『モンハンワールド:アイスボーン』武器種やスキルのバランス調整に込められた思いとは?

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 ドイツ・ケルンで行われているgamescom(ゲームズコム)2019の会場で、9月6日に発売予定のPS4『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の開発者インタビューが実施されました。

 『モンスターハンターワールド:アイスボーン』は、『モンスターハンター:ワールド』の大型拡張コンテンツ。マスターランクという新クエストランクが追加され、手強いモンスターが待ち受けています。また、各武器種の新アクションや新要素・クラッチクローなどが追加されます。

 インタビューに応じているのは、プロデューサーの辻本良三さん、エグゼクティブディレクター/アートディレクターの藤岡要さん、ディレクターの市原大輔さんの3名です。ゲームズコムでの反響や先日公開されたデベロッパーズダイアリーの第2回などについて伺いました。

――ドイツでの反応はいかがですか?

辻本:多くの人がブースに来てくださっていて、盛り上がりを感じています。

――アメリカでのE3(Electronic Entertainment Expo 2019)と比べて、違った印象はありましたか?

辻本:ゲームズコムはE3と比べて規模が大きいので、ユーザーとの距離が近く感じます。一般日になるとそれこそTGS以上の混み具合ですしね。

 ヨーロッパで多くの人にゲームを体験してもらえるので、ゲームズコムは大事なイベントだと思います。

――ドイツのプレイヤーについてはどのような印象でしょう? また、日本人のプレイヤーと比べていかがですか?

辻本:ドイツでは熱心な『モンスターハンター』プレイヤーが多い印象です。

藤岡:あまりプレイヤーの差はないように感じます。日本人のプレイヤーはスキルやステータスが意味するものを熟知しているので、考察などは練度が高いとは感じますが、楽しんでいるスタイルに差はないと思います。

 海外の方は、カメラワークとかアクションの部分に関しての感が鋭いように感じます。

 自身が初めて触れた過去作、ハードでのプレイスタイルが固定されている人がちらほらいらっしゃる中で、『ワールド』からシリーズに触れた人はカメラワーク、移動などを抵抗なく遊んでくれます。『ワールド』は特にそういった人たちも意識して、いろいろと選択できるようにしてあるのですが。

 そのため、国ごとのプレイヤーの違いというものは特に感じてはいないです。

――デベロッパーズダイアリーの第2回ではまだ説明しきれていない部分もあるように感じましたが、第3回もあるのでしょうか?

辻本:細かいところは一部ありますけど、現段階では配信でデベロッパーズダイアリーのように細かい部分を説明するということは考えていないです。

藤岡:タイトルアップデートのこととかは何かしらの形でお知らせするとは思います。デベロッパーズダイアリーのような動画で、ユーザーの方に情報を届けるということは効果的だと思っていますし、直接開発者が説明することは大事ですしね。

 特に今回、調整が入る部分を開発陣がどのような意図で行っているかということを伝えることが大切だと思っているので、細かい部分まで説明させていただきました。

 今後はある程度、感じ方などユーザーの方に委ねていく部分になってくると思うので、そこまでの仕組みを細かく説明することは減ってくるのかなと思います。

――60分近いデベロッパーズダイアリーでしたが、最初からこれくらいの時間になると思われていましたか?

藤岡:なると思っていました。武器種、装備、スキルなどすべてにおいてちゃんと説明しようということで進めていたので。どこまで掘り下げて伝えるかということを悩んでいたくらいです。

 ある程度、コンセプトと表面的な物を伝えるだけでもかなりの量でしたので、1時間くらいは見積もっていました。

市原:映画並みでしたね(笑)。

――イヴェルカーナの氷は部位ごとにはがしていく遊びになるのでしょうか?

市原:部位ごとにというか、“どういう形で攻略していくか”というところを考えてもらう感じになると思います。攻略の手立ての1つとして、イヴェルカーナが纏っている氷をはがしていけば、どんどんハンターに有利になっていくような設計にしています。

藤岡:『モンスターハンター』シリーズのモンスターは、いかにして抑え込むかというところにたどりつくと思います。氷を纏ったらもちろん激しくなっていくので、それをどうやって抑えていくかという遊びの一端として、氷を破壊していくというのは有効な手立てだと思っています。

 ただ、必ずしもそうしないと倒せないというわけではないので、そのあたりはプレイヤーのチョイスだと思っています。古龍で纏っている炎などのレベルを下げていくという遊びと同じようなものだと思っていただけたらいいかと。

――1つの手段として、ということですね。

市原:イヴェルカーナはメインモンスターなので厳しいアクションだったり、高めの防御力を備えていたりしますが、基本的なやり取りができるモンスターとして作られています。なので、全身氷をまとった手ごわい状態と渡り合いたい人がいれば、そういう攻略の仕方も1つの手段だと思います。

――イヴェルカーナについて何かテーマのようなものはあったのでしょうか?

藤岡:氷を自在に使ってくるというのはやりたかったです。表現の仕方としては魔法のようにしたくないというか、急に氷を発生させるということは『モンスターハンター』らしいアプローチではないなと思っていました。

 それでも、ある程度範囲的に氷を出せる能力を持っていないと古龍としてインパクトに欠けるので、そういうことも加味しつつどういったアプローチで氷を扱うかというところはアイデアを出し合いましたね。

 ギミックとしては、少しマニアックな話なのですが、イヴェルカーナは衝撃を受けると凍る水“過冷却水”を内部生成していて、それを物体にぶつけることで氷を発生させるギミックにしようと決まりました。

 地面などにブレスをぶつけることでそこに氷を発生させる能力にできるかなということで、そのようなギミックにしています。

――水の古龍・ネロミェールについて、羽の内側に電飾のような独特な輝きを見られましたが、こちらはなんですか?

藤岡:そういうデザインです(笑)。深海の生物を意識してデザインしました。そのあたりの記号性は体感して見てもらいたいですね。

 今回はあまり説明しないようにしようと思っていて、古龍に関しては遊んでもらって体感してもらいながら考察してもらったほうがいいかなと思っています。

――動画内でボワボワがかなり強力な攻撃をしかけていましたが、どのようなアクションがありますか?

市原:ハンターと交流を深めていくというのは他の獣人と同じように用意しているので、そのあたりを楽しんでもらえればアクションもわかりますし、新しいお助け技のようなものを見られると思いますので、ぜひ本編で楽しんでいただければ! 結構有用なアクションもしてくれますしね。

藤岡:ボワボワイベントがサイド的に展開するので、幅広く遊んでもらえるとボワボワとのお付き合いもよくなっていくんじゃないかと(笑)。

市原:ボワボワは仮面を外す瞬間があるので、それを探してみるのもおもしろいかもしれません。

藤岡:奇面族のガジャブーは顔を見せることはないんですけど、ボワボワは生態行動といいますか、何気ない時に仮面をはずすので、ぜひ見つけてほしいです。

――属性武器が有用になるということで、事前に作っておいて損はなしということでしょうか?

藤岡:無属性が多く選択されるという現状ではあるのですが、属性武器を伸ばしておいてもらって損はしないと思います。

市原:逆に属性武器でないと遊べないというわけではなく、選択肢を増やしたかったので無属性を使い続けたい人がいたら、その選択肢ももちろん残るようは設計しています。

 今は属性武器という選択肢が大分下がっていたので、引き揚げて同列に並べようということが今回の調整のコンセプトとなります。

 なので、属性武器を使っていないと『アイスボーン』を遊べないということにはしていません。モンスターを攻略する手段として、さまざまな武器が生きるように設計していっています。

――より自由度が高くなるということですね。

市原:そうですね。

――『モンスターハンター』シリーズのメインテーマに歌詞を付けて間宮祥太朗さんが歌うCMが公開されましたが、SIEとカプコンのどちらの発案ですか?

辻本:案はSIEさんで調整していった感じですね。このCMの他にもゲーム画面で構成されているCMも近日中に放送されるのでぜひ見てみてください!

――開発中に苦労したことがありましたらお聞かせください。

辻本:無印と『G』の関係でいうと、期間として大体1年くらいと長い方なんですよ。今回の『アイスボーン』はというと1年と7カ月くらいの期間になっていて、今までより長くなっているんです。

 その間に『ワールド』の方のアップデートをさせてもらって、そのアップデートが終わってからで言うと4、5カ月くらいなんです。その両方を並行で進めていたので、タイトルアップデートと発売の兼ね合いなどを考えながら開発の内容を詰めていった点ですかね。

市原:今回一番大変だったのが難易度設計の部分で、開発期間が長かったのはありがたい点でしたが、その分たくさんのユーザーが遊んでいて、ユーザーにも幅が生まれるんです。

 すごくやりこんでいる人、クリアしてそこで休まれている人など、その幅がどんどん広がって行くのを『アイスボーン』でどこからスタートさせるか、どう遊ばせるかというところはすごく苦労しました。

――結果的にどのような調整になったのでしょうか?

市原:やり込んでいない人に完全に合わせてしまうとゲームの遊びが成立しなくなってしまうので、モンスターをどう攻略するかという楽しさをどのようにして伝えていくかが課題になりました。

 普通にモンスターを攻略して遊んでもらえる難易度をまず設定して、そこから調整を重ねていきました。

 マスターランクとして満足できるところを用意した後に、アクションなどを難しく感じる人に対して、どのようなフォローを入れていくかと考えていき難易度設計を行っています。

 マルチプレイを盛り上げられたらと思っていたので、2人用の難易度を用意して少ない人数でも行きやすい。多くなるともっと攻略しやすい。というような形にしています。

辻本:『ワールド』を遊んでいる部分でも『アイスボーン』の要素を楽しめるように、今回は気を使っている部分もあります。

 『ワールド』を遊んでいる途中では、『アイスボーン』にする必要はないかと思われそうですが、『アイスボーン』にすることでよりスムーズに遊べるというところに気を使っています。『アイスボーン』で実装されたアクションやシステムを活用しながら『ワールド』を楽しめますしね。

――開発中にあった印象的な出来事がありましたら教えてください。

市原:個人的な話なんですけど、いいですか?

辻本:いいよ!

市原:僕はすごく忙しくてE3には行けなかったのですが、E3の『アイスボーン』のブースにプロレスラーのアスカさんがいらっしゃって、その時にサインをもらってきてくれたんですよ。それがとてもうれしくて……印象的です。

(一同笑)

辻本:その翌々週くらいに大阪に帰ってこられると聞いていたので、開発に寄ってくださいとお声がけしたところ、ちょっと見学してもらったという後日談があります。

市原:そういう人もプレイしてくれているんだなと、改めて実感できました。

藤岡:(印象的なことは)それくらい(笑)。

市原:もちろん開発はずっと印象的ですよ!

――開発についてプレッシャーを感じたことはありますか?

市原:クオリティラインが『ワールド』を下回ることは絶対にないというところですかね。最低でも『ワールド』以上のものを用意しなければならないというところが一番のプレッシャーでした。

 僕自身も、チーム全体も感じていた部分だと思います。

藤岡:タイトルが別ではなくて、『ワールド』がそのままアップデートされて『アイスボーン』になるだけではあるので、プレイヤーの方としては『ワールド』を遊び続けてもらっている感覚でマスターランクがオープンされる感じになると思うんです。

 そのため、急に別のベクトルに行ったとか、今まで遊んでいた『ワールド』が別物になったとは感じてほしくはないので、そのあたりについてはスタッフも相当気持ちを入れていたと思います。

――TGSの直前で『アイスボーン』は発売されますが、東京ゲームショウ(TGS)での施策についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

辻本:TGS直前で発売することは今までなかったので、『モンスターハンター』としては珍しいです。とはいえ、TGSは多くのプレイヤーが来てくださるので用意しているものはあります。そのことについては追って発表します。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

市原デベロッパーズダイアリーのパッチノートが公開されているので見てください。

辻本:事前には見てもらいたいですね。

藤岡:『アイスボーン』は、マスターランクだけというわけではなくて、『モンスターハンター:ワールド』を楽しく遊んでもらうためのものだと思っています。

 調整については、すべてをダウンさせたいとか、上がりすぎてしまっているから下げるというだけの話ではないので、ご理解いただければ開発としてはありがたいです。『モンスターハンター:ワールド』をより楽しく遊んでもらうための施策だと思っております。

 今回のトレーラーではストーリーを感じてもらえる内容になっていますので、ぜひ見てもらってイメージを膨らませていただけるとうれしいです。

辻本:発売日が近づいてきましたが、まだ出せていない情報もありますし、公開できるものは発売までに出せたらと思っています。なので、期待していただければと思います。

 また、9月3日には“狩猟解禁直前!プレミアム生放送”もあるのでチェックしてみてください。

 先ほどもお話ししましたが、『ワールド』を遊んでいる方でも『アイスボーン』にアップデートしていただくことで一味違った体験ができると思いますので、ぜひ遊んでいただければと思います。

※ゲーム内容や画面写真などは開発中のため、製品版では変更となる場合があります。
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