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2010年4月2日(金)

【CβT最速レポ第23回】『Aila Online』後編・プレイレポート

文:電撃オンライン

 2009年後半あたりから登場したオンラインゲームには、どうも“脱クリックゲー”という風潮が強いように見える。一般受けを狙うのではなく、コア層の需要をガッチリつかむという戦略か、一風変わった世界観やキャラクターなどを意欲的に採用しているものが目立つ。戦闘システムもセミオートで進む従来のものではなく、アクション寄りの操作性に富んだものが増えてきている中、あえて奇をてらわないスタンダード路線で勝負してきたMMORPGが、今回紹介するYNK Japanの『Aila Online(アイラオンライン)』(以下、Aila)だ。現在は期間を延長してクローズドβテストを実施中の本タイトルのレポートを、ゴンタ丸がお届けする。

ゴンタ丸の気になるキーワード5段階評価 ※★…1点、☆…0.5点
スタンダードゆえの安心感 ★★★★
まったりライフ度 ★★★★☆
声優さん萌え度 ★★★☆
操作性 ★★★
システム安定度 ★★☆


 『Aila』には職業の概念がなく、どんな武器も防具も装備可能というのがひとつの特徴となっている。つまり1人のキャラをとことん育成していくため、名前や性別、外見のカスタマイズなど新規キャラクター作りは後悔しないよう、よく考えてから選択しよう。また、各種アクションスキル、「ありがとう」や「おはよう」といった定型文を喋ってくれるラジオチャット使用時の声には、有名声優を起用。個性豊かな声優さんがプレイヤーに代わってしゃべってくれるのだ。ボイスは男5人女7人の全12種類用意されているので、好みで選択できる。骨太な近接戦闘タイプのキャラが、幼女ボイスというミスマッチも個人的にはたまらないが……。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲世界観を重視したのかそれほど奇抜なフェイスタイプはなく、どこか似たり寄ったり。ただ、目と唇、基本衣装の色に関しては細かく設定できる。

■直感的に操作できるマウス移動&攻撃

 基本操作はWASDキーによる4方向移動と左クリックでの移動先の決定、ジャンプはスペースキー、Rキーでオートラン、右ドラッグでカメラ視点の移動ができる。ターゲット方法は直接左クリックかTabキーの切り替えに加えて、左Altキーを長押しすると、その時マウスカーソルの近くにいる対象をロックオンできる独特のシステムもある。このロックオン方式を使うと、素早く動き回る敵、例えばPvPにおける敵プレイヤーも補足しやすくなるのだ。いくつか『Aila』ならではのシステムもあるが、既存のMMOとさほど変わらないインタフェースなので、すぐに馴染めるだろう。

 戦闘はモンスターをダブルクリックすれば敵が倒れるまでオート攻撃し続ける、状況に応じて各種スキルのショートカットをポチポチと押せば、基本攻撃の合間に攻撃スキルをくり出せる。これまたMMORPGとしては非常にスタンダードなシステムだ。ただし、オートアタック中にモンスターが攻撃範囲外に出ると、プレイヤーキャラクターは自動追尾してくれない。走って追いかけ、攻撃範囲内に敵を捕捉してから再度攻撃する必要がある。HPが減ると一時的に逃げ出すAIのモンスターが相手のときは少々面倒だが、一度攻撃したらあとはボーっと見ているだけというクリックゲーに比べると、戦闘が単調になるのを防いでいるとも言える。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲伝わりづらいかもしれないが、Altキーによるロックオン使用中。カーソルに近い対象にマークがつき、オンマウスと同じ状態になる。▲戦闘システムで戸惑うことはないだろう。とりあえずクリックしてバコバコ殴ればいいのだ。

 キャラクターの能力は力、器用、知能、体力、敏捷、精神の6つに分かれていて、レベルアップ時にもらえる能力値ポイントを振りわけて上昇させる。各能力を上げると近接攻撃力や命中率、クリティカル率などそれぞれに対応した戦闘能力も強化されていく。また、HPとMPの他、SPというゲージがあり、これは攻撃が当たると上昇。物理攻撃スキルの使用に必要となるポイントだ。時間とともに回復する魔法用のMPに対し、SPはガンガン戦闘するほどたまっていく。

『Aila Online』
▲成長システムは各ステータスにポイントをわり振るタイプ。レベルアップによる基本上昇値はないので、ポイントを振らなければずっと初期値のままだ。

 先述の通り『Aila』にはクラスの概念がないため、装備品にも一切の制限がない。どのキャラクターも、すべてのアイテムを装備可能だ。武器は剣(片手)、鈍器(両手)、ライフル(両手)、杖(片手)の4種類に盾を加えた構成だ。盾を同時に装備できるのは片手武器である剣と杖のみ。装備品のランクにおよび、装備についている補助効果(最大MPアップなど)によって多少の性能差はあるが、見た目で選び、好きなようにコーディネートできるのはうれしい。

 装備品に大差がないとすると、ではキャラクターの戦闘スタイルや性能強化は何で行うのか? 1つはどのステータスを集中的に伸ばすかがポイントになり、もう1つは“守護石”と呼ばれるアイテムにある。守護石は頭や胴、腕などに対応した種類(色)がそれぞれあり、装着すると戦闘能力などがアップする。守護石は従来のRPGでいう武器や防具にあたり、『Aila』での装備アイテムはオシャレ用のアバターに近いといえばイメージしやすいだろう。また、CβTでは未実装だったが、おしゃれ専用の装備アイテム“コスチューム”という文字も確認できた。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲装備はハンマー(両手鈍器)を選択。女の子が巨大なエモノを振りまわすギャップがいい感じ。▲拾った服をその場で装備。制限なしで自由に着替えられるのは楽しい。

 スキルは片手武器、両手武器、射撃術、魔法の4つに分かれており、装備中の武器とステータスによる使用制限がある。近接系スキルにはある程度の力が必要だし、回復魔法なら精神、攻撃魔法なら知能といった具合だ。ただし魔法スキルに関してのみ、杖以外でも使用可能。最大MPアップやキャスト短縮といった恩恵は受けられないが、近接および射撃武器を装備したままでも、各種魔法が使用可能だ。近接用装備で攻撃しつつ、少ないステータスで覚えられる初歩的な魔法でHPを回復したり、遠距離魔法で敵をおびき寄せるスタイルが主流となりそうだ。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲スキル取得時は、本をパラパラめくり勉強するアクションが入る。細かい演出がGood。▲装備やスキルの組みあわせはかなり自由。型にとらわれず思ったままに育てよう。

■序盤の金策はクエスト、アルバイト、そして釣り!

 ファンタジーライフと言えども霞を食べて生きていけるわけがない! 『Aila』の世界を満喫するためには、やっぱり先立つものが必要だ。手っ取り早いお金稼ぎとして、まず1つ目は、各種クエストをこなすという手段。○○と話をしろ、△△を届けろ、××を何匹倒せといった内容のクエストがそこら中に用意されているので、片っ端からこなしていけばそれなりの収入になる。同時に経験値や、色々な要素に必要な“名声”という数値も上がっていくため、とりあえずお使いさえしていればそこそこ成長できる。クエストを受注できるNPCには!マークが、クエスト報告待ちのNPCには?マークがつく他、マップ上にも◎マークがついて行くべき場所を示してくれる。どんな方向音痴でも、そう簡単に迷子にはならないはずだ。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲クエストの対象は頭上のマークとマップのアイコンで確認できる。内容を読まなくてもサクサク進められるほど、案内はしっかりしている。▲メッセージだけでなく、専用の小窓が開いて画像つきで解説してくれるチュートリアルクエスト。かなり親切でわかりやすい。

 2つ目の金策としてオススメしたいのが、アルバイトだ。最初にアルバイトができるのは、初心者の村クロスロードから北へ向かった先にあるポルテ城。城下町の各所にいる裁縫士、鍛冶屋、料理屋、ギルド連合員の4人とアルバイトの契約を結べるのだ。アルバイトの掛け持ちもできるが、アルバイト1つにつきクエスト受注枠を2つ使用するので受注数に注意しよう(最大14枠)。1つのアルバイト先と契約(受注)すると、採取や配達といった5つの細かなクエストをまかされる。通常のクエストと違いゲーム内時間で2日間(リアル2時間)という制限はあるが、時間内に5つのクエストをすべて達成すると、2日後の契約満了時に2シルバーという大金をゲットできる。資金に乏しい序盤は、とりあえず4つのアルバイトをこなし、残りの時間で狩りや釣りといったほかの金策をするのがよさそうだ。以下で、各種初級アルバイトの内容を解説しよう。

●裁縫士アルバイト
 ポルテ城門から出てすぐの場所にある牧場で、細い糸と光る粉を採取してくる。細い糸はファームウォームが産み落とすカイコの糸から、光る粉はミルクカウの牛乳ビンか、ニワトリの鶏の巣から入手できる。必要素材の集めやすい、最も簡単なアルバイトだ。あらかじめ糸と粉を10~20個ほど用意しておけば、数秒で5回すべてを終わらせることができる。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲裁縫アルバイトを取り仕切るステラおばさん。アルバイトはクエストと同じ扱いだが、Lキーで開くクエスト情報画面では区別されている。▲細い糸を採取中。採取スキルは最初から取得しているため、手ぶら状態からでも集められる。

●料理屋アルバイト
 裁縫士と同じ場所で、タマゴとミルクを集めてくる。比較的採取しやすいタマゴはともかく、牛乳ビンからはミルクと同じかそれ以上の確率でホエー(固まったミルク)が出てくるため、必要数のミルクを確保するにはやや時間がかかる。

『Aila Online』
▲農場の家畜たちはPCと同じ扱いなのか、殴り殺すと犯罪者になってしまう。韓国版では実装されている、フィールドPKシステムの名残りだろうか。

●鍛冶屋アルバイト&ギルド連合員アルバイト
 どちらも工具箱や税金の書類といったアイテムを届けるお使いクエスト。城の敷地内をあちこち歩き回るため、それなりの時間と手間がかかる。歩き回るだけでお金がもらえるので、おいしいといえばおいしい!!

『Aila Online』 『Aila Online』
▲お届け物クエストと同様に、城中のNPCを回るだけのアルバイト。初級だとこんなものだろうか。▲移動中ヒマなので、乗馬ならぬ乗牛の練習をしてみたり。ハイヨー。

 3つ目は釣り。釣りはクロスロード東にある釣り場のじいさんから、釣りスキル、釣り竿、釣りエサの3点セットを購入すれば実行できる。釣り竿と釣りエサを装備し、水場の近くで釣りスキルを使用。糸をたらすポイントをクリックすれば釣り開始だ。しばらくすると獲物がかかったログが表示され、これをクリックすると手動、放置すると自動釣りとなる。手動釣りの場合、魚をゲージ内に入れつつマウスホイールで糸を巻くというミニゲームが始まり、うまく操作すれば釣りスキルレベルに見合わない大物でも釣り上げられる。一方、自動釣りは実力に見合ったものしか釣れないが、完全放置でエサが無くなるまで続けられる。

 実際に釣りを体験してみたのだが、クロスロード東の釣り場ではフナが2尾ずつ大漁に、いや大量に釣れた。釣りエサが1個50Cなのに対しフナは60Cで売れるため、微々たる金額ではあるがもうけは出る。またポルテ城門前の堀に架かる橋でも放置してみたところ、釣りスキルレベル1では失敗することも多かったが、5シルバーで売れる素材アイテムが釣れた。序盤の釣りで運任せの大物獲得を狙うなら、城門前がオススメかもしれない。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲釣りのミニゲーム。丸いゲージを満タンで止められれば、無条件で釣り上げ成功になる。▲ポルテ城前では、多くの釣り人たちが並んで糸を垂らしていた。

■シャイな日本人も安心なランダムPvP“カオスバトル”

 『Aila』最大の特徴といえるのが、“カオスバトル”システムである。各フィールドごとに個別の“カオス値”が設定されており、そのフィールドにいるモンスターが倒されるたびに上昇していく。カオス値が100%になると“カオスタイム”となり、該当エリア内にいるプレイヤーが3つのチーム(色)に分かれて戦うPvP“カオスバトル”が開始される。カオスバトルのポイントは、フィールド内の数箇所に配置された“ヒュージライフストーン”の確保にある。ライフストーンはクリック後一定時間がたつと占領状態となり、カオスタイム終了時に占領したライフストーンの数が多いほど、チームにボーナスポイントが加算されるのだ。敵対プレイヤー間の小競り合いよりも、ライフストーンを多く確保したチームが勝つといっても過言ではないほど、カオスバトルにおけるライフストーンの占める割合は大きい。

 なお、チーム分けは完全にランダムで、敵対チームのプレイヤーを倒すごとにポイントを獲得。カオスタイム終了時(約20分)に最もポイントの多いチームが勝利。チーム全員にアイテムがもらえたり特殊なバフがかかるなど、いくつかの特典が用意されている。

 

 個人はもちろんのこと、ギルド単位でも相手を指定してのPvPは遺恨を残しがちなため、PvPやGvGといったコンテンツ敬遠しがちな日本人にとって、ランダムで相手が決まり、たまたま同じ場所にいたPC同士で後腐れなく戦えるカオスバトルは、とてもいいシステムに思える。フィールドによって参加できるレベルに制限がついているため、それほど大きく能力に差がつくこともない。移動中であっても、カオス値が100%に近いフィールドに立ち寄ったら、少し留まってカオスバトルに参加していくとよいだろう。

『Aila Online』 『Aila Online』
▲カオスバトルは強制参加ではなく、きちんと確認がある。レベル制限内ならどんどん参加しよう。▲敵対チームのPCと一騎打ち。通常フィールなのでアクティブモンスターが乱入することも。

■まったり系MMOでファンタジーライフを満喫できる『Aila Online』

 ジョブの概念なし、装備品は能力より見た目、アルバイトでの稼ぎなどを見る限り、『Aila』はネクソンがサービス中のMMORPG『マビノギ』にかなり近い作りだ。サービス開始から5年近く経ち、システムやコンテンツは充実しているものの、ポリゴンの荒さなどグラフィック面で厳しくなってきた『マビノギ』と比べ、画面の美しさでは間違いなく『Aila』が勝っている。とっつきやすいインタフェースとカオスバトルというユニークなシステムで、どこまでプレイヤーを引き付けられるかが注目ポイントと言えるだろう。忙しい操作の必要なアクションRPGが苦手だったり、PKありの殺伐としたMMO、萌え系グラフィックのキャラクターに辟易している、あるいはほのぼのした正当派RPGを探していたプレイヤーにとって、『Aila』はうってつけのタイトルである。今春に予定されているサービス開始を、クビを長くして待っていてほしい。

『Aila Online』 『Aila Online』 『Aila Online』
▲顔が大きくなる「SDモード」。体型はデフォルメされるが、顔がリアル系なのでかなり違和感が……。▲有料で街から街へと移動できるポニー。個人用のものを購入することもできるが、新米冒険者には手が出せる値段ではなかった。▲「天然」ボイスのラジオチャット。おっさんがシラフで使うにはちょっと厳しいものばかり。
【ゴンタ丸(ライター)/プロフィール】
 ライターと呼ばれる普通じゃない仕事で日銭を稼ぐようになってから、普通の仕事の偉大さを知ったおじさんライター。近頃は持病の悪化を口実に、仕事をサボりまくり「こういうとき、普通の仕事だったらなあ……」とボヤいているが、編集いわく「普通の仕事もそんなに甘くないですよ!」らしい。

Copyright 2010 AILA Online by YNK JAPAN Inc. All Right Reserved.
Copyright 2008-2010 N.E.O Online by SONOV CORPORATION. All Right Reserved.

データ

▼『Aila Online』
■メーカー:YNK JAPAN
■開発:SONOV
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2010年春予定
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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