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◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
ペルソナ3
レビュアー
有部デルチ

毎日、23時59分~0時の間に
1時間あったら何する?

 え、何しよう……。たまったゲームクリアする? いやぁ、1時間じゃたいして進まないしな。じゃ、仕事進める? いやぁ、1時間じゃまったく進まないしな。寝るってのが現実的か!? いやいやいや、そうじゃなくって戦うんです! だって、その1時間には学校がタルタロスっていう高~い塔になって、シャドウっていう怪物が人を襲うから。お世話になった学校がそんなことになったら大変だし、人が襲われちゃうのはもっと大変。ってことで、その1時間は戦うのです!
  そう、『ペルソナ3』はそんなゲーム。『ペルソナ』って名前がついてるけど、これまでのシリーズとは全然違うストーリーだし、システムだってこれでもかってくらい一新されています。もちろん、世界観は統一だし、シリーズをプレイしてるコアなファンならニヤリとできるネタもアリ。でも、あくまでそれはオマケ的な要素。これまで培った土台に頼ることなく、設定、システムなどさまざまな面で挑戦的な試みを行った意欲作といえる1本なのです。

 なんてたってファン驚きなのが、キャラクターデザインの変更でしょう。『真・女神転生』、『デビルサマナー』、『ペルソナ』。シリーズの3本柱といえるシリーズで、悪魔絵師・金子一馬氏がキャラクターデザインを担当されていない初の作品となるわけですから。今回キャラクターデザインを担当されている副島成記氏は、これまでシリーズに携わってきたのはもちろん(『ペルソナ2 罰』では、ギャルソン副島というキャラクターでゲーム中にも登場している)、近年ではアトラスから発売されたS・RPG『ステラデウス』のキャラクターデザインで記憶している人もいることでしょう。発表当初、自分の周りにも「金子さんじゃないんだ~」というネガティブな意見をいう人もいました。でも、自分が初めてメインビジュアルを見たときの感想は「え、なんで? これはこれでいいじゃん!」でした。実際、プレイしている攻略班の中で「キャライラストが……」な~んていう人はいないし、金子氏の描く世界観も素晴らしかったですが、副島氏の描いたこの世界観も素晴らしくいいと自信を持っていえます。ライター紹介文にもあるように、かなりの金子一馬好きの自分がいうんだから、ね!? どうも反応見ると、そこに引っかかってる人が少なからずいるようなので……。食わず嫌いせずに、だまされたと思って食べてみて!

 スタッフの話より、ゲームの話しろ! って思ってるあなた。実はこのゲーム、キャラクターを含めたデザイン部分がけっこう肝なんです。『女神転生』シリーズといえば、ダークな雰囲気が醸し出す「静」が魅力だったりするわけですが、『ペルソナ3』は違います。インターフェイスはスタイリッシュで、カラーリングもポップ。メニュー画面も、なにかしら動いているという「動」の魅力に惹きつけられるのです。そして、その魅力をさらに引き立てているのが、BGM。これまた、シリーズにないジャンルのBGMで、思わずプレイを止めて聞き入っちゃうくらいカッコいい! ほぼすべてにボーカルが入っているのも、こだわりが見えて、いや聴けてうれしくなっちゃいます。そう、なんかプレイしててうれしくなっちゃうんです。『女神転生』といえば先に挙げた「静」の魅力、それが安定したおもしろさであって、それはそれでシリーズの進む道だと思うし、それがいいって人もいるでしょう。でも、シリーズだからこそ、なかなか外れられないレールもあるわけで、あえてそこを外れて新たな道を模索してくれたことに、ファンだからこそうれしくなっちゃうところもあるのです。ここまでシリーズと違うんですよって書くと、引いちゃう人もいるかもしれません。もちろん、シリーズとしての垣根が低くなったぶん、初めての人にも手を出しやすい内容になっているのも確か。でも、やっぱりファンだからこそ触れてほしい作品だなと思ったりするわけです。あ、ちなみに7月19日に発売される『ペルソナ3』のサントラはすでに予約済みです。

 で、デザインとかBGMが新しいだけなのかっていうと、そうじゃない。システム面でもかなり挑戦的なものがいくつも見られるわけです。ただ、ここで戦闘システムがどーこー、「コミュ」がこんなシステムで~とか、合体が6身合体あって~、なんて説明書みたいなことを書いてもしょうがないし、それ以上に語りたいこともあるので、システムを詳しく知りたい人は「電撃PlayStaiton Vol.359」(7月14日発売号)あたりを見ちゃってください。
  そんなシステム面でおもしろいのは、1年を1日1日進むというゲームの基本進行。イベントの関係で数日が一気に過ぎる、ってこともあるけど基本的に1日1日ちゃんと進むのはけっこう斬新です。そう、例えば7月10日のプレイが終わったら次は7月11日なんです。「あたりまえじゃん?」って思った人、そう、このゲームは“あたりまえ”なんです。3月が終われば4月が来るし、日曜日が終われば月曜日が来る。冬になって寒いのヤだな~とか、日曜日の夜に明日からまた学校か~とか、日々誰もが重ねている毎日がある。『ペルソナ3』の世界観は、なんとも日常的でおもしろいのです。自分が実際にゲームをプレイしていたときは7月なんですが、ゲーム内で9月になって、あるキャラに「涼しくなってきましたね」っていわれたとき、「あー、そういえば涼しくなってきたなぁ」とか本気で思っちゃいましたから。で、ゲームを終えてから「あ、まだ7月じゃん、ていうか暑いし!」とツッコむわけです。季節の移り変わりやそれに合わせた行事などなど、日本人だからわかる妙なリアルさはなんともいえない魅力です。
  そんな日常と対比するように組み込まれているのが、1日と1日の間にある非日常「影時間」。ここで、主人公たちは戦闘することになるわけですが、正直、自動生成ダンジョンである理由とか、中盤以降行くの疲れちゃうなとかいう疑問や不満もあります。でも、そこらへんのバランスが実は絶妙にとれていて、ダンジョンに毎日通わなくてもクリアは可能だし(半分も行かなくていいかも)、自分のペースで進めることができたりします。なんせ、1日の時間は限られているわけですから、“戦わない日”があるのもいいじゃないですか。それに毎日同じこと繰り返していくのはつまらないですし、自分でスケジュールを立てていくのが人生ってやつですよ。

 と、ここまで本作のさまざまな魅力を書いてきたわけですが、自分の中で『ペルソナ3』はロールプレイングゲームではなく、スクールライフシミュレーターなのです。もちろん、ゲームの中に出てくる禁断の愛に目覚めたクラスメイトとか、複雑な家庭環境に悩む小学生、なんて知り合いは自分にはいません。でも、今まで家族やクラスメイト、職場の人間など、いろんな人に出会ってきたわけで、そんな人生経験がこのゲームのリアルな演出を際立たせている感じがしてならないのです。TVゲームという以上、このゲームのターゲット層は「今、ガチンコで学生ってる人たち」かもしれません。でもこのゲームは、学生生活を終えた人が「そういえば学生の頃って、こんなんだったな~」とか「学校行ってるとき、こういうことしておけばよかった」と懐かしむゲームな気がします。舞台は近未来的だけど、実はノスタルジックなこのゲーム。ボリュームはバツグンでクリアまでかなりの時間がかかることと思います。でも、クリアしてこう思うはず、「1年なんてあっという間だな~」と。

 


『ペルソナ3』画面写真

レビュアー紹介

有部デルチ
 しめ切りをブッチ切ってイラストばかり描いてる暗黒悪魔絵師風ライター。最近、本業がどっちかよくわからなくなりつつある。『スパロボ』歴は非常に長く、電撃PSの攻略班として活躍中、みたいな。

●好きなゲーム
『スパロボ』シリーズ


ペルソナ3
『ペルソナ3』パッケージ写真

●機種:PS2
●メーカー:アトラス
●ジャンル:RPG
●価格:7,140円(税込)
●発売日:2006年7月13日

■ソフト紹介ページ


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