電撃ドットコム > 電撃オンライン > 緊急特別企画 創造への挑戦 ナムコ・ワンダーエッグの軌跡


■スタッフ主導で生み出された独自のイベントの数々

 ワンダーエッグといえば、多種多様なアトラクションやユニークなイベントといったイメージがあるが、意外にも、オープン当初のイベントは、専門の代理店に委託したものである。だが……。

「やっぱりね、ナムコには『自分でやりたい』という発想があったんですよ」
 石川が語るとおり、ナムコはそこから一念発起し、ワンダーエッグの特徴である参加型イベントを独自に企画する。その第1弾が、'92年10月に行われたハロウィン。そして、その特典が何ともユニークだった。

「仮装大会なんですけどね、仮装してきた人は入園無料にしてしまおう、ということになりまして」(石川談)

 楽しければやってみよう。ナムコの自由な社風だからこそ実現できたこのイベントは、好評を博すことになる。そして、このイベントを契機に、ワンダーエッグのスタッフがあれこれ考えながら、さまざまなイベントを生み出していったのである。
 たとえば、ファンの間で知られる「ワンダーエッグの輪踊り」は、いつの間にかできあがっていたイベントの1つだ。劇団出身のスタッフが手の空いた時間に踊る。アルバイトのスタッフもダンスを習い、客の前で披露する。
 そんな園内の光景が、「何度訪れても楽しい」と、リピーターの増加につながった。

 こうしたイベントの充実は、アトラクションだけに集客を頼るテーマパークとは明らかに一線を画していることを意味していた。他とは違う。だからこそワンダーエッグは、当初5年ほどの限定運営予定でありながら、2度の延長を経て、約9年にも及び運営されていくのである。
名物の「ワンダーエッグの輪踊り」は、自然に生まれたイベントの1つだった(イメージ図)