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2009年8月19日(水)

新種族“ラルガ”は年内実装予定!!『グランディア オンライン』開発者インタビュー

文:電撃オンライン

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──操作性以外で、多く寄せられた意見は何かありましたか。

岩田:クライアントが起動できない、プレイできないといったお問い合わせもいただきました。これについてはサポート側と連携して、トラブルが起きたPC環境に近づけてテストを行うなど、可能な限り問題の起きないクライアント開発に努めていきます。

──私自身もクローズドベータテストの期間中遊んでみて感じたのは、もっさり感というかレスポンスの遅さが気になりました。例えばモンスター倒すと、ドロップアイテムが落ちるまで数秒待たねばならず、連続で次々アイテムを拾いながら戦えないんですね。また街中の販売NPCに話しかけると、一旦“売る・買う・店を出る”の選択肢が出て、買うボタンを押して初めて商品を見られます。店を出るにはこの逆の手順を繰り返すので、何をするにもやたらとクリック回数が多いと思いました。これはオープンベータテストでは、もう改善済みなんでしょうか。

岩田:いえ、処理の高速化と調整に関しては、オープンベータテストでより多くのプレイヤーさんがゲームに参加したときに問題なく進行するよう、今はわざと余裕を持たせています。安定して運営可能ということが分かれば、レスポンスはもう少し早く調整します。

 アイテム売買のウィンドウなどで確認が多い、クリック回数が多いことについては率直にお話しますと、実は何か問題が起きたときに原因がどこにあるのか、どのタイミングで発生したのか開発側が究明しやすくするために、わざとワンクッション段階を増やしています。コンシューマゲームの場合はエラーが起きた所で止めて検証できますが、オンラインゲームはリアルタイムにランダムでアクセスが飛んできてしまうため、少しでも切り分けて検証するためなんです。動作の調整に関しては、しばらくお待ちください。

──正式サービス開始する頃には、よりスムーズな手順になってるかもしれないわけですね。

岩田:社内テストでも「1つ何かをするたびに、操作回数が多い」という意見は出ていましたから、今後削っていく可能性はあります。

──ところで、会話ウィンドウの開き方や選択肢がコマンドのように並ぶあたりは、だいぶコンシューマ版の『グランディア』シリーズを意識されているようですね。若い世代のプレイヤーさんは、そもそも過去の『グランディア』シリーズを知らない、触ったことがない人も多いでしょう。そういった方々に、あのコンシューマゲームらしさというのはどう受け取られているんですか。

岩田:『グランディア オンライン』のストーリー性や世界観を大事にするため、イベントやムービーなどを挿入しましたが、我々もプレイヤーさんからの反応をうかがっている所です。プレイヤーさんから特にご意見はいただいてませんが、それなりに楽しんでいただけていると信じています(笑)。

『グランディア オンライン』

──お話を伺っていますと、現在もまだまだ調整中という感じですね。

岩田:そうですね、オープンベータテストまでに実装したいと思っていた物の多くは実装できましたので、コンテンツに関しては今後ボリュームを増やしていくだけです。海外で散々バグを取り除いた上でローカライズしたようなMMORPGと違い、『グランディア オンライン』はこれが本当に初めてのテストになります。それゆえに、システム面で洗練されていない部分が多数あると思います。すぐに修正可能なものであっても、テスト環境では問題ないが、数千人が同時にプレイする環境で大丈夫か検証するため、修正には慎重を期しています。そのため反映は少し遅くなりますが、何よりも安全に安定したクライアントを提供するためですので、ご理解ください。

──では、今後のアップデートスケジュールについて教えてください。

岩田:シナリオクエストからお話しますと、ストーリーの進行にそって新しいエリア、新しい町を実装していきます。既存のMMORPGを見ていますと、新しいエリアが開けるとプレイヤーさんがワッと集まって一通り体験していき、次に「ここはいい狩場かどうか?」に注目が移り、それほど経験値やアイテムがおいしくないとわかると、サーっと人が引いていく……となりがちですよね。『グランディア オンライン』はクエストを進めると、最初の街や今まで通過してきた街へ自然と戻れる、自然な循環と導線を考えています。今はシンプルにするために、一本道で先へ先へと行くようになっていますが。

──サービス開始から時間がたつと、最初の街に誰も人がいない寂しいMMORPGもありますから、プレイヤーの循環はぜひきちんと導入してほしいです。

岩田:一度クエストで訪れたら、二度と行かない“死にマップ”をなるべく作らないようにしていくつもりです。その他にも、モンスターを倒すと一定確率で突然できる、ダンジョンへの入口“ガイアの鼓動”が100%発生する特殊モンスターをイベントとして登場させるなど、同じ時間に同じ場所でみんなで一緒にワイワイ騒げる楽しさ、例えるなら『ラグナロクオンライン』の蜃気楼の塔のような感覚を味わえるイベントを提供していきたいです。

 他には、早く実装してほしいとの要望が強いラルガ族、精霊石同士の合成システムを近日実装いたします。これまで低レベルの精霊石は使い道がなかったと思いますが、合成でまったく新しい精霊石が入手できるようになります。

──先ほど出た次の街や精霊石合成などは、いつごろ実装されますか。

岩田:寒くなる前には何とか……と思っています。

──暖冬が続いて「まだ寒くないから」なんて言わないでくださいね(笑)。一番早く実装されるものはどれでしょう。

岩田:おそらく新種族になると思います。

『グランディア オンライン』 『グランディア オンライン』

──グラフィックのかわいらしさからいっても、いずれおしゃれなアバターアイテムや、ハウジング機能が欲しいという意見は必ず出ると思いますが、予定はありますか。

岩田:開発当初からハウジング機能は実装を考えています。アカウント単位で紐づけたプライベートエリアを作るだけなんですが、ハウジングがあるということは、その中で使う素材だのカスタマイズだのを用意しなければいけなくなります。アバターなどのグラフィックスと同時並行して作って、薄いコンテンツになるぐらいなら、ハウジングはプレイヤーさんからの要望が高まってきたら追って実装していく予定です

──あとは『グランディア』らしさを、どこで強調していくつもりなのかについて、教えていただきたいですね。そもそもオンラインゲーム化した時点で、コンシューマ版と同じことは絶対にできないわけですが……。

岩田:プレイヤーさんからも「昔ながらの戦闘システムがよかった」という声はいただいています。しかし、まったく同じものを取り入れても破綻することは最初から分かっていました。そこで戦闘システムの中でもオンライン版で活かせるものとして、以前発表した複数の部位を持っているボスモンスターなどに力をいれて、モンスターごとに戦い方を変えないと勝てない、というところでオンライン版『グランディア オンライン』の楽しさを演出していくつもりです。

──ちなみに、ショートカットがマウスホイールで呼び出せるジャストコマンドウィンドウは、評判いかがでしょう。

岩田:オンラインゲームに不慣れなプレイヤーさんほど、評判はいいですよ。やはりPCゲームに馴染みがないと、WASDキーで移動するという概念自体がありませんから。マウスだけで操作できて便利だと、おかげさまで喜んでいただけているようです。Tabキーによるターゲット機能も実装されていますが、やや動作が不安定なので、こちらもいち早く改善に取り組んでいます。操作性やインタフェース周りについては、宿題ということで……。

──宿題は夏休み中に終えないといけませんねぇ。戦闘システムに限らず、称号システムを用いたスキルなどできることは本当に多くて慣れてしまえば楽しそうなんですが、コンテンツが盛りだくさんすぎてプレイ方針に迷ってしまいそうです。

岩田:ゲーム内の自由度をかなり高めに設定したのに、お手本となるヘルプ機能などがまだ実装されていないため、何をすればいいのか分からないという方も多かったようです。公式サイト上で“序盤のプレイガイド”を作る、といった案もあったのですが、プレイ中にわざわざブラウザを立ち上げて見るのは面倒ですよね? 今後はゲーム内で参照できる動画タイプのヘルプ機能を導入する予定なので、もう少しビギナーの方にも優しくなりますよ。 

 『グランディア オンライン』の主なターゲット層は10代~20代のプレイヤーさんですが、過去の『グランディア』シリーズで遊んだ、30代以上の方が触ったときに、どうも自分の知っている『グランディア』と違ってよくわからない……とならないように、サポートにも力を入れていきたいです。

──では最後に、これから『グランディア オンライン』のオープンベータテストに参加してみようかな、と思っている読者向けにメッセージをお願いいたします。

岩田:毎日何時間ものプレイが必要なゲームというよりは、1日30分だけ参加するといったプレイスタイルでも楽しめるのが『グランディア オンライン』ですので、できるだけ多くの人に触れていただきたいです。いただいたご意見ご要望をすぐに反映できるのは、国産MMORPGの強みです。もしもクローズドベータに参加した方も、システム面はだいぶ手を入れていますので、もう一度遊びに来てください。

──ありがとうございました。

 MMORPGというジャンルが広く一般に浸透し、それこそ星の数ほどタイトルがある現在でも、純国産MMORPGはいまだに両手で数えられるほどしか存在していない。同社にとっては『エミル・クロニクル・オンライン』(ECO)に続く国産タイトル第2弾となるわけで、『ECO』で蓄積したノウハウと国産ゆえのレスポンスの早さを強みに、『グランディア オンライン』を成功させてほしいところ。オープンベータテストから正式サービス開始までの期間に、どこまでブラッシュアップできるのか、そしてプレイヤーの要望を汲み取れるのかが鍵となるだろう。

『グランディア オンライン』 『グランディア オンライン』 『グランディア オンライン』

グランディア(C)GAME ARTS Co.,Ltd.Allrights reserved. Published by GungHo Online Entertainment, Inc.

データ

▼『グランディア オンライン』
■メーカー:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■対応機種:PC(対応OS:Windows)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2009年夏予定
■プレイ料金:無料(アイテム課金制)

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