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インタビュー『戦国無双2』
 普段ゲームを遊ばない人でも、短時間で一騎当千の爽快感が味わえるACT『戦国無双』。その最新作は、アクション、グラフィック、演出など、すべての面で前作をはるかに凌駕している! 武将の如く熱き想いを内に秘めた『戦国無双2』開発者のお2人に、思う存分本作の魅力を語っていただいた。これを読み終わったとき、あなたは『戦国無双2』のトリコになっている!?


●「“2”だけど、“新”と言えるくらい変わっています」
――まずは最初に『戦国無双2』のコンセプトをお聞かせ下さい。
杉山芳樹氏(以下、杉山。敬称略):
『戦国無双2』のテーマは「それぞれの天下無双を目指して」です。武将1人1人に焦点を当てていたのは前作からなのですが、本作は武将の個性をより強調したいなと思いました。前作で好評だった武将個別の物語を強化し、さらにアクションでも個性を出しています。昔は□□△△といったように大体同じパターンで成り立っていました。それはそれで「どの武将でも操作しやすい」というメリットがありましたが、個性的かと考えると違うのかなと。そこで本作では武将を3つの成長タイプに分け、通常攻撃が伸びていくタイプ、チャージ攻撃が得意なタイプ、特殊技が優秀なタイプと、アクションが異なるようにしました。これでより武将ごとの個性が強調できたかなと思っています。
――個性的といえば、本作から導入された武将固有の特殊技ですね。
鯉沼久史氏(以下、鯉沼。敬称略):
『戦国無双2』は続編なんですけど、新しい『戦国無双』という気持ちで作りたかったんです。なので、前作で弓を撃つために使っていたR1ボタンをバッサリなくし、特殊技を追加しました。
――言われてみれば、弓がなくなっていましたね。
鯉沼:なくなったのが気付かないくらい、みなさん弓って使ってないんですよね(笑)。だったらそこに新しいアクションを入れたら、アクションゲームとして物足りないと思っているユーザーさんにもアピールできるかなと。同時に各武将ごとに異なる特殊技を設定することで個性を出すという目的もありました。
杉山:『無双』シリーズは、社内のいろいろな人に定期的に評価してもらっています。前作でも今回の特殊技のような、シリーズとは異なる操作を入れていたのですが、ことごとく「ダメダメ。おもしろくない」なんて言われ、緊急回避しか残らなかったんです(笑)。社内でボツになった操作は、のちのちよく考えてみたら、自分たちでも「やっぱりおもしろくなかったな」と感じてはいるのですが(笑)。今回の特殊技は一番初めにアイデアを出したときから「いいんじゃない。これアリなんじゃない」と好評で、社内のいろいろな人の目を通り抜けてきたので自信があります。やっぱり『無双』シリーズは、ある程度どんなゲームか決まっているため、あんまり崩すと「『無双』でやらなくてもいいんじゃない?」と言われてしまうので『無双』の原形を留めつつ、絶妙に変化させています。
――グラフィックや演出は、前作と比べてかなりハデになった印象を受けました。
鯉沼:前作は信長の時代に焦点を当てて作っていたんです。群雄割拠の日本が統一されていないゴチャゴチャした時代というところから、日本的な和の色である「墨」のイメージで統一感を出していました。今回は、基本的には関ヶ原が中心にありますので、時代的にも安土から桃山、江戸へときらびやかになっています。それを表現したくて「金」をイメージカラーとして各所にちりばめました。

●「関ヶ原は、軽く扱いたくなかったんです」
――前作には、なぜ関ヶ原が登場しなかったのでしょうか?

鯉沼:前作では最初から関ヶ原を出す気はなかったんですよ。なぜならそれは、基本的には「信長」を中心に描きたかったからです。だからこそ織田軍の武将が豊富に登場していたわけなんです。そして、続編を作るなら時代を移したほうがおもしろいと思っていたので、関ヶ原をメインとして『戦国無双2』を作りました。
杉山:関ヶ原はゲームの流れのなかで、軽く扱いたくはなかったんです。本作で関ヶ原に関係する武将が多数追加されているのはそういう理由がありました。まず最初に関ヶ原を描くなら家康がいて、当然三成もいる。家康に過ぎたるもの(本多忠勝)がいるなら、三成にも過ぎたるもの(島左近)がいて……。島津義弘が中央を突破して撤退したという話も作りたいし、だったらライバルの立花家も必要。それに関ヶ原の起点といえば直江兼続の直江状だなと、そのように新武将を決めていきました。
鯉沼:今回も上杉と武田は対決させたかったので、上杉の部下に厚みを出す意味でも、直江兼続は都合がよかったです(笑)。
――兼続といえば愛の兜ですが、本作では兜ではなく背中に愛と描かれていますね。
鯉沼:前作にあったオリジナル武将を作るモードで、愛の兜が選べたんですよ。なので、同じことをするのはまずいかなと思い、背中に移りました。もちろん背中にある「愛」の字は、博物館で資料をお借りしてそのままを載せています。博物館の人に「そのまま載せますけどいいですか?」と確認したら、ちゃんと了承を得られたのでよかったです(笑)。
杉山:謙信の背中にある「毘」の文字と同じ位置にあるので、ちょうど対比になってよかったなと。博物館にはお礼に製品版を贈らせてもらいます(笑)。
――札や術で戦うのは、謙信の流れなのでしょうか?
鯉沼:そのとおりです。毘沙門天系なので(笑)。武器は独鈷杵(とっこしょ)を剣のような形にした物なので、術をメインに戦う武将になりました。
――宮本武蔵も新武将ですが、どのような理由で登場したのでしょう?
鯉沼:武蔵は武将ではないですが、一応関ヶ原に参戦していたことと、武器を使ったACTなのに日本で有名な剣豪を出さないわけにはいかないだろうと。
杉山:『戦国無双』シリーズを発売するたびにアンケートを取っているのですが、じつは武蔵を出して欲しいという要望が非常に多かったんです。前作で固有のグラフィックが存在した家康や長政を操作したいという要望は予想どおりに多かったのですが、ゲーム内に名前も出てなかった武蔵が人気なのには正直驚きました。『戦国無双』を発売したのが2年前なので、その頃に放送していた大河ドラマの影響が強かったのかも知れません。
鯉沼:宮本武蔵に関してはそんな感じで登場が決まりました。まあ、ようするにオマケという感じですね。操作できるようになるのも最後なので、全武将で遊んでくれた人へのサービスという気持ちもあります。
杉山:武蔵の能力値を最大にして、最強武器を持たせるとハンパじゃなく強いです(笑)。難易度を「地獄」にしてもある程度爽快感を感じられるくらいの強さなので、是非一度操作して欲しいですね。
――新武将たちのデザインはどのように決めていったのでしょうか?
鯉沼:『戦国無双』シリーズは全員が主人公として作っていますので、基本的にはすべての武将をカッコよく描いているつもりです(笑)。三成に関しては、五奉行のなかでも戦闘は得意ではないタイプなので、軍師型で色白細身な感じに。左近に関して史実を調べてみると、結構奔放に生きていたようなので、今風に言えばちょい不良(ワル)オヤジ風なデザインにしました(笑)。
――風魔小太郎のデザインはインパクトがありますね。
鯉沼:半蔵が典型的な痩せ型の忍者だったので、小太郎はムキムキというか、がっしりしたタイプの忍者にしました。史実もいろいろ調べたのですが、小太郎はどれが正確な情報なのかわからないことも多かったので、結構自由にいじらせて頂きました(笑)。また、歴史に興味がない人でも入りやすいキャラクターにしたかったので、最初から選べるキャラクターにしています。ストーリーも、とにかく全員倒せばいいみたいな話ばかりなので(笑)。
――ねねは、前作のくのいち的な位置付けなのでしょうか?
鯉沼:秀吉を影からバックアップする存在として、ねねは入れたいなと思っていました。秀吉の部下たちが関ヶ原で戦ったので、秀吉の時代を描くためにもねねは登場させようと。史実で、三成とかを子どものようにかわいがっていたという話もありましたから。アクション的には、くのいちが外れたこともあり、女忍者系になったんです。
杉山:ねねの特殊技の「変化の術」は、レベル1だと一般兵、レベル2は武将級、レベル3になると忠勝や信長といった主人公たちに変化できるようになります。変化の術のためだけに、兵士たちを操作できるように設定したので、できればいろいろな姿に変化して戦って欲しいですね(笑)。
――誾千代が登場するとは思いませんでした。
鯉沼:「なんで誾千代なの?」という声が多かったのは、開発チーム的には意外でした。女性ですが、短い期間ながら立花家の当主になっていたので、数少ない女性武将の1人として登場させたかったんです。もちろん、島津家との絡みを入れてみたいという思惑もありました。物語的には立花宗茂の行動を参考にして、『戦国無双』ならではの味付けをしています。また、女性武将には正統な剣士系が今までいなかったということも登場させた理由の1つです。
杉山:雷を使った攻撃が多いのは、父親である立花道雪の「雷に打たれても生き残った」というエピソードが元ネタです。歴史を知っている人が笑ってくれればいいかなと(笑)。
――改めて武将たちを見ると、女性武将がけっこういますね。
鯉沼:毎回探すのにかなり苦労しています(笑)。
――ちなみに、ほかにはどのような女性武将が候補にいたのでしょうか?
鯉沼:細川ガラシャや淀殿とかですね。ほかにもたくさんいたのですが、ほとんど覚えていないんですよ。全然聞いたことのない女性とかも調べて候補に挙げていたので(笑)。
――島津家の武器といえば鉄砲というイメージがありますが、木槌を武器にした理由は?
鯉沼:4兄弟が有名で、武を司る者としたときに鉄砲だとチマチマしていたので。やはり武は武らしく、豪快にいきたいなと。それと、ガタイのよいオヤジにはハンマーが似合っているので(笑)。
――新武将のシナリオはどのようなコンセプトで作り出したのでしょうか?
鯉沼:武将によって有名な戦いがあるので、それらをピックアップし、さらに関ヶ原で盛り上がるような物語を目指しました。またすべての武将のシナリオに言えることですが、例えば半蔵と忠勝のように同じ軍にいる武将でも、物語を大きく変えています。これは前作から続く「1人1人が主人公」というコンセプトのためです。違う武将を選んだのに同じ物語になってしまうのはおもしろくないですから。
――新武将以外では、政宗のデザインや武器が大きく変わりましたね。
鯉沼:前作よりもあとの時代に移ったので、伊達政宗とお市は設定年齢を上げています。政宗には前作でも銃を持たせたかったのですが、おこちゃまに銃を持たせるのは倫理的にいかがなものかと冗談抜きで考え、2本の木刀とビームになったんです。
杉山:ウチは表現にすごくこだわるんですよ。私もプロデューサーの視点で見たときに、「殺せ!」のような過激な表現は極力使わないようにしています。ムービーやイベントシーンでも、血を連想させる赤色は使わないようにしていますし、たとえ武将が死ぬシーンでも、極力過激にならないように気を使っていますね。社内的な倫理に反するので。
鯉沼:政宗の2丁拳銃を使ったアクションはなかなかよくできたと思っています。見た目は「伊達者」と呼ばれるような格好を目指しました。
――ちなみに、五右衛門などがいなくなってしまった理由はなんでしょうか?
鯉沼:正直な話、もう1度前作とは異なる物語を作るのが厳しかったからです(笑)。幸村や信長でプレイするとわかるのですが、今回は長篠の戦いから物語が始まっているんです。桶狭間が過去の話になっているので、義元は厳しいかなと。『猛将伝』でも義元の物語は1話以外IF(もしも)の話になってしまっていたので(笑)。やっぱり、ある程度戦国時代をベースに物語を描きたいという気持ちはありますね。たしかに風魔小太郎や宮本武蔵の物語はほとんど架空ですが、基本的に名のとおった武将を、あまりにも架空の物語にするのは如何なものかと。それで何名か登場させるのを諦めました。

●「マップごとに戦いのバリエーションを考えるのは大変です(笑)」
――前作から登場している武将のシナリオを作るうえで、苦労はありましたか?
鯉沼:シナリオ全体の流れではそれほど苦労していません。ただ例えば「長篠撤退戦」のように、前作にもあった戦いをどうやって違う風に作るかを考えるのには苦労しました。また同じ本能寺でも、信長を逃がすのか、光秀を倒すのかという風にバリエーションを作るのは、頭が痛かったです(笑)。正直、本能寺に関しては何回作って何回壊したかわかりません(笑)。でもそこが大変じゃないと『無双』作るのはラクになっちゃいますから。
――前作にも存在した戦場のマップでも、デザインが大きく変わっていますよね。
鯉沼:マップによってコンセプトを決め、ゼロから作り出しています。作成過程で苦労した一例としては山崎の戦いですね。前作の山崎でも天王山はあったのですが、やはり天王山がないと山崎にならないんですよ(笑)。だからどうしても天王山を奪い合うステージになってしまうんです。そこまでは前作と同じなので、それ以外の要素でどうやって違いを出すのかという点で悩みました。
――山崎はプレイしましたが、前作にあった洞くつがなかったり、勝竜寺があったりと、ガラッと変わった印象を受けました。
鯉沼:前作は天王山をマップの中心に配置し、周囲を行ったり来たりするというコンセプトで作りました。今回は天王山を左上に押しやって、デザインを大きく変えています。
――ちなみにお2人が好きな武将は誰でしょうか?
杉山:アクションは武蔵かな。開発チームで人気なのは誾千代だよね?
鯉沼:そうですね。雷が強いですから。私は左近が好きです。
杉山:家康もいいですね。あっ、政宗も好きなんですけどね。
――好きな武将だらけじゃないですか(笑)
杉山:まぁ、やっぱりみんな好きですよ、愛着がありますから(笑)。ただ、よくACTってキャラの差別化を図るために足が遅いとか、マイナスの要素で個性を付けている作品が多いんですよ。だから「こいつは使いにくいからやめる」という選ばれ方になりがちなんです。その点、今回の『戦国無双2』の武将は基本的に全員使いやすくて、そのうえで長所がさらに使いやすい、というコンセプトになっています。なので、誰かを選ぶというよりは、むしろ全武将でひと通り遊んでほしいなと(笑)。
鯉沼:シナリオ的には、孫市が信長を撃ったあとの話は今までにない感じで気にいってます。
杉山:私はシナリオなら幸村の話が、「それぞれの天下無双」というテーマに合っていていいかなと。本作を1番遊んでもらえる10代の人たちにも、共感できる話だと思います。
鯉沼:幸村といえば、彼の最後のムービーは1番最初にモーションキャプチャしたんですよ。だからよく覚えていますね。
――ムービーもゲーム中のアクションも、モーションキャプチャーしているのですか?
鯉沼:はい。そうです。オープニングにいたってはスタジオを借りてワイヤーアクションまでやりました。「SHINOBI」などを手掛けた下村勇二監督に、オープニングのアクションを演出してもらっています。さらにすべてのムービーの監督を「修羅雪姫」などを撮られている佐藤信介監督にお願いし、こだわって作っていただいたので、クオリティには自信がありますよ。全部で71本、合計時間は80分を超えるので見ごたえも十分です(笑)。
――とくに見て欲しいムービーとかってありますか?
鯉沼:やはりオープニングですね(笑)。
杉山:あれはね~(笑)。いつから作業を始めたんだっけ?
鯉沼:去年の5月くらいですよ。完成したのが1月の頭(笑)。
――そんなに時間がかかるものなのですか?
杉山:かなりこだわってもらったので、時間はかかりましたね。そのぶん本当にいいムービーができたと思いますよ。
鯉沼:光秀のオープニングや、幸村の第1話とか。これも挙げたらキリがないです(笑)。

●「新しい『戦国無双』を目指したので、システムは一新しました」
――新システムの特殊技を考えるうえで、どのような点に気を使いましたか?
鯉沼:まずは通常攻撃やチャージ攻撃だけでも遊べるように、そして個性が出るようにしっかりと調整しました。そのうえで『無双』ファンやゲームが得意な人の遊び方の幅が広がれば、という気持ちで特殊技を追加しています。恐らく、普段ゲームを遊ばない人は特殊技をあまり使わないと思うので、「特殊技を使わないと勝てない」という風にはしたくなかったんです。
杉山:特殊技のような新要素が追加されても、私などがチェックする場合、まずは□ボタンだけでクリアできるかを調べるんですよ。私は幅広い人たちに遊んでもらえるのが『無双』シリーズだと思っているので、まずはゲーム初心者でも気持ちよくクリアできるかどうかを見ます。そのうえでさらに深く遊びたい人への要素があれば最高だと。「簡単」、「お手軽」、「爽快」というのがウチの基本スタンスなので、「□ボタンだけでもクリアできる」という点は非常に重要視しています。もちろん深く遊びたい人へ向けた無限城や最終武器といったやり込み要素も豊富です。
――ほかにも技能の習得方法や方法や戦闘中のレベルアップなど、いろいろな新要素が追加されていますね。
鯉沼:新しい『戦国無双』を目指したので、システムは一新しました。今までは、武器や装備アイテム、技能といった具合に要素がたくさんあり、少々わかりにくい部分があったんです。今回はできるだけわかりやすくするため、装備アイテムと技能を統合しています。技能の覚え方に関しても、スティールしないと取得できない技能、買わないと取得できない技能、どちらの方法でもOKな技能と分けたので、集めがいがありますよ。
杉山:初心者の方がプレイして、最初は偶然に技能をスティールして、それに気付いてからは意識してスティールしに行く。そんな感じで、遊びの幅が広がっていけばと思います。
鯉沼:レベルアップに関しては、成長してる感じをもっと強調したいという気持ちがありました。さらに戦っている最中にアクションが成長したらおもしろいんじゃないか? とも思いまして。
――そういえば、「LEVEL UP」や「STEAL」など、アルファベットを普通に使ってらっしゃいますよね?
杉山:1作目の『戦国無双』を作ったときに一応日本語で考えてみたのですが、なかなかしっくりくる言葉がなかったので、そのまま英字でいってしまおうと。無理やり日本語にすると逆に違和感を感じて馴染まないんですよ。
鯉沼:カッコよくないですしね。
杉山:新要素としては、右スティックで視点を動かせるようになったのも大きいと思います。いろいろ悩んだのですが、社内でも評判がよかったので思いきって導入しました。
――導入にあたり、どのような心配があったのでしょう?
鯉沼:初心者が誤爆しないかどうかですね。普段ゲームをしない人が遊んだとき、間違って触ってしまって視点が急に変わったら遊びにくいだろうと。ACTが得意な人には必要な機能だと思っていたので、導入するかどうかはかなり葛藤しました。もう1つ正直にいいますと、視点が動かせると今まで見えなかった部分が見えてしまうので、マップの粗を探されたら恐いなぁと(笑)。
――評判がよかったら『真・三國無双』シリーズにも導入されそうですか?
杉山:『戦国』と『三國』はプロデューサーが違うので私にはわかりませんが、好評だったら『三國』でも採用されるでしょうね。開発チームの中には2つのシリーズを掛け持ちしているスタッフが結構いるので、評判のよいシステムはどんどん導入していくと思います。
――あと、無視できないのが「双六」モードなのですが(笑)
杉山:まぁ、オマケです(笑)。本当は「無双演武」1本でしっかり遊ばせなきゃいけないんですが「合間に箸休め的な要素が欲しいよね」というところから「無限城」なり「双六」なりができ上がりました。
鯉沼:「無限城」はまたやりたかったんです。今回はクエスト型にして、武器とお金集めに役立てばよいかなぁと。「双六」に関しては、毎回なにかしら新しいものを入れたいと考えていました。プレイヤー同士が戦う「試合」はやったし、チャレンジモードも今さらだし……。和的な物がいいなと考えた結果、最終的に「双六」となりました。正月に間に合わなかったのは残念です(笑)。若い人は友だちとかとゲームを遊ぶ機会が多そうなので、みんなで遊べるモードがあればいいなぁと。本当にちょっとノリで作ってしまった感じなので、息抜き程度に触ってください(笑)。
――外伝を登場させたことにはどのような狙いがあるのでしょう?
鯉沼:シナリオ本編では描ききれなかった戦いも入れたいという理由と、お遊びできる架空の話を入れたいという2つの理由がありました。
杉山:シリアスな外伝もありますが、思わず「遊びすぎだろ!」とツッコミたくなるような外伝もありますよ(笑)。とくにお市の外伝は……(笑)。出現条件はなかなか厳しいですが、ぜひ見てほしいです。
――そういえば出現条件はどのように決めているのでしょうか?
杉山:武将の出現条件に関しても同様ですが、より物語を楽しめる順番になるように調整をしています。
鯉沼:物語には表と裏があって、表から順番に見るのが正しい楽しみ方だと思うんです。裏から見ると興ざめしてしまう物語もあるので、その辺を気にしつつ出現条件を決めてます。

●「PS2の限界まで作りこんでいます」
――城内と城外がシームレスでつながるのも本作が初めてですね。
鯉沼:城内に入ってから城外で何かが起こり、慌てて外に戻るといった駆け引きがないのは不自然だなと。快適で自由に城内と外を行き来したかったという理由もあります。やはり読み込みとかで中断されると興ざめしてしまうので。そんな気持ちでシームレスに挑戦してみましたが、ハード性能の限界もあって苦労しました。当初はもっと壮大な城を予定していたのですが、いろいろありまして最終的には3階建てまでになっています(笑)。初期バージョンでは天守から城外の様子を見れたのですが……、ダメでした(笑)。
杉山:開発途中ではカメラが壁や天井にめり込むなど、いろいろ苦労しました。最終的にはかなりシームレスな感じを出せたのではないかと自信があります。
鯉沼:前作では城内戦の視点が見にくかったと指摘を受けたので、ほとんどの壁を透けるようにするなど、見やすくするための工夫をしました。
――これ以上は次世代機でなければ難しいですか?
鯉沼:『戦国無双2』はPS2と我々の限界まで作りこみました。もっと壮大な城や戦場となると、やはり次世代機が必要になるかなと。
杉山:今回は『無双』シリーズで最も、仲間の武将や兵士と同じ戦場で一緒に戦っている感じを出せたと思います。そういう意味でも限界までがんばりました。
――現在できることはやり尽くした感じでしょうか?
杉山:そうですね。やはりユーザーさんも期待してくれていますし、できる限り限界まで作るのが、発売を待っているユーザーさんへの礼儀だと思います。
鯉沼:例えば灯篭ややぐらなど、壊せる物も当初はもっと配置する予定だったのですが、処理的に厳しくてかなり数を減らしました(苦笑)。
杉山:ただ、城内のふすまや柱を壊すと視界が広がるなど、厳選したぶんだけおもしろい物が残ってます。細かい部分ですが、ふすまに向かって敵を吹き飛ばしても壊せたりするんですよ。
――『戦国無双3』はPS3になりますか?
杉山:わかりませんけどね。まだ発売日も決まっていませんし。
鯉沼:もし『3』をやるとしても、次世代機でできる新しいことが見えてくるまではやらないと思います。ただ、キャラをキレイにして戦場を壮大にしただけの『3』なら、私は作りたくないので。今は本当に『戦国無双2』が終わって燃え尽きた状態なので、とりあえずは休みたいです(笑)。
――最後に『戦国無双2』をこれから買おうと思っている人へメッセージをお願いします。
杉山:今回は前作よりもさらに遊びやすくなっていますので、より幅広い人に遊んでもらえると思います。ぜひたくさんの人に遊んでもらいたいです。
鯉沼:どの武将でも爽快に遊べるように作っていますので、ぜひ全部の武将で遊んでいただきたいなと。
杉山:1人の武将をクリアするのに2時間かかるとして、武蔵が出現するまで50時間はかかります(笑)。さらに「外伝」や「無限城」を含めると、何時間かかるんだって話ですね(笑)。でも1つのステージは長くても30分くらいで終わるので、忙しい人でも十分楽しめると思いますよ。
――ありがとうございました。


杉山 芳樹 氏
杉山芳樹氏
株式会社コーエー
常務執行役員
ソフトウェア事業部 副事業部長

 『戦国無双』と『戦国無双 猛将伝』のプロデューサーを務めた功労者。ゲーム制作では、プレイするユーザーへの影響をつねに考え、非常に倫理観を大事に考えている。ちなみに本作では、宮本武蔵の強さに惚れこみ、趣味で遊ぶときは武蔵ばかり選んでいるとのこと。
鯉沼 久史 氏
鯉沼久史氏
株式会社コーエー
ソフトウェア事業部
ソフトウェア2部 シニアマネジャー

 PSP版の『激・戦国無双』を含め、すべての『戦国無双』シリーズに関わっているキーパーソン。本作ではディレクターを務め、最初から最後まで限界まで作業し、今は真っ白に燃え尽きている(本人談)。今はとにかく、休みたいもよう。

戦国無双2
画面写真
■メーカー:コーエー
■対応機種:PS2
■ジャンル:ACT
■発売日:2006年2月24日
■価格:7,140円(税込)/ TREASURE BOX 11,340円(税込)
■関連サイト:
  公式サイト / GAMECITY

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