SCP財団職員に就職いかが? 『SCP:極秘ファイル』はホラー映画を見ているかのようにハラハラする【東城咲耶子のおすすめインディーゲーム】

東城咲耶子
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 電撃オンラインユーザーのみなさん、こんにちは~! 私、東城咲耶子がひたすらおすすめのインディーゲームをゆるく紹介する“東城咲耶子のおすすめインディーゲーム”第5回がやってきました。

 相変わらず、時間があればゲームばっかりやっています。東城です。

 毎回、個人的に「面白い!」と思ったゲームを勝手に語っているので、つい私の好みに偏ったゲーム紹介になっていますが……。

 今回はみんな大好き、正統派のホラーです!

『SCP:極秘ファイル』

 本作はインディーゲームスタジオGameZoo Studioが開発、Pixmainが配信している、超常現象ストーリーアドベンチャーゲームです。

 夏といえばホラーみたいなイメージありますが、ホラーは春も夏も秋も冬もいいぞ~!!

 と言いつつ、実は東城、ホラー大好きなのにめちゃくちゃ怖がりでよわよわでして……。

 よくある大きな音と突然の映像で驚かせてくる“ジャンプスケア”があるホラーが苦手で、因習がどうとか怪しい村がどうとかクトゥルフとか、オカルトっぽいじっとりねっとり怖いものが好きです。

 で、今回の『SCP:極秘ファイル』です!

 私は物心ついたころからインターネットにべったりなオタクなので元々大好きなのですが、みなさん、“SCP”ってご存じですか?

 2007年に海外の掲示板の書き込みから始まった文化で、この世には人間の道理が通じない生き物、呪われた物体、目に見えない現象などなど不思議な物(=SCP)が実はたくさんあって、それを管理する秘密の組織(=SCP財団)も存在する、という世界観を共有する遊びです。

 確保(Secure)収容(Contain)保護(Protect)が基本理念で、そんなネットミームをベースにしたこのゲームでは、SCP財団に就職してSCPとわちゃわちゃする主人公を操作することになります。

 詳しくは『SCP』とか『SCP 有名なやつ』とか、検索してみてください!

 寝る前にさまざまな面白い記事のリンクをひたすら飛んでしまうように、SCPのサイト内を延々とさまよい、時間を溶かすことになるでしょう……(笑)

 そして、SCPの世界観では機密重視で人間の命が激軽いので、ゲームのあらすじを見て「新人の財団職員なんかすぐ死んじゃうじゃん! 就職したくねー!」と思ったのですが、そんなセオリーを回避するために面白い構成になっていました。

 ゲームはオムニバス形式で進み、1話ごとに別のSCPと絡むことになるのですが、初っ端からプレイヤーの視点が実験に使われる死刑囚視点でした!

 な、なるほど! これなら大丈夫!!(?)

 ほかのお話も、職員として極秘のファイルを整理しながら、そのSCPとかかわった誰かの報告書を読んで過去を知るという流れでした。

 よし、これなら死なないぞ……。

 そんな感じで、SCPに“勝つ!”、“倒す!”のではなく、基本は人間には太刀打ちできない大きすぎる脅威に振り回されて、どんなひどい目に遭うのかを楽しむアドベンチャーゲームです。人の心がないな!

 ほとんどが過去にもう起きてしまっている、回避できない悲劇なのですが、ホラー映画を見ているかのように「ああ〜!! 絶対それダメー! あー!! なんでそんなことしちゃうのー!? もー!」とハラハラした気持ちになります(笑)

 ホラーパートの怖さがえげつないのでホラーと紹介しましたが、このゲーム、SCPは一概に悪い奴ばかりでもないというところもちゃんと描いてくれています。

 わかってるー! 愛を感じる〜!!

 かかわったら悪いことが起きることがつねなのですが、ごく稀に人間に寄り添ってくれる友好的なタイプや、切ない背景を持った穏やかなSCPなどもいるのです。

 この『SCP:極秘ファイル』ではざっくり5つのSCPとの接触を追体験することができて、うち1つはそんな優しいお話でした。

 さっきまで怖すぎてヒィヒィ言っていたのに、絵本を読むかのような可愛らしい視点に変わって、予想外の展開に驚きました。ぜんぜんホラーじゃない!
緩急すごすぎて、それはそれでビビるわ……!

 ホラー定番のめちゃこわ追いかけられシーンや圧倒的な不穏もばっちりありますが、基本は探索がメインで、ゲームとして詰まるところもなくプレイの難易度も低めです。

 そんな中でガラッと雰囲気も変わるので、SCPを知らない人ほど「次は何が起きるの!?」と飽きることなく楽しめるなーと思いました!

 逆によく知っている私は、「もっと見せてくれー!!」や「あれとかそれとかも映像にしてくれー!!」ってなりました。見たい見たいだらけ。

 というのも、映像がとんでもなく良いのです!

 私が最高にアガったのは、2つめのお話“SCP-701 吊られた王の悲劇”です。

 元ネタを知らない人には、ぜひ何も知らずにプレイして「そういうことか!」を初見で浴びてほしい~!

 どんどん謎が解けていく気持ち良さもとても秀逸なので、もったいないから解説はしません(笑)

 今まで文章から妄想するしかなかったSCPの世界が、壮大で美麗な映像になっていてそこに入り込めるのです……!

 しかも“SCP-701 吊られた王の悲劇”は特にどうやって映像にするべきかとても難しい内容なのですが、完璧な映像美と怖さで、ファンとしてはもう感無量でした。

 解釈一致! 神がかってた!

 い、いちばん怖かったけど……!!

 「すげーーー!!!」と「こえーーー!!!」がエンドレスにぶつかってくるので、ひたすら苦しみうめきながら楽しみました……(笑)

 話のゴールも素直な終わり方じゃなくて、それもすごく私好みでしたー。

 ちょっとSCP知らないとわかりづらい感じのエンディングではありましたけど、その辺は気になったらぜひ調べていただいて……調べてさらにハマっていただいて……。

 SCPが元々好きな人はクオリティに感謝したくなるし、「SCPってなに?」って方の入り口にもぴったりなおもしろオカルトホラーさで、最近のインディーゲームってこんなにすごい物作れちゃうんだなぁとしみじみ感動しました。

 そういえば、ゲーム内のSCP一覧を見るとまだ空白の箇所があるので、いつか追加のダウンロードコンテンツも来るのかな??

 まだまだいっぱい面白いSCPたちが控えているので、無限にリリースしてほしいな~!

 どんな風に表現してくれるのか、楽しみで仕方ないです。

 あなたもSCP財団職員に就職、いかがですか?

 頑張って生き残りましょうね……!

 それでは、また!

  • ▲オフィスカジュアル風の東城。こんなSCP研究員もいるかも?

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©GameZoo Studio
©Pixmain

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