を付けた気品漂うレディ。

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“綾那のゲームに夢中”

 シックスはこの者たちの目を掻い潜りながら、モウの外を目指すのです。

 このゲームを知ったきっかけは実況動画でした。世界観がとても好みだったのですぐにオンラインストアで購入しましたね。

 目的は“奇怪な登場人物の手を逃れながら外を目指す”と、いたってシンプルなのですが、冒頭で書いた通りこのゲームは考察面でとてもおもしろいなと思うんです。

 主人公のシックスという少女。

 なぜシックス……つまり“6”という名前なのか。なぜお腹を空かせているのか。公式に明記されているわけではないですが、“6”と空腹というキーワードから、知ってる方は“7つの大罪”を連想したりするのではないでしょうか。

 リトルナイトメアの舞台は胃袋といわれるモウ。「暴食を司るグラトニーと何か関係があるのかな?」など考えたりできますよね。本編にもシックスが食事をするシーンがあるのですが、その食べる物の順番が結構エグいんです。

“綾那のゲームに夢中”

 そしてモウの支配者といっても過言ではないレディの存在。彼女は自分の素顔を見ない、見せないを徹底しています。白い顔も仮面を付けているからで、あれは素顔ではないのです。それは彼女の部屋の鏡が如実に物語っていますね。すべて割れているんです。

“綾那のゲームに夢中”

 しかも管理人は盲目だし、双子のシェフもマスクを被っています。たまにマスクの中に手を突っ込んで顔をかいてる動作があるんです。誰にも見せない鉄壁の構え。

 ではなぜ見せたがらないのか? 自分の顔が醜くて嫌いだからなのか?

 そんなレディの顔、なんとダウンロードコンテンツ(DLC)第3弾で見られます! 見たうえで思い浮かんだのは、殺人者として有名なエリザベート・バートリ。自分の美貌と若さを保つために若い女性の血を浴び、女吸血鬼ともいわれるエリザベート。例えばモウに招き入れられてるゲストがレディの糧となる存在であったら……。その生気をレディが食べて生きながらえている存在だとしたら・・・?

 公式からの明記はないので、あくまでも私の勝手なる考察でしかないのですが、まあこのようにいろいろと己の中で考察を巡らせていけます。多くを語らず、「考察はプレイヤー自身でしてね!」というスタンスが私は好きなので、『リトルナイトメア』はそういった意味でも好きなゲームです。

シンプルながらハマるアクション要素

 目的はシンプル。操作もシンプル。でもタイミングは意外とシビアなこのゲーム。

“綾那のゲームに夢中”

 ゲームプレイの多くは、ライター1個で周囲を照らしながら暗い中を進んでいくのですが、たまにヒルのような黒い物体に襲われたり、モウの住人たちに追われたりするのでかなりハラハラします。こちらには攻撃手段がなく、ただ逃げるしかないのって本当に怖いですよね!

“綾那のゲームに夢中” “綾那のゲームに夢中”
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▲管理人と双子のシェフ。管理人にはよく捕まりました(泣)。

 高すぎる所から落下すると、そのまま死んでしまいます。「ここからならいけるやろ!」って思っても意外といけないものですし、ジャンプの操作でよくミスして死ぬという。

 一度はまるとなぜかそこから連続死しだす不思議。死のスパイラルってありますよね(白目)。私が結構死んだところは、真っ暗な所でたくさんのヒルが襲い掛かってくるのでそれを避けながらダッシュで逃げていく所と、大勢のゲストが猛スピードで追ってくる所でした。

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▲ヒルみたいなやつは水の上だと早くなるのがまた…!

 ゲストに追いかけられる所は初見だと「アイエエエェーーー」みたいな奇怪な声が出るほどに怖いです。

“綾那のゲームに夢中”
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▲土石流が迫ってくるかのごとき勢い。

 巨体なのに早い! 四足歩行で、まるで家畜が餌に群がる様に追ってくる! 迫力もあるし、『リトルナイトメア』随一のパニックスポットかと思います。このゲストが現れだしてから、なんとなくこのモウがどういう場所か薄々感じ取れだすので、ホラー味が上がってきます。

 部屋の中で、双子のシェフの1人がやばそうな物を料理しているのが襖(ふすま)の影越しに見えたりね。

 あと、本編ではやり込み要素となっているのがノーム! 三角の傘みたいなものを被っていて、何かに脅えて逃げていくのですが、シックスがぎゅうと抱きしめてやると逃げるのをやめます。

 とても謎の多いノームですが、本編よりDLCの方で活躍します。彼らが一体なんなのか、DLCで確かめてみてください。

魅力的なDLCが配信中

 本編ではシックスがモウから脱出するのですが、有料DLCではシックスとは違う少年キッドを操作して、モウからの脱出を試みることとなります。

 時間軸はシックスが脱出を目指してるのと同じ。実は本編の方でも、シックスとキッドは関わっています。どこで関わっていたかは、番外編3つすべてクリアした時に分かるでしょう。

 3つのDLCについて簡単に説明します。

DLC第1弾“The Depths-深淵-”

 冒頭から、懐中電灯を持った謎の女の子を追いかけていくことになるのですが、後々そのライトを拾うことから、おそらくその少女は脱出に失敗してしまったのでしょう。

“綾那のゲームに夢中”

 でも、シックスやキッドのように、このモウから逃げようとしている小さな子どもはいっぱいいそうです。その子たちが住人やレディに捕まった後にどうなるのかは、今ここでは分かりかねます。

 はてさて、このDLC第1弾ですが、水のステージオンパレードです。もうそりゃ「体、ふやけてるでしょ」ってくらいに、水に浸かっております。しかもおっさん人魚のような化け物がその水の中で待ち構えている始末。

“綾那のゲームに夢中”

 おっさん人魚の場所を確認しながら、慎重に、かつ大胆に水中から水面にういてるオブジェクトを渡っていかなければならないので、本編より苦戦しました。水を使ったギミックって、なぜに難易度が高いのでしょう……。

DLC第2弾“The Hideaway-ひみつのへや-”

 前回からの続きで、今回はぎゅーっと抱きしめてやるとノームがくっついてくるので、彼らの助けを得ながら進んでいくこととなります。

“綾那のゲームに夢中”
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▲ノームのカワイさは癒し♪

 1人じゃない安心感。誰かいると強気になるホラーゲームあるあるです。ここからまた、本編で追いかけっこをした管理人と再び邂逅します。

 目は見えずとも音にはとても敏感、そして動きが素早いので、スピードが大事になってくるのですが、そういう時に限って焦り、操作ミスして捕まってしまうんですよね。ホラーゲームで大事なことは“平常心”だと思います。まあ、絶対無理なんですけどね。

“綾那のゲームに夢中”
▲キッドが逃走している時、シックスもまた逃走中……?

DLC第3弾“The Residence-静寂のアトリエ-”

 いよいよレディのアトリエが舞台のDLC第3弾です!

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 何度、石化されたかわからない第3弾でした。ここで、仮面を付けた謎の影の小人のようなキャラが出てくるのですが、見た目も動きも不気味。1人倒すのに夢中で横からやられてしまい、結構苦戦しました。

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▲忍者のように直線ダッシュしてくるの、やめてくれ……。

 懐中電灯で倒せますが、あれは一体なんなんだろうか……レディにやられてしまった子どもなのでしょうか…。真相は文字通り、“闇の中”です。

 そしてこの話でレディの真の顔が見れちゃいます。なぜレディが鏡をすべて割っているのか。きっとそういうことなのでしょう。女はいつだって綺麗でありたいものですから……。

 そして待ち受けるとてもショッキングなエンディング。ホント、「うわあああぁぁ」ってなり、語彙力も消え失せます…。

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▲凝った仕掛けがあるDLC第3弾でした。

 すべてのDLCをクリアしてもまだ謎は残りはしますが、それでもモウの深淵を覗き見ることはできます。“LITTLE NIGHTMARES”とは何なのか。少年少女たちが悪夢のようなモウからの脱出を試みている様なのか。はたまたシックス自身のことなのか。

 すべての物語を歩み終わってみると、すごくマッチしたタイトルだなと思いました。

“綾那のゲームに夢中”

 皆さんも、この謎に満ちた悪夢の世界へ足を踏み入れてはいかがでしょう? PS4とPC(Steam)でダウンロード版が配信されているだけでなく、DLCを収録したパッケージ版『LITTLE NIGHTMARES‐リトルナイトメア‐ Deluxe Edition』がPS4とNintendo Switchで発売中です。

データ

▼『LITTLE NIGHTMARES‐リトルナイトメア‐』
■メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
■対応機種:PC
■ジャンル:ADV
■発売日:2017年4月28日
■価格:2,200円+税

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