2012年11月9日(金)
――イラストレーター陣も非常に豪華な方々が参加されていますが、ここまで豪華にしたのは何か理由があったのでしょうか?
まず鎌池さんにお願いするということは、作品もライトノベルが好きなお客様に向けたものになるわけです。単純に絵のクオリティだけを求めれば、他にも上手な方はいらっしゃいます。でも、やはりライトノベルで活躍されている方々を中心に描いていただいたほうが、お客様にとってなじみのあるものになります。「『狼と香辛料』の人だ!」といったお客様とゲームとのかかわり方が生まれてくるので、ライトノベルの挿絵を描かれている方が中心になっています。
またスクウェア・エニックスがプロデュースするので、ゲームのイラストを描かれている方や、弊社の板鼻(板鼻利幸氏)や泉澤(泉澤康久氏)も描いています。今回のお客様に向けたカードのクオリティとしてはNo.1を目指そうと決めていたので、ここは一番気にした部分です。
――鎌池先生の作風自体が何でもありなところはありますが、イラストも自由な感じですよね。イラストレーターさんにも、わりと自由に描いてもらっているのでしょうか?
私はそう思っていたんですが、実は発注書の内容を見ると、設定がしっかりしているという声を聞きました。
――それは鎌池先生が先に用意した設定を出しているわけですか?
ほとんど鎌池さんですね。例えば妖精には、操縦媒体という、自分の体の周りに武器や防具になる機械のオブジェクトがあるという設定があります。掃除機を持った妖精の“シルキー”は、そのオブジェクトが掃除機をテーマにしたものだというところから始まり、キャラクターは金髪で長髪がいいですとか、衣服はぴったりしたスーツっぽいものがいいですとか、そこそこ細かく書かれています。
――ゲーム中にもカードの解説が載っていますが、それ以外にも鎌池先生の設定が存在するというわけですか。
はい、世界観から始まり、妖精がどんなものか、各勢力はどんなものか、キャラクターの見た目や性格はこう、というのが今ある300枚近くのカードすべてにあります。ただイラストに関しては、イラストレーターさんのよさを100%出してほしいので、とある設定が引っかかるようであれば、それはなくてもいいです、といったような調整はしています。“シルキー”であれば掃除機がメインになるので、掃除機を持ったかわいらしい姿であれば、それ以外はお任せしますという程度には調整してイラストを作ってもらっています。
――イラスト集は出されていますが、そういう裏設定も気になりますね。今後それが表に出てくることはないんでしょうか? あるいは別の展開で使われるとか。
鎌池さんのキャラクター設定は、とても個性的で愛着の沸くものだと思います。『拡散性ミリオンアーサー』はIP(知的財産。ここではブランドといった意味)として広げていきたいので、他の展開も当然企画しています。今のところ、『ヤングガンガン』と『ビッグガンガン』で漫画の連載が決まっています。
▲ライトノベルの挿絵を描いたイラストレーターを数多く起用しているのも本作の魅力。 |
――漫画といえば、ゲームアプリの中にもユニークな毛色の漫画が1つありますよね。この『弱酸性ミリオンアーサー』はどういう経緯で始まったんですか?
これも私がちょぼさん(ちょぼらうにょぽみ先生)の作品が好きだったからです。このゲームは鎌池さんの色が強く出ていて、わりと何でもできる雰囲気があります。だったら、ちょぼさんくらいアクの強いものがあってもいいんじゃないかと思って、「思い切りちょぼさん色を出して」と言ってオファーしました。
ですので、1話目から下ネタ全開で入っています(笑)。当初はお客様から「何がしたいんだ」と戸惑いの声が聞かれたのですが、今はむしろ『弱酸性ミリオンアーサー』を楽しみにしているという声もいただいています。元々非常にキャラが強いコンテンツなので、こういうものがあったほうが、よりおもしろさの幅が広がるのではないかと思っています。公式で同人をやっているようなものですね。あまりカッチリしたくないんです。
――モバイルという形を考えて、気楽に遊んでほしいという施策の1つなんですね。
あまり堅いことを言って広がらないよりは、何でもいいから楽しければいいよという感じで。怒られたらその時だろうと思っていますが、今のところは怒られていません(笑)。一応、社内の倫理チェックには回しているんですよ。
――倫理チェックを通っているんですね(笑)。
この表現はあまりにもどうだろう、というのがあると倫理に相談していますが、「うーん……ギリギリいいんじゃないですか」という感じで通っています(笑)。
――そうして人気が出てきたわけですが、そうなると次に期待するのは『弱酸性ミリオンアーサー』のカード化ですよね。
当然出ます。それが出る時には、何かしら変わった形と言いますか、コラボのようなものを考えつつ登場させたいですね。近いうちにやりたいです。
――それは大変楽しみです。ちょぼ先生と鎌池先生がどう絡むのかもまた楽しみですね。
そうですね、どうなるんでしょうか(笑)。
▲『弱酸性ミリオンアーサー』のカードも登場するとか。でもどんなカードになるのかまったく想像できない……。 |
→次のページでは、気になるアップデートについて語っていただきました。
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