2010年6月6日(日)
カプコンから7月15日に発売されるPSP用RPG『ラストランカー』の完成披露会が、本日6月6日に東京の時事通信ホールで行われた。
『ラストランカー』は、流浪民族出身の青年ジグが故郷を捨て、武力で世界を維持する“戦侯機構バザルタ”の戦士ランキング1位を目指す物語。プロデューサーは松川美苗さん、ディレクターは新納一哉さん、シナリオは野島一成さん、作曲は下村陽子さん、キャラクターデザインは吉川達哉さんと、豪華クリエイターがスタッフとして名を連ねている。
完成披露会では、ゲーム中に収録される楽曲の生演奏をバックに、神谷浩史さん、中村悠一さんが生アフレコを披露した他、開発スタッフによるトークショーが行われた。以下でその模様をお伝えするので、会場に来られなかった人もご覧いただきたたい。
ピアノ、チェロ、ヴァイオリンの三重奏をバックに、主役・ジグを演じる神谷さんと、その幼なじみであり敵として登場するファズ役の中村さんが、生アフレコを披露。オープニングでジグがカンタレラを去るシーンと、運命に導かれ再び出会い、そして対峙するシーンを熱演した。
「生演奏をバックに演技するのは初めての経験」と話していた神谷さん(写真左)と中村さん(写真右)。応募した人の中から選ばれた参加者は、固唾(かたず)を飲んで2人の演技を見守った。 |
ボイスドラマが終わると、松川さん、野島さん、下村さんが登壇し、5人によるトークショーがスタート。松川さんによると、最初は松川さんと、ディレクターの新納さんだけで本作の企画がスタートしたのだとか。そこに野島さんや下村さん、吉川さんを含めた開発スタッフが集まり制作が行われ、作り上げられたキャラに声優陣が命を吹き込んでいったと、制作過程を説明した。
先ほど生アフレコを披露した神谷さんは、演奏に感動して、思わず聞き入ってしまいそうになったことを告白。オーケストラの収録時に立ち会えなかった悔しさからか、「今日は聞けてよかったです!」とコメント。中村さんは演奏に感動すると同時に、恐怖を覚えていたという。どうやらステージに上がる直前までクシャミが出そうだったため、それをこらえられるか不安だったようだ。「無事に演じられホッとしました」と、笑顔を交えつつ語った。
生アフレコと演奏について振り返る神谷さんと中村さん。音楽を担当した下村さんが「私は客席で聞きたかったです」と発言するや、松川さんを含めた全員が「僕も!」「私も!!」と続いていた。 |
40曲近くを作り上げた下村さんは、約1年の年月をかけて楽曲制作に臨んだことを明らかにした。松川さんの口から「カプコンのサウンドチームが、最終的にはチーム・下村陽子と呼ばれていました」という驚きの事実が明かされると、下村さんは苦笑いしながら「カプコンさんに助けていただき、完成までこられました」と心境を語った。
松川さんと下村さんらのミーティングは、最長で7時間にも及ぶことがあったとか。夕飯も食べず、トイレにも行かず、気が付けば電車もなくなっていたという。それを聞いた中村さんが「話をするだけなんですよね? 7時間も何を話しているんですか?」とコメントし、神谷さんに突っ込まれる一幕も。 |
ジグは、故郷・カンタレラ出身の未来が見えない生活に嫌気がさし、“戦侯機構バザルタ”に入る青年。クールで寡黙だが、実は誰よりも熱いキャラだと、演じた神谷さんは説明した。また中村さんは、演じたファズについて「すごくまっすぐ」とコメント。「信念を持っていて、そこから外れていると許せない、理解できないというキャラです」と話した。
左がジグで、右がファズのイラスト。中村さんはジグについて、黒い服を着ているが、裏地に赤い生地を使っていることから「見えないところにこだわる江戸っ子みたいなキャラですね」とコメントし、会場にいた人々を爆笑させた。 |
ストーリーを生み出した野島さんにとって、本作がカプコンとの初めての仕事。「(カプコンは)ガァ~~~ッと行くイメージがあったので、僕にできる?」と不安もあったという。ジグについては、熱さを秘めるのか、それとも前面に出すのか悩んだが、最終的に秘める選択をしたという。しかし「最強を目指すストーリーなのに、熱さを秘めるキャラはどうなんだろう?」と選択後も迷いがあったようだ。最終的に開発スタッフからOKをもらった時は、ホッとしたという。
野島さんは、本編のシナリオを仕上げた後に、ゲームの前日譚となる小説を書いたことを発表。終わった後に「これで僕の作業は終わりか、さみしいなあ」と発言したところ、松川さんから「小説をやりませんか?」と打診されたのだという。さみしいと発言しつつも開放感を感じていたため、自身がやることは想像していなかったそうだが、スケジュール上は余裕があったため引き受けたのだとか。
また、その小説のストーリーに声を当てたボイスドラマも配信される。神谷さんによれば、前日譚を知ることで、2人がゲームの冒頭でなぜああいう生き方を選んだのかを、より深く理解できるという。しかしその反面で、最初に演じた時はこれを読んでいなかったため、ボイスドラマを演じた時は本編と違うイメージになってしまったことを明かした。
同様の感想を中村さんも持ったようで、ボイスドラマ収録後に「演技に違いがあるので、(ゲーム本編を)録り直ししたい」と松川さんに詰め寄ったのだとか。だが、それは野島さんも同様の考えだったらしく、「僕も物語がキチンとつながっているか、ドキドキしています」と続けた。
ジグとファズをより深く知ることができる小説&ボイスドラマ。演じた声優陣が、各キャラへのイメージが変わってしまうほどの内容になっているとか。ここでしか出てこない貴重なキャラもいるらしい。 |
野島さんが新たに書き下ろした小説『旅立ちの決意』は、公式サイトで6月10日より4週に渡って連載される。ボイスドラマは発売直前の7月2日に配信スタート予定だ。 |
発売を記念したプレゼントキャンペーンも行われることが明らかに! ボイスキャストのサイン入りポスターと、各ボイスキャストのサイン入りの台本が当たるとのことなので、欲しい人はソフトに入っている応募券で応募してみては? |
ここで、「互いのキャラについてどう思いますか?」という質問が声優の2人にぶつけられた。神谷さんはファズに対して、「カッコよくてズルいですね! プロモーション映像でも最後を持っていくようなおいしいキャラだし。そして声が中村悠一だし!」とコメント。中村さんはむずがゆそうに「おい、止めてくれよ~(笑)」と返した後、「ファズは女がいるので、勝者の余裕ですかね?」と発言。さらに「ボイスドラマを聴いてもらえると互いの考え方の違いがよりわかるかと。カッコいい役です」と補足した。
中村さんはジグに対して、「最初から最後までプレイするといいところが見えます」と回答。野島さんから「途中まではダメなキャラ?」と突っ込まれると、本当に言いたいことを言わないキャラなので、理解しにくい一面があることを告白。「カンタレラという田舎にいる、都会っ子のようですね」と比喩(ひゆ)した。
しかし、エンディングまで見るとこの印象が実は間違っていて、すべてを許せるキャラになるのだとか。中村さんのネタバレ一歩手前の発言に神谷さんは「お前は……発言が危ないよ!」と苦笑いしていたが、やはり神谷さんも中村さんと近い印象を抱いていた様子。「もしできるなら、小説やボイスドラマをチェックした上で、ゲームをプレイしてほしいです」と、プレイヤーに向けてメッセージを贈った。
自分の正直な気持ちを言わないジグに、2人は歯がゆさを覚えていた様子。しかしどうやら、物語の後半でその印象がガラっと変わるようなので、楽しみにしておこう。 |
発売日を来月に控えた『ラストランカー』。プロデューサーの松川さんは、最後に「開発スタッフやかかわった人たちの熱い思いが詰まっています! 7月15日、ゲームでお会いできるのを楽しみにしています!」とコメントした。 |
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