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2013年3月22日(金)

初代『ドラッグ オン ドラグーン』が秘めた狂気の深淵を暴く――10年前、プレイヤーに絶望と歓喜を与えた問題作の根源とは?

文:タダツグ

 今から10年前となる2003年9月11日、スクウェア・エニックスのRPG第1弾としてPS2で登場した『ドラッグ オン ドラグーン』。その罪深き魅力の根源について、ビジュアルやスクリーンショットを織り交ぜながら振り返っていく。

『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』

 多くのプレイヤーの心に、忘れられない痛みを残した『ドラッグ オン ドラグーン』。先日、そのシリーズ10周年記念タイトルでもある『ドラッグ オン ドラグーン3』が発表され、早くも大きな話題を集めている。

 今なお熱狂的なファンを持つこのシリーズ処女作は、はたしてどんな作品だったのだろうか? 今回はSTORY、CHARACTER、GAME SYSTEMという3つのカテゴリにスポットを当て、その魅力をひも解いていく。

『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』 『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』

◆──<STORY>──◆
世界の“封印”をめぐる“封印戦争”を背景に、絶望にまみれた人間ドラマが展開

 まずは、プレイヤーの間で賛否両論が巻き起こった物語について紹介しよう。


【『ドラッグ オン ドラグーン』プロローグ】

 遠い昔……。まだドラゴンが空を飛んでいた時代。これは、“おおいなる時間”を正しくつなぎとめておかなければ、すべてが崩壊するとされる世界を舞台とした物語。

 “おおいなる時間”は、3つの封印と、最終封印である女神によって守られてきた。

 しかしある日、これらの封印を破壊し、世界の崩壊をたくらむ者たちが現れる。真紅の瞳と強靭(きょうじん)な肉体を持つ彼らは“帝国軍”と呼ばれ、封印を守護する“連合軍”との間に、激しい争いが勃発した。

 争いの中で、帝国軍に滅ぼされた亡国の王子・カイムは、女神となった妹・フリアエを守るために戦い、瀕死の傷を負う。そこで彼は、同じく命の危機に直面していたレッドドラゴンと運命の出会いを果たし、“契約”を交わす。契約によって圧倒的な力を得たカイムは、迫り来る帝国兵を蹴散らし、フリアエを守ることに成功するのだった。

 しかし、帝国軍の常軌を逸する力は、不可解としか言いようのないほど超越的で、連合軍は日に日に劣勢に陥っていく。カイムはフリアエを守るため、親友であるイウヴァルトや、神官長のヴェルドレとともに、フリアエを連れた逃避行に出るのだが……。

 封印の女神、紅い瞳の帝国兵、そして天空を舞うドラゴン……。物語のプロローグ部分では、ファンタジーの王道とも呼ぶべき展開がプレイヤーを待っている。しかし、この作品が“王道”であるのは、ある意味ここまで。ここから先、物語は少しずつ狂気を帯びていき、プレイヤーは登場人物たちの心の深淵に巣食う闇を、これでもかと見せつけられることになる。

 ストーリーは物語の要所で取った行動で次々と分岐していき、最終的には5つの結末へと分かれる。しかも、5つすべてが例外なく衝撃的な展開を迎えるため、救いを求めて先へと進むプレイヤーの心は、その都度大きな絶望を味わうことになった。

 ただし、この絶望こそが“おおいなる媚薬”として、プレイヤーの心にこの『ドラッグ オン ドラグーン』という作品を深く刻み込む要因になったとも言えるだろう。

『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』 『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』
『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』 『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』
▲ネタバレを避けるため、多くは語らないが、数々の衝撃的な展開がプレイヤーを待ち受ける。

→異常性癖に悩む男や歪んだ愛を持つ連続殺人者……
心に闇を抱える登場人物たち(2ページ目へ)

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Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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