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2009年7月24日(金)

5つの新職業が登場『メイプルストーリー』UPデート“シグナス騎士団”インタビュー

文:電撃オンライン

『メイプルストーリー』
▲Wizet Studioメイプルストーリー室長カン・デヒョンさん(写真左)、同本部長チェ・ウンドさん(写真中央)、通訳を務めてくれた日本ライブチーム長キム・ヨンさん(写真右)

 横スクロール型のオンラインアクションゲームというジャンルで圧倒的な人気を誇る『メイプルストーリー』では7月29日、大型アップデート“シグナス騎士団”が実装される。本アップデートは既存の5職業とは異なる、シグナス騎士団専用の新規キャラクターを作成できるというもので、既に実装済みの韓国でも人気を博している。電撃オンライン編集部では今回、開発元Wizet Studio本部長チェ・ウンド(Che Eun Do)さん、同メイプルストーリー室長カン・デヒョン(Kang Dae Hyun)さん、そしてネクソンのマーケティング担当島嵜直樹さんに詳しい話を聞いてきた。

『メイプルストーリー』

──今日はよろしくお願いいたします。まずは“シグナス騎士団”とは何か、簡単に説明していただけますでしょうか。

島嵜(以下、敬称略):シグナス騎士団のバックストーリーについては、私の方からお話させていただきます。メイプルストーリーの世界には女王“シグナス”がいまして、このシグナスが悪の力からメイプルワールドを守り、立ち向かうために結成したのが、シグナス騎士団となります。

 本アップデート最大の特徴は、既存職業とは別にソウルマスター、フレイムウィザード、ウィンドシューター、ナイトウォーカー、ストライカーという5つの新職業が実装される点です。キャラクタースロットも別枠で用意されますので、新たなアカウントを取得する必要もありません。

──新職業のキャラクターを作るためには、何か前提条件はありますか? 例えば既存キャラクターの最低レベルなどですね。

島嵜:いえ、シグナス騎士団は全くの新規プレイヤーでもメイプルストーリーを楽しく遊んでいただくことが目的ですので、誰でも最初から新職業で遊べます。また、シグナス騎士団のキャラクターは通常キャラに比べて、成長速度が速いというのも特徴の一つです。

チェ・ウンド:韓国での実装時には新規プレイヤーはシグナス騎士団で最初から遊べないという制限を設けていましたが、日本は韓国にくらべてライトユーザー層が多いため、そういった制限は一切ありません。

『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』
▲ソウルマスター:精霊の力を剣に宿らせて戦う、光の精霊に加護された騎士。▲フレイムウィザード:魔法で精霊の力を自由自在に操る、炎の精霊に加護された魔法使い。
『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』
▲ウィンドシューター:精霊の力を弓にのせて力強い矢を放つ、風の精霊に加護された弓使い。▲ナイトウォーカー:精霊の力以外にも強力な毒を使いこなす、闇の精霊に加護された盗賊。▲ストライカー:精霊の力を全身にたぎらせた武術を駆使する、稲妻の精霊に加護された海賊。

──それではお二人にお聞きします。まずはシグナス騎士団というコンテンツのコンセプトと、次に『メイプルストーリー』には現在4次転職まで実装されていますが、なぜ今回は5次職という形ではなく、全く新しいコンテンツ“シグナス騎士団”として、新職業を追加されたのか教えてください。

チェ・ウンド:メインコンセプトですが、これは低年齢層プレイヤーのための、より手軽に遊べるコンテンツだということが一つ。そして既存職業に対して、シグナス騎士団の新職業群はサブキャラクターを育てていくということにあります。

カン・デヒョン:今お話したとおり『メイプルストーリー』のメインターゲットは、どちらかと言えば低年齢層です。そのため5次職として新職業を登場させると、あまりにハードルが高くなり小・中学生には難しくなりすぎてしまいます。シグナス騎士団はもっとライトに遊んでもらうことが目的なので、5次職ではなく全く新しい職業群という形で実装しました。 

──まったくの新規プレイヤー、あるいは初心者レベルのプレイヤーには嬉しいコンテンツかもしれません。しかし、今までずっと『メイプルストーリー』で遊んできた古参は「また一からキャラクターを育てるのか」と思われそうですが、それについてはいかがでしょう?

カン・デヒョン:既存キャラとシグナス騎士団の新キャラの間には、関連性が全く無いわけではないんですよ。実はサブキャラクターという位置づけでして、どちらも平行して育てていけばお互いにメリットがあります。

 詳しく説明しますとシグナス騎士団で新キャラを作ると、既存キャラの中でもっとも高レベルなものから“精霊の祝福”というスキルを与えられます。例えばLv100の既存キャラがいたとすれば、Lv10相当の精霊の祝福になります。精霊の祝福には攻撃力アップと専用バフの効果があるので、戦闘が楽になるわけです。新職業のキャラがある程度育ったら、今後は逆に既存キャラに対して同じ精霊の祝福を与えられるので、どちらもプレイするメリットがあるんですね。

──しかし、新職業群にもこれまでと同様に2次職、3次職……と上位職業が用意されてますね。いくら成長が早くても結局長いプレイ時間が要求されませんか。

チェ・ウンド:シグナス騎士団はあくまでライト層向けですので、レベル制限が120までと決まっています。既存職業でのプレイがノーマルモードだとすれば、シグナス騎士団はレベルも上がりやすいイージーモードだと思ってください。実はよりコアなプレイヤー向けのハードモードも用意されていまして、韓国ではこの夏に実装が予定されています。

 『メイプルストーリー』の今後の課題として、ストーリー性を充実させることと、もっと色んな職業をプレイヤーが楽しめるようにしたいと考えています。そのために第1弾がシグナス騎士団と5つの新職業群というわけです。

──確かに、シグナス騎士団という名前や暗黒の魔法使いが登場するなど、今まで以上にストーリー性が強くなってきていますね。今まで『メイプルストーリー』のバックストーリーは、正直飾りという感じでしたが……。

カン・デヒョン:韓国のプレイヤーからも「シナリオが弱い」「新キャラを作っても結局同じことの繰り返し」という同様の意見がありまして、本アップデートではチュートリアルをしっかり充実させていますし、クエストもシグナス騎士団専用のものを用意しました。

──シグナス騎士団専用の装備品など、アイテムはありますか?

チェ・ウンド:専用武器はありますが、数は少ないです。今回はシグナス専用スキルに注力しましたから。

──一つ気になるのは、新規マップは転職前に訪れる“エレヴ”だけで、その後は今までと全く同じマップで活動するわけですよね。いくら新職業とはいえ、プレイに新鮮味が感じられないと思うのですが。

カン・デヒョン:新職業は成長が早いだけではなく強いキャラクターなので、プレイ感は違いますよ。例えばレベル30でも、既存職業のレベル40~50と同じぐらいの強さがありますから、同じマップで遊んでも爽快感が得られるはずです。

『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』
『メイプルストーリー』

──次なるハードモード版のアップデートは、日本ではいつ実装される予定ですか?

島嵜:未定ですね。シグナス騎士団の日本での評判次第でスケジュールが変わりそうです。

──では、韓国でのシグナス騎士団アップデートの評判はいかがでしたか。

チェ・ウンド:一言で申し上げれば、同時接続者数の最高記録を更新しました。

カン・デヒョン:ただ、日本のプレイヤーは中国や韓国とはだいぶ違いますので、同じような反応が得られるとは我々も思っていません。

──シグナス騎士団のコンテンツそのものからは、少し離れた質問をします。『メイプルストーリー』をはじめ、古参と呼ばれるオンラインゲームは現在だいたい5年~7年前後のサービス期間がたちました。熱心に遊んでくれるファンほど、そのタイトルのコンテンツを消費しつくしていることが多いですよね? しかし新規マップの追加やさらなる上位職、あるいは強いモンスターを投入しても、同様にプレイヤーには追いつかれてしまいます。シグナス騎士団というコンテンツは、マップが変わらないのに一から育てる新職業という形で、そういったコンテンツ不足に不満を抱くヘビープレイヤーを逃がさないための時間稼ぎに見えるのですが。

カン・デヒョン:おっしゃるような思惑が全くないとは我々も言いません。しかし、それだけが新職業追加の理由ではないことはハッキリ申し上げておきたいです。シグナス騎士団はそういった古参プレイヤーを楽しませるためだけではなく、これから『メイプルストーリー』を始めようと思った新規の方々と古参の溝を埋めるためでもあります。サービスが長くなればレベル差やコミュニティの面で、どうしても敷居が高くなりますから。

──他社タイトルの話になりますが、同じく長いサービス期間を誇る『ラグナロクオンライン』では、アップデートのたびにより強いモンスター、今までより強いボスモンスター、そしてそれに対抗できるだけのレア装備アイテムなどを出し続けた結果、ゲームそのものに拡張性がなくなったと判断し、ゲームバランスを根幹から変えるアップデート“サクライR”の実装に踏み切りました。メイプルストーリーは現在レベルキャップ200ですが、数少ないとはいえ既に到達しているプレイヤーも日本ではいますし、サクライRのような大胆なバランス調整は今後考えていらっしゃいますか?

カン・デヒョン:確かに『メイプルストーリー』でも、いつかはゲームバランスの大幅な修正が必要になるでしょうが、現時点では最優先事項ではありません。それよりもシグナス騎士団、そして韓国ではまもなく実装されるアラン(仮称)のような、職業消費型のコンテンツにフォーカスをあてていくつもりです。

──シグナス騎士団の次に控えているアップデート“アラン”や、さらに先のスケジュールなど、話せる範囲でかまいませんので教えてください。

チェ・ウンド:企画・開発中のものは数多くありますが、既存コンテンツとの連携を大事にしたいので、少しずつプレイヤーの反応を見ながら導入していきます。アランは韓国でもまだ戦士しか実装されていませんが、攻撃パターンが既存のものと異なるので、これもまた楽しんでいただけると思います。

──現時点での『メイプルストーリー』に点数をつけるとしたら、何点ですか?

カン・デヒョン:オンラインゲームは時間と共に人気が落ちていくのが当たり前のコンテンツです。しかし『メイプルストーリー』は海賊やシグナス騎士団など、インパクトのあるコンテンツを投入することで、落ちかけていたプレイヤーのモチベーションをあげることに成功したと自負していますし、韓国での同時接続者数25万人という数字がそれを裏付けていますから90点をつけたいと思います。

──最後にメイプルファンへ向けて、メッセージをお願いします。

カン・デヒョン:既存プレイヤーの皆さんには、今まで育ててきたキャラクターが無駄になるのではなく、精霊の祝福スキルと連動させることでもっと強く、楽しくプレイできると思います。一方で新規プレイヤーには今までの『メイプルストーリー』にはなかった、チュートリアルやバックストーリーに注目してほしいです。

──本日は長時間、ありがとうございました。

『メイプルストーリー』 『メイプルストーリー』

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データ

▼『メイプルストーリー』
■メーカー:ネクソン
■対応機種:PC(対応OS:Windows98/Me/2000/XP)
■ジャンル:A・RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2003年12月3日
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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