電撃ドットコム > 電撃オンライン > インタビュー > 『Shinobi』を斬るッ! 第4回




アンケート結果に対して、
開発スタッフのコメントを掲載!


 PS2の
ACT『Shinobi』を徹底検証する連動企画も今回で4回目。これまでに体験版モニターから寄せられたアンケートの内容を、開発スタッフがすべてチェック、代表的な意見や疑問点に答えてもらった。
 体験版をプレイしただけでは感じ取りにくい、制作者の意図などもわかる内容となっているので、まだプレイしていない人はもとより、すでにプレイしている人も理解を深める意味で必見の内容となっている。ぜひチェックしてみてほしい!

■関連サイト
『Shinobi』公式ページ
セガ

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第1回
第2回
第3回
 全世界で爆発的なヒットとなったメガドライブソフト『ザ・スーパー忍』のDNAを受け継いだ新作3D・ACT。プレイヤーは朧(おぼろ)一族の当主であり、最強の忍者である「秀真(ほつま)」を操作し、東京を壊滅させんと企む陰陽師・産土(うぶすな)ヒルコと戦う。超高速で移動するステルスダッシュや、敵を素早く倒すと周囲の敵が一斉に倒れる「殺陣」の演出など、独自のシステムが盛り込まれている。
『Shinobi』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS2
■ジャンル:ACT
■発売日:2002年12月5日
■価格:6,800円(税別)

オーバーワークス
映像制作課 課長

雲野 雅広
チーフディレクター

 『Shinobi』の制作全般を統括する。映像分野の出身とあって、ムービーやゲーム中の動きに徹底したこだわりを見せる。
オーバーワークス
企画課 ディレクター

清水 徹
ディレクター&チーフプランナー

 全般的なバランスのさじ加減を調整するキーパーソン。乱発されるACTとはひと味違った独自の「爽快感」理論を持つ。

●まず、今回のアンケートの中でかなり多かったのが「ボタン配置」ですが、これについてはどう感じましたか? ジャンプは○ボタンではなく×ボタンにしてほしいという意見が多かったようですが。
清水:あれはやり込んでいくと、実はあの形がベストになるんですよ。このゲームはどちらかと言うとジャンプするゲームじゃなくて、ダッシュするゲームといったほうが的を得ていると思います。やり込んでいくと「ダッシュ(×)→斬る(□)」や「ジャンプ(○)→手裏剣(△)」というアクションが多くなるため、最終的にこれがやりやすくなるボタン配置ということで、この並びにしました。

雲野:最初にボタン配置が企画の方から上がってきた時、多少もめたりもしたんです。しかし、この作品は「回り込み→斬る」「空中ダッシュ→斬る」といった新しいアクションが入っているので、見た目はこれまでのアクションゲームと似てはいるのですが、操作性はかなり違うものになっています。だから「これは違う操作性なんだ」という意識で遊び始めてもらったほうが、このボタン配置はしっくりくるし、敷居が低くなると思います。

●これまでにない様々なアクションができるため、チュートリアルを入れてほしかったという意見もありました。
雲野:明記してはいないですが、製品版のステージ1がチュートリアルの役目をするように作っています。例えば壁を走らないと先に進めないとかですね。

清水:今回の体験版に入れたステージは実はステージ2でして、ステージ1というチュートリアルが終わって1段階難しくなったステージを選んでいます。これは、ひと通りのアクションができないとクリアが難しいということで、体験版だけでもそこそこやり込めるようなステージを選びました。

●プレイ前とプレイした後の印象の違いで一番多いのが、やはりスピード感や操作感などのアクション要素の部分ですね。
清水:そうですね、そこは一番こだわって作った部分です。今の3Dゲームで不満に思っているのは、ボタンを押しても思った角度に行ってくれないとか、ちょっと遅れて走り出したりとか、モーションを滑らかにつないでいるぶん、ちょっと動きが鈍い感じがするんですね。『Shinobi』はアクションなので、とにかくボタンを押した瞬間レスポンスを返すということをまず第一に考えて作りました。

●高いところから落ちると、1発で死んでしまうのはどうかという意見もいくつかありました。
雲野:これは集中してプレイしてもらえるようにしたものです。落ちでも死ななかったり、体力が減る程度ではどうしても緊張感に欠けてしまうので……。地形的にはあまりにもシビアといった感じには作っていないんですが、やはり適当にダラダラやっていると落ちて死んでしまうこともあります。
清水:1回落ちてしまっても、慣れてしまうとそこまでたどり着くのは案外すぐなんですよね。
雲野:最初の頃は長いステージだと思っても、慣れてくるとあっというまにボスまでいけるようになります。前回より明らかに上達しているのが実感できると思いますよ。
清水:このゲームはタイムアタックもできるように作ってありますので、そちらの方が好きな人は何度も繰り返し遊んでほしいと思いますね。

●主人公の動きが速くて、カメラワークが追いついていない、と書いている人も見受けられました。
清水:比較的多かった意見ですが、これって主人公の速い動きにそのままカメラをついていかせると、画面全体がスゴイ速さで動いちゃって、ゲームにならなくなっちゃうんです。それと3D酔い対策というのもあって、あえてあの多少ぬるいカメラワークにしています。「ふだん3D酔いするのに、『Shinobi』は酔わなかった」という意見も見受けられるので、効果は出ていると思います。

●壁に張りついた時、横だけでなく縦にも動きたかったという要望もあります。
清水:操作性を考えると、むしろ壁に張りついた時の動きを制限してしまった方が、爽快感を得られると考えました。例えば全方向動けるようにしたとして、カメラの向きに対してどっちに入れたらどっちに動くのか……というのを一瞬だったとしてもユーザーに考えさせてしまうのがイヤだったんです。だから横軸のみの移動に固定したというわけです。これなら直感と動きが直結するので、もたつくことも少なくなるんです。
雲野:このあたりのさじ加減は難しいですね。多分に感覚によるものなので、作ってみないとわからない。自由度が高すぎるのも混乱を招くもとになりますから。
清水:ジャンプ力などもそのひとつで、もっとレバーでジャンプ力を伸ばしたり縮めたりしてもよかったんですが、あまりやってしまうと踏み切りから算出した着地点が非常にわかりにくくなる。『Shinobi』では空中の移動制御はあまりできなくなっています。これは、「ここでジャンプすればここにたどりつく」というのが感覚でわかりやすくなっているんですね。このあたりはアクション性の兼ね合いもあるので、地道に調整していきました。

●殺陣システムには賛否両論ありますね。
清水:あれは基本的にその場にいる敵を全滅させないと出ないのですが、あの画面の時に一息ついてください、というボーナス的な意味あいもあります。ただ、極端に早く次へ行きたいと思う人は、ちょっと面倒くさいと思うかもしれませんね。
雲野:あの殺陣シーンは、ゲームに緩急……メリハリをつけるという意味もあるんです。これによって『Shinobi』のリズム感を出しているわけです。

●悪食というシステムも新しいと思います。
清水:アクションゲームの緊張感を出すためにつけました。急いで敵を倒さないと、というモチベーションがないと、遠くから手裏剣投げて何となく倒してしまう人も出てきてしまう。やっぱりアグレッシブに攻めていってほしいですからね。
雲野:やはり死ととなり合わせという緊張感があるのとないのとでは全然モチベーションが違ってきてしまいますから。
清水:ここまで急がせなくてもよかったんですが、そうなると封印石の位置を複雑にしたり数を増やしたりと、探索要素を増やしていかないといけなくなってしまう。今回はそういうゲームにしたくなかったので、今のようなバランスにしました。

●特に何をするわけでもないマフラーですが、気になっている人はかなり多そうです。
雲野:最初にマフラーを考えた時、実現できればいいなと思ってプログラマに相談してみたところ、なんとかできそうだったので付けてみました。アイデアのもとは昔のヒーロー像からきたものなんです。このゲームを遊ぶ世代って、若い人もいますがモニターのゲーム歴からもわかるように、30代の人……石ノ森章太郎さんが最も活躍していたころのヒーローとオーバーラップしたらいいなということで付けました。マフラーには実はちゃんと役割もあって、ステルスダッシュを頻繁に使っていると、早すぎて自分の位置を見失ってしまうことがあると思うんです。そんな時、このマフラーがプレイヤーの軌跡にをたどってくれるので、動きがわかりやすいというわけなんです。

●オマケ その1
清水:実はこのゲーム、英語モードにもできるんですよ。聞き取れなくてもいいから英語で聞いたほうが、洋画っぽい雰囲気が出ていてオススメです。
雲野:英語版の声優さんに日本語っぽい名前をしゃべらせるのがたいへんだったんですよ。「ホツマ」とか「アクジキ」とか……外国の方には発音しにくかったようで、「ホツマ」と言わせるだけで30分くらいかかったりしました。だいたい「ホツーマー」とか「アクジーキー」になっちゃいまして(笑)

●オマケ その2
清水:実はこのゲーム、普通に地面走って斬るだけでも十分クリアできるゲームになっているんです。(ロックしながら)ジャンプ→ダッシュ→斬る→ダッシュ→斬るなどといった技が絶対必要なところというのは、マップ構成上1カ所もない。だから、基本操作以外の部分は余剰プレイと言ってもいいわけで、うまい人がどんどん見つけていってくれればいいと思います。一応ロックを使わないで、ジャンプやダッシュだけでクリアできるかというのもチェックしましたが、ものすごく苦戦しますけどきちんとできるようになってます。まぁ、最初に攻略の答えを全部見せちゃうとつまらないので、自分なりの効率のいい攻略法を探して、それを友だちに話したり、ネットで話し合ったりという情報交換をやってもらえればと思います。
雲野:このゲームは、STGのように動体視力を養わなければいけない、というところまでは行っていないと思うので、ちょっとした操作法を何らかの形で知り、習得することで十分プレイに反映できると思います。

●今回の企画についてどうお感じになりましたか?
雲野:今回ハードゲーマーが比較的多かったと思うんですが、どういう評価をしてくれるのかなというのが心配でした。そんな中で生の声がこれだけ聞けたというのは、今後に向けて非常に参考になりましたね。
清水:製品にアンケートはがきが入っているんですが、スペースの都合もあってここまで書いてもらうことは少ないんですね。実際よく書いてくれたなぁ、ということでありがたかったです。作る側はいつも、遊んでもらう方の意見や感想にびくびくしながら生きていますから、こういう機会が増えてくれるのは非常にうれしいです。ぜひまた次の作品でもお願いしたいです。

今回のまとめ
真剣なまなざしで全アンケート結果をチェックする雲野氏と清水氏。これらの意見が彼らの次回作にどう反映されていくのであろうか。
 今回おふたりと話してみて、この『Shinobi』がいかに考えて作られたものなのかを確認することができた。どの部分にも「アクションゲームの楽しさ」につながる理由が必ず込められており、実に計算された作品と言えるだろう。登場したスタッフのおふたりも、ユーザーの意見を正面から受け止める姿勢を持ち合わせているが、このことから考えても、今後もセガ製アクションゲームに対して、十分な期待が持てるのではないだろうか。

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