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2009年3月12日(木)

「亜美ちゃんを幸せに」とは? 『週刊とらP!』で制作陣にインタビューを敢行!!

文:電撃オンライン

 バンダイナムコゲームスより4月30日に発売されるPSP用ソフト『とらドラ・ポータブル!』。その制作陣のインタビューをお届けする。

 本作は、現在TVアニメも放映されている竹宮ゆゆこ先生原作のノベル『とらドラ!』(アスキー・メディアワークス刊)をモチーフにした、“超弩級学園アドベンチャー”。プレイヤーは、記憶をなくした主人公・高須竜児を操って、ヒロイン・逢坂大河をはじめとするさまざまなキャラクターと触れ合うことに。記憶を回復させながら、さまざまなキャラクターと新たな関係を構築していく。

 インタビューを行ったのは、本作のプロデューサーである金山健太さん(バンダイナムコゲームス)と、制作に携わった亀谷恒治さんと小林信行さん(ともにガイズウェア)、そしてシナリオを担当したヤスカワショウゴさんの4人。以下に、その模様を掲載していくので、本作の情報を心待ちにしていたファンは、ぜひともご一読いただきたい。

▲こちらは、インタビューに答えてもらった制作陣の写真。左から、ヤスカワさん、小林さん、亀谷さん、金山さん。

――まず、本作を作ろうとした経緯を金山さんにおうかがいします。

金山さん:キッカケとしては、『とらドラ』の原作をもともと読んでいて興味があったというか、ファンだったということがあります。原作のイラストを担当しているヤスさんは別のプロジェクトでもお世話になっていたり、といった中でアニメ化されるのでは? というウワサを聞いたんです。そこで商品化できないかと考えたのが始まりですね。

――それは、小説の第何巻が出ていた時期だったんですか?

金山さん:その当時だと6巻くらいでしたね。

――原作のどのあたりにおもしろさを感じましたか?

金山さん:原作を読んでいる方はわかるかと思うんですが、中盤あたりから話の質がちょっと変わってくるんですよね。キャラクター同士の関係が深く描かれていく。人と人が触れ合っていくと、こんなにも暖かくて切ないのかと。人を思いやるがために素直になれない気持ちとか、非常にグッときます。そこですね。

――では次に、制作する上で苦労した点を教えてもらえますか?

亀谷さん:苦労した、というより今まさに苦労しているって感じですね。途中で一度企画を練り直しているんで、予定よりもスケジュールが厳しくなっています。内容も当初のものよりボリュームアップしていますし。ただ、そこまで入れないとやっぱりおもしろいモノにはならないかなって感じていたので。

――ちなみに制作期間はどれくらいになるんですか?

亀谷さん:1年と3カ月くらいですね。新しい技術を入れているので、少し試行錯誤な部分もあったんですよ。そういう部分でもちょっと苦労しました。

小林さん:企画当初から、どういう風にしようかな、とかなり悩んでましたね。二転三転はしたけど、結構いい感じになってきたかなって思います。

――アドベンチャーという部分は、最初から決まっていたんですか?

小林さん:アドベンチャーにしようというのは決まっていたんですよ。ただ、どこの場所を取り上げるかを決めるのに、少し時間を要しましたね。

――確か、作品内の時間は『とらドラ7!』と『とらドラ8!』の間になっていますよね。

小林さん:そうです。最初の時点で、記憶喪失にしようとは話していたんですよ。ただ、それをどこで持ってくるかというのを相当迷いまして。一番最初に金山さんと話したときには、夏休みの前後ぐらいを考えていました。

――亜美ちゃんの別荘へ行くあたりですよね。

小林さん:そのぐらいを考えていたんですが、その後で実際に話が進んできたら、原作内でキチンと最後まで描くつもりだとの話もありましたので、だったらいっそのこともう少し踏み込んだポイントにしようかという話になりまして。そこで7巻と8巻の間になったんです。ただ、決めた時点だと、まだ7巻までしか出ていなかったんですよね。

――となると、ほとんど原作の進行とあわせてゲームの話が進んでいたということになりますか。

小林さん:ええ。そうした経緯で進めていって、さてどうしていきましょうか? っていうのをヤスカワさんと相談していった感じです。最初のころは、当然のことですけどアニメのキャラクター設定もありませんでしたからね。

――ちょうどお名前が出たところで、続いてヤスカワさんのお話をうかがっていってもよろしいでしょうか?

ヤスカワさん:はい。そんな流れで僕に話がきて、そのときに7巻と8間の間でやろうと思いますっていうのは話していただきました。で、プロットを作っていったんですが……ちょうどプロットがある程度完成した時点で原作8巻のゲラが上がってきていまして。読んでみたら「うわ、全部やられとる!」みたいな話になってしまいまして(笑)。全部やられたと言うよりも、あらゆる点で上を行かれていたんですよね。実乃梨の話の立て方も、クリスマスのことがあった直後にこうくるとは思わなかったな、とか。それでプロットを練り直しました。原作と同時並行でやっていくのは、大変だと実感しましたね。

小林さん:結局プロットは、3稿まで出したんですよ。1稿目のプロットが7巻までしかない状態で作っていて、それはそれで悪いものではなかったんですけどね。最後の最後のところを、踏み込んでいきたいんだけど何か踏み込みきれてないな、みたいな感じだったんですが、そんなところでちょうど8巻が手元にきたんです。それまでにも竹宮先生にインタビューさせていただいて、結構裏の話まで聞いて、さらにもう一段階踏み込みたいと考えていた折に8巻を読んで「やられた!」と思いましたね。ただちにヤスカワさんに電話をして、いったんプロットの直しを止めたんです。それで、金山さんには1カ月待ってもらって、2稿目を飛ばして3稿出したんですよね。

ヤスカワさん:そうでしたね。

小林さん:そこで練り直した3稿を出して、竹宮先生から「100点満点です」との言葉をいただきました。まぁ、ここで1カ月ちょっと粘っちゃったから、のちのちシナリオが大変になっちゃったんですけど(笑)。

――どう大変に?

小林さん:とにかくボリュームがふくらんでしまった点ですね。具体的にいうと、2万ワードを超えているような状態になっていまして。わりと会話でポンポン進めていこうかと思っていたのですが、書き込んでいくとやっぱりそのぐらいになってしまいまして。

ヤスカワさん:僕も含めて、合計5人のライターで書いているんですけど。みんな書き始めると筆がノってきちゃうんですね。実乃梨のセリフとかどんどんふくらんできちゃって。僕もまさか2万ワードもいっているとは思っていなかったんですけど(笑)。

――ちなみに、普通のアドベンチャーだと何ワードぐらいなんですか?

金山さん:おおよそですが、1万前後ですかね。

亀谷さん:1万2,000もあれば、まぁまぁボリュームがある方だと思います。

小林さん:UMDを2層まで全部使って入れていますから。これ以上の規模だと1枚には収められないぐらいにはなっていますね。

金山さん:途中で、竹宮先生からも要望があってそれを盛り込んだりもしましたし。

――竹宮先生からは、どのような要望があったんですか?

小林さん:「亜美ちゃんを幸せにしてほしい」と。強い要望でしたね。

金山さん:こちらとしても考えていないわけではありませんでしたが、ボリューム的な問題でどうしようかな、って迷っていたんです。そんなところに先生からのあと押しがあって、「じゃあやろう!」と。

小林さん:各々のキャラクターにエンディングを決めて、その後もう一段階踏み込んだエンディングを用意したんですね。そんな中で、亜美だけが割とキレイにまとまっちゃったんですよ。それをもう一段階幸せにしてあげてほしいと言われまして、それならばぜひ! という感じでした。

――なるほど。竹宮先生の希望はかなえられたと。

小林さん:ええ。ただし、そのエンディングを見るのは難しいと思いますが。

ヤスカワさん:一番難しいかもしれませんね。

金山さん:こちらとしては、原作を書いている先生からそうした要望が直々にきて、それに応えることができたので、とてもよかったですね。

――原作があるゲームで、原作者とそこまでやり取りしてやるというのは、あまりないものなんでしょうか?

金山さん:そうですね、ここまでしっかりとやり取りするのは、なかなかあることじゃないと思います。

――では、亜美ちゃんの話が出たところで。皆さんお気に入りのキャラクターを聞かせてください。

金山さん:僕、最後に言いたいな(笑)。

ヤスカワさん:じゃあ僕から。ここで亜美ちゃんって言ったらあまりにもおもしろみがないかと思いますが……、それでも僕が一番好きなのは亜美ちゃんなんですよ。裏表があって、それもなんかすごく巧みな裏表じゃなくて普通に見破られちゃうくらいっていうのがすごくカワイイですし。そういう面があるおかげで、ゲーム的にもすごく動かしやすいですしね。彼女なりに動機がいろいろとあって、さまざまなことを動かしていくキッカケになってくれました。そういう意味で書き手としては動かしやすいキャラだし、女の子としてもこういうキャラはおもしろいなと思いながら書いていました。

――書いていて、一番ノりましたか?

ヤスカワさん:そうですね、僕は一番好きでした。あとはまあ、春田ですか(笑)。

――その理由は?

ヤスカワさん:いやもう、春田はアホなので。なんでもやらせることができるんですよ。ちょっとシーンに閉塞感が出てきたなって思ったら、春田がしゃべってくれるとなんとかなるみたいなところがあったんで(笑)。非常に楽しい、いいキャラでしたね。

小林さん:困ったときの春田頼み、みたいな(笑)。

――そういう小林さんは、どのキャラが好きなんですか? 春田ですか?

小林さん:いえいえ。そりゃ春田は好きですけれども(笑)。語るとすごく長くなっちゃうんで割愛しますけど、個人的にはヒロイン3人は全員好きですかね。ただやっぱり、ベストって言われたら実乃梨ですね。

――なるほど。では、亀谷さんは?

亀谷さん:じゃあ僕は……泰子にしないといけないのかな?

ヤスカワさん:なんでそんな空気を読んでるんですか(笑)。

亀谷さん:というか魅羅乃ちゃんですね。カレンダークロックの出来もいいんで、楽しみにしててください。

金山さん:僕は……バッドエンドといえばバッドエンドなんですけども、“独身エンド”と言われている物がありまして。それがお気に入りです。皆さん喜ばれるかなといったところで、これはよかったな、と思っています。話は変わるのですが、全体的に今回はあまり攻略っていう感じじゃないんですよね。女の子たちとどう向きあっていくのか、みたいなところがあるので。女の子をどう攻略していくか、という部分とは、またちょっと違う部分が楽しめるかなと。

――もう少し詳しく聞かせていただけますか?

金山さん:はい。もちろんフラグみたいのはあるんですけども。誰かと付き合っておしまい、チャンチャン。っていう話ではありません。そういう簡単で単純なモノではなく、竹宮先生の小説並に、しっかりとそれをトレースしてやるような感じで頑張って頂きました。

――今、泰子やゆりちゃんの話が出てきましたが、その他にも会長とかも出ていますよね。彼女についても話してもらえますか?

金山さん:そうですね、この間の記事にも出ていたように、会長エンドも用意されています。どういったストーリーになるのかは、やってからのお楽しみに、って感じですけどね、ただ、違和感を感じている方が大勢いると思うので、どうして会長がいるのかってことだけお話ししておこうかと。

ヤスカワさん:ええ。家の用事で、ほんとにたまたまその時期にアメリカから帰ってきていたということですね。

金山さん:作っている人間が、原作をしっかりと知らないで作っているんじゃないかとファンに心配されたくはないので。会長が出てくるのは、そういう理由からです。

――なるほど。そういうことだったんですね。

ヤスカワさん:(会長が)必ず出てくるわけじゃないですしね。出てこない場合もあります。

金山さん:その中で会長ルートを探していただいて、北村とのいい間合いというか、「あ、こういう感じなんだ」みたいなところも楽しんでもらえるんじゃないかと。

――わかりました。それでは、次の質問です。この作品は、アイテムを拾うことで竜児の記憶が刺激されて、会話時に選べる選択肢がどんどん増えていきますが、何かおもしろいアイテムがありましたら、紹介してもらえますか?

ヤスカワさん:ほとんどが原作に出てきているアイテムなんですよ。まあ“記憶の象徴”なんで当然なんですけど。おもしろいというと……何かありますか?

金山さん:例えば『偽乳パッド』みたいなものはありますけどね(笑)。

小林さん:アニメのクリスマスの回で象徴的だった『ガラスのツリー』もあったりします。大河の家にあったやつですね。デザインを合わせるのが意外と大変でした。

ヤスカワさん:そういうところですと、『実録 恐怖列島日本のDVD』とかもあります。まあ、アイテムはいろんなところに落ちていますので、ぜひ皆さんの手で見付けてください。意外と原作とは関係ないネタ的なアイテムもちょこちょことはあるので、そういうのも探していただければなと。なんの役にも立たないですけど、意外と『ゴミ』もおもしろかったり。

――『ゴミ』ですか?

小林さん:掃除する中で見つけるんですけど、大河の家を掃除している時などに変な『ゴミ』が見付かったりします。

――そのあたりも、ゲームをプレイする際の楽しみの1つとなりそうですね。次は、モーションポートレートをはじめとしたシステム面について聞かせてもらえればと思います。

小林さん:そう