2011年11月10日(木)
Xbox 360のユーザーの中には『円卓』で初めて『ウィザードリィ』ライクな3DダンジョンRPGを遊んだという人も多いと思います。本作は、3DダンジョンRPGのステップアップとしては最適な作品だと思いますが、『円卓』と違うポイントが3つあります。こうした点を本作のゲームシステムと合わせて見ていきたいと思います。
1つ目は、主人公たちのキャラクターが固定されていないということ。冒険に出るパーティは自分ですべて作る(キャラクターメイキングする)必要があります(デフォルトで用意されているパーティもありますが……)。『円卓』ではストーリーに基づいた主人公のキャラクターがいて、ともに冒険をしていく仲間も固定となっていました。ストーリーの進行度に合わせて仲間が増えていく方式となっていたため、3DダンジョンRPGの初心者には何をどう戦っていいかがわかりやすい作りとなっていました。しかし、本作ではパーティの構成を1から考えなくてはいけません。
▲『円卓』ではキャラクターごとにジョブが固定となっていたのでジョブ選びに悩むことが少なかった。 | ▲本作ではすべてのキャラクターを自分の手で作り出していく必要があります。が、そのぶんキャラクターへの愛着はかなりのものがあります。 |
キャラクターメイキングで重要となる要素は“性別”、“タイプ”、“ブラッドコード”(職業)の3つです。このうち、性別とタイプは設定後に変更することができません。このどちらも大きくかかわってくるのが装備可能な武具の種類です。例えば、後衛向きなタイプ“エレガント”と前衛のブラッドの組み合わせでは両手剣や斧、ハンマーなどを装備できません。HPも伸びにくいので、やや打たれ弱くなる可能性もあります。ブラッドはあとから変更可能なので、その場合は後衛へのコンバートということで対処したいところです。
▲“タイプ”は『ウィザードリィ』における種族のようなものと思うといいでしょう。同じブラッドでもタイプによって装備できないものもあるので注意。 |
また、ブラッド選びも悩みの種。初心者はまず6人もいるパーティメンバーに何を選べばいいのか、という根本的な部分でつまずくと思います。パーティ編成にはどうしても個人差というか個人の特徴が出てしまいますが、初心者にはオーソドックスな前衛×3、後衛×3というパーティがいいでしょう。以下は個人的なオススメの構成例です。ちなみにキャラクターの顔や髪型はすべて“おまかせ”で作りました。ランダムでもなかなかいいキャラができますよ。
▲ボーナスポイントを決めてからブラッドコードを選びます。ボーナスポイントは6まではよく出ますが、7から先は本当に出にくいです! |
▲豊富な武具が装備でき、攻撃スキルも有効なものが揃っている“戦術士”をメインにして、低レベルからグループ範囲攻撃スキルを覚える“武術士”をサブに。 | ▲パーティの盾となる装備とスキルが揃っている“王騎士”をメインに、防御力が上がるスキルを覚える“拳法士”をサブに。 | ▲強力な刀を多く装備でき、範囲攻撃ができる“武術士”をメインに、単体攻撃スキルを補う形で“暗術士”をサブに。 |
▲パーティのメイン回復役となる“聖術士”をメインに、パーティ戦力の底上げを目的として“召術士”をサブに。 | ▲手に入れたコードの識別役や戦闘の補助役として“学術士”をメインに、後衛からの攻撃を強める目的として“魔術士”をサブに。 | ▲強力な範囲魔法コードを使う目的として“魔術士”をメインに、回復役の補助として“聖術士”をサブに。 |
『円卓』との違いの2つ目は、情報量の豊富さです。前述したキャラクターについても同じことが言えますが、行けるようになるダンジョンの数、武具の数、アイテムの数……ゲーム開始当初からとにかく情報の海に飲まれます。いずれも1つ1つ確認していけばしだいに慣れていく部分ではありますが、それでも初心者にはちょっとわかりにくい部分だと思います。特に武具の開発まわりは素材などが多く、ファンにはたまらない要素である反面、敷居を高くしている要因の1つかなと思います。
▲ダンジョン内で手に入れたアイテムコードは、まず未鑑定のアイテムとしてパーティメンバー共通のアイテム保管庫“サブディスク”の中に入ります。学術士がパーティメンバーにいれば、未鑑定のアイテムを識別することができます。学術士は拠点に戻れるスペルも低レベルから覚えますし、非常に重要なブラッドです! |
また、これらの要素を複雑化しているものの1つに、拠点内の施設“開発ラボ”に置いてある“データバンク”があります。これはメンバーの物置のようなもので、ダンジョン攻略中に手に入れたアイテムなどは拠点に戻ったときにここに入れておくのが基本となります。アイテムの開発に使う素材“マテリアル”などを入れておくのに便利なのですが、メンバーが持つアイテムと、データバンク内のアイテムを混ぜて使うことはできません。
▲ダンジョンから戻ったらサブディスク内のアイテムをデータバンクに移しておかないと、すぐにアイテムが持ちきれなくなってしまいます。 |
強化させたい装備をメンバーが持っていて、データバンクに必要な素材がある場合は、まずメンバーの装備をデータバンクに移動させてから(もしくは素材をメンバーに持たせてから)、必要なアイテムを指定して使う必要があります。ここはPC版から変わらない仕様なのですが、できれば双方を合わせて指定できれば楽だったと思います。あと、開発ラボ内にいるときは“LB”もしくは“RB”でサブディスクからデータバンクに切り替えられれば、アイテムの移動が楽だったかなと。とはいえ、データバンクはそれ単体でLB、RBを使ってカテゴリー分けをしていますから、そのままの仕様では難しいかと思います。
3つ目は、ダンジョンや敵の難易度です。『円卓』ではある程度のパーティ構成が決まっているぶん、時間さえかければストーリーのクリアまでは比較的に楽な難易度になっていました。ただしその後の追加要素や高難易度の“マスターモード”を最後までクリアしようとすると、テクニックだったり、先を見据えた成長などを考える必要があります。本作の難易度は、『円卓』のマスターモードと同等か、それ以上の難易度であるといっても過言ではありません。
本作では序盤から敵が範囲攻撃や即死攻撃をしかけてきたり、残り2体だったはずなのにそこから仲間を呼びまくって6体×4列になっていたりと、気づいたら冷や汗ものの状況になることが多々あります。
▲ゲーム序盤でぶつかる壁の1つ“アイオンシスターの仲間呼び”です。アイオンシスターが仲間を呼ぶと、仲間が応援にかけつけてきますがその数は1体や2体ではありません。1列(最大6体)です。このループにはまってしまうと、全部倒しきるのに30分以上かかることもザラです。BRAVEのユニオンスキル“総員特攻”をうまく使って一掃したいところですね。 |
また『円卓』の一部エリアに存在していた“スペルが使用できない水中フロア”が、頻繁に登場します。こうしたエリアではスペルの代わりとしてアイテムを事前に用意しておく必要があり、知らずに突撃してしまった場合に目も当てられない状況になってしまいます。
▲水中フロアではスペルコードが一切使えないほか、自分の周辺を表すミニマップも表示されません。何度も行き来して慣れるのがいいでしょう。 |
上記のような点から『円卓』の難易度がちょうどいいと感じた人には、本作は難しいと感じるかもしれません。また、3DダンジョンRPGを初めてプレイするという人は、序盤からゲームに詰まったと思うかもしれません。しかし、確かに難しいゲームではあるのですが、決して理不尽な難易度のゲームではないのです。目の前の障害を越えるための答えはゲーム内に用意されています。パーティメンバーのレベル上げや装備を整えるといったような、地味な努力が必要な場面も多いかもしれませんが、がんばればなんとか目の前の障害を越えられるバランスとなっているんです。
こういった3DダンジョンRPGはどうしても長時間のプレイが必要になりますが、本作は操作に対するレスポンスのよさや絶妙なゲームバランスによって、繰り返しの作業が苦になりにくい作りになっています。『円卓』とは程度の違いこそあれ、時間さえかければ必ずクリアできると思いますので、ほかの3DダンジョンRPGをプレイして、クリアを諦めてしまった人にこそ本作をプレイしてもらいたいと思います。もし時間に余裕があるなら『円卓』からプレイを始めれば、さらに3DダンジョンRPGの醍醐味を味わうことができるでしょう。ちなみに筆者は『円卓』のストーリーをクリアするのにだいたい30時間といったところでしたが、本作のストーリークリアまでには40~50時間くらいが必要になるのではないかと予測しています。(飯塚)
(C)2011 Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES
データ
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