電撃ドットコム > 電撃オンライン > レビュー > 『大神(OKAMI)』

◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
大神(OKAMI)
レビュアー
ただ坊

ついに始まった大神草子!
白き狼を操作して、ナカツクニを癒す旅に出よう!

 ども。アマテラスの動きの1つ1つに、いちいち癒されております、ただ坊です。今までこのコーナーで、いろいろなタイトルをレビューしてきた僕。そろそろ「読む人にとってわかりやすいレビューってなんなのか」みたいなコツはつかんでいるつもり……でした。ええ、過去形です。すんません、全然わかってませんでしたよ。というか、今でもわかりません。
 今回、ここで僕が紹介する『大神』は、とにかくめちゃくちゃおもしろいゲームなんですけど、このおもしろさをどう表現すればいいのか、ちょっとプレッシャーを感じていたりするわけです。なんせこのゲームのおもしろさは、文章じゃ伝えづらい……。究極の話、ゲームをプレイしてみてもらえれば、確実にトリコになること間違いナシなんです、このゲーム。だからこそ「そこまで言うなら一丁やってみようじゃないのさ!」と、みなさんに思っていただければ、ある意味僕の仕事は完了するんだと思うわけですけども。それが難しいんだなぁ……。こうなったらもう、僕のライター人生を賭けるくらいの勢いで、みなさんに『大神』の魅力を伝えていきたいと思います。願わくば、最後までついてきてください! それでは、はじまりはじまり~。

●『大神』の魅力 その壱
  森羅万象を操る「筆しらべ」を駆使して、
  仕掛けられた謎を解き明かすのがおもしろい!

 犬の姿(正確にはオオカミ)をした主人公・アマテラスを操って、妖怪に呪われたナカツクニの自然を取り戻したり、そこに住まう人々の悩みを解決したりしていくのが、このゲ-ムの大きな目的です。冒険の途中には、さまざまな謎が仕掛けられています。代表的なところでいえば、大きな岩が道をふさいでいたり、大きな河に架かっている橋が壊れていて先に進めなかったり、といった仕掛け。これらを解決するには、アマテラスが秘める神の奇跡の力「筆しらべ」を駆使しなければなりません。神の力といってもなかなかイメージできないとは思いますが、火や水、風などの、自然現象を操る力といえば、少しは具体的に思い浮かぶのではないでしょうか。ひとたび筆を走らせれば、枯れた植物に命の息吹を与えることも、水の流れを変化させることもできます。突風で岩物を吹きとばしたり、炎で巨大な氷塊を溶かすこともできるわけです。そして僕が一番衝撃を受けたのは、この「筆しらべ」の発動方法! この能力を発動すると、画面が水墨画のような絵として切り取られ、その絵にさまざまな線や記号を描くことで、森羅万象の力を発動させることができるわけです。今までいろいろなゲームを触ってきた僕ですが、コレには本当にビックリ。筆で画面に字などを描くという行為は、従来のゲームにない、まさしく“神の力”を使うという快感を味わわせてくれます。ちなみに、物語の序盤で使用可能な筆しらべは下記のとおりです。

「画龍(がりょう)」
物が本来の姿に再生する力。壊れた水車、橋などを元通りにする。天の川に光の道を作ったり、なくなった物干し竿を創造したりすることも可能。

「一閃(いっせん)」
柱や巨石などの障害物を斬って破壊する力。ロープなどを斬って仕掛けを作動させるといったことにも使用するほか、戦闘で敵を切り裂くこともできる。

「光明(こうみょう)」
空に太陽を生み出し、辺りを一瞬で昼に変える。大地に恵みを与える日光で、キノコや木の芽を成長させることも可能。

「桜花(おうか)」

植物に関する3つの能力に分かれる。「花咲」は植物に生命力を与え、「水蓮」は水上にハスの葉の足場を作ることが可能。「蔦巻」は桃コノハナという植物と物体を引っ張り合わせ、アマテラスを移動させたり、フック状のものを引っ張ったりできる。

「輝玉(てかだま)」
物を吹き飛ばしたり、破壊したりできる花火爆弾を作り出す。特定のエレベータの起動キーになる場合もある。戦闘にも使用可能。

「水郷(すいきょう)」
火を消したり、水を汲んだりなど水場から線を引くことで水を操ることができる。また「水の力場」と呼ばれる特定の場所では、上方に向けて線を引けば、アマテラスを高台に導く水柱が出現。

「月光(げっこう)」
空に月を生み出し、辺りを一瞬で夜に変える。月光の魔力で、特定の物体に不思議な力を与えることも可能。

「疾風(しっぷう)」
風を巻き起こして、風車を回す、落ち葉を吹き飛ばす、炎を吹き消す、といったことが可能。掛け軸を風になびかせたりもできる。

 ここで紹介したもの以外も含めて、筆しらべの能力は全部で13種類。秀逸なのは、そのすべてを使いこなさなければ謎を解き明かすことができないことです。謎解きは本当にいろいろな種類があるので、少しでも「怪しい」と感じたなら、すぐにいろいろな筆しらべを使ってみることをオススメします。ヒントが過剰に出されて、AVGというよりもサウンドノベルを読んでいる気になる作品も多い中、こういったインスピレーションを大事にするAVGは非常に好感触。難解な謎をノーヒントで解き明かしたときの快感は、何ものにも換えがたい喜びです。もちろん、行き詰まったらアマテラスの相棒であるイッスンというキャラがヒントを出してくれるうえに、どうしようもないほど難しい意地悪な謎解きは存在しないので、ゲーム初心者でも安心といえるでしょう。
 また、筆しらべは戦闘シーンでも大活躍! 「一閃」で敵を切り裂いたり、「桜花・花咲」で敵の弱点を出現させたりと、その使い方もじつにさまざまなのです。思いもよらない使い方で、戦闘が有利になることもあるので、戦闘中も頭はフル回転! ぶっちゃけ、戦闘はアクションよりも「どの筆しらべが効果的か」という謎解きの方に重点が置かれてるので、アクションが苦手な人でも安心です。逆に、バリバリのアクションを求めている人からすれば、少し物足りなく感じられるバランスではあるかもしれません。そこらへんは、ゲーム開始時に難易度調整ができたらよかったかもな、とちょっぴり残念なところではあります。

●『大神』の魅力 その弐
  魅力的な登場人物たちが紡ぐ、物語がおもしろい!

 個性的なキャラがたくさん登場するのも、『大神』の大きな魅力のひとつ。メインキャラのなかには、ウシワカや竹取翁(たけとりのおきな)など、日本の神話やおとぎ話に出てくる神々や英雄たちの名前がつけられているものもいたりします。彼らの物語を調べ、ゲームでの役割と比較してみたりするのも、このゲームの楽しみ方の1つといえるでしょう。たとえばスサノオ。神話上ではヤマタノオロチを打ち倒したとされるこの英雄は、ゲーム中では練習嫌いのお酒好きとして描かれています。序盤では基本的に、アマテラスの助力がなければ何もできないという、情けない部分をたくさん見せてくれるスサノオ。しかし! アマテラスと出会ったことをきっかけに、彼はグングン成長を遂げていき、最終的には強大なボスに立ち向かう勇気を身につけていくわけです。こういった人間くささのある英雄たちとの出会いは、じつに刺激的でステキなもの。彼らとアマテラスが紡ぐ物語は、必ずあなたの心に残るといえるでしょう。
 ちなみに、僕が気にいっているのは、ひょんなことからアマテラスと行動をともにするようになる、自称さすらいの絵師・イッスン。彼の毒と愛嬌が入り混じった独特のセリフ回しを聞いていると、なんだか元気になってくるから不思議です。ディレクターの神谷氏も大のお気に入りというイッスン。彼との冒険の旅は、本当に心がときめきます。
 そんな魅力あふれるキャラたちが活躍するストーリーも、じつにすばらしい! 基本的にはコミカルテイストな内容なのですが、「妖怪によって腐敗した自然を取り戻す」という目的や、「信心をなくしたおかげで、神であるアマテラスが犬にしか見えない」人間たちの描写など、現代社会を風刺しているかのような設定が盛り込まれているのも、またおもしろいといえるでしょう。シナリオのボリュームは、メインストーリーを追いかけていくだけで約50時間ほど。これに、さまざまなミニゲームややり込み要素をプレイしていくと、ゆうに70時間は遊べます。RPGと比較しても遜色がないほどの大ボリュームは、アドベンチャーという枠には収まりきれません。逆にそれがアダとなって、途中で投げ出したくなる人もいるかもしれませんが、それはかなりもったいないです。終盤は涙腺がウルウルくる、怒涛の展開も待っています。プレイしないと損ですよ。この感動を、ぜひ味わってみてほしいですね。

●『大神』の魅力 その参
  かつてないテイストの美しいグラフィックがおもしろい!

 『大神』の魅力を語るなら、日本画を思わせるようなあの独特のグラフィックの美しさにも、触れないわけにはいかないでしょう。というより、僕を一番悩ませているのは、このグラフィックのすばらしさを表現できる言葉が見当たらない、ということなんです。ゲーム画面を見れば、その「独特さ」に関しては、語るまでもなくわかってもらえると思います。でも、静止画を見ただけでは、その真の美しさには、なかなか気づけないのではないでしょうか。いかんせん、パッと見が地味というか、「ふーん、キレイだね」という一言で終わってしまいがちな気がするのです。これも絶対もったいない! アマテラスが強敵たちを打ち倒し、大地の穢れを浄化することで起こる「大神降ろし」をはじめ、本作のグラフィックは、動画を見ないとわからない、神々しいまでの魅力にあふれています。静止画でも十分キレイですが、動画でこそ輝く美しさに満ち満ちているのです。電撃プレイステーション編集部が、「ホントにPS2のクオリティなのか?」と驚いたその美しさに、ぜひ触れてみてほしいですね。なお、ゲームの動画は「大神」の公式ホームページhttp://www.o-kami.jp/(もしくはクローバースタジオhttp://www.cloverstudio.co.jp/)で鑑賞できますので、興味がある人はちょっと覗いてみてはいかがでしょう? きっとゲームが欲しくなること間違いなしですよ。

●少しでも多くの人にプレイしてもらいたい!
 このゲームの魅力に心底ほれ込んでいる僕としては、「まずは周りからこのゲームのよさを伝えていこう」ということで、まずは友人たちにゲームを紹介してみました。結果は、ほぼ全員が好感触を得ている様子。なかには、僕よりも短い時間で、あっという間にクリアしてしまった猛者もいるほどです。そんななかでとりわけ印象に残っているのが、普段はゲームをしない女友だちが言った「アマテラスの仕草を見ているだけで癒される」という一言。そうなんです。この白い大神が癒すのはゲーム内の穢れた大地だけではなく、僕たちの疲れた心さえも癒してくれるのです。こう書くと大げさに感じる人もいるかもしれませんが、そういう人にこそ、アマテラスのかわいい仕草を見てほしい! しばらく何も入力しないで放置すると、横になってぐーすか寝てしまうところとか、イッスンとの漫才のようなかけあいで見せる、ちょっととぼけたような表情とか、動物たちにエサを与えるために、座り込んでいるところとか。もう、ホントかわいすぎです。もしかしたら、犬好きな人なら問答無用でゲットしてもいいゲームなのかもしれません。
 さてさて。ここまで一生懸命、僕なりにこのゲームのすばらしさを解説してきたつもりですが、はたしてうまいこと、このゲームの魅力は伝わりましたでしょうか。残念ながら、現在の日本のゲームマーケットでは、このゲームのような「純和風」な世界観のものは、大きなヒットにはいたらないことが多いようです。ゲームといえば「西洋ファンタジー」ものというのが王道というか、根強い人気を誇っていますからね。そういう意味では、このゲームは「一般的」とはいえないかもしれません。個人的な見解ですが、このオリエンタルな雰囲気は海外でこそ人気を集めるタイトルなのかも、とさえ思っています。でも! プレイさえしてもらえれば、絶対にその魅力のトリコになるはず。間違いなく、PS2後期の大傑作として、名を残すことになるゲームです。少しでもこのゲームが気になっている人は、すぐにでもプレイしてみてください。きっと、すばらしい感動を味わうことができるはずですから。


 
『大神(OKAMI)』画面写真

レビュアー紹介

ただ坊
 島本和彦先生のマンガに激しく同調し、映画「ロッキー」を見ては涙するという熱血な部分と、ベストプレイスが「ディズニーランド」という癒し部分を併せ持つ、自称永遠のピーターパン。仕事中に聞くBGMがB’zの時は絶好調なとき、GARNET CROWの時は最高潮のときだと豪語する、へっぽこ三文ライターでもある。

●習得済み精神コマンド
「不屈」「ひらめき」「根性」「熱血」「気合」「魂」(「集中」が欲しい、と本人談)(ついでに「加速」も覚えやがれ、と担当編集談)
●好きなゲーム
『スパロボ』シリーズ
『キングダムハーツ』シリーズ
『KOF』シリーズ


大神(OKAMI)
『大神(OKAMI)』パッケージ写真
●機種:PS2
●メーカー:カプコン
  (開発:クローバースタジオ)
●ジャンル:A・AVG
  (ネイチャーアドベンチャー)
●価格:7,140円(税込)
●発売日:2006年4月20日

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