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2012年11月9日(金)

世はまさに“植民時代”──歴史を知れば『アサシン クリードIII』がより楽しめる! 18世紀の北アメリカ大陸ってどんなトコ?

文:イトヤン

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■イギリスが北アメリカを支配したことが“独立運動”の原因に

 北アメリカ大陸で“フレンチ・インディアン戦争”が始まった頃、ヨーロッパでも大きな戦争が起こります。そもそもは、現在のドイツ北部にあたるプロイセンと、オーストリアとの対立が原因でしたが、そこにヨーロッパの国々がさまざまな思惑で同盟を結んで、この戦いに参加してきました。特にイギリスとフランスは、折からの植民地を巡る争いによって互いに対立し、すでに開戦していた北アメリカやインドといった世界各地の植民地でも戦いを繰り広げたのです。1756年に開始された、史上初の世界大戦とも言われるこの戦争は“七年戦争”と呼ばれています。

 今や世界規模で行われるようになった戦争で敗れるわけにはいかないイギリスは、巨額の戦費を投じて軍隊を増強し、植民地に派遣しました。こうして増援を得た新大陸のイギリス軍は、フランス軍に対して反撃を開始しました。

『アサシン クリードIII』

 イギリス軍を率いるウルフ将軍は、ニューヨークからカナダに向けて進軍し、フランス側の植民地の中心であるケベックを包囲します。モンカルム将軍の率いるフランス軍は決戦を挑み、両将軍が共に戦死するほどの激戦を繰り広げた結果、ケベックは陥落します。フランス側の植民地はイギリスに占領されて、フレンチ・インディアン戦争はイギリスの勝利で終わりました。こうした植民地でのイギリスの勝利も影響して、1763年に七年戦争はイギリスとその同盟国であるプロイセンが有利な形で終戦することになりました。

 七年戦争でイギリスが勝利した結果、カナダ地方のフランス植民地は、すべてイギリスの植民地になりました。また、ルイジアナのうちミシシッピ川より東の地域も、イギリスに譲り渡されました。さらに、ニューオーリンズも含むミシシッピ川より西の地域は、七年戦争末期にフランスと同盟して参戦したスペインに与えられました。つまりフランスは、北アメリカ大陸から撤退する形になったわけです。さらにイギリスは、カリブ海のキューバと交換する形で、スペインからフロリダを手に入れます。これにより、北アメリカ大陸の大西洋に面した地域は、北のカナダから南のフロリダまですべてイギリスの植民地となったのです。

『アサシン クリードIII』

 七年戦争に勝利したイギリスは、北アメリカの東海岸をすべて手に入れましたが、勝利を得るためにつぎ込んだ戦費は、莫大な額となっていました。その負債を補うために、イギリス議会は北アメリカの植民地に対してさまざまな名目で税金をかけ、国庫への収入を得ようとします。当然、これに対して新大陸の人々は大いに反発します。植民地からイギリス本国の議会に代表を送ることは認められていなかったため、「代表なくして課税なし」というスローガンのもと、これらの税金を拒否しました。

 こうして、植民地の間で高まっていったイギリスへの不満は、やがてアメリカはイギリスから独立するべきだという議論に発展していきます。そして、その声は次第に「我に自由を与えよ、さもなくば死を与えよ」という過激なものへと変わっていったのです。


 さて次回は、“アメリカ独立戦争”がどのように開始されて、どんな戦いが繰り広げられたのかについて解説します。お楽しみに!

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