2012年12月21日(金)
やっと来ました熱い展開。あらゆるアーサーの因子と、魔女モルゴースの因子を掛け合わせ、モルゴースの意図によって生まれながらにして裏切ることが設定された騎士モードレッドです。根本的には悪ではないモードレッドは、その自らに課せられた運命を受け入れられず戸惑いますが、そこでアーサーがこう言って締めるのです。
この“裏切ることを設定された騎士”というのがおもしろいところ。アーサー王伝説においてモードレッドという騎士は、アーサー王が遠征に出た時に国を任されるのですが、それを好機と見て謀反を起こします。その伝説をもとに、本作におけるモードレッドは“裏切ることを設定された”という設定になっているのです。
伝説に沿って後々に謀反を起こす敵として描くのではなく、作中において「設定」と言わせてしまうあたり、ファンタジーよりもSF寄りな表現が好きな鎌池先生の色がよく出ています。
“11人の支配者”を相手にした内戦の最中、ブリテンの外から来る“外敵”が攻め寄せて来ます。この時、攻められようとしていたサフォークという街は、“11人の支配者”を支援していました。そのためマーリンは、救援を無視して街を破壊させ、それによって“11人の支配者”を弱らせようとします。それが結果的に内戦を早く終わらせ、ブリテンの民をより多く救うことになる、と言うのです。
理屈では理解できても、民を見捨てるという行為に納得できない他の面々。アーサーも大いに悩むことになります。どちらを選んでもろくでもない結果が待っているという展開は、先々の困難をより強く印象付ける演出でもあります。
で、鎌池先生はこういうことをするわけですよ! 上の展開の直後、なんの脈絡もなく、この短い手紙がいきなり読み上げられます。しかもこの手紙の主である(おそらく)子どもは、家族や友だちを助けてとは言っているものの、自分を助けてとは言っていないのです。これはうまい! 鎌池先生うまいでー!
魔女3姉妹の中でも最も好戦的かつ残忍なモーガン=ル=フェイと、アーサーとの初対決時、彼女がモーガンだとは知らなかったアーサーが、あなたは誰だと聞いた返事がこちら。
涼しげに「殺し合う者同士」と言い放ち、その相手に「フレンドリーで」と注文を付けるあたりに、モーガンの異常性と戦いに慣れていることが表現されています。命がけの戦いの前に、こういう狂った軽口を言わせるのは鎌池先生の得意技。舞台が非日常へと切り替わったことを感じさせてくれます。
立ちはだかった妖精ニムエと、平和的な交渉に臨もうとしたアーサーとの会話らしきもの。妖精は基本的に人間とコミュニケーションが取れない(エルなどは例外)ので、会話が成立しません。
会話ができないなら、ニムエにはピーガガーとか言わせておいてもいいわけですが、ニムエはいちおう人間の言葉を発して、それとなく意図がわかるような表現になっています。まともなことを言っているかと思いきや、最後の最後で「殺しましょう」と落として台なしにするのは鎌池先生らしいセンスです。
単身でブリテンを飛び出したランスロットを追い、アーサー(剣術の城)が責任を持ってランスロットを処分するという展開で、“外敵”のいる大陸へとやってきたアーサーたちの会話シーン。
他の勢力のアーサーは、当然ながら主人公とは別のキャラクターとして描かれています。勢力を一度選ぶと変更できないため、他のアーサーのシナリオは見られませんが、こういったところでそれぞれの個性がチラリと見えます。アーサー(剣術の城)は少年ながら王らしいお堅い言い回し、アーサー(技巧の場)の少女はキツいこともバンバン言う性格なのがわかります。なおアーサー(魔法の派)には、常に女難の相が出ています。
モーガンとアーサーの決定的なバトルの前口上。散々ギャグ展開を挟んでいても、ここぞという時には堅くシリアスに締めてきます。とことんゆるい普段の場面と、ファンタジーの王道を行く名乗りのギャップが、戦いへの緊張感を一気に高めています。
他にもシリアスなセリフはいくつもあります。鎌池先生のファンであれば絶対に外せない、『とある魔術の禁書目録』でおなじみ“上条さんのお説教”に類する熱い語りもありますし、昨日の敵は今日の友な展開もちゃんとあります。やっぱり物語の核心に迫ってしまう部分なのですべては紹介できませんが、そこはぜひゲームをプレイして、自分の目で確かめてみてください。シナリオ部分だけなら、無料で最後まで読める仕様になっています。
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