DENGEKI CREATOR DO 2010 SPECIAL INTERVIEW トップページへ
物語をつむぎ出す作家 シナリオライター

過去の経験が今の大切な引き出しに

Q1:ゲーム業界に入ったきっかけはなんですか?
 大学3年のときに『FFV』を遊んだのがきっかけですね。遊ぶうちに自分でアイデアを考えたり、改善案を検討したりすることの楽しさに気づき、翌日にはゲーム業界への就職活動を開始しました。それまでは別の道に進むつもりで勉強していたので、周囲は「何を血迷ったのか」と驚いていましたね。

Q2:これまでに携わったタイトルは?
『マール王国の人形姫』『魔界戦記ディスガイア』『流行り神』のシナリオや作詞を担当し、プロデューサーとして調整役をしながら広報にも関わってきました。私は業界のなかでも特殊な経歴なのですが、営業職として採用されたあと、入社1カ月で麻雀ゲームのディレクターを任されました。それ以降、営業と開発の二足のわらじを履き続け、開発職専任になったのは2年ほど前ですね。そういう経歴なので、自分がクリエイターだという意識はないんです。

▲同社の代表作『ディスガイア』シリーズ。開発に妥協を許さない姿勢が、底なしともいえるお遊び要素を生んだ。

Q3:現在携わっている仕事の内容は?(ゲーム制作のなかでどのような役割でしょうか?)
 社長業とプロデューサー業を兼務していますが、業務の9割はプロデューサーです。開発・営業の両面から、お客様に喜んでもらえる商品をどう生み出すかを考えて実行すること、ゲームのコンセプトがぶれないように舵取りをすること、各チームのリーダーとコミュニケーションをとりプロジェクトを成功させること、その他やれることは何でもやること。それがプロデューサーの役割だと認識していますね。うまくいかないこともありますが、くじけずに反省して次につなげることが大切だと思っています。

Q4:ご自身のお仕事の魅力とはなんでしょうか。また、苦労される点はどのあたりでしょうか。
 1人ではできないこともチームでやれば実現できることと、そのチームの成果として商品を世に出せることが最大の魅力であり、お客様に喜んでいただけたときが一番幸せです。苦労は……毎日が苦労の連続で、楽ができたことは一度もないですね。そのぶん、やりとげたときの達成感は絶大です!

Q5:ご自身がゲームの制作に携わる際に、最も注意されている点はどのようなことでしょうか。
 常に相手がいることを意識しています。おもしろいと思えるだろうか? 笑ってもらえるだろうか? と、仕事に疑いを持ちながら第三者の視点で判断し、悪い部分は時間の許す限り改善していきますね。

Q6:これまでに影響を受けた作品や、クリエイターをいくつか教えていただけますか。
 いろいろなものに影響を受けていますが、とくにディズニーアニメやスピルバーグ作品はエンターテイメントのお手本ですね。笑いや感動、映像、音楽と、あらゆる方向から観る人をとことん楽しませようという貪欲さがにじみ出ていて勉強になります。

Q7:若い頃の自分にアドバイスを伝えるとしたら、何を伝えたいですか? またゲーム制作を行ううえで、過去の経験が役立っていることはありますか?
 「無駄使いせずに貯金しとけ」です。でも、いろいろなものを体験するために使ったお金も多く、それが少なからずモノ作りにも役立っているので、必ずしも無駄とは言えませんが。過去の経験で役立っていることは、学生時代のうちからゲームはもちろん、映画や小説など、さまざまなエンターテインメントを見聞きしたことです。その知識や体験がモノ作りの大切な引き出しになってくれています。

Q8:現在、ゲーム以外に取り組んでいることは?
 うーん、しいていえばダイエット……かな?

Q9:今後、ゲーム業界で携わってみたい仕事は?
 運よくやりたいことはある程度やれたので、これからは弊社のスタッフや関わってくれるクリエイターさんの夢や野望を実現するお手伝いをしたいです。

Q10:これからゲーム業界を目指す、本誌の読者にメッセージをお願いいたします。
 どんな形でもいいので、まず業界に入ることが大切です。希望の会社や職種以外でも、業界に入ればさまざまなチャンスが転がっています。入る前にあきらめたり、入ってもすぐに辞めてしまうのが一番もったいない。あきらめずに将来の目標を見据えて努力すれば、いつか必ず実現できるものです。がんばって業界に新しい風を巻き起こしてください!!

株式会社日本一ソフトウェア 代表取締役社長/プロデューサー/シナリオライター 新川宗平氏
 『マール王国の人形姫』シリーズや『魔界戦記ディスガイア』シリーズなどのシナリオ、プロデュースを手がける。2009年7月に日本一ソフトウェア代表取締役に就任。
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