電撃ドットコム > 電撃オンライン > インタビュー > 『ニュールーマニア ポロリ青春』 佐々木朋子さん編

SOFT  

『ルーマニア』シリーズの母である、クリエイターの佐々木朋子さんにインタビューを敢行! 発売から2カ月経った今だから語ることのできる、『ニュールーマニア ポロリ青春』(以下『ポロリ青春』)の制作時の苦労話や裏話を聞いた。また、主人公・ネジの声&モーションを担当された役者の清水聖さんの捕獲…もとい接触に成功。インタビューから清水さんとは一体どんな人物なのか、鋭く迫る!

■チュートリアル 『ルーマニア』はこうして生まれた!!
──:『ルーマニア』は部屋をのぞく…という、かなり斬新なシステムのゲームなわけなのですが、どういったことをきっかけにこういったゲームを思いついたのですか?
佐々木朋子さん(以下敬称略):実は私が考えたのは、単にテレビの中に生活している人がいて、その生活をのぞくといった本当に大枠の部分だけなんです。でも、ただのぞくだけじゃあ、ゲームにならないってことで、企画の人たちが、ナビやカレンダーのシステム、ガサ入れなどのシステムを考え抜いてくれて、こういう形になったわけなんです。なので、私は原案だけなんですよね、実際に考えたのは。
──:ゲームシステムの部分では、佐々木さんはアイディアを何か出されたりはしたのですか。あと、シリーズ2作品で担当されたことというのは?
佐々木:『ルーマニア#203』(以下『#203』)の企画を考えたあとに、病気で半年ぐらい休んでまして、その間にゲームシステムが考えられていて……。元気になって会社に復帰したころには、もう私のやることはもうありませんでしたね(笑)。それで、「じゃあ、本編に関係ないところで、何ができることはないかな?」ってことで、ゲーム中に実際に見たり聞いたりできる、テレビやラジオ番組とかを作り込んでみたらおもしろいかなと。なので、『#203』の時はゲームシステムなどの部分は専門家におまかせして、サウンドと一部のシナリオを担当はしましたが、本編とは関係ない部分ばかり一生懸命作ってましたね。一方『ポロリ青春』は、シナリオは半分以上担当していますし、設定やもちろんテレビ番組も自分で一部はシナリオを書いたり、プログラムとかデザイン以外はほとんど関わっています。


■シナリオ#01 前作からの反省。そして、システムの改良
──:『#203』をプレイした人間からだと、『ポロリ青春』はかなり遊びやすくなってると感じたのですが。
佐々木:たぶん、シナリオを楽しみたいと思ったユーザーさんが「遊びやすくなった」と感じられたと思うんですよ。というのは『#203』は、ネジの生活を観察するって要素を大切にしていて、それをメインにしようということで、実はシナリオはサブ的遊びだったんですよ。でも発売後ユーザーさんの反応を見てみると、シナリオの評判がとてもよくて、「なんでシナリオが、こんなに少ないんだ」って声が多かったんですよ。それで『ポロリ青春』では、シナリオを遊びのメインにしましょうといことになって、システムもシナリオが遊びやすいように改良してあります。
──:前作よりもシナリオに入りやすくなってますね。
佐々木:前作はゲームを始めると、まずフリーゾーンがあって、そこから各シナリオへ進んでいかなくてはいけなかったので、シナリオに入れず、何がなんだかわからないまま終わっちゃう人も多かったみたいで。『ポロリ青春』の場合は、最初からシナリオの起点となるナビが始まるようになってるので、最初からつまずかないようにしてあります。ただ前作のシステムの方がよかったという意見もあって。前作は同時に複数のナビが発生して、どのシナリオに入れるかが選べるじゃないですか。そこは私も残したかったんですけど、やっぱりシナリオの量が多いので、複雑にならないように一本道のようなシナリオ構成にしました。
──:シナリオを重視したといえば、運動会に行く前の数日間は腹筋やスクワットをしたり、シナリオに沿った行動を取るようになりましたね。
佐々木:『#203』の時は、ネジをAP&I(アーティフィッシャル・パーソン&インテリジェンス)という、人工知能っぽいシステムで動かしてまして、時間帯や機嫌に沿った行動を自由に取るようにプログラムしていたんです。が、『ポロリ青春』ではシナリオにリアリティを出すために、「この日の夜はこういう行動を取る」といった具合に、シナリオに沿った固有の行動を取るようにしてあります。ただし、「機嫌がいいと電話をする」など、AP&Iらしい動きをするところも若干ですが残してあります。あと行動とは違うんですが、バッドエンドのバリーションは前作より増えてます。ナビによって、それぞれ異なるゲームオーバー、50年後を用意しましたので、ひと通りシナリオをクリアしたら、わざとナビを失敗して、ゲームオーバーを全部見るなんて遊び方も楽しいと思いますよ。


■シナリオ#02 我らが主人公・ネジ&カカト誕生秘話

──:ネジが登場するのは『ポロリ青春』で2回目となるわけですが、やはりキャラやシナリオの作成はしやすかったですか?
佐々木:『#203』の時は、ネジを誰が演じるのかが決まる前に、シナリオができあがったんですが、『ポロリ青春』の場合はネジ役の声優とモーションキャプチャーをする人がわかっていたので、シナリオ制作もしやすかったですし、いろいろ遊べましたね。
──:いろいろ遊べたというと?
佐々木:ネジ役の人、清水君というんですが、彼はかなり動きが個性的で(笑)、絶対に彼を踊らせたい、歌わせたいっていうのがありまして。それで、まずできあがったのが"ハロハロナリヤンス音頭"。そして、さらにそこからシナリオ"ネジ兄さんといっしょ"が生まれました。これは彼がネジを演じてなかったら、生まれませんでしたね。全体的に『ポロリ青春』では、清水君のキャラがかなり反映されているので、前作のネジが真面目だったのに対し、コミカルな部分が強調されてますね。
──:清水さんはどんな感じの人なのですか?
佐々木:動物に例えるとサル(一同爆笑)。ただ、フォローするわけじゃないですが、ものすごくお調子者なんですけどとってもいい人で、みんなが沈黙すると気を使って、盛り上げようといろいろ話し出すんですよね。でも、最終的にみんなにいじめられちゃって(笑)。私、結構人見知りするタイプなんですが、清水君だといじれるんですよね。優しいけど、それぐらいにいじりやすいキャラ(笑)ですね、清水君は。
──:"ハロハロナリヤンス音頭"。あのインパクトはかなり強烈ですよね。あの振りというのはどなたが?
佐々木:清水君です。モーション収録1週間前に「この音楽聞いて、踊り考えてきてね」とお願いして。ただ、たぶん考えてこないだろうな、と思って私も一応振り付けを考えていたんですけど、当日現場に行ったらしっかり考えてきてて、それがモノすごくおもしろかったんですよ。その場にいた全員が「それ採用!」って(笑)。ちなみに"ハロハロナリヤンス音頭"の歌詞は、清水君の日常を想像して書きました(一同爆笑)。
──:女の子の主人公のカカトについてお聞きしたいのですが、やはりユーザーからの「女の子希望」みたいな要望が多かったってことですか?
佐々木:そうですね。ユーザーだけじゃなくて、会社のエライ人たちが「なんで女の子でやらないんだ」って言うんですよ(笑)。
──:女の子の部屋をのぞくってのは、ある意味男の夢ですからね(笑)
佐々木:本当の『ルーマニア』好きの人たちは、女の子は違うと思うんですよ。でも、のぞくゲームという情報しか知らない人たちは、すけべ心で「お姉ちゃん出そうよ」なんていうわけですよ。あと「新作を作るんだったら、女の子を入れる」という空気が社内を漂ってまして、それじゃあ、女の子出しますよ!ってことに(一同笑)。
──:ネジの場合は演じられている方のキャラが反映されていたとのことですが、カカトの方も演じられている方の特徴が反映されてたりしてますか?
佐々木:カカト役の人は、根本さんという女の子なんですが、決まるのがおそかったので、残念ながらキャラクターを反映することができませんでした。ただ、とっても天然ボケのキャラの女の子で(笑)。そのキャラがカカトに乗り移っちゃってまして、当初よりはちょっと根本さん寄りなキャラに仕上がってますね。
──:カカトはどんな感じの女の子をイメージして作られたんですか?
佐々木:『#203』の時のネジもそうなんですが、一般人の中の一般人という設定で作ったので、カカトもプレイヤーの等身大になれるように、何の色もないニュートラルな感じな感じで作りました。ちょっとオシャレを目指してるんだけど、いつもうまくいかなくて、全然目立たないので、まだ恋とかに縁がなくてウジウジしてるような(笑)。でも、結構目立っちゃってるんですよね(笑)。
──:音楽好きな女の子にした理由というのは?
佐々木:開発当初は"セラニポージ"をきっかけにネジと出会うといった設定を考えていたので、その延長で音楽好きな女の子という設定になってます。ちなみに、やっぱり女の子を出すからには、萌えるキャラにしたかったというのもあるんですが……。「でも、これじゃあ、萌える人はいないなぁー」って結果になりました(笑)。ネジの人の良さを引き立てる役になり過ぎちゃってるんですよね。
──:シナリオ"古本屋の息子にフォーリンラブ"の結末がそうですよね。一応ネジとのエンディングもありますけど、スネケンとのエンディングだと、少し嫌な女の子になっていて、ネジがいい人で終わってますからね。
佐々木:そうなんですよね。実は、あのネジのエンディングを入れたくなかったんですよ。私の中ではネジ=清水君というのができあがってきてまして(笑)。清水君が恋愛うまくいくのが許せないって(一同爆笑)。
──:ふられることが多かったり、結構ネジの人生は前途多難ですよね。
佐々木:やっぱりトントン拍子にうまく行く人に、感情移入ができる人って多くないと思うんですよ。失敗を何度も何度も重ねてる男の子の方が多いので。ちょっとネジには試練を与えてみました。
──:他のゲームのキャラクターに比べると性格付けなど、妙に生々しいですよね。普通、主人公というとカッコよかったり、すごく強かったりしますよね。
佐々木:ネジの人の良さをみんなに味わってもらうための、キャラクターゲームなんですよ。たくさんのひとりごとを収録してみたり、本編とは関係ないドラマを用意してあったり、そういったところにも力を入れているので、そういうところから、ネジの人柄の良さを感じ取ってもらえればなと。
──:あっ! 忘れてました。なぜネジは練物会社に就職したんですか?
佐々木:それはですね、やっぱり『#203』のネジを考えると、就職はしているだろうけど、なんかちょっと普通と違う会社に行ってるだろう。ということで、牧野プロデューサーが「練り物会社なんかいいんじゃないの?」って(笑) 1番はじめのミーティングで発言したことがきっかけで「じゃあ、練り物会社」に決定と!(一同爆笑)。


■シナリオ#03 最大の魅力であるシナリオの隠された秘密とは?
──:『ポロリ青春』は、『#203』の4つのシナリオのどれかの続きになるのですか?
佐々木:"シロカゲレイコ"など一部の設定は、ちょっと引きずっているところもあるんですが、基本的にはどのシナリオの続きでもないです。『#203』の世界で誰も何も介入してくれなかったネジの未来のお話になります。なので、続編というよりは、新作といった方が正しいですね。
──:2005年とちょっと未来が舞台というのは、何か理由が?
佐々木:20年後の未来とかだと、あんまりピンとこないじゃないですか。でも、数年先だと身近な感じがして、リアリティもあるってことで、2005~2006年が舞台の設定にしました。ちなみに未来ではありますが、どこかで分岐点が狂ってしまった未来の世界となってます。なので、テレビ番組やCMなどがちょっとレトロです。
──:シナリオを書かれる際に、気をつけたこと、心掛けたことはありますか?
佐々木:主人公に女の子がいるので、今回は恋愛シナリオを多めに、と考えてました。でも、あんまりラブラブ全開だと、雰囲気が違うゲームになっちゃうじゃないですか(笑)。なので、『ルーマニア』らしいリアルさとか、バラエティーさとか、切なさとかはしっかり残して……という条件で、シナリオは書きましたね。あとは各シナリオのラストシーンには、特にこだわりました。プログラム的な部分で、要望が通らなかった箇所もあるんですが、「こういう演出にしてくれ!」「やるせなさが足りない!」とか、すごく粘って注文はつけました。各ラストシーンは注目ですよ。
──:ラストシーンといえば、ハッピーエンドだけでなく、切なくなるような結末のシナリオなども多いように感じたのですが、何か意図したところがあるのですか?
佐々木:ゲームをやって泣きたいとは思うんですが、そんなに悲劇的なモノは好きじゃなくて。私が担当したシナリオは、どれも悲劇的ではないんですよ。ただ社内で他にもシナリオ担当がいまして、その人がどちらかと言うと悲劇思考な方で……。"北天ブラザーズ"のシナリオをなどは、実は最初はもっと悲惨だったんですよ。でも、これじゃあ、さすがに厳しいってことで、いろいろ話し合いをして、ようやく今の形に。『#203』でも、白血病の男の子が出てくるシナリオがありまして、私的には「絶対ない!」と思ってて、ギリギリまで「これはやめましょう」って言ってたんですよ。でも、発売してみるとユーザーさんの評判が一番よかったのが、このシナリオで。だから、私だけの判断で悲劇的なシナリオをカットしてしまうのは、よくないんじゃないかなと。なので"北天ブラザーズ"のシナリオもOKにしたんですけど、ただ悲劇的なモノを多めにしようと意図したわけではないですね。
──:"北天ブラザーズ"は、今のモノでもかなり悲惨だと思うんですが……。
佐々木:プレイした方なら、たぶんわかると思うのですが、かなり悲劇的なことが起こります。私は今でもその部分が納得できないんですけど、シナリオ担当者はそこだけは絶対に譲れないって何度も話をされたので、「これでいきましょう!」と。これについては、かなり熱いやりとりがありましたね。
──:かなりこだわりがあるようですが、なにかモチーフとかがあったのですか?
佐々木:ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という映画がモチーフになってます。かなり救いようのない悲劇を描いた作品なんですが、こういった悲劇をゲームでやりたかったんですね。
──:そういえば"北天ブラザーズ"は、他のシナリオに比べると長めですよね。
佐々木:実はこのシナリオは最初は2部にわかれてまして、ネジ編、カカト編といったように別々のシナリオになってたんですよ。でも"北天ブラザーズ"のネジ編をプレイした後に、必ずユーザーがカカト編を見るとは限らない。もし"CMガール"とかに進んじゃったら、プレイヤーとして結末がわからないままで、それだと、やっぱり気持ち悪いじゃないですか。なので、1つのシナリオにつなげました。それで、少し他のシナリオよりも長いんですよ。まぁ、集大成的なシナリオでもあるんで、ボリュームとしては、ちょうどいいと思ってますね。
──:メインシナリオが7本収録されていますが、ボツになったシナリオもありますか?
佐々木:今収録されているシナリオにプラス5本ぐらいあったと思います。
──:具体的にどんな内容のモノが?
佐々木:1つはホラーだったんですけど、それは生と死の扱い方が難しいホラーでして。簡単に内容を紹介しますと、ネジを含めた登場人物がみんな死んじゃうんですよ。それで、死の世界に行くんですが、死の世界で死ぬと生き返れるということになっていて……。あとはすごくダイナミックなオバケとかが登場するので……。
──:ダイナミックなオバケ?(一同爆笑)
佐々木:すごく大きな妖怪みたいな生き物が出てきて、部屋をめちゃくちゃにするんですよ。部屋をめちゃくちゃにする描写が再現不可能だったり、あと一画面に登場できるキャラの数って決まってるんですが、それを上回るキャラを1度に表示しなくちゃいけなかったりと、プログラムやハードのスペック的な部分でも厳しかったですね。
──:ネジが芸能人になったり、世界中を旅したりしますが、見ることができるのは部屋の中だけですよね。やはり見られるのは部屋の中だけという、こだわりはありました?
佐々木:ゲームで一番楽しいと感じるところは、想像力を働かすところだと思うんですよ。なので、そこをあんまりサービスしすぎちゃうと、逆に部屋の中だけって良さがなくなってきちゃうかなと。ときどきベランダや玄関から外が見えると、ちょっと得した気分になるじゃないですか。あの小さな喜びを大切にしたいなと思いますし。実はシナリオ"古本屋の息子にフォーリンラブ"でベランダにいるカカトが、スネケンを発見するシーンなんかは、道まで見えるようにしようって話もあったんですよ。でも、それは『ルーマニア』じゃないってことで、実現は可能だったんですけどなくなりました。
──:シナリオの見えない部分を想像させるのは、最近のゲームには珍しいですよね。
佐々木:想像する必要がないほど、情報を与えた方がゴージャスに見えますし、一瞬一瞬は楽しかった気はするんですけど、自分で想像力を働かして、能動的に楽しんだゲームの方が記憶には残ると思うんですよね。
──:そう考えると、大人になってないと楽しめないゲームですよね。
佐々木:そうなんですね。『ルーマニア』を楽しめる人は、高度にゲームを楽しめる人というか、盆栽とか(一同爆笑)…そういったレベルまでのモノを楽しめる人たちだと思います。


■シナリオ#04 シナリオだけでなく、周りを固めるオマケもこだわり満載!

──:ひとりごとは、かなり笑えますよね。
佐々木:カカトのひとりごとは、こちらですべて用意したモノなんですが、ネジのひとりごとは一部だけ用意して、あとは全部清水君のアドリブです。清水君はコントで活動している役者さんなんで、彼にやってもらった方が断然おもしろいですからね。
──:収録現場としては、シチュエーションを伝えて、考える余地なしに「ハイ、やって」みたいな感じで。
佐々木:そうですね。そうじゃなきゃ、コントを仕事にしている人としては失格だと思うので(一同爆笑)。でも、真面目な部分もうまいんですよ。一番感動したのがシナリオ"1/永遠"でおじいさんの古時計を歌うシーンなんですけど、ちょっと泣きながら歌ってくれって指示を出したら、ちゃんと泣きながら歌ってくれるんですよね。たぶん、ああいうタイプの人だと、恥ずかしがってやらない、というかやれないと思うんですが、ちゃんとやってくれて……。ジーンときちゃいましたね。清水君は役者として、かなりの人材だと思うんですけど、なかなか彼自身の志が低くて(笑)。もっと日の目を見てもいいのに……。なんとかしたいですね。
──:テレビに対するこだわりも画面から沸々感じましたね。
佐々木:『#203』の時はラジオを中心に作ってたんですが、テレビ番組の制作の楽しさが忘れられなくて、『ポロリ青春』ではテレビ重視で、かなり力入れてますね。
──:見る限りだと、結構いろいろな場所で撮影されているようですが、撮影スタッフはどれぐらいの人数で?
佐々木:テレビ班は2人です(笑)。私が書いたテレビ番組の脚本をもとに、2人ですべて撮影してくれました。テレビ班の2人はホントにバカ正直で、絶対にこんなことは絵的に実現しないだろうってことをやっちゃったり。例えば、人がたくさん通る場所で腹筋を始めたりだとか(一同爆笑)。そういうバカなことを平気でやれる人たちだったんで、テレビ班の行動力には、かなり助けられましたね。
──:無茶のきく人たちだったわけですね。
佐々木:そうですね。それと、とりあえずハダカになりたがる人たちで(一同爆笑)。何かと言えば、ハダカになればいいと思ってたみたいで。なので、テレビ班のハダカは見尽くしました!(笑)
──:撮影はどんなところでしてたのかが、かなり気になりますね。
佐々木:新潟とか千葉とか、いろいろな場所へ撮影しに行ってたみたいですよ。ただ、温泉だと思うと、実は庭の池だったり(一同爆笑)と、細かい工夫もしてたようです。
──:逆にテレビ班が予想以上のモノを…というか「やりすぎでしょ!」みたいなところはありましたか?
佐々木:ニュース番組が大量にありまして、私としてはアナウンサーが2人いれば、それでニュース番組っぽく見えるので、それでいいやって思っていたんですけど、ちゃんとロケをやってきたんですよ。「ロケはいらない」って、あらかじめ言っておいたのに……。ゲーム中に主人公たちの部屋で見られるテレビって、そんなに大きくなくて、さらにその中の画面なんで、かなり小さいんですよ。彼らはそこにかなり命をかけてましたね(笑)。全体的にやりすぎなんですけど、あまりのくだらなさと力の入れように「それもありかな」と、大きい気持ちで許したってのはありますね(一同爆笑)。でも、ホントにやりすぎってのも、かなりあったので、結構リテイクは出してたりもします。
──:テレビに出演されているのは、どういった方々なのですか?
佐々木:テレビ班の友だちと、もちろん開発スタッフ。あとは演劇の学校に通ってる学生さんたちですね。ただし、演技力が求められる"新・恋愛調味料"などは、ちゃんと役者を目指している人たちを集めて、その中からオーディションして選んでますね。
──:オープニングムービーもかなりいいですよね。今回もまた実写で(笑)。
佐々木:あれは前作同様、谷田一郎さんにお願いしたんですが、できあがってきたのを見て、ビックリしましたね(笑)。
──:具体的にこういう感じのモノをみたい打ち合わせとかは……。
佐々木:なかったですね。谷田さんが「好きにやっちゃいますね。」とおっしゃって、できあがりを見せてもらっただけなんですけど。「毎回ホントにやってくれるよなー」って。全然、ゲームに関係ないんですけど(笑)。最高ですよね。
──:ちょっとオマケという部分からはずれちゃうんですが、サウンド制作集団だからこそのサウンドのこだわりというのはありますか?
佐々木:やっぱり、ひとりごとですかね。サウンドをやっている部署じゃなかったら、あんな無駄なことはしないでしょうね。音声でどれだけ人格を表現できるかってところは、前々からやりたかったことなんで、それが実現できてうれしいです。あと、すごく盛り上がったシーンとかで、一般のゲームクリエイターさんだと、普通はBGMとか流したくなると思うんですよ。でも、どんなに盛り上がっているシーンでも、ストイックにBGMは流さない。CDが流れてるとか、鳥が外で鳴いてるとか、そういうところだけで日常を演出しているのは、サウンドに携わる部署ならではかなと。
──:言われてみると、BGMはなかったですね。あっ、以前、何かで『#203』が受賞された時に、牧野さんが「シナリオじゃなくてサウンドで受賞したかった」とおっしゃっていたのは、その辺りを見て欲しかったってことなんですね。
佐々木:はい。そうなんですよ。サウンドでしかできないことをやってるんですけど、それが目立たないところでやってるので、なかなか気づいてもらえなくて。
──:時計の針の音とか、ゴミ袋がすれる音とか、効果音は本当に細かいですよね。
佐々木:ちくわの食べる音もちゃんと入ってますしね(笑)。あれは結構、何度何度もスタッフがちくわを食べて、試行錯誤して作りました。細かい効果音が自然になるよう、かなりこだわって作ったので、ぜひヘッドフォンを使って聞いて欲しいですね。あとサラウンドにも対応してます。ネジの声が近くから聞こえてきますよ(笑)。
──:それだと、マヨネーズを吸っていた人もいるということで……。
佐々木:はい、吸ってたと思います。ホワイトボードに現在どこにいるかを書くんですけど、SE(効果音)録音ってあって、家に帰ってたりするんですよ。そういう場合は、たいてい家で茶碗の音を録っていたり、マヨネーズを吸ってたりとかしてたみたいですね。


■エンディング この先の『ルーマニア』はどうなる?
──:次回作の予定はあったりするのですか? かなり気になるのですが……。
佐々木:大学生→社会人でやるのはよいと思うんですけど、社会人の次のポストっていうと「部長」の『ルーマニア』とか(笑)。「社長」の『ルーマニア』とかだったりするのかな? あと、さすがに結婚している可能性もあるので、1人暮らしってわけにもいきませんし。そうなると、もうネジはクビかな? とか思ったりして(笑)。まだ全然考えてないので、何ともいえませんが……。
──:もし3作目があるとしたら、ガラッと変わる可能性も……。
佐々木:そうですね。『ルーマニア』は何か発展しそうな予感がするので、何かまた作れればと。『ルーマニア』ではない、まったく新しいモノになるかもしれませんね。ただ実はなんだか同じようなことが考えている人が他にもいるみたいで、その人たちと……。わぁー、これ以上は言えません!!
──:ゲーム以外だと、ウェブでの展開も意欲的ですが、なにか予定は?
佐々木:ウェブでの展開は、この先も考えています。公式ホームページはもちろんですが、"裏ルーマニア"(公式ホームページで"ルーマニア友の会"に入会することでアクセス可能になります。入会はもちろん無料! 壁紙やデスクトップアクセサリなんかも配布してます。)もドンドン広げて行く予定なので、ぜひウェブにも注目していて欲しいですね。ウェブに関しては、私もかなり関わってますので。特に友の会では、ちくわを題材にしたロールプレイングを考えてたりもします。まだ友の会に入っていない人は、ぜひぜひ!!
──:他にはなにか考えている展開はありますか?
佐々木:DC版『#203』の時に小林克也さんに参加して頂いて発売した"ラジオDC"というCDがあるんですけど、どういう形になるかはわかりませんが、これの第2弾を出せればとも考えています。
──:佐々木さんの活動としては、この先の予定は?
佐々木:私ってよく考えると、ゲームを作る人間ではなくて、サウンドがメインの人なんですよね。なので、サウンドをしっかりやっていかないといけないかなと、本筋忘れてるって、反省してます(笑)。あと、"セラニポージ"もがんばりたいと思ってます。今まではゲームの発売に合わせて活動するという形をとってきてたんですが、これからは独自に活動していく予定です。こちらも期待していて下さいね。
──:今日は長々とインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!!


■ごほうび 気になることをピンポイント一問一答
──:ちくわとココアが合うってのは本当?
佐々木:前作ではカレーにソースというのがあったんで、今回も食べ物系で何かやろうってことで。本当に合うかはぜひお試しあれ。味の保証はしませんけどね(笑)。ちなみにカレーにソースも同じ人によるものです。
──:カカトもネジも携帯電話を持ち歩かないのはなぜ?
佐々木:あれは持ち歩かないという設定にしておいて下さい。ぶっちゃけますと、部屋の中にはアクションポイントというのが設定されてまして、ここではこんな行動を、ここではあんな行動を取るってのが決まっているんですよ。でも、携帯って、どこで鳴るかわからないじゃないですか。そのためだけに、あちこちにアクションポイントを設定するのが技術的にかなり厳しくて、置きっぱなしということになってます。
──:バンダさんについて詳しく知りたい!
佐々木:実は最初はもっとバンダさんについて、シナリオで語ってたんですよ。でも、再現できそうにないシーンがあって、残念ながらカットされてます。ちなみに私もよくわかりませんが、彼は地球外生物だと思います、たぶん。あと、バンダさんと一緒に登場する人物は、『#203』でネジの部屋をのぞいていた人ですよ。
──:カカトのメル友"TEA"さんって何者?
佐々木:これはネジの個人HPを見ないとわからないかもしれませんね。実はこのメル友はネジともつながりがあったりして、あるシナリオで声だけですが登場します。他にもこういったように、いろいろ想像すると奥が見えてくる部分もありますんで、ぜひ何度もプレイして極めて下さい。
──:ポンチャックの声は佐々木さんが担当されたのですよね。
佐々木:そうです、私が担当してます。私が声を張り上げると、子供みたいな声になることが、ここ数年に発見されまして、今ものすごく活用してますね。実は最近この声でテレビデビューもしてまします。NHK教育の小学五年生の社会科の「日本とことん見聞録」という番組があるんですが、この主題歌をポンチャックの声で歌ってます。ちなみに人形の制作は私の母が、人形の操作は妹が担当してます。あと、ある話で亀が出てくるんですが、その亀は私のペットです(笑)。
──:ネジ、カカト…どっちも変な名前ですよね。何か由来が?
佐々木:特に由来はないんですよ。ホントに語感だけで決めたので、私も「なんでですかねー」って、いつもなっちゃって。ただ実はネジは最初"ヤモオタイヘイ"っていう名前だったんですよ。ものすごい反対意見がありまして、「じゃあ、ネジはどう」っていったら、「とんがってる感じがしていい」ってことで決まりました。カカトは一発で決まりましたね。
──:ズバリ、メッシュ浜松のマンガはどなたが描かれたのですか?
佐々木:セリフは全部私が書いて、絵は私の妹がイラストレーターなんで、「ちょっとガロっぽい感じで頼む」と(笑)。いつも妹はかわいいイラストしか書かないんですけど、無理いって描いてもらいました。
──:説明書もインパクトありますよね。ある意味、全然説明書っぽくなくて。
佐々木:いつもマニュアルを担当する方が、『ルーマニア』の心をわかっている方で(笑)。「こういうのどうですか?」っていうのを出してきてくれて、それがもう爆笑だったんで、「じゃあ、これでいきましょう!」と。領収書のところに、0が1つ足してあったり、小ネタが効いてて、かなりイイですよね。
──:今回はなぜネジの部屋は203号室じゃないんですか?
佐々木:ホントは203号室にしたかったんですが、シナリオ上の都合で。ネタバレになっちゃうので、はっきりとは言えませんが、あるシナリオでのある出来事が、2階だとリアリティがなくなっちゃうので、1つ上の階の3階となりました。全シナリオをプレイした人ならわかりますよね?
──:オカマのヤクザはいいヤツなんですね。
佐々木:はい。ああ見えても、実はいいヤツです(笑)。


株式会社ウェーブマスター
佐々木朋子(ササキトモコ)さん
ブライアン・フレミング 氏
『ルーマニア』シリーズの生みの親である、サウンドクリエイター。GCの『ソニックメガコレクション』にも隠しゲームとして納められている『リスター・ザ・シューティングスター』(セガ)や昨年PS2に移植された『SWITCH』(セガ)などのサウンドを担当している。また『NiGHTS』の「DREAMS DREAMS」といった名曲も数多く手掛けている。

ニュールーマニア ポロリ青春
画面写真
■メーカー:セガ
■対応機種:PS2
■発売日:2003年3月20日
■価格:6,800円
■関連リンク:セガ
Original Game (C)SEGA CORPORATION
(C)WAVEMASTER/SEGA CORPORATION

今すぐ購入!