2012年6月8日(金)
――もともとの『ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士』について、少し解説ください。
このゲームは、“もし、スーパーファミコンで『ファイナルファンタジー』の新作が出たら”というところをコンセプトとして掲げています。『ファイナルファンタジーIII』などの延長線上にある、ジョブチェンジシステムを使った新作ですね。
――実際に触らせていただきましたが、本当に“懐かしき『ファイナルファンタジー』”という印象を受けました。
フィーチャーフォン版もそうですが、忙しくてコンシューマゲームをプレイできない30代~40代の人でも、アプリだったら遊ぶという層がいると思います。そういう世代には、やっぱり本作のような作品のほうが、遊びやすいと思うんですね。お話も章立てになっていますから、だいたい3時間ぐらいで1章が完結します。1章ずつプレイするもよし、週末にまとめてクリアするのもいいと思います。
――1章あたり約3時間というお話ですが、クリアまでのプレイ時間はどのぐらいになりそうですか?
物語は全13章で、たぶん50時間ぐらいがトータルのプレイ時間となります。2Dのゲームのほうが、ボリュームのあるダンジョンを作れますから、最近のコンシューマゲームよりプレイ時間は長いかもしれません。
――ワールドマップを見ても、かなり広いですよね。
最近のコンシューマのゲームだと、オープンワールドと言いながら、1カ所の限定した空間の中だったりします。でも、本作は本当に昔ながらのゲームとなっており、光の世界と闇の世界、そして後半に出てくる世界の3つのマップによって構成されています。
――3つの世界というと、スーパーファミコンの『ファイナルファンタジー』を彷彿とさせますね。
そうですね。『ファイナルファンタジーIV』であれば、地上と地底があって、さらに月にも行けました。概念的にはそれと似ていますね。
――フィーチャーフォン版と比べて音楽もかなり高品質になっていました。
コンシューマゲームと同じ形で音楽を制作しています。フィーチャーフォン版の音楽は、『ファイナルファンタジーXI』などを手掛けた水田直志が担当していましたが、iOS版では完全にアレンジを施し、生楽器を使ったりもしていますよ。
――全体的にかなり手間がかかっている移植ですね。
フィーチャーフォン版のときは、全13章を月1回ペースで配信していたので、トータルで1年半ぐらいかけていました。今回、そこからさらに1年間かけて、iOS版を作っています。
――iOSに移植するにあたって、新たに実装したシステムはありますか?
基本のシステムは変わっていませんが、やっぱり一番違うのはUIです。いろいろなiPhoneのゲームを研究し、プレイヤーがストレスを感じないようなUIにしました。あと、システムではありませんが購入の仕方が異なります。フィーチャーフォン版は月1回の配信だったので、“1章=○○円”という購入方法でした。今作もフィーチャーフォン版と同様に序章を無料にして、あとは遊びやすい形をユーザーさんが選んでいただけるような購入の仕組みを考えています。
――章ごとや、いくつかの章をまとめたもの、またはすべてをまとめたパックでの販売もあるのでしょうか?
そうですね。自由に選べるようにしたいです。
――日本ではいつごろの配信を考えているのでしょうか?
配信日は海外と同時期を予定しています。夏ごろですね。ちなみに、私が制作を手がけている『DEMON’S SCORE』(デモンズ・スコア)も同じぐらいの時期になると思います。
――今後、章の配信以外にDLCの配信は想定されているのでしょうか?
いくつか、追加でオプションが増えていくようなことを考えていますし、すでに、1つ実装しようと思っているアイデアもあります。育てたキャラを使って、対戦などができたらおもしろいなーと考えています。
――SNSが絡むような仕組みは実装されるのでしょうか?
完全にスタンドアローンの作品なので、現在は入っていません。もし、本作を配信して多くのユーザーさんに遊んでもらえたら、SNSを使った遊びもおもしろそうですね。
――iOSではなく、コンシューマ機への移植予定はありますか?
やりたいのはやまやまなんですが、アプリのほうが息が長いんですよ。今のコンシューマゲームって、おおよそ2週間ぐらいしか商品寿命がなかったりするんです。今回好評だったら、完全版を発売するようなやり方もありだとは思いますが、まずはiOS版を配信して、これを楽しんでもらったほうがいいですね。スペック的にはなんらコンシューマ機と変わりないですから。
――いきなりですが、本作の続編の構想はありますか?
そうですね……今は他にもいろいろやっていますので(笑)。でも、この2D路線の『ファイナルファンタジー』シリーズは、さっきお話した対戦要素も含めて、何かしら新しい展開ができればいいなと思っています。アプリだからこそ、2Dでフレキシブルなことができると思いますので。
――懐古主義者としては、今回と同路線の完全新作に期待しています(笑)。
アプリだとちょっとした時間を使って遊べるものが作れるので、僕らが遊びたいと思うことをちゃんと反映できるんです。ユーザーに近い「今、こういうゲームがあったらいいな」という作品を作っているので、ユーザーさんの気持ちとブレがないと思います。
――最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
公式サイトが『Final Fantasy Dimensions』となっているので、25周年記念の新作とか言われていますけど(笑)、海外版のタイトルが『Final Fantasy Dimensions』で、日本では『ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士』になります。申し訳ないですが、誤解なきようお願いします。フィーチャーフォン版を作っていたときも、iPhoneのユーザーさんから「iOSに!」という声があったので、近々正式に期待に応えられる発表ができると思います。懐古主義の皆さんも、2Dの『ファイナルファンタジー』をプレイしたことがない若い方も、ぜひ遊んでみてください!
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