ついにベールを脱いだ任天堂次世代ゲーム機 「NINTENDO GAME CUBE」!!


 まさに小さくて四角い箱といった感じの「NINTENDO GAME CUBE」。任天堂陣営が、満を侍して放つこの次世代ゲーム機の実力とはどんなものなのか? 幅約15センチ、高さ11センチ、奥行き16センチにまとめられたコンパクトなボディは、これまでROMカセットを基本メディアとしてきた任天堂製品にはなかったデザインと言えるだろう。4人同時プレイが可能なコントローラ端子が前面に配置され、背面には持ち運び用のハンドルが付けられているのが特徴だ(カラーは5色用意される)。使用するメディアは、松下電器産業の開発する容量約1.5GBの直径8センチの光ディスク。松下電器が独自に培ったという著作権保護技術を導入することで、不正コピーを防止するという。
 心臓部となるMPUにはIBMのPOWER PC”Gekko”を搭載。大容量の二次キャッシュメモリと組み合わせることで、安定した性能を確保している。また、最近業界で話題の1T-RAMを、メインメモリやグラフィックスLSI用混載メモリに採用している点も「NINTENDO GAME CUBE」の特徴的な部分だ。……と聞いても、あまりピンとこないので、おなじみのポリゴン表示能力で表してみると「秒間600万~1200万ポリゴン」となる。

  今回の発表で特に任天堂サイドが強調していたのが、「カタログだけではわからない、実際にゲーム制作現場で使った際のマシンの安定感」
だった。これについては、この発表会用に制作したという『スーパーマリオ128』(笑)を使って、宮本茂氏からの説明があった。簡単に言ってしまうと1体700ポリゴンのマリオが128人登場するデモソフトなのだが、ハイレゾが描かれたマリオたちが気持ち悪いくらいなめらかに動き回る様は発表会場を訪れた人々を驚かせていた。また、宮本氏が強調する「実際のゲーム制作に近い状況での安定した動作」をわかりやすくするため、画面の下にマシンにかかっている負荷がグラフで表示されていた。その後、トゥーンシェイドや透明化、ライティングといった処理が見せられたのだが、その間中グラフは全体の3分の1程度までの位置で安定していた。発表会で見せる映像を実際にゲーム制作に反映できる、という裏付けをしてみせるあたりは、さすが「ゲーム屋」の老舗といったところ。開発が難しいと言われたNINTENDO64からの反省をふまえて作ったという「NINTENDO GAME CUBE」が、これだけの高スペックを持ちながら、主役はあくまでもゲームであるとするあたりからもそれは伺える。

 発表会の最後に公開された情報によれば、この「NINTENDO GAME CUBE」の登場は2001年7月で、価格についてはまだ未定とのことだった。また、これまでの反省から、開発途中の情報公開を極力避けるという方針を打ち出し、次に「GAME CUBE」のハッキリした情報が見られるのは2001年5月にアメリカ・ラスベガスで開催されるE3会場であると結んだ。「GAME CUBEはあくまでゲームを楽しむための、純粋なゲーム機である」という方針を強く打ち出した「NINTENNDO GAME CUBE」と、任天堂のPS2追撃はいままさにスタートしようとしている。

「NINTENDO GAME CUBE」スペック

MPU IBM PowerPC "Gekko" 
製造プロセス 0.18μ銅配線技術
クロック周波数 405MHz 
CPU性能 925DMips(Dhrystone2.1) 
内部データ精度 32bit整数&64bit浮動小数点 
外部バスバンド幅 1.6GB/秒(ピーク)(32bitアドレス、64bitデータバス202.5MHz) 
内部キャッシュ L1:命令32KB、データ32KB(8way) L2:256KB(8way) 
システムLSI "flipper" 
製造プロセス 0.18μNECDRAM混載 
クロック周波数 202.5MHz 
混載フレームバッファ 約2MB 持続レイテンシ性能5ns(1T-SRAM) 
混載テクスチャキャッシュ 約1MB 持続レイテンシ性能5ns(1T-SRAM) 
テクスチャReadバンド幅 12.8GB/秒(ピーク) 
メインメモリ・バンド幅 3.2GB/秒(ピーク)
カラー、Zバッファ 各々24bit 
画像処理機能 フォグ、サブピクセルアンチエイリアシング、HWライト×8、αブレンディング、バーチャルテクスチャ設計、マルチテクスチャマッピング/バンプ/環境マッピング、MIPMAP、TrueBilinearFiltering、リアルタイムテクスチャ解凍(S3TC)など 
その他 ディスプレイリスト・リアルタイム圧縮解凍、動き補償機能(以下サウンド関連の機能はすべてシステムLSIに内蔵) 
サウンド専用 16bitDSP 
インストラクションメモリ 8KB RAM+8KB ROM 
データメモリ 8KB RAM+8KB ROM 
クロック周波数 101.25MHz 
最大同時発音数 ADPCM:64ch 
サンプリング周波数 48KHz  
システム浮動小数点演算性能 13.0GFOPS(ピーク)(MPU、Geometryz Engine、HW Lighting総計)
実力表示能力 600万~1200万ポリゴン/秒(実際にゲームを想定した複雑さのモデル及びテクスチャ等での表示性能)
システムメインメモリ 24MB 持続レイテンシ性能10ns以下(1T-SRAM)
Aメモリ 16MB(100MHz DRAM)
ディスクドライブ CAV(回転角速度一定)方式 平均アクセスタイム128ms データ転送速度16Mbpsから25Mbps
メディア 松下電器産業 光ディスクテクノロジー 直径8cmディスク 容量約1.5GB
入出力 コントローラポート×4 
デジカードスロット×2 
アナログAV出力×1 
デジタルAV出力×1 
シリアルポート×2 
ハイスピードポート×1
使用電源 専用ACアダプタ DC12V×3.5A
本体寸法 150mm(W)×110mm(H)×161mm(D)


下にあるのが「NINTENDO GAME CUBE」の専用コントローラ。
左右に開けられた冷却用の穴がハイパワーを物語っている?
用意されるカラーは5色。
ハードの性能を説明するために用意された『スーパーマリオ128』。ところせましと動き回る128体のマリオを見るだけでパフォーマンスの高さを感じることができた。
画面の下にあるのが、負荷を表示するバー。デモ中、バーが半分までいくことは一度もなかった。それだけ、動作が安定しているということだ。
(C)2000 Nintendo

■「NINTENDO GAME CUBE」
の周辺機器
NINTENDO GAMECUBE DIGICARD
4Mbitのフラッシュメモリー。
NINTENDO GAMECUBE SD-DIGICARD ADAPTER
松下電器産業のSDメモリーカードに対応したアダプター。
NINTENDO GAMECUBE MODEM ADAMPTER
56kbps、V.90対応のアナログモデム。本体裏面に装着する。
NINTENDO GAMECUBE BROADBAND ADAMPTER
広帯域ネットワーク用接続アダプタ。
NINTENDO GAMECUBE WIRELESS RECEIVER
RF方式を採用したワイヤレスコントローラのセット。通信距離は約10メートル。