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ネタバレあり:Netflix映画『シティーハンター』は往年のファンの目にどう映る? 原作へのリスペクトにあふれた極上のエンタメ作品【サブスク映画道】

文:電撃オンライン

公開日時:

 さまざまなサブスクリプション動画サービスにより、最新のアニメから往年のアニメまで多くの作品が定額制で見放題になっている昨今。なかにはあまりに数が多すぎて「どれを見たらいいのかわからんッ!」とお嘆きの方もいるのでは? そんな方に“サブスクで視聴できるオススメアニメ”をレコメンドしていくのが本コラムの趣旨となります。

 今回はゴールデンウィークの番外編“サブスク映画道”として、日本で初の実写化を果たしたNetflix映画『シティーハンター』をピックアップ! 往年の原作ファン、アニメファンも納得のクオリティに仕上げられている本作の見どころを語っていきますのでぜひご一読ください。
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▲Netflix Japan公式Xより。
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冴羽獠というヒーローと東京・新宿という街に抱いた憧憬。往年のファンであるがゆえに期待と不安が入り混じるジレンマ

 何を隠そう、自分は週刊少年ジャンプでコミックが連載中の頃から『シティーハンター』の大ファン。裏社会にその名を轟かせる都会のスイーパーでありながら、無類の女好きで美女にはめっぽう弱いという主人公の冴羽獠は、僕のなかで最高のヒーローでした。今でも原作コミックは実家で全巻大切に保存しています。

 アニメ版ももちろん視聴していて、とくに“シティーハンター2”のエンディングテーマを見たときの衝撃は今も忘れられません。TM NETWORKの“STILL LOVE HER (失われた風景)”が流れるなか、実写とアニメを組み合わせて描写される東京・新宿の街並みが本当に本当にカッコよくて。当時九州に住んでいた僕は、東京に、そして新宿という街に強い憧れを抱いたものです。もちろん、今でも新宿は大好きな街!

 何が言いたいかというと、つまり自分は生粋の原作・アニメファンであり、だからこそ今回のNetflix映画『シティーハンター』には大きな期待と小さな不安があったというところです。かつて愛したコンテンツが今の時代に蘇ることへの喜びもありつつ、ファンであるがゆえの“駄作だったら悲しいな”という想いもあり、諸手を挙げて喜べた訳ではなかったんですよね。ややこじらせ気味かもしれませんが(苦笑)。

 ただ、もしかすると僕と同じような想いのファンもおられるのではないかと思い、今回この記事を執筆しています。結論から言うと、心配は杞憂でした。本作はしっかり『シティーハンター』しており、極上のエンターテイメントに仕上げられています。記事執筆のためとはいえ、すでに通しで3回視聴しましたし、このゴールデンウィークにあと数回は見直したいところ。前置きが長くなりましたが、せっかくなのでここからは、イチファンとしての見どころも織り交ぜつつ本作の魅力について語っていきたいと思います。

 企画の構成上、ネタバレ要素にも触れていくことになりますので、気になる方はご注意ください。
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▲Netflix Japan公式Xより。

Netflix映画『シティーハンター』感想:令和という今の時代ならではの要素も盛り込んだ稀代のエンターテイメント

 マンガ家・北条司氏の代表作のひとつであり、全世界でたくさんのファンに愛され続ける人気コンテンツ『シティーハンター』。Netflixによって実写映画化ということで、僕の心が大きくざわついたのは前述のとおりです。

 過去、海外で何度か実写化されている『シティーハンター』ですが、日本国内での実写化は初の試み。主人公である冴羽獠役に抜擢されたのは俳優の鈴木亮平さん。正直、このキャスティングの時点でかなりの期待感はありました。鈴木さんといえば『HK 変態仮面』や『俺物語!!』をはじめ、数多くの作品で演じる人物に合わせたキャラづくりに定評のあるカメレオン俳優。『シティーハンター』の大ファンであることを公言されていたこともあって、妙な安心感があったわけです。
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▲Netflix Japan公式Xより。
 鑑賞し終えて抱いた率直な感想は“鈴木さんが演じる獠は最高”。これしかない! 鍛え上げられたしなやかなボディ、洗練された戦闘能力、飄々としたキメ顔と美女の前で見せるだらしない表情のギャップなど、すべてがイメージどおり。僕が思い描いていた“現実世界にもし獠がいたら……”を軽々と飛び越えてくるレベルで、最高にシティーハンターしていて、一気に感情移入できましたよ。

 槇村秀幸役の安藤政信さんや槇村香役の森田望智さん、野上冴子役の木村文乃さんなど、脇を固めるメンバーも個性的。お恥ずかしい話、僕は森田さんを今回の香の役ではじめて知ったわけですが、ふとした時に見せる仕草や表情がめちゃくちゃ香っぽくてビックリしました。
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▲Netflix Japan公式Xより。
 獠と香、2人の出会いとパートナーとしてのはじまりを描く今回のエピソード。槇村に訪れる過酷な運命も含めて、原作冒頭の名エピソードを導入として盛り込みつつ、本作ならではのオリジナル展開が楽しめます。いわゆる“トー横”が登場したり、登場人物がコスプレしたりと、令和という今の時代に沿った設定も多数存在。どうしてもファン目線で見てしまう側面はありますが、客観的に見ても時代遅れ感はありませんでした。

 むしろ、令和という時代においてなお“もっこり”というキャッチフレーズを逃げることなく盛り込んでいる部分には感心しきり。見ていて不快にならないよう最大限の配慮を織り込みつつ、獠の美女に弱いというだらしなさやスケベな部分、歌舞伎町の夜の側面などもしっかり描写している点は特筆しておきたいところです。まさかもっこりダンスが実写で見られるなんてね……(汗)。香の100tハンマーなんかもどう表現するんだろうって思っていましたが、“なるほど、これなら違和感ないな”って持っていき方がカンペキ。昭和や平成だからこそ許されたここらへんの“独特のノリ”を、形を変えながらもしっかり継承している気概には拍手を贈りたいですね。
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▲Netflix Japan公式Xより。
 上記の“もっこり”をはじめ、原作コミックやアニメ版へのリスペクトがそこかしこに散りばめられているところも要注目。ファンであれば思わずニヤリとできるシチュエーションが目白押しなのです。

 たとえば、登場人物たちが呆れたときの心象表現でしょっちゅう登場したカラスやトンボが、劇中のちょっとした小道具に描かれていたり。アニメ版で獠を演じておられた神谷明さんがとある役どころでキャスティングされていたり(すぐに気づいて泣きそうになった……)。終盤のバトル中に名曲“FOOTSTEPS”のアレンジバージョンが流れたり。クライマックスシーンが高層ビルのヘリポート(僕の心のなかでは“ANGEL NIGHT~天使のいる場所~”が再生されました)だったりと……本当に盛りだくさんで超贅沢。「こういうのでいいんだよ!」どころか「こういうのが見たかった!」な映像に仕上げられていました。もはや感謝しかない!

 アクションシーンの迫力も素晴らしく、とくに鈴木亮平さん演じる獠の動きは群を抜いています。格闘技や銃の早撃ちもしびれるカッコよさですが、僕はとくにリロードの仕草に惚れ込んでしまいました。めちゃくちゃ様になっているッ! 冒頭でとある人物から銃を奪い、それを一瞬で解体して無力化するシーンなんかも最高。鈴木さんご自身が相当勉強して、銃に対する知識に精通していないと無理ですよあんな演技。本当に役に入り込んでいるというか、マジで感服しました。
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▲Netflix Japan公式Xより。
 獠に対する解釈もなんら雑味がなく、解像度が高い印象。とある薬物によって戦闘能力が肥大化した悪党とのバトル中、窮地に追い込まれながらもそれを跳ね返したときのセリフが「今ラクにしてやるよ」。これ、本当にグッときましてね。獠ってスイーパーとして悪党は容赦なく始末するものの、そこにあるのは憎しみよりも悲哀のほうが勝っていると個人的にずっと思っているので、それを象徴するこの言葉には心底熱くなりました。これぞハードボイルド。これこそシティーハンター!

 コメディシーンではアニメ版で獠を演じた神谷明さんの演技を彷彿とさせるダミ声も聞かせてくれたりして、鈴木さんが獠を演じてくれて本当に良かった。最後の最後で香を名前で呼ぶシーンとか、部屋の片隅に置かれている槇村と香のツーショット写真(ファン必見!)とか、万感の想いが込められていて、不覚にも涙腺が緩んでしまったほど。そこからTM NETWORKの“Get Wild Continual”に繋がっていく流れはイチファンとして最高でした。本当に、本当に幸せな1時間44分。
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▲Netflix Japan公式Xより。
 もちろん、気になる部分がないわけじゃあないんですけど。あまり多くをネタバレしたくはないのですが、少したとえを出すとすると、前述のヘリポートシーンではやっぱりもっとガンアクションが見たかったよなぁ~とか。「しばらくの間、地獄はさびしいかもしれんが……」から始まるあの名ゼリフを聞きたかったなぁ~とか。ほかにもちょこちょこ思うところはあります。

 とはいえ、どれもこのド級のエンターテイメントからすればほんの些細な引っ掛かりでしかありません。今回はあくまではじまりの物語であり“序章”でしかないとでも言いますか。今はこれをエピソード1として、ここからどんどん広げていってほしい気持ちでいっぱいです。なんといっても、Netflixの週間グローバルTOP10(非英語/映画)で、初登場第1位を記録したわけですからね。注目度は随一かと。

 どうせなら、今回は物語の裏で暗躍していた“あの組織”との決着までを映像化してほしいじゃあないですか。ファンの後押しがあればそれも叶うかもしれませんからね。そのためにも、未見の方はぜひNetflixでご鑑賞いただければと思います。

 なおエピソード的に、原作はもちろん昨年公開されたアニメ版の最新作「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」を一緒に楽しむのも大いにアリかと。実写とアニメで異なるアプローチが楽しめるというのもオツなものですよ。

 こちらは7月に円盤がリリースされるとのことで下記にリンクをご用意しつつ、もしサブスクで視聴可能となったらあらためてご紹介したいなと思っています。イチファンとして、もっともっと『シティーハンター』の熱が世界に広がっていくことを祈りつつ。それでは、今回はこのへんで!
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