株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEI)の発表によれば、25日午前(日本時間)アメリカニューオリンズで開催されたSIGTGRAPH2000(米国におけるCG分野での展示会)において、プレイステーション2のアーキテクチャを利用したリアルタイム・ビジュアライザー「GScube」による映像制作システムが展示された。
これは、かねてよりソニー・コンピュータエンタテインメントが提案していた、リアルタイムCG映像制作用のグラフィックワークステーションで、PS2に内臓されている大規模集積回路(LSI)を複数個搭載するなど、性能的には世界最高レベルとなる。また、こちらもPS2に搭載されていることで知られている「エモーションエンジン」と「グラフィックス・シンセサイザI-32」を、合計16ユニット内臓することで、システム全体の描画性能をPS2の約10倍にまで引き上げている。1920x1080ドット、毎秒60フレームのプログレッシブスキャン(順次走査)という高解像度表示も、これまでの水準を大きく越えている。
と、 これだけ聞くと、なんだか難しい言葉ばかりだが、最大描画性能が秒間12億ポリゴンと言われれば(PS2で最大秒間5000万ポリゴン)、なんとなくこのマシンの性能のスゴさがわかるだろう。
この「GScube」を使ったCG制作システムの優れている点は、最新最高速のブロードバンドサーバーを広帯域バスで直接接続することで、高精細度モニターやプロジェクタに高画質のCG映像を表示できるところにある。これまで、現場でのリアルタイムな映像確認が困難だったために不可能だった、細かな映像調整技術なども、この制作システムによって格段に進歩するというわけなのだ。クリエイターが、実際にリアルタイムで表示される映像を見ながらカメラワークや演出などを調整できるとすれば、これまで以上に表現豊かなCG映像が生まれてくることは間違いないだろう。
ちなみに、アメリカでのプレスリリースによると早くもこのマシンを使ったコンテントクリエイターとして、
・Eon Entertainment
・Manex Visual Effects/Manex Entertainment Inc.
・PDI/Dreamworks
・Silicon Studio,Ltd.(Intrinsic Graphics Inc社と共同でリアルタイムフライトシミュレーションプログラムを作成。1920x1080の解像度で毎秒60フレームの映像を表示するとのこと)
・Square USA,Inc./Square Co.,Ltd.
・Warner Bros.
などが名乗りをあげている。早く、「GScube」を使ったCG映像が国内でも見れるようになることに期待したい。どうでもいいことだけど、「GScube」はその名の通り、40センチほどの正立方体になるようだ。
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