2011年2月3日(木)
新作旧作問わず、さまざまなミステリー・ホラー・サスペンス系のアドベンチャーゲームを紹介していく“まり蔵探偵事務所”。今回は、12月16日にiPhone/iPod touch版『ゴースト トリック』のプロデューサー・竹下博信さんに、所長のまり蔵がインタビューを行いました。
『ゴースト トリック』は、人気AVG『逆転裁判』シリーズの生みの親・巧 舟(たくみ しゅう)さんがディレクションを担当した新感覚のミステリーゲーム。昨年6月にDS版が発売され、12月にはiPhone/iPod touch版がリリースされました。まり蔵探偵事務所では、これまでDS版の体験版レポートや開発者インタビュー、プレイレポート、キャラクター人気投票、壁紙配信などを行ってきました。
▲主人公が死んでいるという衝撃的なシーンから始まる『ゴースト トリック』。プレイヤーは命と記憶を奪われたゴースト・シセルとなり、“死者のチカラ”を駆使して自らの死の真相を探っていくことになる。 |
今回竹下プロデューサーには、DS版の発売から半年という短い期間でiPhone/iPod touch版をリリースした理由や、今後の展開などについて伺いました。『ゴースト トリック』ファンはぜひチェックしてください!
プロデューサー さまざまなジャンルのゲームを手掛けてきたカプコンのプロデューサー。代表作は、PS2『プレス オブ ファイア V ドラゴンクォーター』、PSP『極魔界村』、Wii『宝島Z バルバロスの秘宝』、PS3/Xbox 360/Wii『ロックマン9 野望の復活!!』、『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』など。 |
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――『ゴースト トリック』のiPhone/iPod touch版(以下、iPhone版)をリリースすることになった経緯を教えてください。
2010年夏の終わりのころ、海外版の制作途中で次の展開を検討している時期に、iPhone版のアイデアが具体的に出てきたのがきっかけです。『ゴースト トリック』は、おかげさまでプレイしていただいた方の評価がとても高く、作品としての手応えを感じていた時期でもありました。
『逆転裁判』シリーズがGBAから出発し、iモードやDSで展開してファンが増えたといういい前例がありましたので、『ゴースト トリック』でもiPhone版によってたくさんファンが増えてほしい、という願いもあって制作を決めました。
――DS版の発売からiPhone版をリリースするまでのスピードが、非常に早かったのが印象的でした。
まったく未知の世界だったので、配信の仕組みや技術の勉強からスタートしました。ですが、やるからにはなるべく早く、と考えていましたのでスピード重視で制作しました。
――最初からこの時期(12月16日)に配信する予定だったのでしょうか?
もともとクリスマスに絡むストーリーでもあったので、できれば12月には配信開始をしたいと考えていました。DS版発売から半年後でのリリースというは異例の早さですが、DS版の高評価が記憶に新しいうちに遊んでもらいたいと思っていました。
▲ゲーム中にはクリスマスらしいステージも登場。カノンの家には、大きなクリスマスツリーが飾られている。 |
――なぜ、iPhoneというプラットフォームを選んだのでしょうか?
当時、iPhoneが爆発的にヒットして可能性を感じたことでしょうか。台数もそうですが、カジュアルなユーザーが多くいることもポイントです。そういった人たちに向けて、『ゴースト トリック』のおもしろさを広く知ってもらいたいという気持ちが強くありました。
またDSのタッチペンの操作と、iPhoneのタッチパネルとの相性がよかった点も挙げられます。DS発売当初から、iPhone版への移植希望の声もありましたので、そういった要望にもお応えしたつもりです。
――巧さんはiPhone版の制作にかかわっているのでしょうか?
本作のディレクターである点は変わりません。iPhone版では、画面レイアウト変更や全体の監修などを行っています。
――なるほど。スタッフもDS版と一緒なのでしょうか?
はい、DS版のスタッフが制作しました。最初のうちは実験的な意味合いもあったのですが、思いのほかうまく行きそうな手ごたえを感じたこともあって、オリジナルのスタッフで制作しました。
――DS版からもっとも変化した点はどこですか?
やはり2画面が1画面になったことでしょう。当初、2分割にする案もありましたが、指でスライドするには画面が小さく、スライドしにくくなります。それよりは、より高細密な画像で、DSとは違った魅力を提案したかったのです。
▲DS版では2画面だったが、iPhone版では1画面に。またグラフィック・音楽ともに、クオリティアップしている。 |
――画面数やボタンがないことなど、インターフェースがかなり異なることでの苦労はありましたか?
たとえば、iPhoneは前提が“電話”なので、マルチタスク、つまりいつ電話がかかってきてもいいように作らなければならないなど、ゲーム機用ソフトの制作とはまったく違った部分での苦労がありました。操作周りは、変更しても触った気持ちよさを保持するよう細かく調整をしました。
――グラフィックも音質もDS版からかなりキレイなっていて、驚きました。修正が大変だったのではないでしょうか?
ありがとうございます。DS版の制作時、グラフィックは2倍の解像度で制作したものを縮小して表示していたのですが、それをiPhoneに合わせたサイズで表示してみたら、とてもキレイに出ましたので、そのまま採用しました。ただすべてがそのままではなくて、粗く見えるところは細部まで調整して丁寧に仕上げました。音についても、もとの音源はよりクリアなのでそちらを採用しています。
――2話まで無料でプレイできるんですよね。
DS版の時から、まずは触ってもらうことが大事だということで、Webの体験版やDSの配信体験版など、触ってもらっておもしろさを知るきっかけを作ることに注力していました。
iPhone版でもその方針には変わりなく、まずはどんなものかを知ってもらい、より興味を持ってくれれば続きを買ってもらえる、と考えました。2章までとしたのは、ステージやキャラクターのバリエーションの豊かさを感じてもらいたい、よりストーリーのおもしろさが理解できるところ、と考えました。
――1,500円という価格はどのようにして決まったのでしょうか?
社内でいろいろな議論がありました。どうしてもDSとiPhoneでは中心になる価格帯が違うので、双方折り合うところがないんです。最終的には、より多くのiPhoneユーザーに楽しんでもらいたいと考え、この価格にしました。
――個人的にかなりお手ごろな値段だと思うのですが、この価格にすることに迷いはありませんでしたか?
そうですね、かなり葛藤がありました。iPhone版としては少し高めの価格ですが、DSソフトの値段と比べると破格の安さです。特にDS版の発売半年後で、ハードが違うといえどもこの価格差を付けることは、冒険でもありました。
ただ、今回の大きな目標は最初から、『ゴースト トリック』をより多くの人にファンになってもらいたい、ということでしたので、iPhoneユーザーに受け入れてもらえる価格帯を決定しました。
――iPhoneならではの要素がありましたら、教えてください。
Game Centerに対応しているのと、Twitterでつぶやける機能があります。Game Centerは、通常プレイを行うだけでもかなりクリアできるものを多く用意して、気楽に達成できるよう考えました。Twitterは、ゲーム中につぶやけます。その場で感想を言ったり共感したりすることで、コミュニティとして楽めるものになるのでは、と考えました。
▲iPhone版は、ゲーム中でもTwitterでつぶやくことが可能。プレイ中に、ミサイルのかわいさについてつぶやいてみては? |
――iPhone版の注目ポイントを教えてください。
『ゴースト トリック』は、DS版ではもちろん、iPhone版でも“さわれるミステリー”として多くの方に楽しんでもらっています。これまでにないストーリーとパズルの融合は、とても新しいエンターテインメントであると思いますので、ぜひさわって共感していただければうれしいですね。注目ポイントはさまざまありますが、やはり皆さんに触ってもらって、思い思いに見つけてもらうことが一番だと思います。
――リリースから1カ月半が経過しましたが、iPhone版をプレイしたユーザーの反応はいかがでしたか?
とてもありがたいことに、レビューやTwitter、その他でも非常に多くのユーザーからご好評いただいています。しかもネタバレをちゃんと考えてくれていて、ネタバレしないように感想を書いてくれている点に、とてもこのゲームに対して愛情を注いでくれていると感じます。また、続編希望のコメントをかなりいただいていることも、うれしいですね。
――今後、追加ステージやアフター&アナザーエピソードの配信などは予定されていますか?
2月3日の無料アップデートでiPadへ正式対応します! iPadは、特に読書を楽しむ方が多いと感じているので、この『ゴースト トリック』もミステリーを読破するように遊んでもらいたいですね。
また公式サイトで好評だった“みさいるおみくじ”を追加しますので、毎日ミサイルと出会えます。さらにクリア後には“ゴースト パズル”というオマケコンテンツを用意しました。これはたとえるならば、バラバラになった3×3の画面を1つずつスライドして絵柄をそろえるパズルです。ただ絵柄は動いているので、多少歯ごたえがあります。クリアすると壁紙がもらえるので奮ってチャレンジしてほしいですね。これらを無料でアップデートしますので、ぜひダウンロードして楽しんでください!!
▲本日2月3日に実施されたバージョンアップでは、1つのiTunesアカウントでiPhone/iPod touch/iPadのどれでも自由に利用可能なユニバーサルバイナリ型に変更。また、1日1回占うことができる『みさいるおみくじ』と、パズルゲーム『ゴースト パズル』も追加された。 |
――最後に読者へメッセージをお願いします!
“まり探”読者の皆さん、こんにちは。きっとDS版の時のインタビューを読んでくださった方も多いと思います。もし、まだどちらも未経験でiPhone、iPod touch、iPadをお持ちの方は、無料の1章、2章を試してください! 体験してもらえれば、続きをプレイしてみたくなると思います。とにかく、より多くの方に『ゴースト トリック』を遊んでもらいたいと思います。
すでに遊んでくださった方、さらに気に入ってくださった方には、この場を借りましてお礼を言いたいと思います。本当に、ありがとうございました! 皆さんの楽しかったという感想は、僕たちもとてもうれしく思っています!!
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というワケで、今回は『ゴースト トリック』のプロデューサー・竹下さんにお話を伺いました! 結構ツッコんだ質問にも丁寧に答えていただいて、本当にありがとうございました。
ちなみにまり蔵はDS版はもちろん、iPhone版もダウンロード済み。電車に乗った際やちょっとした待ち時間にプレイしています。いやー、iPhoneみたいに常に持っているガジェットでプレイできると、本当に便利でいいですよねえ。あ、そうだ、『ゴースト パズル』を早くプレイしないと!
グラフィックも音楽も非常に美しくなっていますので、まだ『ゴースト トリック』をプレイしたことがない人はもちろん、DS版をプレイした人にも力一杯オススメしたいアプリです!
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