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■ レビュー ■

『ニード・フォー・スピード カーボン』

 レビュアー:スピードジャンキー井上R

レイトブレーキング勝負のアツイ峠バトルがココに!
スポコン走り屋御用達のRCGシリーズ最新作!!

 クルマゲーム好きのみなさん、こんにちは! 現在、愛車GT-Rが修理中のため、クルマに乗れない日々を悶々と過ごしている、スピジャン井上Rです。でも大丈夫! オレたちにはクルマゲームがある!! そんなナイスタイミングに発売されたのが、RCGファンにはおなじみの『ニード・フォー・スピード』シリーズの最新作『ニード・フォー・スピード カーボン(以下NFSC)』なのであります。この年末年始、マイPS3はまさに『NFSC』専用機となってフル稼働! 暖かい部屋でぬくぬくと快適な仮想カーライフを満喫したのでした(笑)。この年末年始を潤してくれた本作の魅力を、本レビューでお伝えしていきます!
  まずはじめに「さあ『NFSC』をやるぜやるぜやるぜっ!」と思ったときに、きっと迷うのがどのハードでプレイするのか、ということでしょう。というのも本作は、PS2版、PC版、Xbox 360版、PSP版に加えて、この冬発売された新ハードのPS3版、Wii版も発売されるという、スーパーマルチプラットホームな作品。とりあえず自分はWii版、PS2版、PS3版を実際にプレイしてみましたが、基本的にどれもシナリオやゲームシステムまわりの内容は同じでした。ただし、細かい違いとして、Wii版はコントローラを横に持って運転する、空気ハンドル(!?)操作が特徴。いつものスティックとは違った操作感が味わえましたし、慣れてくると微妙なドリフトコントロールもできるようになるので、これはこれで楽しかったです。マップを開いたりするメニュー操作まわりのボタンの割り当てがちょこっと複雑ですが、レース中の操作には影響しないので、とくに気になりませんでした。
  またPS2版も従来シリーズのPS2版同様、ハードの性能を引き出したグラフィックのクオリティで遊べます。むしろWii版と同等か、それ以上にキレイに見えたグラフィックが印象的でした。なかなかどうして、PS2も侮れません。PS2しか持っていないユーザーでも不満なく遊べるので、その点はご心配なく。
  ちなみにPSP版ですが、サブタイトルに『オウン・ザ・シティ』と付いている通り、実はこれだけは他ハード版とストーリーはもちろん、キャラデザインやBGMがガラリと異なる外伝的な作品になっていたりします。そしてこれがまた面白い! 兄の事故死の謎を追っていくうちに、巨大な組織に立ち向かっていくことになるという、サスペンス色の強い内容になっていて、従来シリーズのファンにはかなり新鮮に感じられます。またこのストーリーも、かなりボリュームがあって、遊び応えたっぷり。これはこれでオススメなので、RCG好きのPSPユーザーはぜひ!

走り屋バトルの目的は全エリアの完全制圧!

 では話を『NFSC』に戻して、ここからはPS3版をもとに本作の魅力をクローズアップしていきましょう。メインとなるシナリオモードは基本的に前作『モスト・ウォンテッド』と同様、ストーリーに沿って街中にあるレースイベントを進めていくという流れ。前作で熱かった、パトカーとの逃走バトルも健在です。これは、警察に目を付けられたプレイヤーが街中でパトカーに見つかると、とことん追いかけられるというもの。パトカーを振り切れずにいると「ヒートレベル」と呼ばれる警戒度がどんどん上昇して、パトカーの応援部隊が続々とプレイヤーのクルマめがけて集結。検問を張られたり、ヘリで上空から追われたりする、激しいカーチェイスへと発展していきます。そして四方八方を囲まれて身動きできなくなってしまうと、あえなく御用に。高額な罰金を支払うハメになったり、マシンを没収されたりといったペナルティがあるので、逃げる方もかなり必死になります。
  でも、前作ではメインだったこのカーチェイスですが、本作ではあくまでレース要素の1つ。今回プレイを進めていくうえでメインとなるのは、4つの走り屋チームが制圧している4つのエリアをプレイヤーのチームが奪っていくという、エリアの奪い合いなのです。この「エリアの奪い合い」と「チームバトル」が、本作ならではの新要素になっています。
  まずは「エリアの奪い合い」について。各エリア内にはストーリーの進行に応じて、そのエリアのチームとバトルするレースイベントが出現。一定数のイベントに勝ってエリアを制圧すると、そのエリアのボスが登場するので、コイツを倒すとエリア制圧完了となる仕組みです。ゲーム開始時に制圧できるエリアは、選んだ場所によってそれぞれ異なりますが、最初のボスを倒すと自由に好きなエリアへ進出することが可能になります。ただ単にレースイベントのクリアを目指すのではなく、プレイヤー自身が制圧したいエリアに狙いを定めて効率よくイベントをクリアしていくという目的があるので、中だるみすることなく終盤までプレイできる点がポイントです。
  次に「チームバトル」ですが、本作ではシナリオ展開に応じて、プレイヤーのもとに仲間が加わります。仲間になったチームメンバーは、イベントレース内でプレイヤーと一緒に走行。指示に応じて、さまざまなアビリティを発動する仕組みになっています。この一緒に走行するチームメンバーをウイングマンと呼び、ライバルに体当たりして進路を妨害する「ブロッカー」、、スリップストリームでプレイヤーマシンの加速力を伸ばしてくれる「ドラフター」、コース内にあるショートカットポイントやベストラインを教えてくれる「スカウト」の3タイプがあり、どのタイプのウイングマンを連れていくかはプレイヤー次第。連れていくことができるのは1名だけですが、レース中はウイングマンが1位でゴールしても勝利になります。誰を連れて行こうか迷ったときは、指示を出さずとも常時アビリティを発揮して、ガンガン先行して走ってくれる「スカウト」がオススメでっす!
  バトルイベントは、プレイヤーがワールドマップから選択する通常バトルのほかに、ライバルチームのエリアを走行しているとライバルからバトルを挑まれる「エンカウンターバトル」、自分が支配しているエリアにライバルチームが攻めてくるのでそれを阻止する「ディフェンスバトル」があります。ライバルチームも各エリアの制圧に向けて動いているので、ただ単純に制圧していくだけでなく、こうしたイベントもこなしていくことも重要なのです。このあたりで、ちょっとした戦国SLG的なせめぎあいが楽しめます(笑)。

峠が舞台の「キャニオンデュエル」がアツイ!

 通常バトルのレースは、市街地の公道を舞台に速さを競う「スプリント」、「ストリート」、「チェックポイント」、「スピードトラップ」、「バトルウォー」(PS2版、Wii版にはなし)の5つが中心になります。ほかにも、ドリフトの華麗さを競う「ドリフト」と、1対1のバトルで2本勝負を行う「キャニオンデュエル」といったイベントがあり、その数は全部で7種類! なかでも注目は、本作で初お目見えとなる「キャニオンデュエル」です。このイベントは、主にライバルチームのボス戦で行われるバトル形式。ジェットコースターのようにうねりの激しい峠コースに移動して、まず1本目はライバルを後ろから追いかける後追いダウンヒルバトルが展開。どれだけ前を走るライバルについていけるかでポイントが入ります。そして2本目では前後のポジションを入れ替えて、プレイヤーがライバルの前を走る先行ダウンヒルバトルがスタート。ここで、後追いバトルで貯めておいたポイントが尽きる前にゴールできると、プレイヤーの勝利となります。もちろん、後追い時にライバルを追い抜いてしまえば、その状態を10秒キープすることで即プレイヤーの勝利となりますし、逆に先行バトル時にライバルに抜かれたらプレイヤーの負けになるという要素もアリ。そう、実際(!?)の峠バトルで行われているあのルールを、そのままゲームで再現しているのです! もしくはコミックでいうところの『頭文字D』のようなイメージでしょうか。
  そんなキャニオンデュエルをさらに熱く盛り上げるのが、コースアウトするとガケから転落してしまうという、スリリングかつエキサイティングな点! 後追いバトル時は、追い抜いて10秒間先行すれば勝ちとなるので、できれば追い抜いてしまいたいところ。そこで、コーナー手前ギリギリまでブレーキングを遅らせて、ライバルより先にインを差そうと狙うのですが、コースアウトしてしまうとガケの下へ真っ逆さま! ちなみに後追いバトル時に、前を走る相手マシンに接触すると、ポイントが差し引かれるペナルティがあるので、ガシガシ相手マシンにぶつけて曲がるような、いかにもゲーム的な走りはダメダメ。もちろん、ライバルをプッシュしまくって最終的に追い越して勝つパターンもありますが、基本はブレーキングと走行ラインで勝負するのが、このバトルのポイント。一発勝負で追い抜きに成功するか、ガケから転落してリタイアになるかという極限バトルが、かなりスリリングな緊張感を生み出します。このバトルはシナリオモードのボス戦だけでなく、指定されたコース&マシンでバトルを行う「チャレンジシリーズ」モードなどにも用意されているので、ぜひ走り込んでみてください。この峠バトルのスリルはクセになりますよ!

30台以上の実車をスポコン仕様にカスタマイズ可能!

 こうした走り屋バトルをさらに盛り上げてくれるのが、本作に収録されている30台以上の実車です。収録車種には、アメ車がメインの「マッスル」、ヨーロッパ車が中心の「ハイエンド」、日本車が選べる「スタンダード」の3つのクラスを用意。マツダ、トヨタなどの日本車はもちろん、フォードやメルセデス、アルファロメオといった外車を選んで、プレイヤー好みにカスタマイズできるのは従来のシリーズ通り。さらにカスタマイズ要素についても、『NFSC』では「Autosculpt(オートスカルプ)」と呼ばれるシステムを新搭載。これはエアロパーツのバンパーやボンネットに開いているエアダクトの大きさを、自由に変えられるというシステムで、同じエアロパーツでも、さらに自分の好みのデザインに修正できる便利システム。これでまさに自分だけの1台を作り上げることが可能になります。また、マシンの性能をアップさせるチューニングも、基本的にパーツを購入して装着するだけでオッケー。マシンのセッティングも可能ですが、例えばトランスミッションも、3つのパーツを組み合わせて最高速仕様にするか加速仕様にするかを決めるのですが、実際に変更できる幅は5段階のみ。ですが、ヘタに細かいよりもこれくらい大まかなほうが、煩わしさがなくてこのゲームにはピッタリだと思いました。基本的な挙動はベース車両によって決まるので、あとは挙動の味付けをちょっぴり変更するといった感じでしょうか。
  クルマの挙動に関しては、最初に選択できる3台を乗り比べるとわかるように、例えばアメ車は低速トルクがあるけど滑りやすかったり、ヨーロッパ車はハンドリングがクイックだったり、日本車は平均的にバランスが取れていたりと、それぞれ違いがあります。また、基本的なクルマの挙動も、リアタイヤがけっこう粘るような感じで、リアル指向ではないけれど、クルマを操る楽しさが味わえるようになっているのもポイント。
ただ、ドリフトイベントをプレイするときのみ、クルマの挙動が自動的にドリフト仕様になってしまうので、その点では違和感を感じるかもしれません。
  また、レース中はニトロを使ったハイスピードバトルが展開! 画面がとろけるようなスピード感は、このシリーズならでは。「キャニオンデュエル」では使用できなくなりますが、それ以外のレースイベントでは使用可能なので、プシュプシュとニトロを噴射しまくって、ライバルをブッちぎってやりましょう!

RCG好きならシリーズ初プレイでもすぐにハマる面白さ!

 そもそも『ニード・フォー・スピード』といえば、以前はどちらかというとリアルシミュレータ色の強いストイックなRCGという印象でした。ところが2003年にリリースされた『ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド』以降は、いわゆるスポコンマシンをメインとした、エンターテイメント性の高いRCGへと進化を遂げた気がします。そうした『アンダーグラウンド』以降の作品に盛り込まれていったさまざまな要素が1つになった集大成的な作品といえます。
  RCG好きな人には間違いなくオススメできる作品ですが、新世代ハードでリリースされたPS3版には、いくつか気になる点もちらほら。まず1つは、グラフィックの解像度が、720pという、いわゆるD4規格までしか対応していない点。解像度的にはXbox360と同じで、それでも十分キレイではあるのですが、せっかくならPS3ならではのフルHDクオリティで、あの峠バトルを体験してみたかったところです。またレースシーンでも、ふだんは滑らかな秒間60フレームの描画なのですが、場面によっては秒間30フレームに落ちてしまうところも……。自分はそれほど気になりませんでしたが、PS3と一緒に高画質モニターなどをそろえたゲームファンには、ちょっと引っかかるかもしれません。とはいえグラフィック面では、イベントシーンに登場するCGキャラクターの表情がかなり滑らかに変化したり、「Autosculpt(オートスカルプ)」でエアロパーツを自由に変形させられるといった、次世代ハードの片鱗も見せてくれています。クルマをぶつけるとちゃんと塗装がはがれたりボディがへこんでいるように見えたりするといった、実車をモチーフにしているからこそ再現してほしかった要素も盛り込まれていて、その点もすごいなと思いました。実車が壊れる要素って、やはり自動車メーカー側としてはあまり気持ちいいものではないようで、なかなか実現されないんですよね。
  ストイックにクローズドコースを走り込んで、タイムをコンマ1秒ずつ削っていく。それもRCGの楽しみ方の1つですが、一般車が行き交う市街地を爆走するレースもまた、RCGだから味わえる楽しさ。そんなアメリカ発の洋ゲーらしさが、うまく日本人向けにアレンジされていて、かつ日本発では決して作れないであろうRCG。それがこの『NFSC』なのです。

画面写真

スピードジャンキー井上R

 FFXI班「電撃の旅団」に所属する走り屋ライター。キャラの名前は「Fairlady」だが、実際の愛車はスカイラインGT-Rだ。そのRも、常にフルブースト全開走行のため、先日ついにエンジンのガスケットが吹き抜けて不調に。修理に1カ月近くかかるため、現在は代車のパルサーにおとなしく乗っているようだ。

●好きなゲーム
『峠MAX』シリーズ
『首都高バトル』シリーズ
『グランツーリスモ』シリーズ

ニード・フォー・スピード
カーボン

『ニード・フォー・スピード カーボン』

■機種:PS3
■メーカー:エレクトロニック・アーツ
■ジャンル:RCG
■価格:7,329円(税込)
■発売日:2006年12月21日
■関連サイト:エレクトロニック・アーツ
※PS2版、PC版、Xbox 360版、PSP版、Wii版も発売中

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