成田良悟先生が『ダンガンロンパ』を語る！ 開発者との対談企画の完全版を掲載

文：電撃オンライン

◆くだらない下ネタは男子高出身の影響

成田：タイトルもそうですが、『ダンガンロンパ』はとにかくセンスの光るゲームだと思ったんですよ。

菅原：それは少数で作れたことが大きいと思います。というより、逆に1人1人の個性を出さないと他のゲームには勝てなかったんですよね。個性のぶつかりあいになって破綻してしまうのが怖かったのですが、きちんとまとまってくれたのはよかったです。

成田：展開的にはシリアスでも、全編重くならずにボケるところではボケて、メリハリが利いています。

小高：奇妙なゲームですよね。私がシナリオを書く時に意識したのは、“真面目なものとふざけたものをごちゃまぜに描く”ということでした。ただ、悪ふざけの部分は自分の奥底に眠る厨ニ病が全開で出てしまったのかもしれません。

小松崎：下ネタ部分は確実に厨ニ病ですね。

小高：私は男子高だったので、“エロ”が完全に“笑い”だったんですよ。当時から、いかにおもしろい下ネタを言ってみんなに喜んでもらうかということばかり考えていました（笑）。

成田：いやー、だからといってモノクマに下ネタを言わせるのは卑怯（ひきょう）ですよ……！　しかも大山さんもノリノリですし（笑）。いや、でもあれは本当にいいキャラクターですよ。もう私は大山のぶ代さんと言われたら、ドラえもんではなく、モノクマを思い浮かべます。

小高：ありがとうございます。我々としてもモノクマは歴史に残したいキャラクターですね。

菅原：モノクマのデザインが固まってから、本作の方向性も定まったという気がします。あのキャラクターのおかげで、本作の“サイコポップ”というジャンルを確立することができました。

◆厨ニ病を最もこじらせたキャラクターは誰!?

成田：厨ニ病は物語前半の十神がわずらっていた気がします。途中から、かませメガネになりましたが（笑）。

小松崎：初期案ではきちんと苗木のライバルだったんですけどね。いろいろと残念なヤツに……（笑）。

小高：石田彰さんの収録に立ち会って、「十神はなんて盛大なかませ犬なんだ……」と思いましたよ。本当は成田さんの作品に登場するような完ぺきな人間を描きたかったのですが、私が書くとどうしてもおバカになってしまいますね。

成田：や、そういう部分があるキャラのほうが感情移入できますよ。私のキャラはネタ的なので（笑）。自由行動パートで彼が株で600億円を稼いだ話を聞いた後、モノクマが100億円で苗木たちをそそのかすイベントを見てニヤリとしました。「モノクマさん、ここにいる男はそんなに安くないっすよ」と（笑）。

小高：あと腐川も厨二病エッセンスが詰まってますね。

成田：腐川がジェノサイダー翔だと明かされたときはビックリしましたよ。ジェノサイダーが本編に登場するにしても、メインではなくチョイ役とか、すでに死んでいる程度だと踏んでいましたから。

小高：彼女を登場させたのは、殺人鬼との親密度を上げられたらおもしろいなぁと思ったからです。

成田：自由行動パートの腐川のイベントと、ジェノサイダーのイベントのリンクは素晴らしかったですよ。

小高：ありがとうございます。ちなみに腐川のキャストが沢城みゆきさんに決まったのは、プロデューサーが『デュラララ!!』のTVアニメ版を観て、ぜひオファーしたくなったからなんですよ。

成田：そんな経緯が！

小高：シナリオを書いているときは「これだけテキストではっちゃけると、ボイスが入った時に違和感が出るのではないか」と思ったのですが、完全な杞憂でしたね。沢城さんの演技力はすさまじいです。

小松崎：ちなみに、イメージデザインで参考にさせていただいたのは、尊敬する藤田和日郎先生の絵柄です。腐川に限らず、特に感情表現は藤田先生の魂のこもった表現に少しでも近づきたいと思い、参考にさせていただきました。

成田：彼女はジェノサイダーとしてはもちろん、文学少女としてもキャラクターが立っていますよね。

小高：それもジェノサイダーのおかげかなと思います。ジェノサイダーが書いていて楽しいので、表の人格である腐川もそれに引っ張られて伸びていったのかなと。

成田：2人は共通点がないように見えて“エロい”という部分でつながっていますよね（笑）。ちなみに、腐川は某ライトノベルのヒロインに似ている部分がありますが、そちらはモチーフにされたのですか？

小松崎：たまに聞かれるのですが、私も小高も当時そのシリーズは読んでいなかったので偶然ですね（笑）。

――名前と言えば舞園さやかは某ゲームのキャラクターと同姓同名ですね。設定も似ていますし。

小高：あれも偶然です。あのゲームは途中までプレイしてたのですが、そのキャラが出てくるまで進んでいなくて。あとでインターネットで存在を知って「ヤバい！」と思いましたね（笑）。

菅原：キャラ名は事前にチェックするんですけど、なぜか舞園だけはチェックがもれてしまっていたんです。

成田：一番ストレートなのはさくらですけどね。

小高：まぁ、あれはわざとやっていますので（笑）。

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