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『水口&遠藤対談 マル秘トーク同梱版』 01 

 今から約20年前の'83年。伝説の縦スクロールSTGが誕生した。その作品のタイトルは『ゼビウス』。"サーガ"とも呼ぶべき壮大なストーリーに裏打ちされた世界観、洗練されたグラフィック、隠しキャラに代表される高い攻略性、プレイヤーを圧倒する巨大なボスキャラ……。そのすべてが当時のSTGのレベルを遥かに超えるものであり、紛れもなく『ゼビウス』は"ミュータント"(突然変異体)とも呼び得る存在だった。
 そして今年、『Rez』のプロデューサー水口哲也氏は、自らの作品を"ポスト『ゼビウス』を意識したモノである"と語る。"快楽発生装置"、"サイバードラッグ"など『Rez』に付随した数々のフレーズは、『Rez』がいかに斬新な作品であるかを物語っているといえる。『Rez』もまた『ゼビウス』同様、STG界に誕生した革命児なのだろうか。
 『Rez』発売の8日前となる11月14日、『ゼビウス』を手がけた遠藤雅伸氏の足はUGAへと向かった。もちろん、『Rez』について水口氏と語り合うために……。現在発売中の『電撃王』1月号「SEGA NAVI」コーナーでは紙幅の関係上、止むを得ず割愛した部分も含め、対談の様子をほとんどまるごと収録。これが"完全版"だ。


「僕がやりたかったことを伝えるには、
STGしかないと思いました(水口氏)」

水口氏(以下敬称略):僕が初めて『ゼビウス』を体験したのは高校1年生の頃。最初は友達が遊んでいるのを見て"いったい何なんだ、これは!"って感じで。それからずっと見てましたね。もちろんその後、自分でも遊んでましたけどね、学校サボって(笑)。でも、あの、『ゼビウス』を初めて目にしたときの衝撃は今でもハッキリ覚えていますよ。
 当時はもちろん、まさか自分がゲームの作り手になるなんて夢にも思ってなかったんですけど、その後、実際にゲーム業界に入って。で、それから10年ぐらい経ったときに、ゲームも含めていろんなモノから受けた影響を、どういった形で作品に繋ぐことができるかとても悩んだ時期があったんですね。 "ゲームの本質的な部分を突いていて、ハッとさせられるようなモノ"を色々とイメージしてたわけですけど、その中から"音がだんだんフレーズになって音楽になりながら、同時に色や光、それから身体に伝わってくる快感や快楽みたいなモノも音に繋がっていくようなゲームができないかな"と、なんとなくぼんやりと頭に見えてきたんですよ。そのときに、それをいちばんわかりやすくみんなに伝えられるスタイルは絶対STGだっていう確信もあったんです。STGなら何も考えることなく生理的に没頭できるハズだって。ちょうどその頃は自分の中に閉塞感みたいなものを感じていたこともあって、それを打ち破るためにも、過去にそれこそ"ガーン"と揺さぶられた『ゼビウス』にちなんで、"ポスト『ゼビウス』"っていう言い方をさせてもらったんですよ。でも、やっぱり今でもスゴイと思うのは、当時、なぜあんな作品を創れたのかっていうことですよね。世界観ひとつとってみてもあんなに奥の深い作品ってなかったし……。
遠藤氏(以下敬称略):単純に"若かったから"っていうのはありますよね。まあ多分、ゲームを作ろうと思ってないからああいうものになったんでしょう。それまでの文法どおりのモノを作りたくなくって、自分でこういうものが作りたいと思っていろいろやったわけです。僕は最初、単なるプログラマとしてプロジェクトに参加してたんですけど、プログラムを作ってくうちに絵とのコミュニケーション……、つまり与えられた絵を2パターンで書き換えるといったことだけじゃなくて、"プログラムでこういうことができるから、絵をこんな風に作っておけば、こういう効果が得られるはずだ"っていうことがリンクしてできるようになったんですよ。だから、自分でグラフィックもやるようになってから次第にああいう感じになったんですね。グラフィックセクションの人が帰っちゃってから、グラフィックの機械を使ってグラフィックを作っていったんです。まあ、それを認めてくれた会社も会社ですよね。当時はホントに"ペーペー"だったのに、"こんなことやってみたいんで、やらしてください"って他部署で作業してたわけですから。……もっとも、ずいぶん叩かれもしたけど(笑)。
水口:同じだ(笑)。
遠藤:叩かれるでしょう?
水口:まあ、叩かれるというか、みんなどうしたら良いか困っちゃうような感じですね。
遠藤:そうそう。『ゼビウス』のときは社長に見せて遊んでもらったんですね。かなり長い時間遊んでたんですけど、その後、"どうでした?"って聞くと、"ううん……"としか言ってくれなくて。"あれっ?"と思ったら、"とりあえず私がここまで時間をかけてプレイしたということで"って、それだけ言って帰っちゃった(笑)。自分では"それって良い評価なのかな"と思っていたんですけど、後で聞いたら、帰りながら一緒にいた役員の方に"おまえはどう思う? 俺にはよく分からない"って話されていたらしいです。"今までのゲームとなんか違うし、まあ良いか"って感じだったみたいですね。
水口:まだ『Rez』の結果が出てないので、叩かれるということはまだありませんけど、やっぱり色々といわれますよね。
遠藤:『スペースチャンネル5』(※1)でも色々と言われませんでした?
水口:言われますよ。やる前も言われましたし。
遠藤:だいたい、ああいうこと考えただけで言われるものなんですよ。
水口:うん(笑)。
遠藤:敵キャラとかに関しても絶対叩かれてるハズですよ。"なんだこれ。もうちょっと何とかならないのかよ"とかね。ホントは"あれだから良い"のに。「うらら」だって"ぎゅんぎゅん"してなきゃダメなんですよ、作る側としては(笑)。
水口:そうですね。そもそも、そういう自信があるから作ってるわけだし。"自信"っていうかイメージ、"現実にはまだ存在しないゲームだけど、それを楽しんでプレイしている自分"、そんなイメージを持てれば……。何て言ったら良いんだろ、うーん、"夢の中で夢を見ること"ってないですか? "夢の中で別の夢を見て楽しんでる"ような、そういう感覚が一度自分の中で生まれると、どんなに辛くても、たとえスタッフが"ワケわかんない"って言っても(笑)、諦めないで作り続けていける原動力になります。逆にそういうイメージが湧かないモノは途中で必ず破綻しますよね。
遠藤:本当にそうですね。それに、自分で持ってるイメージを上手く伝達できないと、結局、思ったとおりのモノができなくて破綻するっていう。『ゼビウス』の場合、グラフィックも自分で描いてるから良かったんですけど、規模が大きくなって破綻しちゃうっていう場合も結構ありますよね。やっぱりコンセプトが作品の中でキレイにまとまってる方が絶対に"美しい"わけで、今回の『Rez』はそういう意味でいうと非常に美しいですね。"ちょっと物足りないかな"ぐらいのところが良いんですよ、実は。こういうのって人が見ると、"もうひとつ別の切り口でなんかないの?"とかって言ったりするんですけど、"うぜえよ、この野郎"って思うでしょ(笑)。
水口:"もうちょっと派手に見せた方が良いんじゃないの"とか、"リアルに見せた方が良いんじゃないの"とかは良く言われますよ。でもそれはやっぱり、実際に遊んだときのことを考えてないっていうか。
遠藤:"やりもしないで言うなよ"っていう話もあるしね。
水口:ええ。食べないでまずいって言ってるのと同じ感じはやっぱりありますね。でも、だから"食べてくれ"ってこっちからあんまり言うのも……。毎度毎度のことなので(笑)。



遠藤雅伸氏プロフィール
'81年にナムコに入社。同社にて『ゼビウス』('83年/AC)、『ドルアーガの塔』('84年/AC)など、"新しい"作品を数多く手がける。'85年に独立、「ゲームスタジオ」を設立し、現在にいたる。42歳。
水口哲也氏プロフィール
『Rez』プロデューサー。'90年にセガ入社以降、『セガラリーチャンピオンシップ』('94年/AC)、『スペースチャンネル5』('99年/DC)などを発表。現在はユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(UGA)代表。36歳。

『Rez』データ
『Rez(レズ)』
■メーカー:セガ/UGA
■対応機種:PS2/DC
■発売日:11月22日
■価格:6,800円
(C)UGA / SEGA, 2001

脚注
(※1) スペースチャンネル5
'99年にDCで発売。女性リポーター「うらら」が、踊りで宇宙の平和を守る音楽ACT。
ハイセンスなサウンドとビジュアルも話題になった。続編となる『パート2』が2月14日にPS2とDCで発売される。